語られし者たちとIS 世界樹大戦 第7話 初めての戦い
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今回も視点はなしで

 

 

 

 

今日は試合の日、その戦いを見ようと観客席には大勢の人がいた。一組だけでなく他のクラスの人もいる

 

「……正直やりにくいな。見世物にされているみたいで」

 

「まあ、期待されるのだろうな。しかしそんな気持ちでどうする? 勝てるものも勝てなくなるぞ」

 

「……戦わないからいいよな。お前は」

 

一夏は恨めしそうに箒を見つめた。この前の剣道場で言われたことはまだ気にしている。しかしもう怒っていないため許してもいいと思っている

 

しかし、箒が謝るまで少しそっけない態度でいること。これはジュディスの提案らしいがイマイチ一夏は理解していない

 

そんな態度を取られてしまった箒は少しショックを受けていた

 

「織斑君、専用機が届きました。すぐに来てください」

 

真耶が一夏を呼びにやってきた。いよいよかと思い、一夏は覚悟を決めた

 

目的地に着くと、そこには白いISがあった

 

「これが……俺の……?」

 

「はい、織斑君の専用機、白式です」

 

「そうだ、さっさと装着しろ。時間がないのだからな。フィッティングとフォーマットは実戦でやれ」

 

千冬に言われるまますぐに一夏は自分のISに近づき、装着する

 

以前初めて動かした時よりもよく馴染んでいるように見えた

 

(これが一夏のIS……)

 

(ええ、でも……練習もなしに大丈夫かしら?)

 

アンジュは少し心配していた。いきなりの実戦なので一夏はしっかりと戦えるのか少し不安に思っていた

 

(まあ大丈夫そうだけどね。今までの特訓の力がちゃんと発揮できればね。それにしてもどんなふうに戦うのか楽しみだわ)

 

ジュディスは逆に楽しみのようだ

 

「じゃあ、行ってくる」

 

一夏はジュディスに対して言った。真耶とアンジュ以外はどこを向いて言っているのだと不思議に思っていたが、特に気にしなかった

 

そのままアリーナに出ると、すでにセシリアが待っていた

 

「あら? 逃げずに来たのですね。それだけは褒めてあげますわ」

 

「そいつはありがたい。さっさと始めないか?」

 

「……その前に、一つ提案がありますの」

 

一夏は構える。すでに戦う準備は完了している

 

「言っておくが、降参なんてしないからな」

 

「では、沈みなさい!」

 

すぐにセシリアは取り出したライフルで一夏に攻撃を仕掛けた

 

しかし一夏はそれを楽々かわす

 

「あら? かわしましたのね。では、これはどうですか?」

 

セシリアの後ろから四つのビットが出てきてそれぞれビームを発射する

 

だが、全段一夏は避けることに成功している

 

これにはさすがにセシリアも戸惑った。相手は初心者で自分は代表候補、なのになぜ攻撃が当たらないのかと

 

観客の生徒も驚いていた。代表候補の攻撃を綺麗にかわしていることに

 

「すごいね〜おりむ〜」

 

「うん、あんなビームの雨をかわせるなんて……」

 

「やっぱり千冬様の弟だからかしら」

 

色々と意見は飛び交っているが、観客席の中で一人。しっかりと一夏の実力を見極めようとしている人物がいた

 

本音のパートナー、リオンだ

 

(なるほど、あいつのパートナー……ジュディスとか言ったか。いい鍛え方をしているな。相手の攻撃がしっかりと見えているのか。だが……時間がなかったからか、攻めの姿勢がまだ甘いな。このままかわすだけでは勝てない……ここから一夏自身の実力が試されるな)

 

冷静に状況を見ていた

 

一方、控室で見ている箒と真耶、アンジュは心配そうに見ていた。千冬は驚いている感じで、ジュディスは安心そうに見ていた

 

「一夏の奴、いつの間にあんなふうに動けているんだ?」

 

(特訓のおかげでしっかりと避けられるようになっているわね。正直遠距離攻撃の対策はうまく指導できたか不安だったけど……何とかなるものね)

 

そのまま試合は二十分くらい経過した。何度か一夏も攻めようとしていたが、彼の武器が近接用のブレード一本だけしかないため、距離を詰めようとしてもセシリアのレーザー攻撃でうまく近づけない

 

そんなセシリアも焦っていた。一度も攻撃がヒットしていないという事実に……

 

そのため、攻撃が荒くなっていた。その隙を一夏はうまくついてビットを破壊し始めた。同時にセシリアの弱点に気が付いた

 

「どうやらこのビットで攻撃している時は他に攻撃ができないみたいだな? それに……狙いがご丁寧に俺の死角を狙っている。だから逆にかわしやすいぜ」

 

