外史テイルズオブエクシリア 闇の魂を持つ者の旅路の記録 最終話
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最終話  未来へ歩む道

 

 

 

 

「くぅ……」

 

倒れていたガイアスは膝をつく体勢になる。

 

「マクスウェル!」

 

ミラは四大召喚の陣を出し、四大精霊を召喚。

それに合わせる形でセルシウスとヴォルトも現れ、クルスニクの槍を囲む。

 

「はあああああっ!」

「俺も手伝ってやるぜ!」

 

秋山は拳に力を込め、精霊達と協力してクルスニクの槍を破壊。

マクスウェルは解放された。

 

「……また何もなくなった……。私はもう……」

 

ミュゼは悲観していた。

 

「お前たちが望む未来は民を苦しめるだけ……例え源霊匣(オリジン)があろうとだ。

ましてや世界を一つにしたところで、互いが協力しあうことなど幻想に過ぎない」

 

ガイアスはなんとか立ちあがる。

 

「まだ立てるとは、なかなかタフだな」

 

秋山が褒める。

 

「僕が信じた未来って、甘くてバカなのかもしれない。でも、ミラは僕を信じてくれた」

 

ミラとジュードは顔を合わせた。

 

「それにガイアス、あなたも」

「それがなんだというのだ……!」

「どれだけ、強気なこと言っても、僕はここまで来るのがずっと怖かった。

僕はまだ弱くてちっぽけな人間だよ。だけど、いつか強くなってみせる。

僕を……信じてほしいんだ」

「人は弱者だ。ガイアス、俺もお前も例外じゃない」

「俺も弱者だと?」

 

秋山の言葉にガイアスが違和感を感じたが……。

 

「人は一人じゃ何もできない。だから誰かに支えられる。だから誰かを助けようとする」

「……そうだな。

人は強くなろうとするから誰かのために成長しようともがくから、私たちの未来は、想像もできないくらいすばらしい可能性に満ちていると信じている」

「ガイアス、お前は本当はわかっていたはずだ。

ただお前は自分が弱者だと認めたくないから意固地になっていただけだ。

俺はそう見えたぞ」

「認めぬ」

「だろうな」

「お前たちの可能性とやらが挫かれた時、俺は再び立ち上がるぞ」

 

その時ジュードはガイアスに近づき、手を差し伸べる。

 

「!!」

「そうはさせないよ」

「ふ、言うじゃないかジュード」

 

悲観するミュゼのところにミラが近づいてくる。

 

「ミュゼ」

 

ミラはミュゼに手を差し伸べた。

 

「一人で生きていくのがつらいなら、共に生きよう」

「ミラ……」

「決心はついたようだな」

 

マクスウェルが元気を取り戻したようであり、声をかける。

 

「ああ」

「ミラ……」

「な、なんのことだよ」

 

話を知らないアルヴィンは何のことかと尋ねようとする。

 

「私はマクスウェルになる」

「え……?」

「そうでしたか……」

「ミラ、精霊になる必要はない」

「何?」

 

秋山が止める。

 

「ミラ、マクスウェル。マクスウェルは精霊になる必要があるのか?」

「精霊の主が精霊でないのならそれはマクスウェルではない」

「……違うな。マクスウェルは精霊たちに慕われてこそマクスウェルだ。

無理に精霊である必要なんてない」

「だが……」

「ガイアスの言葉を肯定するが、必要なのは覚悟だ。

それにな……人間やめたら二度と戻れないってのもある。

けど、精霊化は人間として死んだ後でも可能なんだろう?」

「……確かに精霊界に連れて行けばそれも可能だ。

しかしそれは禁忌とも言える行動……」

「だったらそれでいいじゃないか。

ミラ、お前は人間としての人生を終えるまで人間のマクスウェルとして生きろ。

精霊になるのは死んだときでも遅くない。そうは思わないか?」

「…………秋山」

「うん?」

「お前は真のマクスウェルとして生きろと以前に言ったな?」

「ああ」

「それは私の今までの生き方を貫けという意味だったのか?」

「……そうだな。だが、その正解は生きていく中で変わってくるものだ。

だからその答えには明確な正解なんてない。正解を決めるのはお前自身だ」

「そうか……」

「それともう一つ」

 

