IS レジェンドウォーズ 20話 姉妹の絆 舞い踊れクレシェモン
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Side一夏

俺達がこの世界に来てから六日たった。

あの後簪は俺達に専用機造りの協力を依頼した。

早速、俺、義姉さん、義兄さん、本音、虚さんで取りかかった。

なんで楯無さんがいないのかというと、まあ、理由は二つほどある。

 

一つは生徒会の仕事だ。

俺達、平行世界組が手伝えるのは二週間だけ。

その間にできる限り完成させたいのだが、俺達三人と簪だけでは無理。

整備課の生徒に手伝って貰うっていう手もあるけど俺たちのことは騒ぎになるといけないから極力知られるわけにはいかない。(ちなみに俺と義兄さんは用務員ということになっており、義姉さんは更識家の親戚で様子を見に来た来賓ということになっておりみんな変装している)。

だから、三年主席の虚さんと整備課志望の本音に手伝って貰わなくっちゃいけない。

しかしそうなると、生徒会の仕事が全部楯無さんに回ってきてしまう。

最初はそれじゃあまずいということになったんだけど、他ならぬ楯無さんが

「一人でもちゃんとやるから、二人は簪ちゃんのために協力してあげて」

と言ったからだ

 

二つ目はまだ簪の苦手意識が完全に克服されていないからだ。

俺達の世界では比較的はやく仲直りできたのであまり苦手意識を持たなかった簪だがこの世界では長い間、コンプレックスを持ち続けたせいか、すぐに仲直りとはいかなかった。

だから、しばらくは間を置いたほうがいいということになったのだ。

まあ、その間変装した(といっても髪をツインテールにし伊達メガネをかけただけ)義姉さんで慣れさせようという理由もあるんだけどな。

 

そんなこんなで始まった専用機造り。

簪たちは織斑先生に許可をもらって授業を休み、俺達(回復したデジモンたちも)と一緒に早朝から深夜まで、交代で仮眠しながら進めて行った。

 

そしてなんとか今日の夕方に専用機の機体はほぼ完成。

後は稼働データや武装を開発。調整を繰り返すだけとなった。

 

「それにしてもなんとかここまでできたわね」

 

「まあ、あれだけ頑張ったんだし」

 

義姉さんの言葉にそう答える。

 

実際ここまで早くできたのは、六日間ほとんど休まずいつも誰かが作業を進めたからである。

加えて、デジモンたち、特にルナモンとドルモンの力が大きかった。

デジモンは電子でできた存在でありプログラムなんかを使った作業を人間より速く行える。

ISには様々なシステムがあるのだがそれらをルナモン達は完成させたのだ。

まあ、こう言った作業に慣れていたルナモンと桜花さんの手伝いを義兄さんとやっているドルモンがいたからこんなにも早かったのだけど。

アグモンはこういうことが苦手だし。(その分、工具なんかを運んだりしてくれたけど)

 

「それじゃ、またあとでね」

 

俺と義姉さんはわかれた。

 

仮眠をとるためだ。

 

義姉さんと義兄さんは生徒会室に、俺は一年生の寮長室の隣の空き部屋で寝泊まりしている。

 

こっちでは、俺と義姉さん、義兄さんはそれぞれ織斑先生と楯無さんの親戚ということになっておりなるべく二人の近くで行動するようにしている。

 

まあ、こっちの織斑先生にたいして特に思うことはないしな。

 

寮に向かって歩いていく途中、一夏が隠れていた。

 

視線の先には織斑先生と、この世界のラウラ・ボーデビィッヒがいた。

 

どうやらボーデビィッヒが織斑先生にドイツに戻ってまた教官をしてくれるよう頼んでいるみたいだ。

 

とりあえず思ったことは、あいつは本当に軍人か?ということだ。

 

IS学園は条約でいかなる国、組織の干渉、介入を禁止している。

 

これは様々な国のIS操縦者が集まる中でISに関する利益のパワーバランスが崩壊するのを防ぐためだ。

 

特に今は男性IS操縦者が見つかったことで世界はいつ戦争が起きてもおかしくない状態になりつつある。どこの国も男性IS操縦者がのどから手が出るほど欲しいし、他国を出し抜きたい。

 

さて、ここでボーデビィッヒの行動を見てみよう。

 

どう見ても世界最強のIS操縦者の織斑千冬を引き抜こうとしており、これはあきらかな条約違反。それも代表候補生兼現役軍人がである。

 

こんなことを他国に知られたら確実にドイツをたたく材料にされるな。

 

