ぬこの魔法生活 第16話
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 ◆ 第16話 ぬこのお悩み相談 ◆

 

 

 月の無い夜は背後からの桃色砲撃に気を付けています。どうも、みぃです。

 

 ぬこは今日も翠屋でまったりしてるだけなんですが、我らがご主人はというと

 相変わらずフェイト嬢のことで頭がいっぱいなようで、上の空のまま学校に行っています。

 まぁ、通学はバスだから事故とかには遭わないだろうけど……

 ずっとあんな感じだったらアリサ嬢たちと喧嘩とかになりそうなんだが。

 というか、こんな心配をいつだったかもしたような気がするぜ。そこ、過保護とか言わない。

 

 ま、そっちの心配もあるがぬこの死亡フラグはいつになったら折ることができるんだろうね?

 早いとこフェイト嬢たちに会わなきゃ、ばすたーなんだが……

 どこかに世界樹の葉とか落ちてないかしら? いや、ユーノにザオリクを覚えさせるというのも捨てがたい。

 きっとユニコーンあたりと配合できるに違いない。かしこさは高そうだし、覚えられるでしょう。

 あ、でもそれだとまずモンスター爺さん探さなきゃならんな。

 

 とまぁ、こんな風に現実逃避をしていると。

 

 「あれ? そこにいるのはみぃじゃないかい」

 (お? おぉ! ようやく会えた!!)

 

 ドッグフード片手のアルフさんが現れた。

 しゅばっと超高速で近くに移動します。

 

 「なんだい? ここでやり合おうってのかい?」

 (何の話さ! そんなことよりですね、お願いがあるのですよ!)

 「はぁ、やたらテンションが高いねぇ……まぁ、聞くだけ聞いてあげるよ……」

 (フェイト嬢に名前を呼んで欲しいのです! ご主人の!)

 「いきなり何を言ってるんだい!? 意味が分からないよっ!」

 

 まぁ、それもそうなのでわけを話すことに。

 

 「あんた、自分のご主人様に砲撃されるって……使い魔としてどうなんだい?」

 (う、うるさいよっ! 元はといえばフェイト嬢がうっかり爆弾を投下するから悪いんじゃないか!)

 「フェイトは関係ないよ! そっちが勝手に言い出したんじゃないか、まったく……」

 

 その通りだった。

 あぁ、やっぱり死亡フラグを折ることはできないのか……

 と避けられない未来を幻視して軽く鬱になっていると。

 

 「……ああ、もうっ! そんな情けない顔しないっ! 分かった、分かったよ。フェイトには言ってみるから、その顔をやめな!」

 (うぅ、ありがとうございますぅ)

 「あぁ、ほら、泣くんじゃないよ! まったく、その顔は卑怯だよ……」

 

 これで未来に一条の光が差し込んできたよ!

 ようやく安眠することができる……普通に寝てなかったかって?

 そ、そんなわけないじゃなにゃいっ!

 と言うか、誰に言ってるんだコレ? 電波か、電波が混線状態なのか?

 

 「まあ、あたしもフェイトには友達がい他方がいいって思ってたしね。っと、その代わりといっちゃなんだけどね、ちょっと相談に乗ってくれないかい?」

 (死亡フラグを折るためだったら、相談の100や200軽いもんだよ! 金銭問題以外ならドンときませい!)

 「……実はねぇ、フェイトのことなんだけど最近ご飯をちゃんと食べないんだよ。それに全然休みもとらないないし…あたしは心配で心配で……」

 (ふむ、それを言ったらうちのご主人も似たようなもんだけども……

 というか、それはアルフさんが無理にでも休ませたらいいんでないの?)

 「あたしは使い魔だよ?

 ご主人様のフェイトに大丈夫って言われたらそれに従うしかないじゃないか……」

 

 ぬこは正式に使い魔というわけでもないから分からないんだけど

 別に主人の命令には絶対遵守というわけでもないんだから、間違っているならきちんと止める。

 そういうのも従者としてはする必要があると、ぬこは思うわけですよ。

 ま、ゲームかなんかの受け売りですけどねー。そんなことをアルフさんに言ってみる。

 無論、受け売りの部分はふせたけども。

 

 「……そう、だね。このままじゃ一方通行な関係だものね。分かった、ちゃんとフェイトに言い聞かせることにするよ」

 (それがいいですよー。食事もちゃんと摂らないと身体によくないしね)

 「でも、いいのかい? 敵にそんなアドバイスしちゃって、相談しといてなんだけど」

 (まぁ、いいじゃないですか。こっちもお願いを聞いてもらうんだし?)

