IS・B 〜インフィニット・ストラトス・ブレイヴ〜 第七章 後編 夕日の決着
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「うぉぉぉぉぉお!!」

「・・・・・・・・・・・」

俺の爪とまゐの爪がぶつかり合う

さっきまでほぼ一方的にやられていたが今のアポロドラゴンはブレイヴせずともまゐと互角に渡り合えている

「はぁ!!」

そしてぶつかっていた爪を振るい、まゐを吹き飛ばす

そろそろいくか

俺はまゐと距離を取り、カードを取り出す

「ブレイヴ!雷神砲カノン・アームズ!!」

俺はカノン・アームズとブレイヴし、すぐさま右手に装備されたキャノン砲を放つ

「・・・・・・・・・・」

だがまゐはそれを難なくかわし、代わりに瞬間的に俺の目の前に現れた

そして俺に爪を振るう、しかし

「それは、もう見切った!」

俺はまゐの攻撃を横に加速し回避する

さっきまゐとぶつかり合ったことで掴んだモノ、それはISとはいえまゐに取り付いているのはダークヴルム・ノヴァということ

つまり、例え姿がISとなっていてもスピリットとしての能力は変わらないということ・・・

「今度は・・・こっちの番だ!」

そしてパンテーラに言われて気が付き、ライジングと心を通わせることで掴んだ新しい・・・いや、真の力!

「いけぇ!」

再び放ったキャノン砲はまたしてもかわされる、そのまままゐは俺から距離を置こうとするが

恐らくまゐの視界から俺の姿は消えた

「こっちだ!」

まゐが見失った俺を探している間に俺は背後からキャノン砲を放つ

そう、まゐが瞬間的に移動したように俺も瞬間的にまゐの後ろに回り込んだのだ

さっきの戦闘でまゐは俺と戦っているときだけ瞬間的に移動した

しかし一夏や箒達と戦っているときはその瞬間移動は使わなかった

いや、使えなかったんだ

一夏や箒達には「条件が当てはまらなかったから」

「・・・・・・・・・・」

まゐは再び瞬間移動で俺に攻撃を仕掛ける

だが俺はまゐの真上に瞬間移動しそれをかわし、お返しにキャノン砲を放つ

つまりまゐが使ったのはダークヴルム・ノヴァの能力、「ブレイヴスピリットへの指定アタック」だ

俺は今カノン・アームズとブレイヴしているため、その条件に当てはまるが一夏達はブレイヴを持ってすらいない

それに気が付いた俺はあることを思った

『ISとなったダークヴルム・ノヴァが指定アタックをできるなら、俺のライジングにもできるんじゃないか?』

さっきはそれを考えてしまったことで隙が生まれてやられたが、その答えは・・・もう掴んだ

「いくぞ、ライジング! ダークヴルム・ノヴァに指定アタックだ!」

『おう!』

俺は再び瞬間移動し、今度は正面に現れ、左手の爪を振り下ろす

まゐはそれを両手で受け止める、そして両腕を振るって俺を押し返す

この姿、ISでの指定アタックとは

『対象の相手の近くへ瞬間的に移動すること』

要するに、相手が自分の攻撃範囲に入るよう移動できるわけだ

・・・月光に言ったら「なんだそのインチキ効果は!?」とか言われそうだな

「・・・・・・・・・・」

流石に不利を感じたのかまゐはまた距離を取り、両手の間に黒い光を発生させる

「させるか!」

あの技の威力はかなり高い、喰らった俺がよく知っている

それを阻止する為に俺は指定アタックでまゐに接近する

「っ!なに!?」

しかしその瞬間、まゐは俺の目の前から消えてしまった

『ダン!後ろだ!!』

「なに!?」

ライジングの叫びで後ろに振り返る、しかし振り返った時には既にまゐは黒い閃光を放っていた

「くっ、ぐあぁぁぁあ!!」

とっさに横に加速したが回避しきれず喰らってしまう

くそっ、先読みされた

俺が指定アタックをすることを読んであえて隙のある技を使い

後出しで指定アタックしてきたか

指定アタックは便利な反面、連続で使うのが難しい

「くっ、やはりダメージが多い・・・もう一発喰らったら不味いな」

どうする? こっちも後だしするか?