そんなことを考えているうちにボーデビィッヒが走ってどっかに行った。

 

「そこの男子。盗み聞きか?異常性癖は感心しないな」

 

「な、なんでそうなるんだよ!」

 

見つかった一夏が抗議の声をあげる。

 

「なあ、千冬姉」

 

「学校では織斑先生だ」

 

「あいつが俺を嫌う理由って第二回モンドグロッソの」

 

第二回モンドグロッソ。

 

俺にとって人生をリセットすることになった大会だ。

 

この世界では、織斑先生は試合を棄権して、一夏を助けに行き二連覇を逃した。

 

その際、情報提供をしたドイツ軍に二年間教官として所属していたらしい。

 

「お前が気にする必要はない」

 

「でも」

 

「こうなることは分かっていた。なのに配慮しなかったのは私のミスだ」

 

で、その時の教え子で妄信的なまでに織斑先生を崇拝するようになったボーデビィッヒは二連覇の邪魔をした一夏が憎いらしい。でもなぁ。それって。

 

「ものすごい身勝手な理由ですよね」

 

「更識!?」

 

「え!いたのか!?」

 

「ええ。いましたよ」

 

二人そろって驚いている。

 

「全然気が付かなかった」

 

「修業不足だ」

 

「それで、さっきの言葉はどういう意味だ?」

 

流石は元世界最強。すぐに頭を切り替えた。

 

「だってそうじゃないですか?一夏がさらわれたから織斑先生がドイツに行き、あいつは教え子になれた。もしさらわれなかったら、ドイツに行くこともなく、あいつは織斑先生に教えてもらえず、失敗作のままだった」

 

「失敗作?」

 

「更識!おまえそれをどこで」

 

「元の世界でですよ。おれは生徒会副会長であり更識ですよ?そのぐらい知ってて当たり前です」

 

おれがそういと織斑先生は納得したみたいだ。

 

「なあ?失敗作って?」

 

「あー。さすがに個人情報だからなあ。ま、簡単に言うとスランプだったあいつは織斑先生のおかげでなんとかなったんだよ」

 

俺がそういうと一夏も納得した顔になった。

 

「話を戻すけど、あいつの言っていることはあいつにとって矛盾をはらんでいるしそのうえ身勝手だ。そんな理由で貴重な男性操縦者が怪我なんかさせたりしたらあいつは他国にとってドイツを蹴落とす格好の材料になる」

 

「蹴落とす!?」

 

俺は一夏にさっき考えていたことを教える。

 

「つまり、さっきのことを知られるだけでもやばいのにそのうえ怪我なんてさせたら、各国の非難は集中。最悪、ドイツはあいつをトカゲの尻尾きりのように国外追放する」

 

「・・・なるほどな」

 

「だからまあ。負けるなよ」

 

「おう!」

 

そいって一夏は寮に歩いて行こうとした。

 

「あ、さっきの事だが」

 

「大丈夫だ。誰にも言わないさ」

 

いや、いざという時の脅迫材料にした方がいいと思うんだが。

 

まあ、あいつはそんなことなしないだろうな。俺は大切なものを守るためなら何でもするし、それ以外がどうなろうとどうでもいいんだけど、あいつは、ボーデビィッヒのことも何とかしようとするんだろうな、正々堂々。

 

「で、織斑先生」

 

「・・・なんだ」

 

「一応このことは黙っておきますけど、なんとかしてくださいよ?あなたの教え子なんですから」

 

「ああ」

 

そう言って俺も立ち去ろうとする。

 

「更識」

 

「なんですか?」

 

「今夜、少しお前の部屋に行ってもいいか?少し話したいことがある」

 

「?まあ、いいですけど」

 

「そうか。ありがとう」

 

「?」

 

織斑先生の言葉を疑問に思いつつもその場を後にした。

 

Side out

 

Side楯無

私は生徒会室で一人仕事をしている。

本当なら簪ちゃんたちの手伝いに行きたいけど生徒会の仕事をないがしろには出来ない。

でも

 

「やっぱり心配」

 

いえ、それだけじゃあないわね。

 

「さびしい?」

 

「うん、さびしって!?」

 

いつの間にか初音がいた。あ、私は彼女のことを本当の名前で呼んでいるわ。ややこしいしね。

 

「いつの間に!?」

 

「さっき来たばかりよ♪」

 

全然気が付かなかった。初音って私よりずっと強いわよね?

