ソードアート・オンライン デュアルユニークスキル 第二話 出会い
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デュオ視点

 

キリトと分かれた後、三十五層まで降りてきた俺は

森林地帯、通称【迷いの森】に来ていた。

このフィールドは巨大な樹木がうっそうと立ち並ぶ碁盤状の数百のエリアから出来ており

ひとつのエリアに踏み込んでから一分経つと

隣接エリアの連結がランダムに入れ替わるというものだ。

ちょっと高いが街で売っているマップを持っていれば難なく脱出できる。

ちなみに何をしに来たのかというと

攻略での息の詰まるような感じが嫌だったので

今日は下に下りてきて朝からずっとここで遊んでいる。

しかし遊びすぎたのか、もう日が暮れかけている。

 

デュオ「そろそろ帰ろうかな〜・・・」

 

段々こちらも飽きてきたので上に戻ろうとしていた。

すると、遠くの方に3体のモンスターを発見した。

表示された名前はドランクエイプ。三十五層では最も強力なモンスターだが

俺にとっては大した敵ではない。

 

デュオ〈あいつらで最後にして帰るかな・・・〉

 

俺はそう思って走り出した。すると3体いたドランクエイプの1体が消滅した。

そこには小さな少女がドランクエイプに向かって突進している。

見た目からして10歳から13歳といった感じだ。

見るとHPはすでに((危険域|レッドゾーン))に達している。

 

デュオ〈このままだとまずいな。〉

 

俺は背中の剣を引き抜くと2体のドランクエイプを横一線に切り裂いた。

突然後ろから切り裂かれた2体は悲鳴を上げながら砕け散った。

 

デュオ「大丈夫か?」

 

俺は剣を鞘に納めながら少女に問いかける。

その途端、少女は崩れ落ちるようにがくりと跪いた。

そして少女は嗚咽を洩らしながら、両手を地面について泣き始めてしまった。

 

少女「お願いだよ・・・あたしを独りにしないでよ・・・ピナ・・・」

 

デュオ「えっ、ちょ、ちょっと・・・どうするかな・・・?」

 

俺はこういう経験が全く無かったため対応に困ってしまった。

 

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しばらくして少女が落ち着いてきたので話を聞いてみた。

どうやら1年間一緒にすごしてきた使い魔が先程の戦闘で死んでしまったらしい。

どうにかしてあげたいが、何せ俺はもちろんビーストテイマーではないため

その手の情報はあまり持っていない。

その時、少し前にキリトに聞いた情報を思い出した。

だが、それには使い魔蘇生用のアイテムが2つ必要になる。

1つは確実にゲットできるが、もう1つがドロップしていなければ話にならない。

その時、少女の手に水色の羽根があるのが見えた。

 

デュオ「その羽根は?」

 

少女「ピナです・・・」

 

デュオ「その羽根、アイテム名ってわかる?」

 

俺が聞くと、少女は右手の人差し指で羽根をクリックする。

すると、アイテム名が表示される。

【ピナの心】

それを見た少女が再び泣き出しそうになったので、俺は慌てて言う。

 

デュオ「大丈夫。心アイテムがあれば蘇生できるから。」

 

少女「え!?」

 

少女は慌てて顔を上げると、半ば口を開けたまま、ぽかんと俺の方を見つめる。

 

デュオ「四十七層の【思い出の丘】っていうところに使い魔蘇生用の花があるって聞いたことが・・・」

 

少女「ほ、ほんとですか!?」

 

俺が言い終る前に、少女は腰を浮かせて叫んできた。

それだけ必死なのだろうと思った俺は何も言わなかった。

だが、一瞬だけ明るくなったように見えた少女の顔はまた暗くなった。

 

少女「四十七層・・・」

 

そう呟き、少女は再び肩を落とす。

 

デュオ「俺が行ってきてもいいんだけど、テイマー本人が行かないと肝心の花が咲かないらしいんだよ。」

 

俺がそう言うと、少女は少し微笑んで言った。

 

少女「いえ・・・情報だけでも、とってもありがたいです。がんばってレベル上げすれば、いつかは・・・」

 

デュオ「追い討ちをかけるようで悪いけど、蘇生出来るのは死んでから3日以内なんだ。」

 

少女「そんな・・・!」

 

少女は叫ぶと、うなだれてしまった。その目には涙が浮んでいる。

俺は立ち上がるとアイテムウインドウからトレードを選択し、そこにアイテムを入れていく。

【フォトンカッター】、【エレボスアーマー】、【フェアリーコート】などなど

どれも七十層でドロップしたレアアイテムである。

 

少女「あの・・・」

 

少女が戸惑いつつといった感じで口を開く。それに対して俺は丁寧に言う。

 

デュオ「この装備で7,8レベルくらいは底上げできるだろうし、俺もついていけば問題ないだろう。」

 

少女「えっ・・・」

 

少女は口を小さく開きかけたまま立ち上がると、俺のことをじっと見てくる。

その眼には、疑問と警戒が宿っていた。

そして少女はおずおずと聞いてきた。

 

少女「なんで・・・そこまでしてくれるんですか・・・?」

 

デュオ「困ってる人を助けるのに、いちいち理由をつけてられないよ。しいて言うなら、そこに困っている人がいるからかな。」

 

俺のその答えに少女は噴き出した。慌てて口を押さえているが、笑いを堪え切れていない。

 

デュオ〈そんなに可笑しかったかな?〉

 

俺は思わず首を傾げる。

 

少女「ありがとうございます。あのこんなんじゃ、全然足らないと思うんですけど・・・」

 

少女はそう言うとトレードウインドウに((通貨|コル))を入力し始める。

 

デュオ「あぁ、コルはいいよ。その代わりにひとつお願い聞いてくれる。」

 

俺がそう言うと少女はビクンと体を震わせる。

 

デュオ「多分だけど、今君が考えたこととは99%違うと思うよ。

 

少女「な、何ですか・・・?」

 

デュオ「名前教えてくれない?」

 

その言葉に少女はまたしても噴き出した。

 

少女「ごめんなさい・・・あたし、シリカっていいます。」

 

デュオ「俺はデュオ。しばらくの間よろしく。」

 

シリカ「はい。こちらこそ。」

 

とりあえず今日はもう遅いので、街に戻ることにした。

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後書きです。

原作ではおそらくシリカが出てくるのは最前線が五十層後半くらいのころだったと思うんですが

本作品では、最前線が七十四層に入ってからということにさせていただきます。

感想、ご意見、アドバイス等お待ちしています。

説明
早速あの少女の登場です。
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