楽しく逝こうゼ?
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注意書き。

 

 

最初に言っておきます。

 

私(作者)は、かーなーり、やらかしたwww

 

今回から匿名のコメントも受け付けます。

 

おっしゃりたいことがございましたら法廷(コメント欄)へどうぞwwそこで決着をつけましょうwww

 

後、ブラックコーヒーは…必要ないかとwww

 

それでは、どうぞ

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視界の先で金色に輝く閃光が暗い闇の中を奔る。

その閃光は寒気がする程の狂気を纏いながら宙を舞いハッキリと視認できない程の速度で俺に襲い掛かる。

 

「い、いやだ!!やめっ……」

 

スパァアンッ!!

 

「がぁああッ!!?」

 

懇願する俺の意志を意に介さずソレは俺の頬を打ち、空気を撃ち据える快音を奏でながら激痛と共に一筋の裂傷を俺の頬に刻み込む。

今のとても残酷な行いで全身の勢いを失ったソレは主の意志の元にヒュッっと快音を鳴らしながら俺から離れて宙を踊り狂い、主の足元に静かに落ちた。

 

「グッ……ハァ…ハァ……痛えよ……クソッ…」

 

小さく、なるべく聞こえないように俺は悪態をつく。

それはそうだ、誰が好き好んでこんな非人道的な苦痛に喜ぶことができようか。

俺には決してその手の性癖は無い。

俺の意志を無視して無理矢理いたぶられているわけで……これぐらいの悪態が出てしまうのも許して欲しいものだ。

 

「…………」

 

ヒュンッ

 

だが、俺に苦痛と恐怖を与えるソレの主は俺の言葉が御気に召さなかったようで、再び風を切る音と共にソレが宙を踊る。

 

「ヒィッ!?ま、まっ……」

 

スパァアアアアアンッ!!

 

「ギイィアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!?」

 

喉が潰れんばかりの絶叫を上げながら俺は胸元に刻まれた激痛の程を訴える。

もう、数えるのも飽きた程のこの残虐な行為は暗闇に囚われて時間の感覚が狂いに狂った俺には永遠に等しい拷問に感じられる。

 

「あがぁ…ああぁ……」

 

身体に奔る激痛に苦悶の声を上げながら、俺は頭の隅でもう何度目か解らない問答をする。

 

一体何故、こんなことになってしまったのだろうと。

 

このどこまでも続く暗闇の中で俺はずっとこんなことが終わり無く繰り返されてる。

黙っていれば頬に激痛が走り、許可無く喋れば身体に傷を刻まれる。

その二つの繰り返しと身体に刻まれる激痛のみが俺がこの闇の中で感じられる生きているという実感だ。

なぜか、いつもは俺の意志に応えてくれる頼もしい相棒であるはずの『クレイジーダイヤモンド』はこの空間に囚われてから、その圧倒的な存在が一切感じられない。

まるで俺から切り離されたような感覚だ……おまけとばかりになぜか波紋すら練り上げることができない……つまり、俺には逃げ出す手段を一切合切、失ってしまっているということだ。

痛みに悶える俺の両腕はバンザイの形で上に向けられ、その両腕を闇から伸びる鎖に縛り上げられている。

足は地面に届かず、ぶらぶらと所在なさげに揺れていた。

お気に入りのコートはボロボロに破れて、そのアチコチから裂傷を刻まれた素肌が見え隠れしている。

つまり、俺の体は吊るされているのだ……この上も下も解らないような暗い闇の空間の中で……

 

「…ハァ……ハァ…」

 

「もう、ダメだよ?私が喋っていいよって許してあげてないのに………勝手に喋っちゃ『メッ?』だぞ?……クスクスクス♪」

 

激痛の余韻が治まり気の抜けた声を上げた俺に、クスクスと楽しげに笑うソプラノボイスが闇の中から語り掛けてくる。

声のする方向に目を向ければ、西洋人形の様に整った可愛らしい容姿の少女が絹の様な金髪を小刻みに揺らして楽しげに笑っていた。

笑っている少女の髪型は俗に言うツインテールでピンク色の可愛らしいリボンで結ってあり、服装は全身を覆う黒いマントと腰にフリルのスカートモドキをあしらえた、腹や尻のラインの露出がとても激しい水着の様なスーツに身を包んでいる。

