語られし者たちとIS 世界樹大戦 第4話 入学 IS学園 新たな参加者
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四月、新学期

 

高校一年となった一夏は、とある学園に通うことになった

 

自分が受験しようと考えていた藍越学園ではなく、本来通うはずのないIS学園だ。そんな状況に一夏は席に座ってため息をついていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少し時間を戻そう。受験の時期である二月

 

就職率の高い高校、藍越学園を受験しようと今まで頑張っていた一夏

 

試験当日、会場に入った時にジュディスが世界樹大戦の参加者の気配を感じたので一人でその気配を追った

 

一人になった一夏は試験を受けようとしたのだが、どうやら迷ってしまったらしく適当に入った部屋にあったISに触ったところ動かしてしまい、それを見られてしまった

 

こうして彼は世界で唯一ISを動かせる男として、世界中に知れ渡り、その安全を守るため、強制的にIS学園に入学させられた

 

そして今に至る

 

(はたから見れば面白い人生ね。まあ、あなたにとってはつまらないかもね。自分の道を勝手に決められたのだから)

 

(まあ、しょうがないですけどね……)

 

少しすると、教師が入ってきた。それに気づき皆しっかりと席に座った

 

「はい、皆さん。私の名前は山田真耶、このクラスの副担任です。よろしくお願いしま……す」

 

彼女はある二人の生徒を見て驚いていた。しかしすぐに続ける

 

「えっと、まずは自己紹介をお願いします」

 

(……あの教師ともう一人の子……いえ、この学校にはもっといるわね……)

 

ホームルームが始まるがそんなことはお構いなしにジュディスは教室を見渡し、普通の人には見えない人を見ていた。お互いに目が合ったが、それぞれの自身のパートナーに迷惑をかけたくないため、とりあえず何もしないでいた

 

すぐに一夏の番になったので、立ち上がって自己紹介を始めた

 

「えっと、織斑一夏です。特技は家事全般です。男性で唯一のIS使用者ですが、知識はほとんどないので、あまり特別視しないでください。よろしくお願いします」

 

事前にジュディスと相談していたおかげでいい自己紹介ができた

 

その直後、教室に入ってきた人を見て一夏は驚いた

 

「フム、お前にしてはまともな挨拶だな」

 

「な!? どうしてここに……?」

 

「織斑先生、会議は終わったのですか?」

 

「ホームルームを任せてすまなかったな。後は私がやろう」

 

教壇に立っているのは一夏の姉である千冬だった。ドイツでの仕事が終わった後もなかなか家に帰ってこないうえ、何をしているかを教えてくれなかった人にいきなり会ったため、驚くのも無理はないだろう

 

「諸君! これから君たちには半年でISについて覚えてもらう。いいなら返事をしろ! できなくても返事をしろ!」

 

そんな千冬の言葉にクラス中の女子は喜んでいた。その様子を見た当の本人は呆れていた

 

「よし、では再開してくれ」

 

そのまま自己紹介の続きが行われた。ホームルームが終わるころには全員終えることができた

 

休み時間になった時、副担任の真耶が二人の生徒を呼んだ

 

「……あ、すみません、織斑君と布仏さんにちょっとお話があるので来てください。すぐに終わりますので」

 

彼女の言葉に多くの生徒と千冬は疑問を持った

 

一夏は布仏と呼ばれた女の子を見た瞬間、どうして呼ばれたかわかった

 

視線に気が付いたのかのんびりと彼女は一夏の所に向かっていた

 

「キミが織斑君だね……おりむ〜って呼ばせてもらうね〜私は布仏本音、よろしくね」

 

「よろしく、布仏さん、行こうか」

 

二人で廊下に出ると、山田先生は近くの階段の踊り場に出た。すぐに本題に入った

 

「……あなたたちは世界樹大戦の参加者ですね……」

 

そう言って彼女は後ろを向いて自分の背中を見せた。そこには果実の模様があった。果実の模様が発光している為、服の上からでもわかる

 

本音にはおでこに果実の模様がある。一夏も同じように右肩の果実の模様を見せた

 