・・・駄目だ、あっちも自分からはもう指定アタックしてこないだろう

しかしこのままじゃ・・・

そう考えていると目の前に突然ポップアップが現れ、文字が表示される

「単一使用能力ワンオフ・アビリティー、バーニングサン。 使用可能・・・?」

その文章を一瞬理解できなかったがバーニングサンという言葉を見てピンと来た

「一か八か・・・いくぞ!」

俺は再び黒い光を発生させたまゐにキャノン砲を放つ

それはなんなくかわされてしまい、黒い閃光を放とうとする

・・・今だ!

「バーニングサン! 武槍鳥スピニード・ハヤト!!」

俺がバーニングサンを発動するとカノン・アームズのブレイヴが一瞬で解除され、代わりに瞬間的にスピニード・ハヤトがブレイヴされた

そして放たれた黒い閃光をスピニード・ハヤトのスピードを活かし回避し、背中の槍を二本抜き取り一本を投げつける

「いけっ!」

それは真っ直ぐまゐに向かって飛んでいったがこれもかわされる

しかしその間に俺はまゐに接近する

指定アタックではなく、高速移動で

「はぁあ!!」

そしてまゐに向かってもう一本の槍を振るう

それをまゐは回避しようとしたがスピニード・ハヤトのスピードに追いつけず、喰らってしまう

俺は畳み掛けるように更にもう一本槍を抜き取り、二本の槍を振るう

堪らずまゐは指定アタックを使い、瞬間的に移動する

そして背後から爪を振り下ろそうとするが今度は俺が指定アタックで背後に回り込み、槍を振り下ろす

その攻撃を回避できず、まゐは後ろに吹き飛ぶ

これが、バーニングサン・・・

一瞬でブレイヴを入れ替える能力

マジックのバーニングサンとは少し違うがこれも強力な力だ

吹き飛ばされたまゐはここまでのダメージが蓄積されてきたためか空中をフラフラを飛んでいた

今なら声が届くかもしれない

「まゐ!」

「っ・・・・・・・・・・」

俺の呼びかけに少しだけ反応した

よし、このまま・・・

「まゐ!俺だ! ダンだ!!」

「・・・ダ・・・ン・・・・・?」

「そうだ!ダンだ!」

言葉が届いている、このままいけば、まゐを救えるかもしれない!

「思い出してくれ!まゐ! 俺のことを! 自分のことを!!」

「ダ・・・・・ン・・・・・。 ダ・・・ン・・・・・」

「目を覚ませ! まゐーーーーー!!」

最後の俺の叫びでまゐの瞳に光が戻った

「ダン・・・・・。 ダンなの・・・?」

「気が付いたのか、まゐ!」

「ダン・・・よかっ・・・うっ、うぁぁぁぁぁあ!!」

「っ!まゐ!!」

意識を取り戻したと思ったまゐは突然頭を抱え、苦しみ始めた

『ダン!紫乃宮まゐを邪悪な力が侵食し始めた!』

「なに!?」

邪悪な力だと?

くそっ、せっかく助け出せたと思ったのに・・・

「うっ・・・ダン・・・・・・。 私を・・・倒して・・・・・」

「まゐ?」

まゐは苦しみながら俺に何か言ってきた

「私は・・・ダンを信じてる・・・・・だから・・・っ、お願いっ」

「まゐ!」

その言葉を最後に、まゐの体は黒い影に包まれた

そしてその体はダークヴルム・ノヴァそのものになった

『・・・ぐおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおお!!!』

ダークヴルム・ノヴァは翼を広げ、大きな咆哮をあげる

まゐ・・・・・

「・・・ライジング」

『あぁ、やるぞ!』

「うおぉぉぉおお!!」

俺は槍を握り締め、ダークヴルム・ノヴァに向かい、加速する

それに対し、ダークヴルム・ノヴァもこちらに飛んできた

『がぁぁぁあ!!』

「はぁぁあ!!」

俺の槍とダークヴルム・ノヴァの爪がぶつかり合う

しばらくぶつかり合った後、弾けるようにお互い離れる

そしてダークヴルム・ノヴァは一瞬で消える、指定アタックか?

そう考えた俺はISに搭載されているスーパーセンサーを使い、ダークヴルム・ノヴァの位置を把握する

しかし

『ごぉぉぉぉお!』

「なにっ!?」

ダークヴルム・ノヴァは俺の右側から現れ、爪を振るってきた

それを加速してなんとかかわすが

『がぁぁぁぁぁあ!!』

「くっ!」

再び指定アタックで急接近し、攻撃してくる

こいつ、さっきまでより攻撃が激しい!