 

「うん。まあ、織斑先生と引き分けるくらいかな?」

 

「さらりと心を読んだ?!っていうかそんなに?!」

 

「あはは。冗談よ。じ・ょ・う・だ・ん♪」

 

本当かしら?

 

「で、とりあえず経過報告よ」

 

「あ、うん」

 

「なんとか機体は完成したわ。あとは稼働データと武装だけ」

 

「そう」

 

よかったわ。本当に。

 

「で、明日ね。あなたの専用機『ミステリアス・レイディ』の稼働データを渡してほしいのよ」

 

「それぐらいならいいわよ」

 

「簪ちゃんに直接ね」

 

「へ?」

 

今なんて言ったの?

 

「簪ちゃんに。直接。渡すのよ。二人っきりのところで」

 

「・・・マジ?」

 

「マジ」

 

Side out

 

Side楯無(R)

翌日、屋上に楯無ちゃんを呼び出して私はそれを物陰から見ている。

 

簪ちゃんと一緒に。

 

「な・・なんで・・こ・こんなこと」

 

「いいからよく見てなさい」

 

視線の先では楯無ちゃんが自分の姿を手鏡で見て寝癖を直したり、変なところがないか自分の格好を見たりしてオロオロしている。

 

まあ、多分

 

(うわー、うわー、うわーこれから簪ちゃんにあうのに、わ、私変なところないよね?お姉ちゃんらしい格好よね?!お、落ち着くのよ更識楯無。わ、わた、私は更識家の当主で、簪ちゃんの立派なお姉ちゃんなんだから。・・・で、でもそうしようとしたせいで簪ちゃんに嫌われたんだし、ちゃんと向き合う度胸も。うう、ぐす。な、泣いてなんかないもん)

 

なんて考えてるのかな?(そうですby作者)

 

あ、落ち込んだ。ころがり始めた。

 

「ねえ、簪ちゃん」

 

「・・・」

 

「あのお姉さんを見てどう思う?」

 

「・・・なんだか、かわいい?」

 

「ぷ」

 

くっくく。か、かわいい。た、たしかにね。うるんだ。泣きそうな目で膝を抱えてうつむいたりころがり始めたりしたらかわいいわね。小動物みたいで。

 

「ぷくく。そ、そんなお姉さんとあうのがそんなに怖い」

 

さあ、どうかな?

 

「こわくない」

 

「じゃ、いってきなさい」

 

「うん」

 

簪ちゃんは楯無ちゃんのところに歩いて行った。

 

「初音」

 

「なあに〜?ルナモン」

 

「こんなことをしたのってあの子が克服できたのか確かめるためなの?」

 

「う〜ん。まあね♪」

 

「もし克服できなかったらどうするつもりだったの?」

 

「大丈夫よ。これはテストみたいなものじゃあないもの」

 

そう。これはさっきルナモンが言ったような確認だけじゃない。簪ちゃんにお姉さんの素の姿を見てもらうことも目的だった。

 

私は更識家の当主としてあまり本当の自分をさらけ出さないよう訓練している。だから、完璧にふるまう。

 

でも、簪ちゃんにはそれじゃあ逆効果。だから、ふたりをしばらく会わないようにして楯無ちゃんにいきなり会うように言う。

 

しばらく会わなかったからか緊張した楯無ちゃんは焦って本当の自分が出てきちゃうように仕向けて、それを簪ちゃんに見せることでお姉さんに対して親近感?の様なものを抱かせて苦手意識が完全に消えればいいかなっていうのが私の考えだった。

 

「そっか」

 

流石ルナモン。私のパートナー。

 

あまり言葉にしなくてもわかってくれたみたい。

 

「これで、大丈夫かな?」

 

視線の先では二人がしゃべっている。まだまだ固いけど、今までよりずっと姉妹らしく私には見えてほっとした。

 

 

 

その時

 

 

ピーピーピー!!!