「それで、どうするのですか?」

 

「……とりあえず、お互いに自己紹介をしたいです。他の人に見られるわけにはいかないのであちらの世界に行きましょう」

 

三人はパートナーからブローチをつけてもらい、異世界に行った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

荒れ果てた大地に六人の人がいる

 

真耶の近くには青い髪で教会の人が着るような白い服の女性

 

布仏の近くに黒髪にピンクのマントをつけた変わった形の剣を持った剣士がいた

 

一夏のそばにはジュディスがいる

 

「ジュディスよ、よろしくね」

 

「私はアンジュ・セレーナ、真耶のパートナーです」

 

「リオン・マグナスだ。本音のパートナーをやっている」

 

その後、真耶は二人に世界樹大戦について自身の考えを伝えた

 

「まずは勝手に戦うことを禁止にしたいと思います。生徒同士で怪我をした場合、この戦いが知られてしまうからです」

 

彼女の提案に一夏と本音、ジュディスにリオンは頷いた。世界樹大戦は関係のない人にはなるべく知られない

 

その考えはここにいる全員が持っている

 

そしてもう一つ、自分たち以外にも参加者がこの学園にいること。もしも参加者に出会ったら同じように勝手に戦うことを禁じるように伝えてほしいと

 

一夏以外は皆知っている様子だった。本音とリオンはそもそも知っている様子で、ジュディスとアンジュは気配を感じ取っていた

 

真耶はアンジュから聞いていたから知っていたようだ

 

「そう言うことでしたら会長に頼んでおきますね〜」

 

「更識さんですか……お願いします。織斑君もそれでいいですか?」

 

「分かりました。ただ、この空間は使ってもいいですよね? ISの勉強を追いつかせるためにも」

 

一夏の提案に賛成したのはパートナー達だった

 

「そうね、一夏君は他の子と比べて勉強の量が足りないからいいんじゃないのかしら?」

 

「確かに他の連中より遅れているのは明らかだからな」

 

「頑張りなさい」

 

異世界の三人の意見に真耶も同意していた

 

意見交換が終わった所で、元の世界に戻ってブローチを持ち主に返して教室に戻った

 

一夏と本音は何故呼ばれたか聞かれたがとりあえず、誤魔化しておいた

 

しかし、一夏をじろりと睨んでいる人がいた。その女子が一夏に話しかけようとした時にチャイムが鳴ってしまったため、しぶしぶ自分の席に戻っていった

 

すぐに授業が始まった。早速ISの講座だったが、一夏はあんまりついていけていないようだ

 

そのことは真耶もわかっていたのかあまり怒っていない

 

予習したのだが、何分勉強時間が少ない。千冬も全く分からないと言わないだけましと思ったのだろう。叱ることはしなかった

 

次の休み時間、一夏の所に一人の女子がやってきた

 

「……少しいいか?」

 

一夏はその女の子を知っていたのか、着いて行った

 

廊下で二人きりとなってやっと話し始めた

 

「久しぶりだな、一夏。テレビで見た時は驚いたぞ」

 

「そっちこそ久しぶりだな。元気だったか? 箒?」

 

(どなた?)

 

こっそりとジュディスは聞いてみる

 

(俺の幼馴染の一人、ISを設計した束さんの妹)

 

同じようにこっそりと返した一夏。箒には気が付かれていないようだ

 

「そうそう、新聞で見たけど剣道の全国大会優勝したんだってな。おめでとう」

 

「な! 何でそんなこと……」

 

箒の顔が赤くなっていた。その様子を見てジュディスが何か納得していた

 

(なるほどね、この子も一夏のことが好きなのね……本当に罪作りな子)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

教室に戻ると金髪の女子生徒が一夏の机の近くで待っていた

 

「少しよろしいですこと?」

 

「……いや、よろしくない。そもそも……誰だっけ?」

 

そんな一夏の返事にむっとした

 

「まあ、何ですの? わたくし自ら話しかけているというのにその態度は? そのうえ私の名前を知らない? このセシリア・オルコットの名を」

 

