IS・B 〜インフィニット・ストラトス・ブレイヴ〜 第四章 後編 銀髪の軍人
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シャルルが転校してきた次の日のHR、教卓には見慣れぬ銀髪の女子がいた

「え、ええっと今日も嬉しいお知らせがあります、ドイツから来た転校生のラウラ・ボーデヴィッヒさんです」

二日続けて転校生って、どんだけ来るんだ転校生

「・・・・・」

そしてその転校生は教卓で無言無表情で立ち尽くしていた

「挨拶をしろラウラ!」

「はい、教官」

織斑先生がそう言うとビシッと返した転校生

・・・織斑先生を教官?

「ここではそう呼ぶな、もう私は教官ではないし、ここでは貴様も一般生徒だ。 私のことは織斑先生と呼べ」

「了解しました」

・・・ここでは、か。 とにかく二人は知り合いみたいだな

「ラウラ・ボーデヴィッヒだ」

こちらを向き、転校生、ボーデヴィッヒはそれだけ言った

「あの、以上ですか?」

「以上だ」

ざっくりしてんなぁ、なんて思ってたらボーデヴィッヒは一夏を見てその表情を強張らせた

「・・・貴様が」

そう言うとボーデヴィッヒは一夏に向かって歩き出した

そして右手を振り上げた、それを見て俺は・・・

「っ!何をする」

「それはこっちの台詞だ、出会い頭に平手打ちなんて随分な挨拶じゃねぇか」

ボーデヴィッヒの手首を掴みそれを阻止した

俺がそう言うとボーデヴィッヒは俺の手を振り払い睨み付ける

その光景を見ていたクラス中の生徒はざわつき始めた

「貴様等!やめんか!」

織斑先生に注意を受け俺は席に戻り、ボーデヴィッヒは一夏を睨みつける

「私は認めない・・・貴様があの人の弟であるなど、認めるものか」

それだけ言ってボーデヴィッヒは指示された席へと向かった

「一夏、あいつと何かあったのか」

「・・・・・」

そう聞いてみると一夏は俯いて黙り込んでしまった

「・・・まぁ、言いたくなけりゃ別にいいけどな」

「あぁ、すまない」

そんなことがありつつ朝のHRは終了した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして放課後、例のごとく一夏の特訓の為アリーナに集まっていた