 「はぁ、まぁお前らしいと言えばらしいのかもね。じゃ、あたしは行くよ。相談に乗ってくれてありがとね」

 (いえいえ、どういたしましてです。今度は翠屋でシュークリームでも買って行ってくださいな。絶品ですぜ?)

 

 覚えとくよ、そう言って颯爽と去って行くアルフさん。

 なんでもないように帰っていくけど、シュークリームって言ったときに

 ぴょこんと一瞬出た耳としっぽをぬこは見逃してないですよ?

 ま、何にせよ死亡フラグを折ることに成功したよ! アルフさんには感謝だなぁ。

 

 とか、そんなことを思ってるとお母様がお昼ご飯を持ってきてくれた。

 

 「はい、みぃ君。ご飯よー」

 (む、もうお昼でしたか。夢中で気がつかなかったです)

 「あら、そうなの?そういえば、さっき女の人とみぃ君はお話してたらしいわね」

 

 周りのお客さんがひそひそ噂してたわよ?

 と、そんなことを言ってから店内に戻って行くお母様でした。

 

 

 アルフさんあんたって人は……

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

 徐々に学生の客足が増えてきたころ、恭也さんが忍さんをつれてヘルプとしてやってきた。

 相変わらず妬ましいほどにお似合いのカップルである。くそ、恭也さんもげ爆ぜろ。

 

 「あら、みぃ君今日はお手伝いなの? えらいわねー」

 

 そう言いながらなでてくれる忍さん。すずか嬢の姉上なだけあって、なで方が神懸かっている。

 そして、なでられているぬこを鋭い目でにらんでいる恭也さん。

 ぬこの防御力がガクンと下がった!

 うらやましいならやってもらえば……ひぃッ!冗談ですよ!?

 

 などとぬこがビクビクしていたら、忍さんは満足したのか店内に入って行った。

 ……で、なんで恭也さんは中に入らないの?

 

 「……」

 

 な、何ですか?ぬこは男に無言で見つめられても

 キュンとくるような特殊な性癖なんて持っていないんですが……

 

 「ほらほら、なにやってるの恭也。早く手伝わないと、桃子さんたちが困るでしょ?」

 「む、わかってる」

 「あ、そういえば桃子さんじゃなくてお義母様って呼んだ方がいいのかしら……」

 「まだ早いだろ……」

 

 そんな事を話しながら店へと入っていく二人。ホントになんだったんだ?

 ま、ましゃか……積もりに積もったシスコンぱわーが炸裂しちゃうんじゃないだろうな!?

 ナンテコッタイ! 再び死亡フラグが立てられたとでも言うのか!

 どうする、どうするればいいんだ。何か身代わりを……なんだ、ユーノがいるじゃない。

 

 秘儀 ユーノ障壁ッ!! 今からユーノを呼べば何とかなるに違いない!

 早速念話で呼び出そうとしたら……

 

 (―――みぃ君、聞こえる?)

 (あっ、ご主人ですか?)

 (今からユーノ君とジュエルシード探しに行ってくるね? 夕飯までには戻るから、よろしくね!)

 (えっ、ちょっと、ご主人!?)

 

 切れてしまった。どうやらジュエルシードの索敵に集中してるらしい。オワタ orz

 ぬこは絶望に包まれるのであった。

 

 

 

 

 

 どうやら時間のようですよ……?

 恭也さんたちのお手伝いが終わり

 さっきから恭也さんは忍さんが出てくるのをぬこの横で待っているのです。

 

 「なぁ、みぃ」

 

 うぅ、はいぃ……なんでしょうか。

 

 「最近、なのはが何かに悩んでることは知ってるな?」

 

 おっ? どうやらアレは死亡フラグではなかったらしい。

 話を要約すると自分たちは心配しているんだが

 ご主人は悩み事を誰かに話すことなんてしないから話すまで待つことにしたということ。

 ご主人のことを助けてやって欲しいとのことでした。

 

 どうやら、夜中に抜け出してたことや

 ぬこがご主人と意思疎通できてるのもなんとなく察してるようである。

 確信は持ってないみたいだったけど、少なくともぬこが人の言葉を理解してるというのは分かってるみたい。

 なんとも鋭い観察眼を持っている人たちである。というか、何でそんなに動じてないんだろうか。

 もしかして、意思疎通できる動物って珍しくないの?