秋山が人差し指を立てる。

 

「俺は『偽物が本物に敵わない、なんて道理はない』と言ったよな?」

「? ああ……」

「それを言った奴はその前にこんなこと言ってたんだ。

『借り物の理想だとしても、最後まで貫けばそれは本物の理想になる』ってな……。

まあ少し言葉は違ったと思うが、そんなことを言っていた。

お前はマクスウェルから偽物、借り物の使命を与えられた。

だがそれを最後まで貫いたし、これからも貫いていけるだろう。

ならばお前は既に精霊の主、ミラ=マクスウェルだ」

「…………」

「それともう少し俺の本音を言えば、人間としていられるなら人間として生きて人生を楽しめ。

それは俺からの願いでもある」

「………………」

 

ミラは少し考えてしまう。

 

「ミラ……」

「…………」

 

ミラはジュードや秋山、他のみんなを見る。

そして答えを出す。

 

「マクスウェル、私はまだ人間でいようと思う。

人間としての生を終えた時、私は精霊のマクスウェルになろうと思う。

だが、それまでは……人間のマクスウェルとして生きる」

「…………それがお前の出した答えか。それもよかろう。

四大よ、セルシウスにヴォルト、その時はミラを頼むぞ。

ミラ、精霊達を見守ってくれ」

「わかりました」

 

四大たちは頷いた。

 

「ミラ……」

「それじゃあ……」

「だが、これでお別れなのは変わらない」

「え?」

 

皆がミラが別れる気でいるのが変わらないことに少し戸惑う。

 

「ミラ!」

 

ジュードが思わず声をかける。

 

「ジュード、これでお別れだ。思えば私たちは奇妙な縁だったな。これまでありがとう」

 

ジュードは涙目でありながらも

 

「待って……僕……!!」

 

ジュードは何かを言いかけたが、やめ、涙をこらえた。

 

「ずっと頼りなくてごめんね。でも、これからは大丈夫だから」

「ミラ!」

「エリーはミラ君が大好きだってさー。もちろんぼくもねー!」

「ミラ、また会えるんだよね?」

「楽しかったですよ……」

「なんだよ、それ! 聞いてないぞ!」

「ミラ……元気でね」

 

ミラは皆の方を見てにこやかに笑い、マクスウェルの方を向く。

 

「頼む」

 

マクスウェルは自分の命と共に断界殻(シェル)を消滅させた。

それと同時に両方の世界にマナが満たされ、エレンピオスにも自然が蘇りつつあったとか……。

皆がその様子をまだ残っている世精の途(ウルスカーラ)でそれを見ていた。

ジュードは静かにミラの隣に立ち、ミラの手を握る。

 

「ミラ、泣かないで」

「私はミラ=マクスウェル。精霊の主だ。泣いてなどいない」

 

そうは言ってもミラは泣いていた。

 

「ミラ、泣きたいときは泣いていい。

それが人だ」

 

秋山もミラの横に立ち、ミラの肩を軽く叩いた。

そしてミラは泣き叫ぶことはなくても静かに泣き続けた。

それからしばらくして世精の途(ウルスカーラ)は消えた。

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一同は秋山の力でニ・アケリア霊山の山頂に移動していた。

 

「これでお別れだ」

「うん」

「さてと、俺もこの世界から去ることにするよ」

 

すると秋山も自分も別れることを言いだす。

 

「どうして?」

「俺がこの世界に来たのは気紛れみたいなものだ。

そして俺が知る大きな歴史はここまでだ。後はお前たちが歩むべき道であり、俺が歩むべき道じゃないからだ」

「そんな……」

「俺は流浪者、旅ゆく鳥みたいなものだ。しばらく羽を休めていたが、再び羽を広げて世界に行くだけのことだ」

「秋山君、また会える?」

「無理だな。この世界で俺がやることややりたいことはもうない。

それに言ったはずだ。この世界の後のことは俺が歩むべき道じゃない。

だから……」

 

秋山が空に浮く。

 

