IS学園にもう一人男を追加した 〜 74話
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投稿者SIDE

 

 

コンピューターが立ち並ぶフロア。

 

ウッド

「ふふふっ、いいぞぉ。もっと私を楽しませてくれ・・・」

 

一つ一つの画面には、基地に備えられているカメラが各々の戦闘風景を映し出していた。その映像を眺めていたウッドは椅子に背中を任せ、金歯を露出するように笑みを浮かべていた。

 

ウッド

「思ったより『R』は使えん奴だったな」

 

一つはラウラに抱えられた『R』の映像。

 

ウッド

「スコールは・・・状況が分からないか」

 

一つはカメラの回線が切れて、砂嵐状態。

ほかにも、一夏とマドカが映っている映像。通路で佇んでいる箒と本音の映像。本音を逃して動力炉に戻ってきた『B』が不機嫌そうに頬杖をついている映像。制御ルームにいる山田とユウキの映像。画面がクモって状況が分からない映像。

 

ウッド

「ふむふむ。『No.40』は十分に働いているようだな・・・それにしても、オータムと博士がいない、か。博士には保険を備えているから心配はないが・・・」

 

ウッドは手元にあるキーボードを叩き始めると、画面がコロコロと変わりだす。その一つには、海底の映像もあった。

 

ウッド

「ん? 『W』め、のん気に寝ているのか・・・? まぁいい。客人はどうせ、中に入れるつもりだったしな・・・"おまけ"もいるが」

 

またキーボードを叩き出し、画面には【MARIONETTE】の文字が。

 

ウッド

「ついでに、IS学園には『バザード』を出すとするか。作戦の主旨とは遠くかけ離れてはいるが、私がいればチャンスはいくらでもある」

 

ウッドは口元を最大限まで吊り上げて、エンターキーを押す。

 

ウッド

「さて、そろそろ脱出の準備を始めるか・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[海の底]

 

W

「ん・・・もど、らない、と・・・」

 

海の中で眠っていた『W』はのっそりと起き上がる・・・その瞬間

 

[〜〜〜〜〜〜〜〜〜]

 

W

「っ!?」

 

『W』の『越界の瞳(ヴォーダン・オージェ)』の7片目から頭に向かって"キ〜ン"と超音波が駆けあがり・・・

 

W

[ガクッ]

 

気絶してプカ〜とクラゲのように浮かぶ。だが、海中で漂っていた『W』はピクピクと指を、そして肩から順に動き出す。そして、海底から基地に通ずる隔壁に向かう。

 

W

『・・・』

 

まるで、本物の"操り人形"のように・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

箒SIDE

 

 

「・・・塞がってるな」

 

本音

「そうだね〜」

 

"あの穴"に戻ってみれば、シェルターみたいなもので見事に塞がれていた。この基地の壁と同じ素材で出来ているとすれば、破壊は無理か・・・

 

「しかたない。別の場所を探そう」

 

本音

「お〜!」

 

"お〜"って・・・ここがどこだか分かっているのか? 私も分からないが・・・

そして、左も右も分からぬまま、歩き続けていると、"ゼロ戦【零式艦上戦闘機(れいしきかんじょうせんとうき)】"一機がギリギリ入りそうな場所に行き着く。

 

本音

「・・・?」

 

「ん、どうしたんだ?」

 

本音

「あそこから物音が・・・」

 

急に立ち止まった布仏は、かなり大きいシェルターを指差す・・・いつもの制服じゃないから、新鮮に感じるな・・・

 

[・・・ドン]

 

「?」

 

確かに物音が聞こえる・・・

 

[ドン・・・ドン、ドンッ、ドンッ!]

 

硬い物を拳で殴る音。しかも、その音は徐々に大きくなっていて、頑丈そうなシェルターにもボコボコと跡が出来る。

 

[ドンッドンッドンッドンッ!!!]

 

本音

「ホーホー・・・」

 

怯える布仏は、私の背に隠れて顔半分を出す。

 

「・・・[ゴクッ]」

 

シェルターから目を逸らさず、唾を飲んだ・・・その時っ

 

[ドカンッ!]

 

箒・本音

「っ!?」

 

電子シェルターだったのか、シェルターが破壊された瞬間、黒煙が私達を襲う。私は『紅椿』を展開し、"空烈(からわれ)"でモクモクと立ち込める煙を斬り裂く。

 

「い、一体、何が起こっt」

 

W

[ビュンッ!!]