 

 

アークの電子音が鳴り響いた。

 

Side out

 

IS学園の第二グラウンド、第六アリーナ、屋上上空。

 

そこに空間の揺らぎが生じた。

 

そこから、現れたのは三体のデジモンだった。

 

――第二グラウンド――

 

「ぐおおおお!」

 

現れたのは青い体をした恐竜型デジモン。

 

アロモン

フリー

アーマー体

恐竜型

必殺技:ディノバースト

得意技:ダイナマイトヘッド

"勇気のデジメンタル"のパワーによって進化したアーマー体の恐竜型デジモン。恐竜型デジモンの中でもとりわけ凶暴で、同じ恐竜型のティラノモンとは敵対関係にある。強靭な脚力を持っており、頭部を前に倒して水平の姿勢をとることで、猛スピードで走りぬけることができるもアロモンの特徴である。必殺技は超高熱の熱風を吐き出す『ディノバースト』

 

――第六アリーナ――

 

「シャアアアア!!」

 

這い出てきたのは八つの頭を持った爬虫類型デジモン。

 

オロチモン

ウイルス

完全体

魔竜型

必殺技:アメノムラクモ

得意技:酒ブレス

8本の頭部を持つ巨大な魔竜型デジモン。しかし、8本ある内の7本はダミーであり、中央の黒色の頭部が本体である。オロチモンの誕生起源は古く、古代デジタルワールドでは猛威をふるい、あるエリアを壊滅状態にまで追い込んだことがある程の存在だったが、デジタルワールドの調和を保とうとする“存在”の使いによって封印されていた。得意技はアルコールを含んだ息で敵を酔わせて酩酊させてしまう『酒ブレス』。必殺技は尻尾の先が切れ味の鋭い刃になり敵を切り裂く『アメノムラクモ』。

 

――屋上上空――

 

「ふふふ」

 

妖艶な微笑とともに出てきたのは、女性の姿をした堕天使型デジモン。

 

レディーデビモン

ウイルス

完全体

堕天使型

必殺技:ダークネスウェーブ、プワゾン

得意技:ビンタ、スタンウィップ

高貴な存在の女性型堕天使デジモン。その強力無比で高純度のダークサイドパワーのため強力で、個人の端末で育て続けた例は限りなく0に近いといわれている。必殺技『ダークネスウェーブ』は、コウモリのような暗黒の飛翔物を無数に放って相手を焼き尽くす。もう一つの必殺技『プワゾン』は、相手の持つパワーをダークエネルギーと相転移し、敵を内から滅殺する。相手のパワーが大きいほどこの技は完全なものとなる。

 

Side楯無

私と簪ちゃんが久しぶりの、本当に久しぶりの会話をしていたら、突然、空に穴が開いてそこから、黒い翼をもった女の悪魔が出てきた。

 

なんかむかつくわね。あの顔。

 

なんて思っていたら

 

「ティアシュート!」

 

「え?」

 

バシャ!

 

私たちの後ろから飛んできた綺麗な水球が悪魔の顔面にあたった。

 

「ふふふ」

 

「うふふ」

 

「は、初音?」

 

そして、飛んできたほうにいたのは少し、いやかなり怖い微笑を浮かべた初音とルナモンだった。

 

「ふふふ。まさか、あいつとまた会うなんてね」

 

「ええ。あの時の奴とは別個体でしょうがそんなの関係ありません」

 

――EVOLUTION――

 

「ルナモン進化

 

レキスモン」

 

ルナモンはウサギみたいな姿になった。これが、デジモンの進化。

 

「いきなさい!レキスモン!」

 

「はい!」

 

レキスモンはジャンプして上空の悪魔に向かっていった。

 

「あの〜」

 

私は簪ちゃんを腕に抱いたまま初音に話しかける。

 

「なに?」

 

「いや、え〜と」

 

「・・・あの、悪魔と何かあったんですか?」

 

私が聞くのをためらっていると簪ちゃんが聞いてくれた。

 

すると、初音は目のハイライトを消しながら

 

「ええ、昔旅をしているときに戦ったのよ。その時にあのむかつく笑いで私たちをさんざん馬鹿にしてきて、おまけにいたぶるように攻撃してきたのよ。ふふふ。そのとき、私はおもいっきりぶちぎれたわね」

 

ふふふ。と笑って答えた。

 

のちに聞いた話だけど、このときはじめてルナモンは完全体に進化したそうだ。その時の戦いっぷりを話す悠輝君はとてもおびえていたわ。

 

「とりあえず、あいつの相手は私に任せて二人はここから逃げたほうがいいわ。あいつは完全体。専用機でも倒すことはできないわよ」

 

「わかったわ。行きましょう簪ちゃん」

 

「う、うん」

 

簪ちゃんは初音のことが少し心配みたいね。そのことを感じたのか初音は

 

「大丈夫よ簪ちゃん。私もレキスモンも強いから」

 

その言葉に安心したのか、簪ちゃんはコクリとうなずいた。

 

離れたところで私は

 

「かなわないわね」

 

とつぶやいた。

 

