恋姫無双 〜決別と誓い 第十八話〜
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「第三連隊の第五大隊長の北郷だが徐盛二尉はいるか?」

 

徐盛がいると思われる部署に顔を出すが彼の姿は見当たらないので近くにいた兵に訪ねてみた。

 

「北郷一尉。お疲れさまです。徐盛二尉はこちらの宿舎でお休みになられているところですが?」

 

「彼に聞きたいことが幾つかある。直にあって話がしたいので部屋が何処にあるか教えてくれ」

 

「分かりました」

 

と律儀に敬礼をし案内をしてくれた兵に礼を言い彼のいる部屋へと入る。

 

士官であるため彼の部屋は個室だが、彼の性格を表しているかのように来たばかりだというのに部屋が色々なもので埋まりつつあった。

 

そのゴミをひょいと乗り越え寝ている彼の体を揺さぶる。

 

 

「おい、なにしやがんだよって・・・北郷じゃねえか!!」

 

起こされたことに不快な表情でっまぶたをしょぼつかせていたが急にパァッと表情が変わる。

 

「久しぶり徐盛」

 

「おお!しかしなんでお前がここに?」

 

「お前・・・知らなかったのか?部隊が統合されること」

 

「・・・・・・そういえばそんなこと言っていたような気がする」

 

「・・・・・・」

 

呆れてものが言えなくなった俺に徐盛は僅かに唇をとんがらせる

 

 

「だって俺そんとき3日連続で徹夜だぜ?そんなときに聞かされて頭に入るほうがおかしいっつーの」

 

口を尖らせてブーブーと文句を言う彼を見て懐かしさを感じながら、

「まぁその話は置いといて。今晩暇だろ?再会も兼ねてどっかで飲みに行かないか?」

 

折角なので彼を飲みに誘うことにする。

「俺が暇なのは貴方には確定なんスね・・・・」

 

「う〜ん天下の徐盛様から女性の何たるかをご教授願おうと思っていたのだが・・・・」

 

「そう言われるとしょうがねぇ。その話に乗った!!」

 

照れながらいそいそと起き上がると俺の背中を押して兵舎をあとにしたのであった

 

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徐盛は酒を一杯グイっとあおると開口一番で

「しっかしお前噂になってるぞ・・・?甘寧をぶっ飛ばして左遷させたって・・・」

 

と言ってきた。どうやら甘寧事件は全部隊に知れ渡っているらしい。

 

「あの方が左遷されたのには訳がある」

 

あのときの経緯を話すと徐盛は納得したかのように

 

「そうか。それじゃ仕方ないな。うん」

 

と頷いた。

 

「俺にも過失はある。けど彼女は少々やりすぎた。出過ぎた杭は打たれるってな」

 

「まぁ。孫権様のお墨付きだからって自分本位な行動が目立ってたって聞くしな・・・。それよりぶたれてどうだった?」

 

こいつはいきなりなにを・・?

 

「はぁ?」

 

「だから冷たい眼差しで殴られてこうビビッとくるもんがなかったのかってこと。前言ったろ?」

 

なんでわかんないかな?みたいな顔で聞いてこられても困るが以前彼は甘寧に殴られたい云々と言っていたのを思い出し溜息をつく。

 

「お前相変わらずだな・・・・。正直ハンパじゃない。別の意味で。俺なんか半殺しだぞ?二週間は顔が腫れっぱなしだったな」

 

「マジかよ。お前打たれ強いのに?仕官学校のときは殴られてもビクともしなかったじゃん」

 

「教官と呉の将兵とじゃ比べ物にならないって。まあぁ死ぬまで殴られるのがいいって言うなら甘寧隊長に頼んで見るけど?この辺で勤務しているらしいし」

 

「うげ・・・・、それは勘弁」

 

うっ・・・と顔をしかめるとまた酒を注文する徐盛。

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「あと周瑜将軍が倒れたらしいな?過労だって?大丈夫かよ」

 

俺は思わず心臓が跳ねるが極力顔に出さないよう努力する。

 

「・・・・ああ」

 

「お前何かあったのか?」

 

やはり彼の前では徒労だったかと内心苦笑しつつ

 

「鋭いな。俺が彼女の療養期間内で働かないように監視していた。医者がダメだと言っても聞かないらしくて、仲がいい俺がそれに抜擢されたってわけ」

 

 

「倒れてもまだ仕事しようってか?どんだけ仕事の鬼なんだよ。あの人」

 

 

「そうだな・・・。本当仕事の鬼だ・・・」

 

誰にも決して見せなかった涙を流して俺の胸の中で泣く彼女・・・。

 

