獣使い 第5章 分かれ道
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「ここは?」

 

 

さっきの大広間の奥にある厚い鉄の扉の先には、

小さな部屋があった。

部屋の壁という壁には、見たことのない模様が所狭しと描かれ

床には鎖が無造作に置かれていた。

一見、昔の拷問部屋にも見える。

よく見ると何か鋭利なもので抉った後も見える。

 

 

「さて、まぁとりあえず、やるべきなのは、使い魔を召喚することだ。」

 

 

そういうとレベッカは、突然目の前から姿を消した。

その瞬間、僕の両手は、後ろに無理やり回され鎖につながれていた。

 

 

「え?ちょっ・・・・ちょっと!?」

 

 

「AULLA」

 

 

レベッカが何かを唱え始めた。

そのとき、体が宙に浮き始め、鎖に引っ張られた。

十字架に張りつけられたかのように身動きが取れない

そして、僕の意識は、深い闇の中へと落ちていった・・・・・

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気がつくとまたあの草むらにいた。

起き上がるとあのオブジェがすぐそばに見える

 

 

「やぁボウヤ。やっと起きたか

大方の内容は知ってる。

さっさと始めようじゃないか」

 

 

「その前にあんた誰だ?

この前きたときも名乗らなかったじゃないか。」

 

 

「ふむ。そうだな・・・

今は、イデスとでも名乗っておくか。」

 

 

そういうとイデスは、片膝をつき右腕を振り上げ、

そしてそれを勢いよく地面にたたきつけた。

目の前の草原は暗転し、そしてすべてが真っ黒になった。

存在するのは僕とイデスだけ。

その中にすっと3つの扉が現れた。

 

 

「さぁ、好きなのを選べ。

その先にはお前の使い魔がいる。

まぁ私もそのひとつなんだがな・・・・

私は、こいつらが全員使えるようにならないと

出られんようにされてるから。

だから、私を早く出してくれ。」

 

 

それぞれの扉には個性がある。

ひとつは、和風のふすま。

ひとつは、木でできた青いドア。

ひとつは、厳重な鉄の扉。

明らかにどの扉からも何か黒いものが見えて仕方ない。

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「とりあえず鉄の扉は、まだやめておけ。

制御できないだろうからな。

残りの二つのからだ。」

 

 

そう言われ、とりあえずふすまの方を選び開けた。

なんとなくこれを最初にあけなきゃいけない気がしたためだ。

 

 

その先には、青い着物を着た銀髪の女性がいた。

一見少女のようにも見えるが

明らかに空気が違った。

イデスと同じ感じを受ける。

しかし、雰囲気はおっとりとしている。

のんきに正座して茶の湯をすすっていたのもあるだろう。

 

 

ふとこっちの存在に気づき僕の顔をゆっくりと見た。

瞬間、満面の笑みになり飛びついてきた。

 

 

「おぉ!京ではないか!!待ちくたびれたぞ!」

 

 

口調にはそぐわぬどこか幼さを感じる声

その声を聞いていると

なんとなくその女性のことを知ってる気がした。

 

 

「ん?なんじゃ・・またわらわのことを忘れたのか。

仕方のないやつめ。」

 

 

やれやれという顔をして再び前に立つと

いきなりその女性はキスをしてきた。

 

 

そして記憶の奥底に眠っている記憶の一部が浮上してきた。

 

 

「・・・・雛乃ねぇさん?」

 

 

どこかでしたキスの記憶が蘇り、名前が浮かび上がってきた。

 

 

「ふむ。やはりこれが一番手っ取り早いな。

しかし、毎回これをやるのもけっこう恥かしいのだぞ?」

 

 

「ご・・ゴメン。ねぇさん」

 

 

ふぅと息をつくと

ねぇさんはさらに口を開いた。

 

 

「よい。思い出さぬよりはましじゃ

それよりもここに来たのだからわらわの力が必要なのじゃろ?」

 

 

「まぁ・・・ね」

 

 

ねぇさんは、それを聞くと立ち上がり

 

 

「うむ。ついてまいれ」

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