とてもこんな恐ろしい拷問を思いつく少女には到底見えないが、その小さな手に持つ黒い道具……『バルディッシュ』の柄から伸びて、金色の光を発しながらバチバチと電気の弾ける音を奏で、青白いスパークを散らす『雷撃の鞭』という存在が……目前で笑っている可憐な少女こそがこの残虐な拷問の執行人であることを雄弁に物語っている。

 

そう、俺の良く知っている筈の少女……

 

「…ハァ……ハァ…………フェイ、ト……」

 

とても心優しく、それでいて逆境に陥っても絶対に曲げない……強い意志を持ったとても愛らしい少女……

 

「フフッ……なぁに?ゼン?///」

 

彼女……『フェイト・テスタロッサ』は俺の呼びかけに頬を赤く上気させ世の男達を一人残らず魅了するような………少女らしくない妖艶な笑顔を浮かべて聞き返してくる……蕩けていて、それでいて光の全く無い空虚で恐ろしい瞳を俺に向けながら……

 

「な……なんで……なんでこんなことすんだよ?………俺がお前に何かしたか?……」

 

俺は静かに、それでいて怯えの色が篭った声でフェイトに尋ねる。

あの純真無垢で他人の事を想いやれる綺麗な心の持ち主のフェイトがなんでこんな残虐な仕打ちが延々と繰り返せるかが俺には解らなかった。

こんな……時間の感覚を狂わせ、只ひたすらに痛みだけを与え続けるだけの非人道的な……狂気に満ちた拷問を笑いながら繰り返せる理由も、意味も全く理解できない。

まるで目の前の少女がフェイトじゃないなにかに見えてきそうで……実はフェイトの姿をした悪魔なんじゃないかと考えないと正気を失いそうだ。

 

ワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイ

 

「え?……なんでって……」

 

俺の問いにフェイトは俺を見つめたまま首をコテンと傾げた。

いつものフェイトがその行動をやる分には手放しで可愛いと思えるが……この異常な空間で行われてきた異常な拷問と仕打ちのことが頭にある俺にはもはや恐怖でしかない。

そして、彼女は首を傾げた姿勢のまま空虚な瞳で俺を見つめながら……クスクスと…楽しげに……嗤う。

 

「クスクスクスッ♪……おかしなことを聞くんだね、ゼンは?……これはね?『躾け』ナンダヨ?」

 

嗤いながら当然の如く話すフェイトの口から語られた……異常で……狂った理由に俺は開いた口が塞がらなかった。

 

「……は?…………しつ、け?………だと?」

 

なんだよ?……それ?……なんなんだよ……『躾け』って……俺は人間だぞ?そんな自分のペットを躾けるみたいな理由で……

 

俺の呆然とした言葉を聞いたフェイトは、腰に手を当てて頬を膨らませながら……まるで当然の事のように頭を縦に振った。

 

「うん♪、これは『躾け』なんだよ?……ゼンは私が目を離すと直ぐに他の女の娘にちょっかい出すんだもん、私の気持ちを知りもしないで……私はね?ゼンのことが……男の子として大好き///……ううん、海鳴の誰よりも、学校の誰よりも、この世界中の誰よりも、他の次元世界ノダレヨリモ……母さんよりも、アルフよりも、なのはよりも……ゼンのことをずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとズットズットズットズットズットズットズットズットズットズットズットズットズットズットズットズットズットズットズットズットズットズットズットズットズットズウット、愛シテルノ?……ゼンがいれば他の男の人なんて誰も、一人も、欠片だっていらない///……なのに、それなのに……ゼンは私をほったらかしにして私以外の女の娘にばっかりいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもイツモイツモイツモイツモイツモイツモイツモイツモイツモイツモイツモイッツモ構ッテルンダモン……それがね?すっっっっごく胸が痛くて……もうどうにかなっちゃいそうで怖いの……ゼンが私以外の女の娘を好きなっちゃうんじゃないかって……私を忘れて遠い所へ行っちゃうんじゃないかって……怖くて…怖くて……怖くて怖くて怖くて怖くて怖くて怖くて怖くて怖くて怖くて怖くて怖くて怖くて怖くて怖くて怖くて怖くて怖くて怖くて怖くて怖くて怖くて怖くて怖くて怖くて怖くて怖くて怖くて怖くて怖くて怖くて怖くて怖くて怖くて怖くて怖くて怖くて怖くて怖くて怖くて怖くて怖くて怖くて怖くて怖くて怖くて怖くて怖くて怖くて怖くて怖くて怖くて怖くて、不安で胸が、心が押し潰されちゃいそうなんだよ?……もしそうなっちゃったら……ゼンが私から離れちゃったら……他の女の娘にゼンを盗られちゃったら……私ハモウ生キテイケナイ……ゼンガイナクナッチャウト寂シクテ寂シクテ寂シクテ死ンジャウクライ、私ハゼンノ事ヲ誰ヨリモ何ヨリモ他ノドンナ存在ヨリモ愛シテルンダヨ?」