「えっとね、一夏がオルコットさんや鳳さんに苦戦するのは単純に射撃武器の特性を把握していないからなんだよ」

「そ、そうなのか? 一応わかってるつもりだったんだけど・・・」

そこでシャルルが一夏に射撃武器の講義を開き、それを恨めしそうに箒、セシリア、鈴が見ていた

「一夏のやつ、どうして幼馴染の私ではなく、デュノアなんだ」

「ちょっと待ちなさいよ! 一夏の幼馴染はあたしよ!」

「それ以前に幼馴染だからって一夏さんのコーチになる理由はありませんわよ!」

やがて一夏のコーチを誰がやるかということでいい合いを始めた

「というより三人ともコーチには向いてないと思うんだが」

「「「なんですって!?」」」

ダンが三人にそんなことを言うから今度はダンに言いつめる

「三人とも教え方が判りにくいんだ、人に教えるときはまず判りやすく・・・」

そこでダンが人に教える為の講義を始めてしまった

・・・まぁあいつらはほっといていいだろ

「それで、一夏の白式には後付武器ってないんだよね」

「ああ、何回か調べてもらったんだけど、拡張領域が空いてないらしい」

「聞いた話だと白式は単一仕様能力にほとんど使ってるらしいぜ」

「姉弟だからで同じ能力を使えるのかな……?」

そう言って考える仕草をするシャルル

「そういやお前等のブレイヴってどういう仕組みなんだ?」

「ブレイヴ?」

「そういやシャルルには見せてなかったな、フェニック・キャノン!」

シャルルに見せる為フェニック・キャノンを召喚する

「こ、これって?」

「これがブレイヴだ、こいつ等にも意思はあって俺、というよりはストライク・ジークに合体することが出来るんだ」

「合体・・・」

「ブレイヴはこいつ等自身が別のISみたいなモンで言うなればISとISが合体するって感じで拡張領域は必要ないんだ」

「それで複数のブレイヴを所持できるのか」

「あぁ、つっても相性とかあるからそんなに所持はできないけどな」

そう言いながらフェニック・キャノンを戻す

「やっぱり不思議だね、月光のISって」

「まぁな、一応ダンのアポロドラゴンも似たようなモンだけど」

「へぇ・・・」

そう言って再び考え出すシャルル

「とりあえず話を戻して、試しに射撃武器を使ってみたらどうだ?」

「あ、うんそうだね、撃っている側からの感覚を学んでみるのも効果的かも、ちょっと待ってて」

シャルルは自分のISに何かを打ち込み始めた

「これで、よし。 はい一夏、僕のライフルを貸すからちょっと試し撃ちをやってみようか」

「今なにやったんだ?」

「武器の使用承諾だよ、これで誰でも使えるようになったんだ」

「ふーん」

一夏はシャルルからライフルを受け取り、的に向かって構える

「そうじゃなくて、もっと脇を締めて」

「お、おう」

シャルルは一夏に密着して射撃の指導をする

それを見て箒達は二人を睨んでいた

とまぁシャルルの指導のおかげで的に当てることに成功

「は、速い・・・」

一夏は銃の性能に感動していた

「月光も試しに撃ってみる?」

「ん、そうだな、んじゃ遠慮なく」

そう言って一夏からライフルを受け取り構える

「うん、なかなかいい筋してるよ」

「そりゃどう・・・も!」

言いながら狙いを定め放つ、俺も見事命中させることができた

「へぇ、フェニック・キャノンで撃つ時とはやっぱ違うんだな」

なんて感想を述べていると他で特訓していた生徒がざわつきだす

「ねえ、ちょっとアレ……」

「ウソっ、ドイツの第三世代機だ」

「まだ本国でのトライアル段階だって聞いていたけど……」

見るとボーデヴィッヒが黒いISを装着して立っていた

俺達が見ているのに気が付くとボーデヴィッヒはこちらに近づいて来た

「貴様も専用機持ちだな、ならば話は早い、私と戦え」

「嫌だ、理由がねぇよ」

ボーデヴィッヒは一夏に戦いを挑んだが一夏はそれを拒んだ

「貴様にはなくても私にはある。 貴様がいなければ教官が大会二連覇の異形をなしえただろうことは安易に想像できる。 だから、私は貴様を・・・貴様の存在を認めない!」

「今じゃなくたっていいだろ、もうすぐトーナメントだってあるんだ、その時でいいだろ」

そう言って背を向ける一夏、それを見たボーデヴィッヒは左肩に大砲を展開する

「なら、戦わざるを得ないようにしてやる」

そしてそれを放った、だがそれに俺が動く前に反応したやつがいた

「・・・こんなところでいきなり戦闘を始めようとするなんて、ドイツの人はずいぶん沸点が低いんだね」

シャルルだった、シャルルはシールドでボーデヴィッヒの大砲を防いで軽く挑発した

「貴様・・・フランスの第二世代ごときが、私の前に立ち塞がるとはな」

「いまだに量産型の目途が立たない第三世代型よりかは動けるはずだよ」

シャルル・・・意外と挑発的なのな、なんて思いつつ俺はボーデヴィッヒの首元に爪を突きつける

「後ろががら空きだぜ、銀髪」

「なに?」

俺はシャルルが先に動いたのを確認するとボーデヴィッヒが油断している隙に後ろに回りこんだ

「ほう、私の後ろに立つか、なかなかやるではないか」

「余裕じゃねえか、二体一なのに」

俺とシャルル、そしてボーデヴィッヒで睨み合う

『そこの生徒、何をやっている! 学年とクラス、出席番号を言え!』

そこに織斑先生の声が響く、面倒ごとは勘弁なので俺爪を下ろす、ボーデヴィッヒも大砲を戻し帰っていった

「一夏、大丈夫?」

「あぁ、助かったよ」

シャルルはさっきまでの顔からいつも通りの表情に戻って一夏の無事を確認する

そんなことがあり時間もそろそろということで今日は解散することにした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

