魔法幽霊ソウルフル田中 〜魔法少年? 初めから死んでます。〜 火山でクーラードリンク忘れるのは宿命な28話
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「ほんっっと悪かった! アタイがちゃんと時間を計ってたら……!」

 

「大丈夫ですって花子さん、俺が特訓したいって言ったからどんなにハードメニューでも頑張りますよ! ……あ、でもタイマー設定とかはお願いします。割と真面目に」

 

 

回避の特訓を始めて何分たったのだろうか、花子さんにすっかり忘れられた俺はリニスさんにやられた時以上にフルボッコにされた状態で発見されました。

 

まあホ○ミ(物理)で治りましたけどね、うん。

 

「まあ良かったじゃない、死ななくて」

 

「ちょっと待てメリー、一応アンタも加害者と思うんだけど反省の色なしかい」

 

何事も無かったように話すメリーさんを花子さんが咎めてる。

いや、本当に気にしてないから良いですよ?

 

とりあえず大事になる前に話を変えよう。

 

 

「あの、花子さーん。回避の特訓は終わってますし次の特訓に行きませんか?」

 

「あー、分かったけど……大丈夫なのかい? 体の方は」

 

「へーきですよ! お腹しか痛くない!」

 

体調は万全であることを表すためにガッツポーズでアピールする。

お腹が痛いのはホ○ミ(物理)の仕様だからしょうがない、今回も腹パンでした。

 

花子さんも納得してくれたみたいで、「まあ今日はこれで最後のメニューだし……」と次の特訓に移ることとなった。

 

 

「あら、これで最後? 何をするの?」

 

メリーさんはもうちょっと特訓が続くと思ってたらしく、意外そうだった。

 

それに対して俺は苦笑いする。

 

「いや……、ぶっちゃけここからが一番難しいんですよね……」

 

俺の言葉に花子さんも「うんうん」と頷く。

 

「まあ、『コイツに限っては』なんだけどね。なんせ最後の特訓は――――

 

 

 

「威力訓練だからね」

「威力訓練ですから」

 

 

 

 

 

「せいっ! まずは何時も通りの『人魂シュート』!」

 

ヒュッ、ドカン!

 

「痛くもかゆくもないよっ! もっと気合い入れな!」

 

 

 

「ならば……『フォトンランサー』(みたいな人魂)!」

 

バシュッ! ドンッ!

 

「勢いだけは強い、だけど熱量が足りないねっ! 吹き飛ばすだけじゃ話にならない! やり直し!」

 

 

 

「はいっ! ならばとっておき……! 『ディバイン・バスター』!!!」

 

ズドオッ……パリン!

 

「また途中で砕け散ってるよ! アタイはアンタの全力程度じゃロクに傷つけられない、もっと殺す気でかかってきな!」

 

「うっ……はいっ!」

 

花子さんに殺気なんて向けられる訳ないんだけど……。

 

 

 

 

「花子ー、さっきから人魂の爆発でスカートめくれてるわよー。多分田中みえてるんじゃないの?」

 

 

「田中、殺意のこもった人魂を見せてやるよ」

 

「ちょっ、花子さん!? 大丈夫ですって例え見えててもウサギちゃんプリントのパンツには俺微塵も一ミリも興味がわきませんからっ!!!」

 

「うっ……うああぁぁん! ちょっとぐらい欲情したらどうなんだいぃぃ! 忘れろっ、いや忘れるなっ! このアホ! 唐変木!」

 

「ぎゃああああ! ふぐ刺し弾幕きたああああ!!!」

 

 

 

 

「今日も無理かぁ……」

 

「見られた……見られたのに……。アタイのお気に入りじゃダメなのかい……?」

 

「あー、なんていうか。お疲れ様」

 

数分後、肉体的にも精神的にもボロボロとなった俺達にメリーさんが申し訳なさそうに一言。

 

 

見ての通りだが、この『威力訓練』は一度も成功したことがないのだ。

 

あの時リニスさんにトドメを刺そうとして刺せなかった理由、それは『俺が使う人魂には殺意がこもってない』。

要するに相手を傷つける気がないというのが分かった。

 

だが分かったと言ってすぐに直せるようなものじゃなくて、こうして毎日毎日花子さんに向かって人魂を撃ってるんだけど一向に威力は上がらず、むしろより吹っ飛ぶ感じになってきてる。

