緋弾のアリア〜一般校の転校生〜
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15弾

 

 

東京湾上空にまで出たあたりで、乱気流を迂回するというアナウンスが流れた。揺れに関しては特に気にはしなかったのだが。

 

ガガン! ガガーン!

 

と、大きな雷の音がして思わず首をすくめてしまう。

 

「怖いのか?瑞樹も意外だな」

 

「こ、怖いわけないじゃない。バッカみたい。」

 

「こ、怖いわけないじゃない。」

 

アリアのセリフを真似してみた。

 

「瑞樹、風穴」

 

ガガーン!

 

また雷の大きな音がして首をすくめてしまう。

 

「きゃっ!」

 

アリアは短く悲鳴を上げる。

 

「雷が苦手ならベッドに潜って震えてろよ。瑞樹もベッドに行ったらどうだ?」

 

「う、うるさい!」

 

「キンジうるさい、小さな音が聞こえない」

「そういえばお前、何してるんだ?」

 

「ドアの外にだれか来ないか聞いてる」

 

今俺は、銃を抱えて、目を閉じて耳を澄ましている。この状態になると集中がしやすくなり、極限まで高まると、このくらいの飛行機の中の音なら全部聞こえる。

 

ガガーン!

 

3度目の雷の音に首すくめる。

 

「今聴力がすごく高いんだ、だからこういう大きな音にはどうしても反応しちゃうんだよ」

 

「そうなのか」

 

ガガーン!

 

「きゃあっ!」

 

「アリア、チビったりしたら、一大事だぞ?」

 

ここにきて出ました、キンジの変態発言。

 

「バ、バ、バカ!」

 

ガガガーーーーン!!!

 

「うぁぁーー!!」

 

ひときわ大きな音がして、ついにアリアがベッドの中に潜りこむ。

それにしてもずいぶん苦手なんだな。

 

「アリア替えのパンツ持ってるか?」

 

「バカキンジ!後で風穴開けてあげるから!」

 

「うっわキンジ…アリアが穿いた後のパンツが欲しいなんて…どこまで落ちれば気が済むんだよ」

 

「そこまで言ってないだろ!」

 

ガガガーン! ガガガーン!

 

「随分近いな」

 

飛行機に乗ったことはないけど、こんなに近くを飛ぶものなのか?

それとも機長が下手なのか?なんか嫌な予感。

 

「キンジぃ〜〜〜」

 

アリアがあまりの恐さに、キンジに頼り始めた。

それは別にいいんだけど…俺がいるってこと忘れてるだろ。

なんか見つめあってさぁ、もうキスでもしそうな雰囲気だし。

俺お邪…パン! パァン!

その音を認識したとたん、俺はドアに向かっていた。

 

「すみません!武偵です!今のは、銃が暴発しただけなので、何も問題は起きていません。部屋に戻ってください!」

 

外に出てすぐにそう叫んだ。幸いまだ騒ぎが大きくなかったので、すぐに皆部屋に戻っていった。

 

「瑞樹!今のは?」

 

「それよりキンジ、武偵殺しのお出ましみたいだよ」

 

銃声がした機体前方の、コクピットの扉があいていて、さっきのアテンダントが機長たちを引きずり出していた。

 

「動くな!」

 

キンジが拳銃を抜いて、アテンダントに向ける。

アテンダントがこっちを向いて、にぃッと笑う。

 

「((Attention Please.|お気を付けください))でやがります」

 

ふざけたことを言って缶を投げてきた。

 

目隠しのつもりか?

 

ダダンッ

 

「瑞樹!?何してる早く部屋に戻れ!」

 

「えっ?キンジ何で?」

 

シュウウウウウウ

 

「みんな部屋に戻れ!ドアを閉めろ!」

 

無理やりキンジに部屋に戻される。しかもさっきの銃声で心配になったらしい乗客が外に出てきたみたいだった。

そして飛行機が揺れ、照明が消え、乗客の悲鳴が響いた。

 

 

 

「何で部屋に戻らせたの?」

 

暗くなった部屋の中で、キンジに問う。

 

「馬鹿!あれはガス缶だ!吸いこんだらアウトだぞ!それに可燃性のガスだったら、火がついてたぞ!」

 

「そうだったのか、ありがとキンジ。…そこらへんきちんと勉強しとかないとな」

 

「でも、無害なガスだったみたいだな」

 

たしかに、どんな症状が出るか分からないけど特に異状があるように見えない。

 

「キンジあのふざけたしゃべり方したやつが武偵殺し?」

 

「そうだ。予想通り出やがった」

 

「予想通りってあんた、武偵殺しが出るの分かってたの!?」

 

「あぁ。武偵殺しは、バイクジャック、カージャックで事件を始めた。そしてお前は次がチャリジャックだと思ったみたいだがそれは違う。俺もさっきわかったんだが、次の事件はシージャックだ」

 

シージャック。その言葉を聞いて思わず体が反応してしまい、無意識にあの事を思い出してしまった。

 

目の前が揺れる、キンジの声が遠くなる、バランスが取れなくなる、意識が遠くなる。

 

「……瑞樹!大丈夫か!?」

 

キンジの声に意識が引き戻される。

 

「あぁ大丈夫、大丈夫だ」

 

少し呼吸が荒くなってるが大丈夫だろう。

 

ポポーンポポポン。ポポーン。ポポーンポポーンポーン……

 

「ついにベルト着用サインもイカれたか?」

 

ベルト着用サインが、注意音と共にわけのわからない点滅をし始めた。

 

「違うわ、和文モールスね」

 

「誘ってやがるな」

 

「上等よ風穴開けてやるわ」

 

「ねえなんて意味なの?教えてよ」

 

意味を教えてくれず、アリアがスカートの中から拳銃を取り出した。

 

「一緒に行ってやる。今の俺がどこまで役に立つかは分からないけどな」

 

「はぁ意味を教えてくれてもいいのに。まぁいいや俺も行くよ、約束してるし」

 

「来なくていい」

 

「あららキンジ振られた」

 

「二人ともよ」

 

「なっなんだって―!」

 

「瑞樹、風穴」

 

ガガーン!

 

「きゃあ!」

 

また起きた雷の音に、体をこわばらせる。

 

「どうする?アリア」

 

「どうする?」

 

「来たいなら来ればいいじゃない」

 

説明
〜武偵殺し編〜
一般校から武偵校に転校してきた瑞樹。
初心者なのにSランクになったり、事件に巻き込まれてしまう。
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