着替え終わり、シャルルは用事があるとかで先に戻っていったので残った男三人で寮に戻っていると

「答えてください教官!」

聞いたことのある声がしてそちらに向かってみた

「なぜこんなところで教師など!」

するとボーデヴィッヒが織斑先生になにか訴えていた

「これって・・・」

「とりあえず隠れよう」

「あぁ」

俺達は近くの植木に隠れ話を聞く

「何度も言わせるな、私には役目がある、それだけだ」

「なら役目とはなんですか!」

「貴様も、守るべきモノを見つければいずれ判る」

そういう織斑先生の表情はいつもと少し違かった

「守るべきもの・・・ねぇ・・・」

そう呟きながら一夏を見る、こいつ、気付いてんのかねぇ

「判りません、いえ、そんなもの知る必要ありません!」

なんだ、必要に訴えてくるな、あいつ

それからボーデヴィッヒは織斑先生が軍に戻るべきだとかそういったことを言い続けた

軍、か・・・話には聞いたことがあったが織斑先生ってやっぱ元軍人だったんだな、で、ボーデヴィッヒはその頃の教え子と言ったところか

「・・・そこまでにしとけよ小娘」

そこに織斑先生が冷たく言い放つ、その言葉にボーデヴィッヒは固まる

「少し見ない間に偉くなったな、十五歳でもう選ばれた人間気取りとは恐れ入る」

「わ、私は・・・」

「寮に戻れ、私は忙しいんだ」

ボーデヴィッヒは唇を噛締め走り去っていった、さて、ここいらで退散しとかないと・・・

「そこのバカ三人、盗み聞きとは感心しないな」

・・・時既に遅し、か。 俺達は織斑先生の前に現れる

「千冬姉、今の・・・」

「織斑先生と呼べ・・・貴様が気にすることではない」

やっぱり一夏に心当たりはあったみたいだな

「それより、こんなくだらんことをしている暇があるなら自主訓練でもしてろ」

それだけ言って織斑先生は立ち去って行った

「一夏・・・」

ダンは一夏に声を掛ける

「・・・二人は気にしないでくれ、これは俺の、いや俺達姉弟の問題なんだ」

それを聞いて俺とダンは頷き合った

「ま、そういうことならもうこの件は気にしねぇよ、とにかく寮へ戻ろうぜ」

「あぁ」

一夏が自分の力で切り開けることを祈りつつ俺達は寮へと戻っていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んじゃ、またな」

「おう」

「あぁ」

部屋の前で一夏とダンと別れ自分の部屋に入る

「ただいまーっと、シャワーか」

部屋に入るとシャワーの音が聞こえた、シャルルが入ってるようだ、中からおかえりーと聞こえてきた

「さぁて、飯まで時間あるしなにすっかな・・・」

デッキ組みなおすか?それとも漫画でも読むか・・・

・・・おっと、そういやボディーソープがなかったから買ってきたんだ、渡しとくか

そう思ってレジ袋からボディーソープを取り出しシャワールームへ向かう

「おーいシャルル、ボディーソープ・・・」

「月光ー、ボディーソープ持ってきて・・・」

ドアを開けると同じタイミングでシャルルもシャワールームのドアを開けて出てきた・・・って、え?

「「・・・・・・・」」

脱衣所で固まる俺達、あれ?シャルルの胸が膨らんでる、それに股間の紳士が無い・・・

「え、えぇっと・・・」

「あ、ぼ、ボディーソープ、ここ置いとくな・・・」

「う、うん・・・」

「それじゃあ・・・」

とりあえずボディーソープを渡して脱衣所から出る、そしてベッドに腰掛け考える

「え?ちょっとまて?膨らんでたよな?それで無かったよな?男の象徴無かったよな?」

落ち着こう、ひとまず落ち着こう

冷静になれ俺、深呼吸深呼吸・・・

「すーーはーー、すーーはーー・・・」

よし、心拍数安定、落ち着いた

そんなことをしてるとシャルルがシャワーから上がってきた

「・・・・・」

そして自分のベッドに腰掛け俺と向かい合う形になった

「えぇっと・・・とりあえず聞いていいか?」

「うん・・・」

「単刀直入に聞くが・・・シャルル、お前女か?」

俺がそう聞くとシャルルは黙って頷いた

「なんで、男装なんてしてんだ?」

「・・・その、ね。 僕の実家からの命令なんだ」

「命令? 実家ってことはデュノア社ってヤツだよな」

「うん、その社長の・・・僕の父親の命令」

父親が娘にそんな命令って、どういうことだ?

俺のそんな表情を見てシャルルは話を続ける

「僕はね、父の本妻の子じゃないんだ」

「・・・ってことはつまり」

「うん、僕のお母さんは・・・父の愛人だったんだ」

それを聞いて俺は言葉を失った、愛人の子供、それがどんなものか知らねぇわけじゃねぇ、だからって俺が言葉を掛けたってそんなの薄っぺらい言葉にしかならねぇ

「父とは別々に暮らしてた、でも二年前・・・お母さんが死んじゃって僕一人になったとき、父の会社の人がやってきて僕をいろいろ検査したんだ。 それで僕がISの適正が高いって判って、それからデュノア社のテストパイロットになったんだ」

「それは・・・お前にとってどうだったんだ」

「・・・決していいものじゃなかったよ。 父の本妻には毎日嫌がらせされて、会社の人にも冷たい眼で見られ、挙句の果てには犯されそうになったときだってあった」

聞いて後悔した、そんなのいいモンじゃねぇことぐらい判るだろ、俺

「・・・話を戻すね。 その後、デュノア社は経済危機に陥ったんだ、理由は簡単、デュノア社が第二世代までしか生産できなくて他の会社に差を付けられた。 そこでこの学園での二つの任務を言い渡されたの」

