100の使い魔
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「闇に潜む暗殺者が光の下に姿を現した事が間違いなのだよ。

 さあ、風に引き裂かれるがいいさ」

ワルドの偏在達が呪文を唱える。

― いや呪文を唱えようとして崩れ落ち風に溶けて消える。

その跡には何時の間にかアサシン『達』が佇んでいる。

だがワルドと対峙していたアサシン − ザイードはルイズの傍らにいる。

「馬鹿な!偏在だと!? メイジでもない唯の暗殺者が何故!!」

「((我々 | わたし))は群にして個。されど個にして群の影。

 アサシンの((使い魔 | サーヴァント))『百の貌のハサン』。

 どうするワルドよ。

 汝は『((偏在 | ユビキタス))』とやらで存在を水増し出来る。 

 しかし生憎だが、数で勝るこちらがこの場では有利だぞ?」

狼狽する唯一残ったワルドにザイードが平坦な声をかける。

それに同調するようにアサシン達が((投擲短剣 | ダーク))を構える。

その数は30人に増えている。

さらに駄目押しとばかりに胸を貫いた筈のウェールズが起き上がる。

そして変装を解いた黒い姿は白い髑髏の仮面 ― アサシンだった。

ウェールズ本人は既に決戦の陣頭指揮の準備にかかっている。

「さて後はこの裏切者を鏖殺するのみ。

 命令をよこせ。((主 | マスター))ルイズよ」

ザイードがルイズを促す。

ルイズは小さく頷いて −

「アサシン。ワルドを油断なく、躊躇いなく殺しなさい」

 − 自らの((使い魔 | サーヴァント))に命じた。

 

「((主 | マスター))ルイズ。お言い付け通りクロムウェルを仕留めました。

 貴族派は混乱する筈です。我らは加勢せずとも宜しいのですか?」

報告に来た矮躯のアサシンが問うがルイズは否定する。

「無用よ。これ以上の手助けはアルビオンの為にならないわ。

 指揮の統一を欠いた貴族派ぐらい自力で捌けなければ

 どの道王党派に先はないわ。

 アルビオンの事はアルビオンに任せる。

 私たちは使命を果たした。後は脱出するだけよ」

ルイズはその場から立ち去ろうとする。

しかしザイードが突っ込みを入れると足を止める。

「どうやって脱出するのだ。((主 | マスター))ルイズ。

 船は既に出航し、城は四面楚歌だぞ?」

ルイズは振り向かないので表情は伺えないが、頬に一筋の冷や汗が流れている。

どうやら考えていなかったようだ。

ザイードは盛大に溜め息を吐いた。

 

結果を言えばルイズ達は脱出に成功する。

ギーシュの使い魔のヴェルダンテの掘った抜け穴から城を抜け出し、

タバサの使い魔シルフィードに乗ってアルビオンを離れる事になる。

ただその中にルイズの((爆発 | エクスプロージョン))を受けてズタボロになった、

それは哀れなザイードの姿があったという。

ちなみに他のアサシンは後難を恐れてさっさと霊体化していた。

被害に遭うのは受肉して霊体化できないザイードの役割である。

 

「((89番 | ザイード))は相変わらず空気が読めん喃」

「あそこはピンクケルプが部屋を出てからそれとなく声をかけるモンだろ」

「豊臣秀吉のモノマネには定評があるのじゃがなぁ」

「フフフ……所詮、奴は((我々 | わたし))の中でも一番の小物よ」

本人が気絶しているのを良いことに好き放題を言う他のアサシン達。

ルイズをマスターにした((89番のアサシン | ザイード))。

幸運のパラメーターは多分 C → E++ と思われ、

『もしもアサシンが幸運EXだったら 』とは無縁である。

 

 

※この話のアサシンは『月の彼方、永遠の眼鏡2』仕様です。

 

説明
百の貌のハサンが召喚された掌編です。
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タグ
ゼロの使い魔 Fate/Zero 

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