平行世界から来た初音は、私と同じ存在だけど私より強い力と心を持っている。そんな彼女の『大丈夫』という言葉にはとてつもない安心感がある。だから簪ちゃんもすぐにうなずいたのでしょうね。

 

同じ私でもかなわない。初音のほうが簪ちゃんの姉としてふさわしいんじゃないかと思っていると、

 

「そんなことないよ」

 

簪ちゃんが私に話しかけてきた。

 

「え?」

 

「お姉ちゃん、初音さんのほうがお姉さんらしいとか思った?」

 

「・・・」

 

「・・・わたし、いつもお姉ちゃんのことをちゃんと見てなかった。でも、初音さんの話を聞いてから、最近お姉ちゃんのことをよく見るようにしたの」

 

「え?最近?だってここのところ会っていなかったじゃない」

 

「・・・初音さんが監視カメラ仕掛けていた」

 

「・・・監視カメラ?」

 

「うん」

 

「ええええええええ!!!??!」

 

っていうことは、私が一人で仕事しているときにつぶやいた愚痴や適当にかたずけた書類とかも

 

「うん。しってる。お姉ちゃんってかなり適当なところがあったんだね」

 

「うにゃあああああ!!!」

 

恥ずかしい恥ずかしい〜〜〜!!

 

「でも、おかげでやっとわかった」

 

簪ちゃんはまっすぐに私の目を見ながら言う。

 

「お姉ちゃんも完璧じゃない。できないことがあるんだって。だから、虚さんたちに手伝って貰ってISを作ったんでしょう?」

 

「簪ちゃん」

 

「・・・え、とだから、いままで」

 

Side out

 

Side楯無(R)

二人が離れたのを確認すると私はレキスモンに視線を戻す。

レキスモンは成熟期。レディーデビモンは完全体。

完全体は成熟期の十倍くらいの力を持つと言われているから当然レキスモンが不利だけど、レキスモンは自慢のジャンプ力を駆使して、移動しながら攻撃をするヒット&アウェイで有利に立ち回っている。

 

「ええい!鬱陶しい!ダークネスウェーブ!」

 

「カードスラッシュ」

 

レディーデビモンの必殺技『ダークネスウェーブ』に対して私は懐から取り出したカードをアークに読み込ませる。

 

「高速プラグインH ハイパーアクセル!」

 

するとレキスモンの移動速度が数段上昇した。

レキスモンはダークネスウェーブのコウモリのような暗黒の飛翔物を躱していく。

 

(よしこのまま)

 

「レキスモン!一気に行くわよ」

 

「はい」

 

私はもう一枚のカードを取り出して

 

「カードsy」

 

「きゃああああ」

 

「え?!」

 

スラッシュしようとしたところで聞こえてきた悲鳴につい手を止めてしまい。

 

「くらいなさい!」

 

「きゃあ!」

 

レキスモンがビンタを受けてしまった。

そして悲鳴が聞こえた方には

 

「イビルモン?!」

 

イビルモン

ウイルス

成熟期

小悪魔型

必殺技:ナイトメアショック

得意技:スクラッチビート

気が強く負けずぎらいの小悪魔型デジモン。そのため直接戦わず、チクチクと弱いものをいたぶるひきょうものだ。ダークエリアに住む暗黒系デジモンの源とされているらしいが、まだナゾは多い。必殺技は、口から出す超音波で覚めない悪夢を見続けさせる『ナイトメアショック』。

 

「ふふ。わたしのかわいい下僕よ」

 

イビルモンは楯無ちゃんと簪ちゃんの頭を掴み、苦しめている。

 

「大人しくすることね。あの二人がどうなってもいいならね」

 

「くっ」

 

私もレキスモンもその言葉に従うしかない。

 

今は、まだ。

 

Side out

 

Side簪

私は頭を掴まれた痛さの中で開けた目で初音さんを見る。

初音さんとレキスモンはあの悪魔にいいようにいたぶられている。

もう見ていられなくて泣きそうになったとき

 

「か、かん、ざしちゃん」

 

「お、おねえ、ちゃん?」

 

お姉ちゃんが苦しそうに話しかけてきた。

 

「い、いつでも、動けるように、し、しなさい」

 

痛いはずなのに、私に必死に言葉をかけてくる。その姿は私にはとてもかっこよく見えた。

 

「し、ん、じてるわよ」

 

「う、ん」

 

私は痛いのをこらえる。頭の隅に追いやる。これでも、一応更識の訓練を受けてきたんだ。このくらいの痛み耐えて見せる!