これは、ダークヴルム・ノヴァの意思で動いているのか?

それなら、対処法はある!

「こっちだ!」

俺は一気に加速して上空に飛ぶ、それに対しダークヴルム・ノヴァは一度咆えてこちらに向かって飛んできた

やっぱり、さっきまではまるで機械のような動きだったのに対し、今は本能的に動いている

それなら相手を動かす手段はいくらでもある

「喰らえ!」

俺は持っている槍とさらに抜き取った槍二本、合計四本を投げつける

『ぐぉぉぉお!!』

それをダークヴルム・ノヴァは爪で全て振り払う

その隙を狙い、指定アタックで接近して残った一本を振るう

『ぐがぁぁあ!!』

それを喰らったダークヴルム・ノヴァは痛みからか叫びをあげる

ここで畳み掛ける!

俺は最後の一本でダークヴルム・ノヴァを突く

その槍が突き刺さったダークヴルム・ノヴァは再び叫びをあげ、その隙に俺はダークヴルム・ノヴァを蹴り飛ばす

それによりダークヴルム・ノヴァは怯み、大きな隙ができた

「今だぁ!!」

俺はスピニード・ハヤトのスピードを活かし、ダークヴルム・ノヴァに突っ込んでいく

そして勢いが乗った状態で再びバーニングサンを発動させる

「バーニングサン!極星剣機ポーラ・キャリバー!!」

翼だけとなったスピニード・ハヤトのブレイヴを解除し、ポーラ・キャリバーを瞬間的にブレイヴする

そしてポーラ・キャリバーの剣を振り上げ、ダークヴルム・ノヴァに振り下ろす

「いっけぇえ!!」

その剣はダークヴルム・ノヴァの体を引き裂き

『ぐごがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああ!!!』

ダークヴルム・ノヴァは大きな叫びを上げ、砕け散る

そしてその中からまゐが現れた

「まゐ!」

俺はとっさにまゐを受け止める

「ん、んん・・・」

俺に抱きとめられたまゐはゆっくり目を覚ました

「・・・ダン?」

「あぁ、俺だよ」

「ダン・・・・・ダン!」

まゐは俺の名前を呼びながらその瞳に涙を浮かべながら抱きついてきた

「ま、まゐ・・・」

「ダン・・・よかった・・・生きててくれた・・・・・」

「・・・あぁ、心配かけて、ごめん」

俺も抱きついてくるまゐの体を抱きしめる

「ほんとよ、勝手にいなくなったりして・・・私・・・私・・・・・」

「まゐ・・・・・」

ホント、つらい思いをさせてしまったんだな・・・

「・・・でも、本当によかった」

「あぁ、俺もまゐを救い出せてよかった。 ・・・まゐ」

「・・・なに?ダン」

俺は抱きしめていた体を離し、まゐの顔を真っ直ぐ見つめる

「・・・お帰り、まゐ」

俺がそう言うとまゐは驚いた顔になり、続いてふてくされたような顔になってしまった

「・・・もう、そのセリフ。 私が言うつもりだったのに」

「え?あ・・・ゴメン」

「・・・ふふっ、なんで謝るのよ」

「いや、だって・・・」

俺があたふたしているとまゐは一つ息を吐いてから俺の顔を真っ直ぐ見て

・・・とびきりの笑顔で言った

 

 

 

 

