新訳 真紅の鬼神 第一五鬼 〜鬼の怒り 前編〜
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「殿!殲滅終了です」

「お〜。んじゃ、さっさと引くぞ〜」

 

ザッと兵が隊列を組み、引き返す。

その後ろに広がるは、千を越える賊の骸。

 

「くっそ、化物め!!」

「おっ?まだ生きてる奴いたのか〜」

 

焔の前に一人の若武者が出る。

 

「うぉぉぉお!!」

「テヤァッ!!」

「ガッ」

 

一太刀の元に賊は切り捨てられる。

 

「父上!大丈夫ですか!?」

「おぉ〜流石だな一夜」

「流石だなっじゃないですよ!」

「騰〜一夜が虐める〜」

「ワハッハ!」

「騰!笑わないでなんとか言ってください!」

「ハッ、すみません」

「いや、騰が謝っても困るよ」

 

今俺達は各地を転々としながら賊などを討伐している。

所謂、傭兵という奴だ。

一夜も随分と大きくなり、今では俺の隊の一翼を担っている。

 

「陳宮様!殿が戻られました!」

「分かったですぞ。水と食糧の用意をするのですぞ」

「ハッ」

 

俺達の隊はあの戦いで多くの戦友を亡くしたが、今は元の兵数まで回復し、昔以上の強さを誇っていた。

これも、毎日の如く訓練と実戦を兼ねているからだろう。

 

「今、戻ったぞ!」

「おかえりなのですぞ」

 

本陣を築いていた場所で、ねねと親衛隊に出迎えられる。

 

「ところで、ねね。恋は??」

「恋殿でしたら、向こうで寝ていますぞ」

 

寝てるって・・・夫が戦ってるのに良くもまぁ寝れるな〜

てか、戦場で寝れるって凄いな・・・

 

「騰、被害報告、よろしくな〜」

「ハッ」

「それと魏続、候成、宋憲。隊を率いて周りの警備に当たれ」

「うぃ〜す」

「おぅよ!」

「魏続!候成!ちゃんと返事をしなよ!」

 

最近になって俺の隊にも将を担える人材が出てきた。

魏続、候成、宋憲の三人だ。

この三人は董卓軍の時に入ってきた奴等で、そこそこの実力があった。

そんで、その実力を伸ばし現在にあたる。

 

「早く行くのです!この三馬鹿!!」

「ねねちゃん怖ッ」

「馬鹿って言う方が馬鹿なんだぜ?」

「ちょ、二人共!軍師殿になんてことを!」

「良い度胸です#」

 

ドカガッ

 

「あでッ」

「グッあ、愛が痛い・・・ぜ」

「な、なぜ僕まで・・・」

 

ねねの回し蹴りが見事に三人の頭に直撃する。

てか、空中で回し蹴りってどんな身体能力してんだよ・・・

 

「駄弁ってないでさっさと行くのです!」

 

三人は急いで兵を纏めて走って行った。

 

「まったく、あの三馬鹿は・・・」

「あははっ」

「笑うとこじゃないですぞ!」

「ゴメン」

 

最近、ねねに頭が上がらない・・・

まぁ良いや・・・

 

「・・・おかえり」

「あれ?寝てたんじゃないのか?」

「焔の声、聞こえたから」

「そっか、ただいま恋」

「うん。」

「母上、ただいま帰りました!!」

「ん。おかえり」

 

ナデナデ

 

「は、母上!皆が見ています!」

「気にしない」

「うぅ〜」

「ハッハハ!」

 

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「今日は、このあたりに野営地を築くか」

「ハッ総員停止!天幕を張り、野営を築け!」

 

騰の指示によりまたたく間に兵達が野営を築いていく。

何年も各地を放浪しているので手馴れたモノだ。

見晴らしの良い丘に築かれた野営地は幾重にも柵が張り巡らされており、軽く砦と化していた。

そこを屈強な兵士が守っているので、更に防御としては硬い。

 

「現在地を確認するのですぞ」

 

中央に建てられた大きな天幕に呂布軍の将が集まり、一つの大きな地図を囲む。

 