 

 

だいたい花子さんが相手じゃ『殺意を向けるぐらいなら自分が死ぬ』って思ってしまいがちになるし。

いまいち『殺す』って踏ん切りがつかないんだよなぁ……。

 

「このメニューが一番時間かかるのは分かったけど、そんなに難しいかしら……?」

 

「? 何かコツとかあるんですか?」

 

メリーさんはどこか納得できないのか、まだ首を傾げる。

何か良い方法があるのか聞いてみたら、案外普通な答えが返ってきた。

 

 

 

「コツも何も……『殺意』って普通怒ったりしたら自然に沸くものじゃないかしら」

 

「あ」

 

「やっぱり下着が子供じみすぎてる? こないだテケテケがふざけて持ってきた布きれみたいな下着を使うしかないのかい? いやいやまてアタイは何を考えてるんだまだそういうのは早いいや違う別にアイツを誘惑したいわけじゃなくてちょっとぐらい気づいてほしいから…………」

 

 

あー、その考えは盲点だった。

というか花子さん、大丈夫ですか?

 

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「……デ、オレタチヲ、ヨンダワケカ」

 

「悪いなティー、付き合ってもらって」

 

少し時間がたち、そこら辺を飛んでたカラスにラップ音で『ちょっとお前たちのリーダーを呼んできてくれ』って伝えてティーを呼び出した。

 

「チョウド、パトロールモ、キュウケイスルツモリダッタカラナ、カマワン。ソレニ、オレジャナクテ『コイツラ』ノチカラガ、ヒツヨウナンダロウ」

 

「ナニナニー?」「ゴハンデスカー?」「ハナコサン、メリーサン、コンチワー!」

 

 

そう言ってティーは自分の横、転落防止の柵にとまってる3羽のカラス部下を見る。

 

「ああ、俺を怒らせれるのにはピッタリの鳥材だからな」

 

 

そう、今から行うのはメリーさんの助言を参考にした威力訓練だ。

 

確かに、テレビとかでは殺人事件の動機も『怒りに任せて』なんてザラにある。

ということは俺も怒りに身を任せれば自然と殺意も湧いて、威力のある人魂を撃つことが出来るはずだ。

 

初めて足売りさんが来た時も怒りでポルターガイストの重量もあがったしね。

 

で、俺が助っ人に呼んだ『悪口と挑発に定評のある海鳴カラス達』なら俺を怒らすことなんて造作もない。

 

 

「オマエタチ、コッチヲムケ、タナカハ、モウスコシウエニイル」

 

「ドコドコー?」「ミエナイナー」「アッチカナー?」

 

ティーが俺を見えないカラス達を誘導してくれる。

どうしてもティーがいないといけないのはこのため、実はこのカラス達、ティーじゃないと素直に言うことをきかないのだ。

 

ティーを呼ぶように頼んでも初めは「キコエナイナー」って無視するから花子さんが人魂片手に『お話し』しないと動かなかったし。

 

 

「本当に上手くいくんだろうね……?」

 

「やれますよ、コイツらの悪口は天下一品ですから」

 

 

花子さんも何事かブツブツ呟いていた状態から復活していた。

再び俺の人魂を受け止めるべく空中に浮かび上がる。

 

 

しかし花子さん、一体なにを言ってたんだろ?

『OTZ』の体勢で呟いてたからよく聞こえなかったんだよな。

 

 

「タナカ、ジュンビハ、トトノッタ」

 

「頑張りなさいね〜」

 

 

俺の背後には丁度カラスが3羽、こっちを向いて口を開けていた。

メリーさんは下で見物、後は始めるだけ!