申し訳ない、申し訳ないと繰り返しながら・・・・。

 

「・・・」

 

「聞かないのか?」

 

「他人の不幸話に首突っ込むほど俺はひねくれちゃいねーよ」

 

「そうか・・・。ありがとな」

 

「いいって。お前も話しにくいそうだったしな」

 

彼の何気ない気遣いには頭が上がらない。

 

「全くどうしてお前はモテないんだろうな・・・・」

 

「うっせ。嫌味ならお断りだぜ」

 

ケッとつばを飛ばす彼に

 

「いや本気だって。俺が女ならお前をほっておかないけどな」

 

と詰め寄ると

「え?!お前ってやっぱりそっちのケが・・・・」

 

青ざめた顔で自分の体を抱きしめ俺から遠ざかる。

 

「たとえの話だよ、たとえの。そんぐらいお前に感謝してるってこと。

 

でも意外だなそんなお前でも苦手とする人がいるなんて・・・」

 

「周泰二佐のことか・・・・?」

 

 

「彼女から聞いたよ。お前二佐と上手くいってないんだって?彼女も随分と気にしてたぞ?」

 

周泰の話になると苦虫を食べたような顔をすることから彼女の言うことが間違いでないことを確信する。

「まぁな」

 

「いつも愚痴を聞いてもらっている身だ。ほら言ってみ?話したら楽になることだってあるんだし・・・・」

 

「・・・・もともと彼女の事を良く思ってなかったことはお前も知っているだろ?俺と同じ庶民出なのに孫策様に気に入られて出世した苦労ナシの輩だと・・・さ。

 

馬鹿だよな。孫策様は気に入ったからってそんなことするお方ではないことぐらい呉の人間なら知ってるのに。

 

嫉妬だ。自分と同じ境遇なのに凛として軸が決してぶれない彼女をな・・・。

 

自分なんかじゃ適わない・・・・って。こんな自分が彼女の下に居ていいのかって・・・・」

 

彼の表情に一瞬陰りが見えるがそれついて言及することなく聞き手に徹する。

 

「・・・・・・」

 

 

「一緒にいることが多くなってからは、そんな考えが止まらなくなってな・・・。

 

そんならいっそのこと彼女に嫌われて、疎まれて左遷でもさせてもらったほうがいいかなって・・・」

 

「周泰二佐はお前とおんなじだよ・・・」

 

「へ?」

 

≪私は甘い人間ですから、彼の足でまといになっているのかもしれません・・・・≫

 

周泰は俺にこう打ち明けていた。

 

つまり自分が情けないから彼に迷惑をかけている。

 

でも相談すると彼にもっと大きな責任を被らせ、迷惑をかけてしまうのではないか・・・・と。

 

俺はその旨を伝えると徐盛はポカンとあっけにとられていた。

 

そりゃそうだ。彼女の考えていることが自分と同じだと呆気にとられてしまうだろう。

 

「なんてこった・・・・」

 

「お前は一度個人的に彼女と話し合ったほうがいい。

 

戦闘が起こったとき意思の不疎通は部隊の全滅を引き起こす。そうだろ?」

 

例えが悪かったかなと一瞬後悔したが彼は俺の言いたいことが分かってくれたようだ。

 

僅かに頷き話を進めるように促す。

 

「彼女と意見をぶつけ合ってみろ。それが最善の策だ。お前らは他人を思いやるあまり遠慮してる。二人で吐き出すもんを吐き出せばそこから何か見えてくるんじゃないか?」

 

「そうゆうもんかね?」

 

「そうゆうもんだ。まったく。部隊で対立が生じてると思って心配して聞いてみたら、これじゃ痴話喧嘩だな」

 

「痴話喧嘩だぁ?!」

 

「だってそうだろ。こんなの恋人同士のすれ違いみたいなもんだろ?」

 

「〜〜〜〜〜〜〜!!」

 

彼の顔が真っ赤に茹でる。

 

が何故そうなるのかを彼に聞くほど俺も無粋ではない。

 

それをごまかすため徐盛は酒を一気に飲み干そうとするがゲホゲホとむせてしまう。

 

なんというかここまでベタな反応をしてしまうと逆にどう反応していいか困るのだが・・・・。

 

「徐盛・・・。お前も良く顔に出るなぁ〜」

 

「うるさいよ!!仕方ないだろがこうゆう性格なんだから!!」

 

これには笑うしかなかった。

 

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「まぁいいや。それより魏はどうだった?」

 

徐盛が落ち着いてから、これの任務について聞いてみることにした。当然ここは店内。

 

間諜は自分たちが何をしゃべっているかを目を光らせているはず。

 