「現在地は此処、併州の「併州?」む?どうなされたのですか?」

「いや、併州は俺の産まれ故郷だよ。そういや大分会ってなかったな」

 

恋との結婚式以来あってないな・・・

手紙もあれ以来途絶えたし・・・

 

「そうでしたな・・・殿と初めてお会いしたのは殿が13歳の時、あれから既に15年は経ってます。」

 

15年か・・・

 

「故郷に寄ってもいいか?」

「大将は焔殿ですぞ、それに特にすることもないので良いのです!」

 

よし、ならちと寄って行くか。

ここからそう離れていない。

 

「今日は遅い、出発は明日にする。今日はゆっくり休んでくれ」

 

皆が天幕を出て自分の天幕へと戻る。

 

「お母さんと会える?」

「あぁ、羽生さんにも俺の両親にも会えるさ」

「・・・・楽しみ」

 

恋の頭を撫でる。

母さんと父さん元気にしてっかな?

いや、してるだろうな〜

 

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「殿、見えてきましたぞ」

「わかってるよ」

 

久しぶりに見える村は前と変わってなさそうだ。

 

「おっし!旗上げろ!!」

「おぅ!!」

 

バサァッ

と俺の牙門旗が掲げられ雄々しく風に靡く。

 

俺達の事に気づいたのだろう村が騒がしくなる。

村に近くづくと俺の見知った顔が三人いた。

 

「元気そうだな焔」

「おかえりなさい。焔ちゃん」

「久しぶりね。恋ちゃんとは仲良くしてるかしら?」

 

そんな三人に笑顔で俺は笑顔で返す。

 

「ただいま父さん、母さん、羽生さん」

 

村の中に入ると、村人からは歓声と共に歓迎された。

 

「一夜も大きくなったな」

「はいっ今年で13歳になります!お爺様!」

「そうかそうか」

「貴方ばかりずるいわ!ほら一夜こっちにきて私とお話しましょ」

「人気者だな一夜は」

「そりゃ孫だからね誰でも可愛がるわよ」

「・・・・羽生さんは行かなくて良いの?」

「もちろん行くわよ!」

 

本当に元気そうで良かった。

 

「あれが、殿の母君と父君ですか?」

「そうだよ」

「ならば、挨拶しに行かねば!」

 

騰が身だしなみを整えて母さんと父さんの元へ向かっていく。

何で挨拶を?まぁいいが

 

「モキュモキュ!モキュモキュ!!」

「恋殿まだまだありますぞ〜!」

「あ、あの呂姫様、俺のもどうぞ」

「わ、私のもどうぞ」

「ん。ありがと」

 

凄い勢いで腹の中に食べ物が消えていく。

大丈夫かそんなにあげて・・・

この村の食糧を全て食べてしまいそうな勢いだ。

まぁ俺達の食糧からもだしてるから大丈夫だろう

 

「ねぇねぇ呂布さんって将軍なんだよね!」

「そうだぞ〜」

「わ〜すご〜い!!」

「その大きな傷って戦いで怪我したの?」

「いや、これははな。小さい頃、恋を妻を守った時の傷なんだよ」

「わぁ〜かっこいいー!!」

 

無邪気に俺の周りに集まってくる子供達に色々な話をしてあげる。

 

「ふぃ〜」

 

子供の相手は疲れるな。

話しをするだけなら良いけど、肩車とかしてあげてたら疲れた・・・

 

「疲れた?」

「恋か、まぁな。別に子供嫌いじゃないから良いけどな」

 

宴も終盤になり俺達は家へと帰っていた。

他の奴等は外で天幕張っている。

 

「改めて、本当に元気でよかったよ」

「本当、焔ちゃんからぱったりと手紙が来なくなったと思ったら、反董卓連合軍って、もうお母さん心配だったのよ」

「ごめん。バタバタしててね・・・中々手紙書けなかった」

「まぁいいさ。こうして元気に会えたんだから、それにしてもお前の勇猛さはこんな小さな村まで轟いているんだぞ」

 

ガシガシと父さんに撫でられる。

 

「それに、大きくなったな。いつの間にか俺の身長を追い抜いて」

「そりゃ、ね」

「一夜も直ぐに伸びるさ」

 