「はあ、それはどうもすみませんでした。それでどのようなご用件でしょうか?」

 

棒読みで喋る一夏にその女性は怒った

 

「その態度! ますます気に入りませんわ! わたくしのようなエリートに話しかけられているのですからそれ相応の態度を……」

 

その瞬間、チャイムが鳴ったためセシリアはしぶしぶ席に戻った

 

(チャイムに助けられたのね)

 

(はあ……)

 

そのまま次の授業を受ける。苦労しながらも何とかついていっている

 

「織斑君? 大丈夫ですか?」

 

「何とか大丈夫です。分からない所は放課後とか教えてもらってもいいですか?」

 

「もちろん、いつでも聞きに来てください」

 

真耶はとてもご機嫌になった

 

(真耶ったらすっかりご機嫌ね。まあ、男の子に頼られてうれしいでしょうね)

 

彼女のパートナーのアンジェは微笑ましそうに見ていた。もちろん彼女の姿は参加者である、一夏、本音、真耶以外の人に見えていない

 

(それにしても彼はかわいそうな子ね。ISを使えてしまったからこんな所に入れられて……本当なら別の学校に行っていたらしいのに)

 

同時に一夏のことを少しかわいそうと思っていた

 

そして次の授業で、クラスの代表を決めることになった

 

千冬が推薦も構わないと言ったため、クラスのほとんどの女子が一夏を推薦していた

 

一夏は拒否しようとしたが、その前にセシリアが立ち上がった

 

「冗談ではありませんわ! なぜクラスの代表に男子を!? いいですか? イギリスの代表候補生たる私がクラスの代表というのが当然!」

 

「大体、こんな後進国で学んでいること自体屈辱ですのに……」

 

「イギリスだってご飯がまずいって有名だよな?」

 

一夏はギリギリセシリアに聞こえるくらいの声で話した

 

「あ、あなた! 私の祖国を侮辱する気ですの?」

 

「先に侮辱したのはそっちだろ!? 大体俺は代表なんてやる気がないからそんなにやりたいならやってくれよ」

 

「それはダメだ、織斑。推薦されたからにはしっかりとやってもらう。ならば二人には一週間後、戦ってもらう。それでいいな? オルコット、織斑」

 

千冬がそれをきっぱりと断り、すぐさま解決方法を述べた

 

セシリアはすぐに了解した。一夏は反論しようとしたが、千冬は聞く耳を持たなかった

 

「では、授業に戻る」

 

そのまま授業を再開させた

 

(……ずいぶんと勝手なお姉さんなのね)

 

ジュディスは千冬についてあまりいい印象を持たなかったようだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後、一夏は一人で教室に残っていた。そのまま帰ろうと思った時、教室に二人の人が入ってきた。本音と真耶だ

 

二人とも一夏に用事があるらしいが先に本音から話すことになった

 

「おりむ〜、今からちょっといいかな? 生徒会長におりむ〜を連れて来てってお願いされたの〜」

 

「? 生徒会長が? 分かった」

 

「織斑君、生徒会長の用事が終わったら職員室の私の所に来てください。渡すものがあるので」

 

そのまま真耶は教室を出て行った

 

「じゃあ、生徒会室にレッツゴー!」

 

(一体どんな人なんだろう?)

 

そんな疑問を抱えながら一夏は本音の後をついていくことにした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スキット

 

 

 

一夏について

 

 

 

異世界で参加者の三人が話している

 

「あなたのパートナーの一夏君、すごいわね」

 

「奴はあの織斑千冬の弟だからな。そういう目で見られているのだろう」

 

「そうね、でもあまりいい気分ではないわね。私も一夏も」

 

「確かにそういうのはつらいわよね。一夏君、大丈夫かしら?」

 

「……まあ、本音はそういう特別扱いで見ないと思うから安心してくれ」

 

「真耶は……少し不安だわ」

 

「教師が手を出したらまずいと思うわ。アンジュ、お願いね」

 

「ええ、努力するわ」

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