「これでお別れだ。だがお前たちは俺と深くかかわった。

俺の記憶が消えることは永遠にない」

『秋山(さん)!』

「じゃあな」

 

秋山はそう言って飛び去って行き、この世界から消滅した。

それから一同も解散し、新しい道へと進んでいく。

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アルヴィンはリーゼ・マクシアとエレンピオスを繋ぐ商人として、ユルゲンスらと共に世界を渡り歩く。

そのアルヴィンを心配するように、プレザから毎日のように手紙がくるとか……。二人のよりが戻る日も近い。

 

 

 

エリーゼはすべてを教えてくれたジャオの元で暮らすことになったが、四象刃(フォーヴ)として忙しいジャオとそんなに長い時間いるわけではないが、エリーゼは学校などに行き、友達を作っていた。

友達はティポを見て、最初は驚いていたものの、次第になじんでいき、今ではティポも入れての友達となった。

 

 

 

レイアは看護師の手伝いを辞め、ひとまずは家の手伝いをすることにしたが、人助けなどをしたいと言っているとかで、近々旅に出ようかとか言っている。

そしてそれを心配する父のウォーロックを見て、困ってしまう母のソニア。しばらくはこれでもいいとか……。アグリアがたまにきて、レイアの悪口を言うたびにソニアの説教をくらわされたりする。

 

 

 

ローエンは復帰したナハティガルとラ・シュガルを支え、ガイアスと提携を組んでいる。秋山の力で生き延びたウィンガルとたびたび衝突もしているが、仲はそんなに悪くはない。

エレンピオスのこともあるが、相互理解を求めるように努力している。

 

 

 

ドロッセルは兄のクレインの仕事の手伝いをしているが、なかなかクレインのようにはいかないようで困っているが、その度に自分は自分と言い聞かせている。

だが鍛えられたためか、魔物退治など力のいる仕事は並みの男の人や兵士よりもうまくいっているらしい。

 

 

 

ミラはマクスウェルとして精霊達を見守り、断界殻(シェル)のマナによって新たに生まれた微精霊などをミュゼや大精霊たちと共に見守っている。

たまに人里に降りて、食事を取ったりしている。しかしミラはよく食べるために大精霊たちはたまに頭を痛めている。

 

 

 

ジュードは源霊匣(オリジン)のことを皆に理解してもらおうと勤しんでいるが、なかなかうまくはいかないことも知っている。

それでもジュードはリーゼ・マクシアとエレンピオスのために、努力を惜しまず、勉強し、皆に源霊匣(オリジン)を伝え続けている。

 

 

 

 

 

 

そして秋山は……。

 

 

 

 

「さてと、次はどこいくか……」

 

秋山は異世界への移動空間を飛んでいる。

 

「またあいつらに会うってのも悪くないが、もう少し落ち着いてからにするか。カオスのこともあるし……。

となると、次はあいつらのいた世界の平行世界にでも行くか。

どうなるか分からないけど、しばらくいたらまたあの世界に戻るか」

 

そして秋山はエクシリアの外史の世界に行く前の世界の平行世界へと向かって飛んで行くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

終わり

説明
この作品は別の人の影響で作った作品であり、作者(BLACK)のオリジナルキャラ「秋山総司郎」を第3主人公として、テイルズオブエクシリアの世界に来たらで書かれました。

秋山総司郎が今まで出てきた作品一覧(作品検索)。

http://www.tinami.com/search/list?keyword=%E7%A7%8B%E5%B1%B1%E7%B7%8F%E5%8F%B8%E9%83%8E&genrekey=1

秋山総司郎の時系列

この世界を訪れる前の話

「そらのおとしものf 番外編 『カオスのとある日常(いちにち)  里帰り編』」


http://www.tinami.com/view/225368


この世界を訪れた後の話


「そらのおとしもの  外伝  もしもイカロスの次に地上に来たのがカオスでその次に来たのがニンフだったら…。(アニメ仕様)」


http://www.tinami.com/view/257088


となっております。
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コメント
主人公は次にどこの世界に向かうのか・・・それは誰にもわからぬことであった。(レイフォン)
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