 

 「……なのはを頼むぞ」

 

 分かってますよ、ぬこのご主人ですもの。

 ほっとけるわけないじゃないですか。

 

 

 

 

 ・

 ・

 ・

 ・

 

 で、そんなやり取りがあった後に忍さんが出てきてた。

 てっきりそのまま恭也さんが忍さんを送って行くのかと思ったのだが

 お稽古が終わったすずか嬢とここで合流するそうな。お稽古とか…ブルジョア臭が半端ないな。

 

 ちなみにアリサ嬢……というか鮫島さんが車でここまで送ってくれるとか。

 しばらくすると、いつかの高級車がやってきて、すずか嬢とアリサ嬢が出てきた。

 

 「おかえり、すずか」

 「あ、お姉ちゃん、ただいま」

 「こんばんは、忍さん、恭也さん」

 「ああ、こんばんは」

 

 そのままこの前の温泉のお話に移行している。

 ……あぶれましたな、鮫島さん。

 

 「そうですな。まぁ、少しお話をされたほうがお嬢様も気が晴れるでしょう」

 

 む、どことなく不機嫌に見えるのは気のせいではなかったのか。

 その理由は聞いてもいいのですかね?

 

 「はぁ、なにやらなのはお嬢様と喧嘩なされたとか…」

 

 マジですか。やっぱりあの状態で過ごしちゃったんだね、ご主人。

 そりゃ目の前で悩まれて何も言わなかったら怒るわなぁ、すずか嬢ならともかくアリサ嬢だと。

 でも、アリサ嬢はご主人のことを心配して怒ったんでしょ? 多分。

 

 「そのように推察しております」

 

 ふむ、どうしたものかねぇ。

 ご主人も多分気にしてるだろうな、自分が悪いって自虐的になりながら。

 まったく困ったご主人だぜ。ここはぬこがフェローに回るとしますかね、というわけで鮫島さん。

 

 「心得てございます。では、私は旦那様方のためにシュークリームでも買ってくるといたしましょう」

 

 まぁ、早い話がアリサ嬢の言いたいことを言ってもらって、さっさと仲直りをしてもらおうということなのだ。

 

 んで、その時間をつくるための理由が鮫島さんの役どころというわけだ。

 そして、ここからがぬこの出番!

 アリサ嬢たちのお話は終わったようなので、すずか嬢たちは恭也さんが送って行った。

 

 そして鮫島さんをぬこと一緒に待ってるアリサ嬢はというと。

 

 「はぁ、どうしよう。すずかにはああ言ったけど、私もこのままでいいなんて思ってないんだから……」

 

 この通り、ぬこの頭をなでながら愚痴ってます。

 アリサ嬢のスーパー本音タイムが始まったよ!

 

 「でも、仕方ないじゃない。腹が立ったんだもの……

 相談してくれないなのはにも、何も役に立てない自分にも……」

 

 やっぱりアリサ嬢は優しいですなぁ。こんな友達のいるご主人がうらやましいです。

 ぬこの中の人なんて……いや、なんでもないです。 

 

 こんな感じで鮫島さんがゆっくりと時間をかけて買い物をして出てくるまで

 アリサ嬢は延々と愚痴っていました。にゃんとしか相槌の打てないぬこで忍びねぇな。

 

 「聞いてくれてありがとね。

 ……もうっ、そんな顔しなくてもちゃんとなのはとは仲直りするわよ! 親友だもの!!」

 

 それを聞いて安心しましたよ。

 頑固なご主人ですが、これからもよろしくしてやってください。

 

 それが伝わったわけではないんだが、アリサ嬢はとびっきりの笑顔で約束してくれた。

 

 「じゃあね。また来るわ、今度はなのはと一緒に、ね?」

 

 お待ちしてますよー。

 これで安心だな、ちょっと時間はかかるかもしれないけど仲直りはすぐだろう。

 まったく、アリサ嬢みたいにちゃんとしかってくれるお友達はありがたいですな

 ご主人のような娘には特に。

 

 

 それにしても、今日はやけに相談事っぽいのが多い日だなぁ。

 アルフさん以外、ちゃんと答えてあげられてないけども……

 ま、それに関してはみんな満足したみたいだったからいいとしますか。

 

 「みぃくーん。お店閉めたから帰るわよー」

 

 おっと、もうそんな時間ですか。今行きますよっと。

 死亡フラグが折れた今日は飯がうまいに違いない!

 今日のご飯は何かなー、今日はお魚な気分なのでぬこはお魚を所望するぞ! お母様!!

 

 「ところが、残念。今日はお肉の日なのでしたー」

 

 

 

 ぬこは目の前が真っ暗になった!

 

 

 

 ◆ あとがき ◆

 読了感謝です。

 何気に今日でぬこも2周年ですねぇ。感慨深いのようなそうでもないような感じです。

 相変わらず、ほとんど役に立っていないぬこですがそろそろ出番が増えるはず。魔法的な意味で。待て、次回。

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