 

フェイトはまるで壊れたカセットテープのように延々と同じ言葉を繰り返しながら紡ぎ、顔を俯かせて押し黙る。

……無機質で、無感情なフェイトの声がとても怖い。

『好き』『愛してる』…どちらの言葉もフェイトのような可愛らしい女の子に言われたら普通なら小躍りするぐらい嬉しい言葉だがこの状況でそんな告白をされても俺には恐怖という感情しか湧いてこなかった。

 

「だからね?決めたんだ……」

 

そこで一旦言葉を切ってぐりんっと効果音が鳴るかと思うほどの勢いでフェイトは再びその空虚な瞳で俺を捉え、俺を見つめたままに近寄ってくる。

鼻が触れるんじゃないかと思う程の至近距離に顔を近づけてフェイトは恍惚な表情を浮かべて、じっと俺の顔を覗きこむ。

その光の無い瞳に見つめられた俺は……恐怖で動けなかった……呼吸すら止まり、恐怖に染まりつつある頭の中でフェイトの顔が一刻も早く離れてくれるのを只、馬鹿みたいに祈った。

 

そして……

 

「そうなっちゃう前に……ゼンが私以外の女の娘……ううん、私以外の人と話さないように、私以外の人を見ないように……私以外の((女|ひと))を愛さないように、しっかりと『躾け』ちゃおうって♪」

 

俺の願いは神様に受理されず、フェイトは鼻先5ミリの距離で俺を恍惚で、それでいて壊れた笑顔で見つめたままに恐ろしいことを語った。

 

「そうすれば……他の女の娘を好きになる前に『躾け』ちゃえば、ゼンは私だけと喋って私だけと笑って私だけと泣いて私だけと怒って私だけと喜んで私だけを見て私だけを大事にして私だけを好きになって私だけを抱いて私だけを悦ばして私だけを愛して私だけを犯して私だけを壊して私だけを悲しませて私だけの頭を撫でて私だけの存在を感じて私だけのお願いを聞いて私だけの言葉を信じて私だけの声を聞いてくれるもん///……全部、ワタシダケ……全部、全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部ゼンブゼンブゼンブゼンブゼ〜ンブ……ワタシトダケ?……ワタシダケノゼン?///……アハ♪…アッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!!!///」

 

頬を赤く染め、蕩けた瞳で俺だけを見つめながら……狂ったように彼女は嗤う……嗤う…嗤う。

そして、音も無く俺から離れたフェイトは……その手に持つ雷撃の鞭を……愛おしそうに撫でる。

 

「アッハハハ♪……サァ…ゼン?……『躾ケ』ヲ再開シヨウネ?……モウ私ノ事ダケシカ考エラレナイヨウニ、私ノ事ダケシカ愛セナイヨウニ、イッパイ、イッパイ、イッッッパイ『躾ケ』テ、ア・ゲ・ル?///……大好キダヨ?……コノ世界ノ誰ヨリモ?」

 

 

 

フェイトは頬を赤く染めて空虚な瞳で俺を見つめ、嗤いながら……再び鞭を俺に……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうしてこんな事になったのか、俺には全く解りません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この独白を聞いて下さったあなた……どうか真相を暴いて下さい…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それだけが……たったひとつのシンプルな真相が明らかになることだけが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「愛シテルヨ?……ゼン?…………ズット一緒ニイヨウネ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺のささやかな望みです

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

橘禅

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ばっどえんどぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!?」

 

そんな不吉すぎる言葉とともに、俺、覚醒。

悪夢よりの帰還を果たし、体をバネ仕掛けの人形の如く跳ね起こす。

 

がばあッ!!