口の動きを見せないよう口に手を被って話す。

 

「正直あまり回復はしていないと俺は見ている。

あんだけやられても俺たちは戦えるんだぜ的な?さ。

むこうにも面子ってのがあるんだろ。ただいざ開戦となると当分は先だろうな」

 

「大本営の読みは大方当たっていたというわけか・・・・」

 

「それじゃ山越か・・・」

 

「だろうな。この地域に戦力を大分集中させてるしな」

 

ここの方面軍の数はどんどんと増えていき今では三万を超えるほどにまで膨れ上がっている。

 

「しかし、このままいくと戦争だな」

 

「違いない。そうなったら自分のできることをやるだけ・・・だろ?」

 

「・・・そうだな」

 

「まぁ、俺たちの武運に幸あれってとこかな?」

 

俺は空になった容器に再び酒を注ぎ徐盛と静かに乾杯したのであった。

 

それから三ヵ月後魯粛は山越との交渉が決裂したしたことを軍部に報告。

 

山越との開戦を孫権はやむを得ず承認。

 

全軍直ちに出陣せよと命令が下ることとなった。

 

山越との戦争に突入することになり、俺がいる第三連隊は前線維持のため最前線に派遣されることとなった。

 

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「・・・・そうだ。そのまま泳がせておけ」

 

参謀本部内での軍議で一通り報告を戦況の報告を聞き適切な指示を出していく。

 

軍師が一つ

 

「分かりました。しかし敵は我々を本当に屈服出来るほどの力があるのでしょうか?」

 

という極めて素朴な質問を投げかけてきた。

 

「ないだろう。おそらく敵が総動員でこちらに攻めても首都建業まではたどり着けるとは到底思えん」

 

確かに山越の情報の収集を怠らなかった我々からしてみたら未だに信じられないの一言だろう。

 

「となると・・・・情勢を有利にし交渉に持ち込むと?」

 

「そうだろう。短期決戦で一気にカタをつけて和議で出来るだけ自分に有利な条件を呑ませる。それが山越の狙いだ。となれば答えは長期戦に持ち込み相手が根をあげるのを待つのが定石」

 

「籠城戦ですか・・・」

 

「前線がもたない以上我々がここで踏ん張るしかないだろう。そのための要塞だろ?」

 

「味方の増援部隊が到着するまでここで時間を稼ぐ。第三連隊は開拓長の甘寧三佐と連携をとり敵の補給線を叩いて欲しい。具体的な指示は朱然から聞け」

 

「御意」

 

「准将。敵の主力部隊の姿が見当たらないと報告が・・・・」

 

ついでに戦争に入ると俺は方面軍の全面統括のため再び階級が上がっていた。

 

階級が上がるのを今までは断っていたがことがことの故受け入れた。

 

軍師の話だとこれまでの猛攻にも関わらず、孫堅様の時代に呉を苦しめてきたとされる主力部隊がまだ見つかっていないらしい。

 

とはいっても奴らの動向は大方予想はつく。そこは大本営に任せてある。

 

「そうか。なら話は早い。敵の主力部隊が打って出る前に我々に有利に戦局を展開させるまで。泳がせておくさ」

 

「で劉備軍との連携は?」

 

「伝聞で現在この地域に近い方面軍がこちらを支援をすると」

 

「部隊は?」

 

「趙雲、関羽の二将軍が直々にこちらに・・・・」

 

「ふむ・・・・」

 

(山越を俺たちより先に叩き領土支配に一枚噛ませよって魂胆か?いや理想狂なら何の見返りもなく支援しそうだが・・・)

 

俺は敵の動きよりも同盟軍である蜀の動きに若干違和感を感じた。

 

劉備の側近であった諸葛孔明がいない中奴らはどういった行動を取るのか・・・・。

 

それに冥琳の話だとあの王はなかなか強かな性格をしているとも言われているが・・・・。

 

「准将・・・・?」

 

訝しげに見つめる部下たちの視線に気づき、

 

「大丈夫だ。劉備軍に歓迎と感謝の意劉備軍の伝令兵に伝えてくれ」

 

「はっ!!」

 

軍議を終え部隊に激励を送ろうと外に出る。

 

(王でない俺が兵に演説をするとはな・・・・)

これから大きく変わろうとしている自国に対しいつものように苦笑いを浮かべてしまった。

 

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下を見上げると要塞の最上階に立つ俺を武器を持つ殺気をだす兵士が俺を睨みつけるように見ている。

 

「司令長官に敬礼!!!」

 

俺が敬礼すると各部隊長が大声で叫び皆敬礼する。

 

「休め!!」

 

俺が言うと一斉に休みの姿勢をとる。ここに言うのは民兵でなく鍛え上げられた常備軍。動きに全く無駄がない。

 

「まずはじめにこのような結果となってしまったのは俺の力不足だ。申し訳ない。

 

我々は今大きな戦火に巻き込まれている。俺はこれを試練と思っている。

 

それはこの戦いに勝つことによりこの国に自由、平等、平和を享受するに値するかどうかというが判明するという試練である。

 

またここにいる我々がここにいるのは激戦で敗れた者達のために、この戦場の一角を安息の地にするためでもあると同時に、

 

国民に一日でも長く安全な生活を遅らせるためでもあるのだ!!!