 

目にも止まらぬ速さで、"空色のIS"が煙中から殴りかかってきた。

 

「うっ!」

 

危機感を感じた私の体は無意識的に"空烈"で拳を防ぐ。そのぶつかる瞬間がスローモーションに感じて、ぶつかった風圧で周りの煙を吹き飛ばした。

意識がスローモーションから解放された時、敵の殴り雨が激しくなり、私は布仏を抱えたまま攻撃を防ぐ。

 

「くっ・・・! 布仏、すまん!」

 

本音

「ふぇ?」

 

布仏が身に付けているのはISスーツなので、掴める箇所がない。だから・・・

 

本音

「うぇっ」

 

首を"優しく"掴んで、そこらへんに放り投げた・・・

 

W

『っ!』

 

それと同時に敵の攻撃がますます激しくなり、"雨月(あまづき)"も展開しても抑えきれずに、後退しながら反撃のチャンスを伺うしかなかった。それは同時に、布仏をその場に置いていく事になる・・・

通路上に逃げ込んだ私だが、敵の攻撃は止む事なく、私に襲い掛かる。

 

[・・・ミシッ]

 

「っ!?」

 

"空烈"から鈍い音・・・。もう刀が・・・!

 

W

『っ!』

 

「ぁ・・・」

 

敵のストレートを防いだ"空烈"の刀身は、くるくると宙を舞って床に落ちる。

 

W

『っ! っ!』

 

「がっ! ぐふっ!」

 

腹部に膝蹴りが決められ、ヒビが入った紅い装甲から細かい破片が飛び散る。壁に投げつけられた私の髪を敵は、軽々と掴み上げた。

 

「うっ・・・」

 

こいつ、私の髪を・・・この髪だけは・・・!

 

「触れるなぁ!!」

 

心は真っ赤に燃え上がり、感情に出せるのは"怒り"だけ・・・

 

【条件をクリアしました。枷を解除・・・"一朝之忿(いちょうのいかり)" 発動します】

 

「はぁああああああっ!!!!」

 

W

『っ!?』

 

眼前に映るのは"敵"

一夏が褒めてくれたものを汚そうとする"敵"

私が倒さなければいけない"敵"

敵・・・敵、敵敵・・・敵敵敵敵敵敵敵テキテキテキテキテキテキテキテキテキテキテキ!

 

「はぁああああああっ!!!!!」

 

W

『っ、っ・・・!』

 

テキ・・・テキは・・・テキは!!

 

W

[・・・ガクッ]

 

「テキハ、ワタシガ・・・ワタシガ・・・」

 

"雨月"・・・テキヲ・・・

 

「キレ!」

 

ぐったりしているテキに振り下ろされる"雨月"

 

「はーい、ストップ!」

 

だが、刀身はテキに届く事無かった。

 

「・・・ダレダ?」

 

私の腕を押さえていた"マジックハンド"の根を目で追うと、そこには作業着を着た女性が。

 

「オマエモ、テキカ? テキダナ」

 

レーア

「ちょ、ちょっと、決め付けるの早くない?」

 

「テキ・・・テキ・・・」

 

レーア

「はぁ・・・」

 

ISを展開したレーアは、両手にはブレード、背部ユニットのマジックハンドには巨大な盾"テアトル"を持つ。

 

「テキハ、ワタシガ・・・」

 

この力・・・ツカイタイ! モットツヨイチカラヲ!!

 

「ガァアアアアッ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

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【学園】

[南西]

 

三年生徒

「せ、先生! もう防衛線が持ちません!」

 

真耶

「数が多すぎる・・・専用気持ちチームは!?」

 

先生

「あちらも手詰まり状態で、応援は期待できません!」

 

真耶

「せめて、専用機一機がいれば・・・」

 

先生

「3機、突破された!!」

 

真耶

「しまったっ!」

 

真耶達の上空を通過した『ドラッツェ』は、機体を赤く発光させ始め、さらに加速しだす。その現象が"爆破のカウントダウン"って事が一瞬で理解できた真耶は、即座にスナイパーライフルを構え、スコープの中心に『ドラッツェ』を入れる。

 

真耶

「私だってっ!」

 

大口径スナイパーライフルの銃弾が『ドラッツェ』を貫通。バランスが崩れた機体は、隣接してたもう1機に衝突して機体内のエネルギーが暴発した。

 

真耶

(あと、一機・・・)

 

再度、スコープを覗いて、中心に『ドラッツェ』を合わせる。

 

真耶

「っ!」

 

息を呑んで、握り返したトリガーの引き金を引く。完璧な射撃。真耶自身も手ごたえを感じて、スコープから目を離す・・・ただ、相手は"自律ミサイル"だ。

 

ドラッツェ

『っ・・・』

 

身を翻し、直撃を避けた『ドラッツェ』。完全に気を抜いた真耶は、ワンテンポ遅れてライフルを構えるが、さきほどの冷静さと集中力が欠けて、それ以上の弾丸は『ドラッツェ』には当たらない。

真耶達の位置から、赤い閃光が遠ざかっていく。心のどこかで諦めかけていた真耶は、自分の無力さを噛み締めながら、ライフルを撃ち続ける。

 

真耶

(やっぱり、私じゃ・・・織斑先生のように)

 

スコープ越しで『ドラッツェ』らしき赤い斑点を狙い続けていた真耶だが、ライフルを握る手が弱まり、スコープから目を外そうと・・・

 

真耶

「・・・ん?」

 

もう一度、スコープを覗く。

 

真耶

「・・・」

 

・・・〜〜〜

 

[ビュンッ!]