横で見ていた一夜に父さんが笑いかける。

一夜は少し照れながらも返事をする。

 

「さぁ、時間も遅いし今日は休みましょ。焔ちゃんは数日はいるんでしょ?」

「あぁ、2、3週間は滞在するつもりだよ」

 

その日は久しぶり我が家でゆっくりと休んだ。

 

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久しぶりの故郷で俺達はのんびりと過ごした。

まず兵達は村の農作業を手伝ったり、村の若者に戦い方などを教えた。

俺はというと特にすることが無かったので、身体を鍛えたり森の中へ入り、小さい頃に使っていた鍛錬場で鍛練をしたり、ねねと新しい陣形などを考えたりしていた。

 

勿論、家の手伝いもした。

久しぶりにする農作業は腰に来て情けなくも一日ダウンしてると、兵達から

 

「殿も一応人間だったんですね」

 

などと言われたので、次の日訓練として一人一人ボコボコにしてあげた。

 

恋はというと、俺にベッタリと付いているか、一夜に付いているか、寝ているかの三択だけだった。

特にすることもないから別に良いんだが・・・

あぁ!暇があれば羽生さんや母さんに料理も教えてもらってたな。

 

そんな事をしていると時間はあっという間に経ち、俺達は出発する事にした。

 

「元気でな」

 

父さんが優しく頭を撫でながら言ってくる。

皆の前だったので少し恥ずかしかったが父さんに撫でれれるのは好きなので構わない。

 

「次に会う時はもうお婆ちゃんかしら?」

 

いや、もう歳的にお婆ちゃんなのでは・・・ヒィッ

 

「なにか、凄く失礼な事思わなかったかしら?」

 

包丁が俺の頬を掠める。

俺は乾いた笑みで思ってないですよ。と言っておく。

 

「うふふ。恋ちゃん、しっかり焔君の手綱えお握っておくのよ」

「ん。離さない・・・一生」

 

恋が言うと不思議と怖いと感じる。

まぁ別に良いがな!

 

「んじゃ、行ってきます!」

 

俺は赤兎に乗り故郷を出ていく。

 

「もう少し居られても良かったのでは?」

「良いんだよ。あれ以上いたらもう村を出たくなくなっちまう」

 

俺にはまだまだやる事があるし、何より暴れ足りない。

それに・・・

 

「親友が戦ってんのにのんびりしてられるかよ」

 

俺の呟きに騰はそれもそうですなとだけ良い、兵の指揮に戻った。

 

「・・・何処に行く?」

「そうだなぁ〜・・・そろそろ一刀のとこに行っても良いが」

 

いきなり行ったら驚くよな〜

なにか切っ掛けがあれば良いんだけど・・・

 

「おい、あの方向って殿の村だよな?」

「なんだ?煙が上がってるぞ?」

「おいおい!!殿!!煙です!!!」

 

いきなり兵達が騒がしくなる。

煙?

言われた方向を向くと遥か向こう。

数時間前に俺達がいた村・・・俺の故郷がある方向から黒い煙があがっていた。

 

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「おい・・・なんだこれは」

 

冗談だと言ってくれ・・・

俺達が着いた時には既に村は火の海と化し、数時間前まで笑っていた村人達は無残に斬り殺されていた。

 

「ギャハハッハ!!」

「この手こずらせやがって!!」

 

声のした方へと向かうと其処には剣によって斬り殺された俺の両親と羽生さんだった。

 

「う、うわぁぁあああああああ!!!!」

 

恋が激昂し、ソイツらの身体を斬り裂く

俺はソレを理解した瞬間に何かが切れた。

 

「――――――!!!!」

 

人間の声量では普通出ない咆哮をあげ、人間を引きちぎった。

そう文字通り素手でソイツ等を引きちぎった。

そこからは一方的な惨殺だ。

逃げる間もなく殺す。

全てが終わった時には村の火も全て鎮火されていた。

 

「生存者は?」

「・・・残念ながら」

 