「二つの任務?」

「一つは第三世代のデータを取ること、もう一つは・・・」

そこで一瞬俺を見てからシャルルは言葉を止めた

「・・・俺と、ストライク・ジークか」

「・・・うん、男でなおかつ未知数のISを持つ少年、当初は一夏だったんだけど月光のことを知った父はそっちに興味を持った、それで僕が男に変装して月光とストライクヴルムのデータを取り、可能であれば・・・奪ってこいって」

・・・わけわかんねぇ

「・・・ふざけんなよ・・・!」

「うん、謝って済む問題じゃないし許してもらえるとも思って・・・」

「ちげぇ・・・」

俺がそう言うとシャルルはキョトンとした

「俺は・・・てめぇの子供にそんなことをさせる、デュノア社の社長に対してキレてんだよ・・・」

「月光・・・」

「・・・俺には、親はいない」

「え?」

「俺は、生まれて間もない頃、捨てられてたんだ」

「・・・・・」

シャルルは俺の話を聞いて俯いた

「そんな俺を拾って育ててくれたのが、風間屋の人達なんだ」

「風間屋・・・?」

「あぁ、しがないラーメン屋だ。 けどそこの人達は俺を本当の息子のように育ててくれて、本当の息子のように大切にしてくれた」

そう言いながら俺は部屋に飾ってあった風間屋の人達と撮った写真を見つめる

「だからあの人達は、俺にとってかけがえの無い、家族なんだ」

「・・・すごい素敵な人達なんだね」

「あぁ、だから許せねぇんだ」

「許せない?」

「自分の子供じゃなくても大切に育ててくれる人がいるのに、てめぇの血の繋がった娘を、自分達の勝手な都合で振り回して、挙句の果てに犯罪までさせようとするヤツらが・・・俺は許せねぇ!」

「・・・月光って、優しいんだね」

俺が話し終わるとシャルルはそんなことを言ってきた

「そんなこと、ねぇよ」

「ううん、だって普通こんなこと聞いたら自分が騙されたことに対して怒るものだもん、それなのに月光は私に対してじゃなくってこんなことさせた人達に怒ってくれた、だから・・・すごく優しいよ」

「・・・・・」

優しいなんて言われたことねぇもんだから俺は思わず顔を逸らした

「・・・で、どうすんだ?これから」

「うーん、月光にばれちゃったから多分会社の人に連れ戻されて良くて牢獄入り・・・かな」

「・・・それでいいのかよ」

「しょうがないよ、あの人には逆らえな・・・」

「しょうがないとかそういうこと聞いてんじゃねぇ、お前はどうしたいか、シャルルがどうなりたいか、そう聞いてんだ」

「・・・無理だよ・・・」

シャルルはジャージの裾を握り俯いた

「あの人には・・・父には絶対に敵わない、僕にはもう、居場所がないんだ・・・」

「それなら問題ねぇ」

俺はポケットから生徒手帳を取り出す

「特記事項第二十一、本学園における生徒は在学中においてありとあらゆる国家・組織・団体に帰属しない。 本人の同意がない場合、それらの外的介入は原則として許可されないものとする」

それを聞いたシャルルはハッという顔をした

「つまりこの学園にいる限りデュノア社だろうがなんだろうが手出しはできない、卒業するまでの三年間でどうすりゃいいか考えりゃいいんだよ」

「じゃあ・・・」

「あぁ、お前はここにいていいんだよ」

俺がそう言うとシャルルは大粒の涙を流した、そんなシャルルを俺は抱きしめる

「俺がお前の居場所になってやる、俺だけじゃねぇ、一夏も、ダンも、箒も、セシリアも、鈴も・・・みんなきっとお前の居場所になってくれるよ」

「月光・・・ありがとう、ありがとう・・・」

そう言いながらシャルルは泣き続けた

・・・おっちゃんの言葉、また使わせてもらったぜ

 

 

 

 

「落ち着いたか」

「うん、ありがとう、月光」

一頻り泣いたシャルルは再び俺と向かい合う形で座っている

「まぁとりあえずこのことはまだみんなにも黙っといた方がいいだろうな、一応」

「そうだね、みんなにはまだこのことは・・・」

 

 

「おーい、月光!」

 

 