 

そして次の瞬間、爆発が起きた。

 

Side out

 

Side楯無(R)

いたぶられついに倒れてしまった私とレキスモン。

 

「くっ、つぅ」

 

「うう」

 

「ふふふ。手こずらせてくれたお礼はもういいわ。じゃあ死になさい」

 

そう言ってレディーデビモンは飛び上がり

 

「ダークネスウェーブ!」

 

必殺技を放とうとしたところに、

 

ドガァン!

 

「なに!?」

 

ミサイルが命中。技を撃つ直前に当たったせいか、不発になり、

 

「大丈夫?」

 

私はISを展開した楯無ちゃんに抱きかかえあげられていた。隣には未完成のミサイルポッドを装備した『打鉄弐式』を展開した簪ちゃんもいる。さっきのミサイルは簪ちゃんのだったみたいね。

 

「一体どうやって?」

 

「ちょっとね」

 

イビルモンの方を見てみると、足を抑えてうずくまっている。

 

「ま、詳しい話は後で聞くわ。今は、レキスモン!」

 

「はい」

 

「いけそう?」

 

「もちろんです!」

 

――MATRIX EVOLUTION――

 

「レキスモン進化

 

クレシュモン!」

 

レキスモンはよりしなやかで美しい姿を持つ武器“ノワ・ルーナ(羅:新月)”をたずさえたクレシェモンに進化した。

 

クレシェモン

データ

完全体

魔人型

必殺技:ルナティックダンス,アイスアーチェリー,ダークアーチェリー

装備:ノワ・ルーナ

体が柔軟で、しなやかな動きで敵を討つ魔人型デジモン。流麗な戦闘を得意とし、月の光を受けるとその力は倍増すると言われている。必殺技は、舞うようなステップで敵を幻惑し、間合いを詰め、両手に持った武器“ノワ・ルーナ(羅:新月)”を使った斬撃「ルナティックダンス」。また、“ノワ・ルーナ”は1つに組み合わせることで、ボウガンのような形態に変化する。この状態から氷の矢を放つ「アイスアーチェリー」と、闇エネルギーの矢を放つ「ダークアーチェリー」の2つの技を繰り出すことができる。

 

「いくわよクレシェモン!」

 

「はい!ルナティックダンス!」

 

レキスモンだった時とは比べ物にならないほど、しなやかな動きでレディーデビモンを翻弄し始めるクレシェモン。

 

「く、おのれぇ!」

 

攻撃を繰り出すがそれは、かすりもしない。

 

「きれい」

 

「うん」

 

戦闘とは思えないほどきれいな動きをするクレシュモンに二人はそう呟く。

 

「ふふ、ありがと。でもこれで終わりよ!」

 

「はい!はあああ」

 

クレシェモンは一気に間合いを詰め両手のノワ・ルーナで翼に斬りかかる。

 

ザシュ!

 

「ぎゃあああ!」

 

翼を失ったレディーデビモンは落下し始める。そこにクレシェモンはノワ・ルーナを組み合わせ、ボーガンのような形にして狙いを定め、

 

「カードスラッシュ!攻撃プラグインF−ファイナルアタック」

 

さっきスラッシュしそこねたカードを読みこませる。

 

「はああああ!」

 

すると、通常より密度の高い氷の矢が現れた。

『攻撃プラグインF−ファイナルアタック』は必殺技限定だけど威力を数段高める効果がある。ただし、デジモンの負担が大きいけど、クレシェモンは大丈夫。一緒に訓練してきたから。

 

「アイスアーチェリー!」

 

放たれた矢は寸分たがわずレディーデビモンにささり、

 

「あ、ああ」

 

氷漬けにしてしまった。

 

「クレシェモン」

 

「もう一発行きます!アイスアーチェリー!」

 

忘れずにイビルモンにも放つ。

 

そして二体が完全に凍ったら、

 

「ダーク」

 

「アーチェリー!」

 

闇エネルギーで作った矢で粉々にする。その後には二つのデジタマ残っていた。

 

Side out

 

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次回予告

第二アリーナで行われていたのは黒き雨による暴虐

悠輝はそれを止めるためその実力の片りんを見せる

しかしそこに現れたのは蒼き恐竜だった

 

あとがき

何とか仕上がりました。

結構詰め込みすぎましたでしょうか?

次回は悠輝の実力をお見せします。お楽しみに

 

説明
書けた―!
20話です!
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織斑一夏 更識簪 更識楯無 デジモン インフィニット・ストラトス IS 

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