 

 

 

「じゃあ始めますよ! 俺は いまから 怒るぜっ!」

 

そう叫んだ瞬間、『スウゥー……』と俺の後ろで息を吸う音がして――――

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヤーイヤーイ! バカ! バカ!」

「アホー! コシヌケー!」

「オタンコナスー! アンポンタンー!」

 

 

 

「……………………」

 

うーん、これは、ちょっと……。

 

 

「なあお前達、もうちょっと頭捻った挑発できないのかい?」

 

「「「ガーン!!!」」」

 

花子さんに指摘され、カラス3羽が一斉にショックを受けてる。

うん……、協力してもらって悪いんだけどちょっと挑発が幼稚すぎるんだよなぁ……。

 

 

「あのさ、もう少しだけ酷いこと言っちゃっても俺大丈夫だから。加減しなくてもいいぞ?」

 

 

「フーン」

「コノテイドデジュウブンダトオモッタンダケドナー」

「オレタチホンキニナルゼー」

 

 

いまちょっとムカッときた。

うん、やっぱりコイツら挑発の達人だ。

 

カラス達のモチベーションも上がり、俺は再び特訓を始めることにした。

 

「オマエタチ、マジメニヤレヨ」

 

「「「アイアイサー!」」」

 

 

さあこいっ!

穏やかな心をもちながら激しい怒りによって目覚めてやるぜ!

 

 

 

 

 

「オマエノカーチャンナイテルゾー!」

「ソンナワカサデシニヤガッテー!」

「オヤフコウモノー!」

 

 

グサッ!!!

 

 

「シンダアトモユウレイニナッテ!」

「ヤッテルコトハショウガクセイノシュゴレイ!」

「ヤーイロリコンストーカー!」

 

 

グッサッッ!!!

 

 

「シカモミンナヲマモルトカイッテ!」

「ケッキョクハナコサンニタヨリッパナシ!」

「ヤクタタズー!」

 

 

ドシュ! ドシュ! グサグサッ!

 

 

「「「イチドモカッテナイクセニツヨクナリタイトカヨクイウゼー!!!」」」

 

 

ブシャアアアアアッッッ!!!!!

 

 

 

 

 

「うわアあアァああアぁぁぁん!!!」

 

「あ、泣いた」

 

「やり過ぎだよっ! 心折ってどうするんだい!」

 

 

ちくしょおおおおっ!!!

死んだ俺の家族のこととか色々気にしてるのに!

もう何もいうなぁぁぁぁっ!!!

 

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「今頃どうしてるかなぁ……母さん父さん、そして我が弟よ……」

 

「死んだ奴らは転生できるんだろう? ならきっと新しい世界で上手くやってるさ、きっと」

 

カラス達の協力も虚しく、またもや失敗した俺は花子さんに励まされてた。

あれから、悪口のレベルを落として特訓を続けたんだけど人魂の威力は上がることはなかった。

 

どうやら俺、自分に悪口言われても怒りが湧かないみたいなんだ。

だからって酷すぎると心が折れてしまうけど。

 

「ああ……これでも駄目なのかぁ。なんで殺意が湧かないんだろ……」

 

「こればっかりは、アンタの性格だから仕方ないね……。そういう所はすっ、好き、なん……だけど(ボソッ)」

 

「? 何か言いました花子さん?」

 

「…………何でもない。今のはノーカンにしといてくれ」

 

「?」

 

結局ティー達には帰ってもらい、再び手詰まりになってしまう俺達。

うーん、どうすればいいんだ……。

 

 

「ああもう! 花子も田中も悩み過ぎるのはよくないわよ!」

 

頭を抱える俺達にメリーさんはしびれをきらして叱咤する。

 

まあ、確かに悩んでも仕方ないし、ここまでやって駄目なら別のやり方――要するに人魂の威力に頼らず勝つ方法を模索すべきかもしれない。

 

 

「確かにね。これ以上考えても答えなんてでないだろうし、ちょいと休憩でもいれるか」

 

「ありがとうございますメリーさん。俺少し思いつめてたかも」

 

 

その言葉を聞いて、ひとまず休むことにした俺達。

まあ決戦まで日はあるにはあるし、『急いては事を仕損じる』って言うし、休むのと悪くない。

 

 

「そうそう、それでいいのよ。でさ、あたし今丁度良いもの持ってきてるんだけど――――

 

そう言ってメリーさんは密かに持ってきてたカバンを探りだした。

 

休憩するのに良いもの?

うーん、特訓後だしスポーツドリンクとか?