 

我々はその死んでいった者がやり残した仕事に我々自身を捧げなければならない!!

 

その仕事を遂行することで我々は初めて新の勝利を手にすることが出来るのである!!!

 

立て国民よ!!我々の平和、そして名誉のために!!!」

 

「「「「オオォォォォォオ!!!」」」

 

 

兵士たちの興奮が一気に高まる。敵は目前戦意は消えることなく、むしろ息を吹きかけて大きくなる炎のように大きくそして膨らんでいった。

 

 

「ふん。道化を演じるのはなれないが・・・・、山越よこの俺を倒せる相手であるかお手並み拝見といこうか」

 

演説をする卓上をおりながら他の者に見えないようほくそ笑んだ。

 

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「蓮華様、敵は現在北を目指して進軍しています。敵は見事に餌に食らいついたようですね」

 

冥琳が眼鏡をくいッと持ち上げどこか得意そうな雰囲気を出しながら言う。

 

「そうだな。我々も動くぞ!誰かある!!!」

 

「はい。王様」

 

「全軍に通達。これより魯粛の救援のため進軍すると・・・」

 

「御意」

 

伝令兵が去っていくと手元にあった両剣

 

「南海覇王」

 

を手にする。姉の形見でもあるこの剣を蓮華は今までに無いくらい重く感じていた。

 

剣が重いのではない、国民全ての命を預かる『重さ』を蓮華は感じていたのだ。

 

(これが王の重さ・・・・。姉様はこの重さを背負って戦ってたのね)

 

姉が死んだとき私は誰よりも王であろうと決意したはずなのに、その責務に押しつぶされようとしている。つくずく姉の偉大さに気づかされる。だが私は負けない。立派に王としての役目を果たしてみせる。

 

誰よりも強く、そして誰よりも冷徹に・・・。

 

剣を持つと出陣の準備をするべく執務室を出た。

 

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・・・・はい。今回は一言。

 

今回はこのように見て下さる読者の期待を大きく裏切り結果となってしまい申し訳ありませんでした。

 

心から深くお詫び申し上げます。

 

言い訳っぽくなりますが、この春からずっとうつ病みたいな感じになってしまいまして(汗)

 

なかなか続きを書くといっとことができませんでした。

 

でもこれからは少しづつ良くなっているので、こんな自分の作品をまだ読みたいという人のため一生懸命頑張りますのでどうか許してください。はい。

 

これからあまり書きたくない戦闘が入ってきますがなんとかします。

 

ただ作戦はあまり期待しないで下さい。いかにも現実チック的な作戦ですので。

 

やっぱり他の作者さんのように奇抜な作戦は作れませんね。はい。

 

力不足です。ではまた近いうち続きを挙げられるよう頑張りますので、では再見!!

説明
大変申し訳ありません。

今迄待ってくれた方に深くお詫びを申し上げます。

アップしたので暇つぶしにでも見てやってください。
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コメント
第三連隊の第五大隊長⇒「第三連隊の第五大隊長 再開も兼ねてどっかで⇒再会 決裂したしたことを軍部に⇒決裂したことを軍部に なら話は早い敵の⇒なら話は早い、or。 諸葛公明がいない⇒諸葛孔明 ここに言うのは民兵でなく⇒居るのは(黄金拍車)
あれ?ホントだ!!読んでみたらなんか似てますね(>_<)魯粛さんは戦闘が近くなると性格が変わると思っておいてください(棒)まぁ意図して書いてるのではないので・・・。(コック)
なんか魯粛がどこぞの赤い大佐みたいになってきてません?www(紅蓮のアーティスト)
見直してきたー。肋骨骨折はほんと息できないよね(たこきむち@ちぇりおの伝道師)
徐盛さんいいキャラだ。(eitogu)
あれ、気付いたら幾つか更新されてた・・・ちょっと見直して来ますね。続きは楽しみに待ってます。(たこきむち@ちぇりおの伝道師)
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冥琳   連華 真・恋姫無双 申し訳ない 暇つぶし 

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