「「!?」」

そこに一夏の声とノックが聞こえた

「飯行こうぜ!」

「ど、どうしよう!?」

やばいな、今のシャルルはパッと見でも女って判る、これまではさらしを巻いてたらしいんだが今はしてない

「と、とりあえずベッドに入ってろ!その後は俺に話し合わせてくれ!」

「わ、判った!」

シャルルはベッドに入り込み、俺は玄関のドアを開ける

「よ、よう一夏、ダン!どうしたんだ?」

「どうしたんだ、そんなにあわてて? まぁいいか、そろそろ飯行かないか?」

「あ、あぁ、いやぁ行きたいんだけどな、シャルルがどうも体調が悪くなっちまったみたいでさ、それで今看病してたんだ」

俺がそう言うとシャルルは少しわざとらしく咳をした

「そうなのか?じゃあ俺も手伝・・・」

「いやいやいやいや!いいから!シャルルのヤツ弱った姿をみんなに見せたくないんだってよ!だから俺一人で看病するから!な!?」

「そうか?でも・・・」

くそ、こいつの性格上こういうのはほっとけないんだろしうな、しょうがない、ダンにこいつを連れてってもらおう・・・

「よかったら俺も手伝うぞ?」

お前もかよ!!

「いや!ほんといいから!俺一人で!」

畜生!こいつらこんなところで主人公体質使いやがって!

くそ、どうする・・・?

「あら?みなさん、どうかしましたの?」

そこにセシリアが通りかかった

「おぉ、セシリア。 実はシャルルが体調崩したみたいでさ、それで俺達も看病手伝おうと思って」

「だからいいんだって、俺一人で・・・そうだ、セシリアお前飯まだか?」

「えぇ、ですので一夏さんとご一緒しようかと・・・」

「んじゃあ一夏はセシリアと食ってこいよ!うん、それがいい!そうするべきだ!」

「いや、でも・・・」

「というわけでセシリア、こいつ頼んだわ!」

「はい、それでは参りましょう、一夏さん」

「いや、ちょっ!」

一夏はセシリアに連れられていった

よし、まず一人

「行ってしまった・・・」

「なぁ、ダン」

一夏が連れ去られ呆然とするダン、そんなダンに小声で話しかける

「できれば本当に今のあいつに会わないでくれないか?あいつ今マジでキツイみたいだからさ」

俺がそう言うとダンは部屋の奥でベッドに潜り込んでいるシャルルを見た

「・・・わかった、そういうことならお前に任せた」

「すまねぇな」

「気にするな、でもなにかあったら俺達に何でも言ってくれよ、力になるぜ」

「あぁ、そんときはお願いする」

「じゃあ俺は一夏達のところにいってくるよ

そう言ってダンは去っていった、ふぅ、ダンが話のわかるヤツで助かった

「もう大丈夫だぜ」

「うん、でもこれで部屋をでるわけにいかなくなっちゃったよ」

「判ってるさ、俺がなにか取ってくるよ」

「お願い」

そう言って食堂に自分の分とシャルルの分の飯を取りに行った

 

 

 

 

「へいお待ち」

それで俺が持ってきたのは焼き魚定食だった

「ありがとう」

笑顔でそれを受け取るがそれを見た途端困った顔になった

「ん?どうした・・・」

そこで気付く、そういえばシャルルが箸を使ってるのを見たことが無いということに

「わ、わりぃ、気付かなくて、フォークかなんか取ってくる」

「そ、そんないいよ!これで食べれるから大丈夫だよ」

そうは言うがいざ食べ始めるとシャルルは解した焼き魚をうまく掴めないでいた

「・・・はぁ、お前無理すんなよ?困ったときは俺に頼っていいんだぜ」

「うぅ・・・」

シャルルは顔を赤くして俯いてしまった、とりあえず取ってくるか

「じ、じゃあお願いがあるんだけど・・・」

取りに行こうと思ったらシャルルが声を掛けてきた

「なんだ?」

「えっとね・・・月光が食べさせて?」

・・・はい?

「えぇっと、それは・・・」

「・・・だめ?」

「うっ・・・」

くっ、顔赤くしながら上目遣いとか反則だろ・・・

「わ、判った、食べさせてやるよ」

仕方なく承諾して俺は焼き魚を箸で摘み

「ほ、ほれ・・・」

「あ、あーん」

口に入れそれをもぐもぐと噛むシャルル、なんか動物にエサ与えてるみたいだな・・・

つーかこいつ、こうして近くで見ると結構可愛い部類に入るよな、男の格好してただけで

「ほんじゃ、次」

「あーん」

その後も俺はシャルルに飯を食べさせた

・・・なんか気恥ずかしいな、くそっ

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第四章 後編
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バトルスピリッツ IS インフィニット・ストラトス バトルスピリッツブレイヴ 

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