いやでも俺飲めないし、なんて考えてたらメリーさんはカバンから『いいもの』を取り出し、掲げた。

 

 

 

 

 

「ジャジャーーン! 見なさい、PS○よ! はやてに買ってもらったの、いいでしょう! 3台もってきたから遊びましょうよ!」

 

「メリーさん絶対自分が暇だっただけですよねぇ!? 飽きたんですか! 見物するのは!」

 

「メリー……、アンタもう都市伝説やめたらどうだい。はやてって子の守護霊になりなよ」

 

「無論、そのつもりよ」

 

 

マジですか、はやてちゃんヴォルケンリッターいらないんじゃないか?

 

というかゲームって、全然幽霊らしくない…………いや、まてよ?

 

 

「これはもしや……使えるかもしれない」

 

「え、なんだい? 使えるって……何に?」

 

 

花子さんが訝しげに尋ねてきた。

俺は、このPS○を見て思いついたことをそのまま口に出す。

 

 

「いや、俺って飛び方とか人魂の撃ち方とか戦いに関することの大体が『人のを参考にしてる』じゃないですか」

 

「なのはちゃんの魔法も、俺は人魂で真似することが出来ましたし。人魂ソードの剣さばきも実は恭也さんの剣を参考にしてるし……」

 

「もしかしたら、ゲームのキャラクターが使う技とか動き方も参考にして真似出来るんじゃないかなー、と」

 

そう、俺達幽霊の体というものは精神エネルギーみたいな『意識』の塊である。

それ故に自己暗示をかけてしまえば大概のことがまさしく『思い通り』に出来てしまうのだ。

要するに『考えてたら体が自然についていく』感じ。

 

今まで俺がイメージしただけでフェイトちゃんの動きをしたりしたのもこの特性によるものが大きい。

 

「なる程、確かに名案かもしれない。アンタの模倣はそれなりにレベル高いからね、できるんじゃないかい?」

 

「ですよね! 無理って訳じゃないですよね!」

 

考えれば考えるほど凄い良いアイデアな気がしてきたぞ……!

だって、頑張れば『波○拳』とか『魔○光殺砲』使えるようになるってことじゃん!

 

「ふふふ……、どうやら意外なとこであたしが役にたったみたいね」

 

俺は興奮して、メリーさんに尋ねる。

 

「メリーさん! 一体なんのゲームソフトが入ってるんですか!」

 

「『モン○ン』よ、3rdの方」

 

「参考にならねえぇぇぇぇぇ!!!」

 

モン○ンかよっ! 思いっきり物理攻撃じゃん! 相手怪物じゃん! 対人の参考にできないじゃん!

あんまりにも幽霊とかけ離れ過ぎてるんで、参考にするのは諦めることにした。

 

 

 

まあせっかく持ってきてもらったんだしゲーム……モン○ンをすることに。

あ、俺は触れないけど前にはやてちゃんの車椅子を動かした時みたいにポルターガイストで操作してます。

 

 

「花子は足売りばあさんのデータで、田中ははやてのデータで手伝ってね」

 

「あいよ。片手剣ね、やり方は前にやったことあるから任せときな」

 

「いやあ、この世界にもモン○ンあるなんて……ってはやてちゃんプレイ時間300超えてる!? 凄っ、全武器そろってるじゃん!」

 

はやてちゃんがゲーマーな件について、驚きを禁じえない。

とりあえず、俺は前世でも愛用してた双剣を使うことに。

 

 

「はやて凄いのよ! アルバとかウカムとかアカムを一人で倒すんだから! ヘビィボウガンで! あ、赤ペッコの依頼手伝ってジョー呼ばれて勝てないの」ポチポチ

 

「アンタもしかして手伝ってもらって上位に来たのかい? アタイもゲームは素人だから不安だね……」カチカチ

 

「はやてちゃんの腕についてはノーコメントで。俺に任せて下さい、生前は弟の手伝いとかやってましたから」カチャカチャカチャ!

 

場所は火山を指定、出発のファンフアーレが鳴る。

さあ、一狩り行こうぜ!