そのまま残り三つのビットを破壊することに成功した。一気にセシリアとの距離を詰め攻撃をしようとした瞬間

 

「かかりましたわね。このブルー・ティアーズは後二機あるんですのよ」

 

今まで彼女の背中に隠していた残りのビットが出てくる

 

一夏はすぐにかわそうとしたが、今度の攻撃は弾道ミサイル

 

避けきれずに当たってしまった。そのまま一夏は爆発に巻き込まれ、彼の姿は煙で見えなくなった

 

この光景に多くの者は驚き、心配を始めた。しかし、例外が何名かいた

 

「……機体に救われたか、馬鹿者め」

 

(あら? 随分とタイミングがいいわね)

 

(まったく……ハラハラさせるわね、一夏君は)

 

(どうやら……ここからがあのISの本領発揮か)

 

千冬、ジュディス、アンジュ、リオンは何が起こったのかわかったみたいだ

 

煙が晴れると、一夏は立っていた。彼の装着していたISが真の姿を現して

 

「な!? まさか今まであなた初期設定の機体で戦っていたというのですか?」

 

セシリアは驚きが隠せない

 

そんな彼女のことは気にせず、一夏は自分のISを確認する

 

(これでやっと俺のISになったって訳か……ん? この武器って確か……)

 

雪片・弐型

 

かつて千冬が使っていた武器にそっくりな武器が彼の手にあった。だが、似ているだけ

 

彼女の武器ではないと強く意識した

 

「じゃあ決めさせてもらう……俺は守ってみせる。俺自身の名前を……」

 

「あなた何を言って……」

 

一夏は再び距離を詰め、力を込めて一気に決めようとした。その際、雪片弐型から発生したエネルギーの力を感じた

 

(……待て、何だこの感じ? ……これで切ってあいつ……無事でいられるのか?)

 

その力の大きさに彼は、逆に恐怖してしまった

 

切りかかる寸前、一夏はわざとエネルギーを込めて、持っていたエネルギーを出し尽くした

 

「試合終了、勝者! セシリア・オルコット」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よくもまあ、あれだけ持ち上げておいて、それでこの結果か、大馬鹿者め」

 

ピットに帰ってきた一夏を待っていたのは千冬の説教という名のありがたいお言葉だった

 

「とにかく、武器の特性をいち早くつかみ、訓練に励め。暇があったらISを展開しておけ。いいな」

 

「ハイ……」

 

その後、真耶が持ってきたIS起動のルールブックを一夏は受け取った。かなりの厚さに一瞬驚いた

 

「今日はお疲れ様でした。ゆっくり休んで明日からも頑張ってくださいね」

 

そのまま一夏と箒は、寮に戻ることにした

 

その帰り道、箒は一夏に一言

 

「負け犬」

 

「そうだな」

 

「……その、何だ? 悔しいのか?」

 

「……まあ、そうだな。特訓したのに勝てなかったからな」

 

「……私で良ければ特訓に付き合ってやる……その、この前は悪かった」

 

箒が少し顔を赤らめて、謝罪した

 

一夏には彼女が顔を赤らめているのは見えなかった

 

「じゃあ、たまにはお願いするかな。色々と経験した方がいいと思うし」

 

そう言うと箒は喜んでいた

 

「そうか……じゃあ私が特別に指導してやるからな」

 

何が嬉しいんだろう? と一夏は不思議がっていた

 

(ふふふ、鈍いわね……)

 

そんな二人の様子をジュディスは面白そうに見ていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの人……なんだか不思議な雰囲気を持っていましたわ」

 

セシリアはシャワーを浴びながら考えていた。今日戦った相手のことを

 

「あの目……あんな意志を持った強い目をした男性は初めて見ました……」

 

「……知りたい、彼のことを……もっと……」

 

彼に興味を持った瞬間だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スキット

 

雪片弐型について

 

戦った日の夜、一夏は異世界でジュディスと新しく手に入れたIS、白式の性能を少し確かめながら話していた

 

「それにしても一夏、わざと負けたわよね?」

 

「……気が付いていたんですね」

 

「まあね、でもあなたの判断は正しかったわ。その武器から発せられた力、恐らく人を殺せるわよ」

 

その言葉を聞いて一夏は震えた。人を殺せるということを

 

「……あなたはISという兵器を持ってしまった。気をつけて使いなさい」

 

「わかりました。でも……もし……」

 

「ええ、道から外れそうになったらしっかりと引き留めてあげるわ。あなたは私のパートナーですもの」

 

「ありがとうございます、ジュディスさん。頑張ってものにします」

 

 

 

 

 

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