騰は報告を聞き、目頭が熱くなるのを感じる。

兵達も一様に目に涙を溜める。

騰はそれを報告しようと焔の元へ向かう。

この事で一番傷ついているのは焔達家族なのだ。

 

「殿・・・生存者は残念ながら」

「そう、か・・・」

 

殿は父君と母君の亡骸の前に座り動かなかった。

その隣にいる恋様も若殿も同じくだ。

 

「皆を丁重に弔ってくれないか?」

「ハッ」

 

殿の掠れた声を聞き取り、村人を弔うため踵をかえした。

 

「・・・・・」

 

数時間前までは笑顔で送り出してくれたのだ・・・

父さんのあの暖かい手の感触はまだ残ってる。

母さんの声も確かに耳に残ってる。

羽生さんの声だって・・・他の村の人たちの声だって。

 

 

「なぁ、父さん母さん・・・俺、まだ何にも親孝行出来てないよ。」

 

もう二度と、会えない・・・声が聞けない。

グッと心臓が締め付けれるように痛い。

呼吸は苦しくなり目からはとめどなく涙が溢れる。

 

「うっ・・・ふっぐ」

 

あんなに優しかった父さんに会えない。

厳しくても母として俺を産んで愛情を沢山くれた母さんに会えない。

恋と俺を巡り合わせてくれて、俺に戦場という物を教えてくれた羽生さんに会えない。

 

「う、うっ・・・うぉぉぉぉおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!」

 

大きな声で泣いた。

声が潰れようが関係ない。

恋と一夜も俺に抱きついて泣く。

二人を抱き締め天に向かって俺は大きく叫ぶように泣く。

 

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一人一人、野犬に掘り出されないよに深く掘り埋めていく。

最後に父さんと母さん、羽生さんの墓を作る。

 

「どうか、安らかに眠ってくれよ・・・」

 

黙祷を捧げ俺は立ち上がる。

 

「行くぞ・・・・復讐だ」

「・・・ユルサナイ」

 

奴らは総じて金色の甲冑を付けていた。

この大陸でそんな甲冑を付けているのは俺の知っているなかじゃ二人しかしらない。

そしてこの地域を照らし、近々行われると噂されている戦の情報を合わせると一人しかいない。

 

「必ず報いを受けてもらう。首を洗って待っていろよ・・・・袁紹ッ!!!!!」

 

-7ページ-

あとがき

 

なんか、話がトントン拍子で進んでしまったが・・・気にしない。

それが俺である!!!!

 

まぁどう思うかは俺(作者)じゃなく読者(神様)だけどな〜

 

さて、超久しぶりの更新となりました。

なんか、考えて書いている内に方向性がおかしくなって何ども書き直しをして遅れたのと・・・

 

まぁ本業は勉強なので勉強してました←(ぇw

 

それでも更新は続けていきます!!

物語が終わるまでは!

 

そろそろ、人物紹介とかいれた方が良いかな?

と思いつつ、一応準備はしてます。

その内、投稿すると思う・・・

 

ということで、更新は不定期ですが!

見て感想をくだされば大変嬉しくまた力になりますので宜しくお願いします!!

 

でわでわ!

 

再見!!!!

 

 

 

説明
更新です!
久しぶりで短いのですみません><
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コメント
(´;ω;`)ブワッ(とん!)
(´;ω;`)ブワッ(とん!)
続き楽しみにしてるッス!(鬼神)
これは、袁紹は色々終わったな・・・次回が楽しみです。(ORCA)
次が楽しみです! 早く読みたいです(siasia)
袁紹さん、死亡確定とwwww ここからは、殺戮という名の舞台の始まり。(act)
袁紹は、やっぱり馬鹿ですねwwww(神帝)
楽しみに次回を待ってます。殺戮の始まりだーーーーーーーー(ロドリゲス)
展開早!?あと、袁紹ざまぁwwww。あんな奴、滅べばいいんだよ!次の更新期待して待ってます!(内心めっちゃ泣いてます・・・リアルで泣きそうです。何て言ったら分からないけど、できれば助けてあげてほしかった・・・。)(ラーズグリーズ1)
袁紹さん南無〜(* ̄- ̄)人(eitogu)
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