 

 

 

 

「あ、花子さんメリーさん。ドリンクは

 

「「あっ」」

 

「……一度キャンプに集合してください。あげますから」

 

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ゲーム中、流石に無言で協力プレイ程虚しいものはないので会話をしながらプレイしてます。

 

「それにしてもあなた、勝負に勝ってどうするつもりなのよ。……あ、発見したわ」ポチポチ

 

「ええと……出来ればリニスさんを説得して、俺達と一緒に戦ってくれないかなーと。ペイントお願いします」カチャカチャ

 

「はあ!? 一度殺されかけたのよ! あなた正気なの!? 花子ペイントお願い、あたし忘れた」ポチポチ

 

「メリーもそう思うだろう? アタイも何回無駄だって言いきかせても聞かないんだよコイツ。ペイント完了、頭破壊狙うよ」カチカチ

 

「出来ますよきっと! 俺の目的は原作ブレイク、なのはちゃんやユーノくんだけじゃなくてフェイトちゃん達も幸せにするのが目的なんですからリニスさんだって賛同してくれる筈! 到着、ダウン狙います」カチャカチャカチャカチャカチャ!

 

「そう上手くいくもんかね……。ってもうダウンした!? き、斬り込むよ!」カチカチ!

 

「何か説得するのに良い作戦でもあるの? やった、あたしの太刀で切り刻んであげるわ!」ポチポチ!

 

「作戦っていうか、とりあえずリニスさんの『幽霊が生者になにもしてやれない』っていう考えをひっくり返す為に、俺一人でリニスさんとフェイトちゃんを倒そうかと。っ! 鳴き出した! 双剣じゃ間に合わない、花子さん音爆弾を!」カチャカチャ!

 

「はあっ!? 馬鹿言ってんじゃないよ! アンタ一人でリニスに勝てなかったのに魔法少女まで相手するつもりかい!? あしまった、雑魚に邪魔された!」カチカチッ!

 

「ま、ま、魔法少女!? 花子、あたしは手伝わないわよ! あああ来ちゃう、ジョーが来ちゃう〜!」ポチポチッ!

 

 

うーん、やっぱりと言うべきか花子さんもメリーさんも俺の考えには賛成できないみたいだ。

 

そもそもリニスさんを倒すことすら難しいのに、フェイトちゃんとまで戦うなんて無謀にも程があるのは俺だって承知の上。

 

でも、やるしかない、無理だと言われようと。

人の考え方を変えるっていうのは、みんなが笑って過ごせる道っていうのは、それぐらい難しいことなんだから。

 

 

 

おっと、ジョーが呼ばれてしまったか。

仕方ない……二手に別れて各個撃破でいこう、くらえ肥やし玉っ!

 

「でもですね、考えてみたらフェイトちゃんは俺が見えないんだしデバイスがレイジングハートさんじゃない限り俺が一方的に攻撃できるんですよ。ただバリアジャケットが打ち抜けそうにないから人魂に威力が欲しいわけで。あ、花子さんとメリーさんは逃げたペッコを追ってください俺は――――――

 

さて、久々に本気出すか。

 

 

 

 

 

――――――一人で時間稼ぎしますけど。別に倒してしまっても構わないでしょう?」

 

グビッピキューン! キョウソウヤクゲレート

デデデデザタイムオブキジンカジョウタイ バトーワンデッサイダデステニー

シュッザシュズバザンッズバズバシャーンズバッシャーンキジンヤクノンデランブダズバッホウコォォ カイヒセイノウデカワスズバッズバッオトシアナニオトシアナニミヲオトセアゴハカイッカクゴーズバーンネコノカジバリョクランブズバッギャアアアアキィーンシッポセツダンカンリョウ K.O. アトデハギトッテクダサイ

バトートゥーデッサイダデステニー

ネムリナマニクームシャムシャアアアアグゥゥ テーレッテーボマーツキオオタルバクダンG、FATAL K.O. チクショーブツヨクセンサーデホウギョクデナイ

ウィーンオレェ (クエストカンリョウ)

 

 

ペッコ先生に呼び出されたジョーさん、あえなく退場。

やっぱりポルターガイストって使いやすい、手汗かかないもん。

 

「ねえこれモン〇ンなんだけど!? なんなのその処刑コマンド入力、ジョーが一瞬で死んだんだけど!?」

 

「だって俺ゲームとか得意ですし。生前は右手でポケ〇ンしながら左手でモン〇ン、扇風機は右足でつけて左足でテレビのチャンネル変えてプレイしてましたし」

 

「モンスター生かすか殺すかどっちかにしなさいよ! 最早得意ってレベル超えてるし器用にもほどがあるわ!」

 

今となっては手足の代わりにポルターガイスト、コレ重量制限あるけど重量以下のものだったら何個でも動かせられるから一度に百台はゲームできそうだぜ。

 