「・・・ただいま、ダン」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うおぉぉぉぉお!!」

銀の福音が放つ光弾を回避しながら迫っていく

すげぇ、スピードが跳ね上がってやがる

ストライク・ジークヴルムからルナテック・ストライクヴルムになったことで起動力も上がったようだ

「ぜやぁ!」

近づいたところで新しく付いた腕のブレードを振り下ろす

銀の福音はそれを後ろに動いてかわす

だが俺は振り下ろした勢いを利用して回し蹴りを繰り出す

その動きは予想外だったのか回し蹴りはボディーに直撃した

「おぉ、体が軽くなった気分だぜ」

『あぁ、まるで生まれ変わったようだ』

軽快な動きができたことに感動して出てきた俺の呟きに

ルナテックも同意してくる

「つーかお前はホントに生まれ変わったんじゃねぇのか?」

『いや、この姿は・・・』

ルナテックがなにか言おうとしたところで銀の福音がこちらに向かって光弾を放ってきた

「うぉっと!」

それを右へ左へと加速して回避する

そうしている間に白い何かが銀の福音に向かって加速していた

「はぁぁぁぁあ!!」

そいつは手に持つ剣で銀の福音に斬りかかった

銀の福音は一旦攻撃を中断し、その攻撃を回避した

だがその先には赤いISが待ち受けていた

「やぁあ!」

その赤いISは銀の福音を両手の刀で斬りつける

その攻撃で吹き飛ばされた銀の福音から離れ、その二つのISはこちらに飛んできた

赤いISは箒か、でもあの白いやつは・・・

「月光!」

「おう・・・って一夏!?」

「え? あ、あぁ」

「なんでだ!? お前旅館で寝てたんじゃねぇのか!? てかそのISなんだ!?」

「お、落ち着け月光・・・」

思いもよらぬ人物に驚いている俺を箒が宥める

「それはこっちのセリフだ、お前たった今墜落されたと思ったらすぐに復活してしかもそっちもIS変わってんじゃないか」

「あー、こいつはルナテック・ストライクヴルムっつってストライク・ジークヴルムの上位スピリットなんだ」

『ちなみに俺はお前等が知っているストライクヴルムだから安心しろ』

「いや、安心とかそういう問題じゃないと思うんだが」

そんな感じで戦いそっち退けで話していると後ろから軽い衝撃がくる

「うぉっ、・・・シャル?」

「・・・・・・・」

シャルは俺の体を掴みながら俯いていた

「・・・・・・・んだから」

「へ?」

「心配・・・したんだから」

「・・・あー・・・・・」

シャルは小刻みに震えてそう言った

・・・ちと無茶しすぎたかな

「・・・心配かけて悪かったな」

「・・・バカ」

俺は顔を背け、頬を掻きながらシャルに謝る

シャルがボソッとそう言ったのをきっかけに気まずいようななんとも言えない空気が流れる

「・・・コホン」

「あー、お二人さーん。 いちゃつくなら他所でやってくんないかしら?」

「「・・・え?」」

聞こえてきたその声に振り返るとセシリアと鈴が呆れたようにこちらを見ていた

「べ、別にいちゃついてなんかねぇよ!」

「まったく、戦場でお前達はなにをやっているんだ」

「ら、ラウラまで・・・」

・・・と、いろいろ弄られているうちに全員集合してんじゃねぇか

「と、とにかく今はあいつを倒すことが先決だ」

「んなこと」

「判ってますわ」

俺の言葉をきっかけにみんな銀の福音に体を向ける

「で、作戦はどうするの?」

「あん? んなもん決まってんだろ」

そこで鈴にそう聞かれたので俺は言いながら一夏を見る

「俺が道を開いて、一夏が斬る!」

「・・・ってそれだけ!?」

「あぁ、それだけだ」

鈴が驚いたように聞き返してきたので平然と返す

「つーかそれで十分だろ」

「そ、それはどうかと・・・」

「それは作戦と呼べるのか・・・?」

「そうか? 俺は判りやすくて好きだぜ、そういうの」

「お、良いこと言うじゃねぇか一夏」

「・・・こいつ等は」

「あ、あはは・・・」

なんてやってる間に銀の福音はようやく体勢を立て直す

「ま、そういうことだ。 お前等、援護頼んだぜ」

俺がそう言うと

「・・・しょうがない、やるか」

箒がやや諦めたようにし

「はぁ、でも下手に考えるよりは良いかもしれませんわね」

セシリアが溜め息をつきつつ承諾し

「たしかに、言えてるかも」

鈴が笑いながらそれに同意し

「だね、それじゃあいこうか」

シャルが頷き、銀の福音を見て

「うむ、任せろ」

ラウラがそれだけ言って武器を構えた

「それじゃあみんな・・・いくぞ!」

そして最後に一夏がそう言い、その言葉に俺達は銀の福音に向かっていった

・・・っとこいつを忘れてたぜ

「うっし、新しいブレイヴ。 こいつを使ってみるか」

俺はカードケースから新しいブレイヴカードを取り出し、掲げる

「ブレイヴ!デス・ヘイズ!」

その掛け声と共に現れたのは俺達の新しいブレイヴ、大きな鎌が特徴的なデス・ヘイズだった

『貴様が我が主か』

「そういうことになるな、よろしくな、デス・ヘイズ」

『うむ、頼むぞ。 我が主』

そう言ってデス・ヘイズは鎌を手放し、翼に重なるように合体した

そして手放された鎌を俺は掴む

「んじゃ、ブレイヴもしたことだし、俺達もいくぜ!」

遅れて俺も銀の福音に向かって飛んでいく

 