 

真耶

「・・・え?」

 

『ドラッツェ』が真耶の隣を"音速"のスピードで通り過ぎ、ほか『ドラッツェ』を巻き込んで爆発。真耶は今起こった出来事を冷静に捉えることが出来ず、テンパリ始めたが・・・

 

「いてて・・・つい右で殴っちゃった」

 

真耶

「ふぁ・・・凰さん?」

 

いつの間にか、真耶の隣にいた鈴。右腕をさすり、背部に取り付けられた対となっている三種類の武器のうち、左手でハルバードを肩に抱える。

 

真耶

「凰さん! まだ怪我が」

 

「大丈夫大丈夫。右が使えないだけですから」

 

"あははっ"と、鈴は笑い、また通り過ぎようとした『ドラッツェ』を瞬間移動じみた加速でハルバードで叩き落す。

 

「まぁあ、片腕が使えなくても関係ないよね。今のあたしは無敵だから!」

 

傍若無人にハルバードを片手で振るい、次々と『ドラッツェ』を叩き潰していく。

『ドラッツェ』のAICは接近戦に対して、効力が薄い。それをカバーするように"数"と"機動性"があるのだが、第二移行した『甲龍』の機動性が群と上がっている。推進力が全て衝撃砲の応用で持続性はないが、瞬間的に白式と同じくらいの加速を生む。

 

(だけどねぇ・・・)

 

まだ完璧に『甲龍』の第二形態『奮迅(ふんじん)』を扱えきれず、ただ敵を叩きのめしているだけで、あまり浮かばれない鈴。

 

(結局、自分の事を『甲龍』って言ってた奴について何も分からなかったし・・・しかも、あんな説明で分かるわけないじゃない)

 

 

 

 

 

甲龍

『主よ。我を使いこなすなら、感情のままに武器を振るえ』

 

「いや、何であたしがレクチャーを受k」

 

甲龍

『武器をその手に感情を奮いたてよ』

 

「無視すんな! ってか、実際あんた何者なのよ!?」

 

甲龍

『我はシェンロn』

 

「それは前の話で聞いた。そうじゃなくって・・・えーと、何て言えば・・・そうよ! 何で一度、壊れたコアが」

 

甲龍

『壊されたの間違いでは?』

 

「はいはい、次言ったら殺すから」

 

気の抜けた表情に隠された殺意・・・この"小娘"、さらに出来るようになっ[ザシュ]ぎゃあああああああ・・・!!!

 

甲龍

『御意・・・では、その事についても我が知る範囲を教えよう』

 

「・・・」

 

甲龍

『・・・』

 

「・・・」

 

甲龍

『・・・』

 

「知らないってオチじゃないよね?」

 

甲龍

『オチではない。ネタです』

 

「余計、タチが悪いわ!!」

 

甲龍

『褒め言葉として受け取りましょう。では、我の知っている事を申すと、一度、我は・・・『甲龍』のコアが破壊されたのは事実。だが、そこに何者かの介入があり、我の存在を鮮明にし、修復の兆しにした」

 

「・・・ゴメン。話が見えてこない」

 

甲龍

『簡潔に申すと、コアが壊された瞬間、我の存在はより鮮明になり、主の感情がキーとなって我は修復されたのだ』

 

「・・・なるほどねぇ」 ←(棒読み

 

甲龍

『理解出来ましたか?」

 

「全っ然!」

 

 

 

 

 

「あらかた終わったわね・・・」

 

真耶

「あれが、『甲龍』の第二形態・・・」

 

三年生徒

「斧一本で全滅させるなんて・・・」

 

先生1

「・・・っ! 山田先生! 巨大な機影が海中から接近してきます!」

 

[ザッパァーン!]

 

バザード

『〜〜〜〜〜』

 

真耶

「飛行ユニット・・・また無人機ですか!?」

 

「だったら、スクラップにしても問題ないよね・・・ふふ〜ん」

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インフィニット・ストラトス のほほんさん 朝霧獅苑 

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