 

 

そうしてポルターガイストを使ってゲームをしてると、花子さんが何か考え込んで、俺に話しかけてきた。

 

「……なあ田中、ポルターガイストなら勝てるんじゃないかい? 正直いってアンタのポルターガイストはアタイでもそう出来るような精度じゃない、人魂じゃなくてそれで戦えば――――

 

「それは無理ですよ。だって、俺のポルターガイストはいくら器用でもせいぜい自動販売機を持ち上げられる程度の力しかありませんから」

 

俺も1度は考えた、最も得意としてるポルターガイストならリニスさんに、フェイトちゃんに通用しうる武器になるんじゃないかって。

 

しかしそれは人魂より難しい話だ。

いくら自動販売機みたいな重いものを持ち上げてぶつけようにもリニスさんやフェイトちゃんの前では軽々と撃ち抜かれてしまうだろう。

それに次戦う場所は『森の中』そんな都合よく武器になりそうなものが置いてあるわけなんてないしね。

 

「結局、ポルターガイストでできることと言えばこうやってゲームしたり、重い荷物を代わりに持ってあげたり、百マス計算したり、ゴミ拾いをしたり……。あ、クリスマスの日に桃子さんのレシピとやり方見て花子さんにケーキを作ってあげたりもしましたね。まあとにかく、戦闘には向いてないんですよ」

 

「あ、うん……そういや、そんなこともあったね」

 

「花子その話kwsk」(ケーキ、きっとそれでオチたのね!)

 

「ななななんでだい!? べっ、別にメリーには関係ない話じゃないかい!」

 

花子さんとメリーさんが何やら話し込んでいるが、今ゲーム中なんだけど大丈夫なのだろうか。

 

ペッコ発見、あー、二人ともフルボッコされてる。

とりあえずさっさとペッコを片付けることにしよう。

 

俺の正確かつ華麗な操作で、液晶の中の鎧を着た狩人が舞う。

これも、昔見たプレイ動画を参考にして練習したっけ。

 

思えばいつだってそうだった、俺って体育とかで『自分を動かす』よりラジコンとか、ゲームのキャラとか、『自分が動かす』方が得意な人間だった。

だからポルターガイストが得意なんだろうな。

 

ま、ポルターガイストは生物には作用しないからゲームみたいに生身の体を動かすなんてできないし、役にたたないいんだけど…………。

 

 

 

 

 

まて、ちょっと待てよ。

『生身の体を動かすなんてできない』?

 

なら、ならもしかして――――

 

 

「ぉお思いついたああああっ!!!」

 

「「何!? どうしたんだい(の)!?」」

 

 

思わず叫んでしまった俺に花子さん達が驚いているが、興奮してそれどころじゃなかった!

ゲームをやってて思いついたのだ、リニスさんに勝利し、尚且つフェイトちゃんとも互角に渡り合える方法を!

 

 

「ポルターガイストですよ! 今からポルターガイストの特訓を初めましょう花子さん!」

 

「え? ええっ、さっきアンタ無理っていってたじゃないかい!?」

 

「あ、いつの間にかクエスト終わってる……」

 

 

リニスさん、見せてあげますよ、『幽霊が生者になにをしてあげれるか』をね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オマケ

 

「はやて、ただいま!」

 

「あ、メリー。おかえり、田中さんの特訓を見に行っとったんやろ? どんな感じやった?」

 

「魔法少女と戦うために特訓してたわよ、はいこれ『千羽鶴』。特訓してたら出来上がってたの」

 

「幽霊VS魔法少女!? なんやそれめっちゃ気になるんやけど!? というか何で魔法少女と戦う特訓したら千羽鶴が出来上がるんや!?」

 

「何でも田中、『ついでにはやてちゃんの足が治りますように』ってさ。あと『作るのに10秒もかからないから気兼ねなく受け取って』って」

 

「田中さんほんまに何者なん!? 魔法少女と戦って千羽鶴を10秒で作る人って、何者なんやあぁぁぁ!?」

説明
またもや遅くなりました、特訓編後半です。

この話書いてて、広島に修学旅行いった時を思い出しました。
千羽鶴、苦労したなぁ……。

次回、お待ちかねの温泉回です!
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