「はぁっ!」

「やぁっ!」

まずセシリアとシャルが射撃で銀の福音を追い込む

「てぇりゃあ!」

「ふんっ!」

そこに鈴が衝撃砲を、ラウラがレールカノンを放ち、誘導をより効果的なものにする

だがあっちもやられてばかりではなく、翼から無数の光弾を放ってきた

「月光!」

「任せな!」

ここでやっと俺の出番だ

俺はカードを取り出し

「マジック! ブリザードウォール!」

防御範囲の広いブリザードウォールを使う

さっき気が付いたがルナテック・ストライクヴルムになったことでマジックの効力も上がっていて

効果が薄いことが悩みのブリザードウォールもあの光弾も防げるようになっていた

「ぜやぁあ!」

そして光弾を防いだところで加速して銀の福音に向かってデス・ヘイズの鎌を振り下ろす

それは銀の福音にかわされてしまう、だがデス・ヘイズの武器は鎌だけじゃない

「いけっ!」

俺はデス・ヘイズの翼を開き、その先を分離させビットのように操る

そして高速で移動する銀の福音に向かってビームを放つ

時折、セシリア達からの援護もあり、攻撃はだんだんと命中していく

「はぁぁぁあ!!」

再び振り下ろした鎌が命中し、銀の福音がよろめいたところで俺は二人に合図する

「一夏、箒! 今だ!!」

「おぉぉぉぉぉぉおお!!」

「はぁぁぁぁぁぁああ!!」

俺の合図で待機していた一夏と箒が一気に加速して銀の福音に斬りかかる

「喰らえっ!!」

先に一夏が零落白夜を発動させ斬りつけるが、紙一重でかわされてしまう

だが

「これで・・・どうだぁ!!」

その直後に放たれた、箒の力の篭った一撃で銀の福音の右翼を切り落とす

「よしっ、これで・・・」

倒した、そう思ったのも束の間

銀の福音は方翼でさっきまでと劣らない速度で再び加速し始めた

「おいおい、マジかよ」

「くっ、今のでシールドエネルギーが・・・」

今だ倒れる気配のない銀の福音に唇を噛み締めていると一夏も舌打ちをして自身のエネルギーがあと僅かということを吐く

そうこうしている間に銀の福音は翼にエネルギーを溜め始めた

「La・・・」

そして聞こえてきたソプラノボイスと共に大量の光弾が全方向に放たれた

ブリザードウォールはもう使えねぇ、こうなったら!

「マジック! アブソリュートストライク!」

前弾喰らうのを覚悟でアブソリュートストライクを使う

すると・・・

「・・・へっ?」

なんと放たれた光弾が全て空中で止まっているではないか

「な、なんですの・・・?」

「光弾が、止まっている・・・?」

「これって・・・月光が?」

「ふむ・・・」

その光景にみんな驚いていた

かく言う俺もなんだが・・・

「・・・で、これどうするんだ?」

呆けていると一夏がそう聞いてきた

「どうって言われてもなぁ・・・」

一夏に振り返りながらカードを動かすと

「・・・お?」

なんと光弾がカードの動きに合わせて動いていた

・・・これは・・・

「・・・よし。 いっけぇ!」

俺はアブソリュートストライクのカードを銀の福音に向かって思いっきり振るう

それに連動して止まっていた光弾が銀の福音に向かって飛んでいった

まさか自分に帰ってくると思ってなかったのか、はたまた右翼を失ったからなのか銀の福音はぎこちない動きで光弾を回避していく

だが何発か命中して銀の福音にダメージを与えていった

「おぉー、便利になったな、おい」

まさかこんな効果になるとは、思わぬ収穫だな

さて、そろそろきめるか

「一夏! リブートコードで回復させるぞ!」

「おぉ、助か・・・っ!」

リブートコードで一夏のシールドエネルギーを回復させようとすると銀の福音は最後の足掻きなのか

翼から光弾を乱射し始めた

「うぉっ! ってしまった!」

その光弾を回避していたら手に持っていたリブートコードを落としてしまった

「やべぇ、これじゃあ回復できねぇ・・・」

「なっ、それじゃあどうする・・・うわっ!」

まずい、一夏の零落白夜が使えないとなると大分キツイぞ・・・

とか考えている間にも銀の福音は光弾をガンガン放ってくる

「くっ、私は・・・」

それを避けていると箒が悔しそうに俯いていた

「私は、また何も・・・」

・・・なるほど、箒、さっきのことを・・・

「・・・箒!」

「月光・・・?」

俺は箒の近くに飛んで話しかける

「さっきのことを気にすんなとか、そういうことは言わねぇ。 でも、お前には・・・箒には箒にしかできない何かが絶対ある」

「月光・・・」

「だから、まずは自分を信じてみろ」

それだけ告げると俺は翼の先を分離させ、ビームを放つ

「私を・・・信じる・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私を・・・信じる・・・」

・・・そうだ、私はあの時決心したじゃないか

一夏の全てを、一夏自身も、一夏が守りたいものも全て守ると

・・・守りたい

いや、共に守りたい!

そう強く願うと紅椿が強い光を放ち始めた

「単一仕様能力、絢爛舞踏・・・」

目の前に現れたディスプレイにはそう映し出されていた

そして紅椿のシールドエネルギーが一気に回復し始めた

「ありがとう、紅椿」

私は自分の機体・・・月光の言葉を借りるなら相棒の紅椿に礼を言って、一夏に向かって飛んでいった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「一夏!」

銀の福音と交戦していると箒が一夏の名を呼び、近づいていった

見ると紅椿の展開装甲とかいうやつから金色の粒子があふれ出していた

「・・・やったか、箒」

俺の助言が役立ったようでなによりだ

そう思いつつ俺も一夏に近づく

「一夏受け取れ!」

「箒?・・・!エネルギーが回復している!?」

一夏は自身のシールドエネルギーが回復していることに驚く

「回復効果か、また一夏にぴったりの能力だな。 んじゃ、今度こそ決めるぜ、二人とも」

「おう!」

「あぁ!」

俺の言葉に頷き、二人は俺の後ろに続いて加速する

「ぜやぁ!」

俺は鎌を振るい、再び銀の福音を翻弄する

「月光!かわして!」

その声に横に加速する

すると後ろからビームが放たれる

チラリと見るとシャル達がそれぞれの武器を構えていた

ほんと、頼りになるな

「んじゃ、俺達もいくぜ!」

俺は一気に加速して銀の福音の後ろに回り込む

その瞬間、目の前にディスプレイが現れ、そこには単一使用能力が使用可能ということが書かれていた

「ホント盛りだくさんだな今日は、ぶっつけ本番だがやるぜ、相棒!」

『おう!』

ルナテックに合図して、意識を集中させる

そして銀の福音に向かって一気に放つ

「『クレッセントハウリング!!』」

俺達が叫ぶと三日月状の衝撃波のようなものが打ち出される

それに命中した銀の福音は麻痺したように小刻みに震えながら吹き飛んでいく

これなら!

「今だ!いけぇ!!」

「「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉおお!!」」

一夏と箒は叫びながら剣を銀の福音に振り下ろす

二人の剣が両方命中し、強い光を放ってから銀の福音は砕け散った

「っと、危ねぇ」

すると中から女性が落ちてきたのでとっさに受け止める

てか人が乗ってたのか、気を失ってるだけみたいだし大丈夫か

「一夏!」

と、操縦者の無事を確認していると箒が一夏と向き合っていた

「どうした?箒」

一夏にそう聞かれると箒は一度息を吸ってから

「・・・おかえりなさい」

笑みを浮かべながら手を差し伸べる

それに一夏も笑みを浮かべ

「・・・ただいま、箒」

箒の手を取った

・・・よかったな、箒

「おーい!みんなー!」

すると、ダンがまゐさんを抱えながらこちらに飛んできた

あっちも片付いたみたいだな

「んじゃ、帰るか」

こうして、波乱の戦いは全員無事で幕を閉じた

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第七章 後編
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バトルスピリッツ IS インフィニット・ストラトス バトルスピリッツブレイヴ 

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