 

ぶにゅううううう

 

「きゃあああっ!!?///」

 

再起動した俺の視界に入ったのは右目に黒い空間、左目には蛍光灯が光る鉄の天井。聴覚には何とも可愛らしい叫び声が伝わり、鼓膜を刺激してくる。

……視覚もちゃんと機能しており、体を途中まで起こした俺の右半分の顔面に当たるディ・モールト(非常に)柔らかい物体の重量に至るまでも肌で、触覚で確りと認識している。

嗅覚も問題はないようで、濃厚でそれでいて気分を害さない、いやむしろずっと嗅いでいたくなるような魅惑的で甘い香りが鼻腔をつく。

俺の五感は全て正常稼動しているようだ。

 

 

…おやおやおやおやおやおや…………どうやらワタクシ橘禅はまだ現世に((残機|ライフ))を一つ残していたようですな。

昨日の朝食べた特売品のシイタケがどこぞの配管工のライフアップアイテムだったのかねえ?

 

まあ、とりあえず……………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……………ふぅ……………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イヤッハァァアァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

生きてるッ!!生きてるッ!!生きてるよ俺ぇッ!!?

あ、あれが夢で良かったぁッ!!いや、夢にしても怖すぎるっつのッ!!

まーだ毎晩、夢の中で羊になって崩れ落ちる塔を駆け上る悪夢を見るほうが良かったぞ、畜生ッ!!

……いや、そうなったら、結局フェイトが下から襲ってくるんだろうな……『逃ガサナイヨ?』とか、地獄の釜戸から響くような声で……はぁ……

そりゃあ確かによ……フェイトみたいに笑顔が眩しくて純粋な心を持った可愛い女の子に男として好かれるのはサイコーにハッピーだけどよぉ……あそこまで好かれるのは勘弁だッ!!

 

何だよあのSM女王ですら「使うの勘弁して下さい」って土下座しちまいそうな電撃の鞭ッ!?

 

何だよあのDIO様すら腰抜かして涙と鼻水流しながら逃げ出しそうな怖すぎる笑顔と蕩けた瞳ッ!?

 

あんな、ディ・モーーーーールト(非っっっっっ常に)ヘヴィな愛はお断りですよッ!?俺にゃ受け止めきれますぇんッ!!

あれが……あれが俺の未来の末路だってんなら……激しい喜びも深い絶望もない植物のような平穏な人生を望むわあぁぁあああああッ!!?

なんの起伏も無い平坦でつまらない生涯独身人生の方が億倍マシだっつのッ!!

ホント夢で良かったぜ……しっかし……いや、生きてるってサイコーだね、ホント。

ほら、こうやって顔の右半分にかかるずっしりとした重みも極上の柔らかさも手に取るように…………

 

……ん?……『ずっしりとした重み』?『極上の柔らかさ』?『右目に黒い空間』?『可愛らしい叫び声』?『濃厚な甘い香り』………んん?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………おやぁ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

待て待て待てちょっと待て?そもそもなんで俺は目を開いてんのに右半分が真っ暗で何も見えねえんだ?

いや、別に目がおかしいってわけじゃなくて……重みが顔に掛かるってこたぁ何かで視界を遮られてるってことだよな?

なんつうか固いモンじゃなくてこう……水風船みたいにたっぷんたっぷんとした最高に柔らかい感触が……薄い布越しに感じられるんだが……んん?

……ダメだ。意識が覚醒したばっかで思考が鈍いぜ。

 

…………えーっと?

 

「何じゃこりゃ?」

 

とりあえず本能的な好奇心が疼いてきたので試しに俺の顔半分を覆うソレを手で掴んでみる。

 

ぐにゅう

 

「ひうッ!?///」

 

俺の視界を遮るソレは何とも形容しがたい極上の柔らかさを持っていて掴んだ掌と指がずっぽりと埋まってしまった。

掴んだ物体は俺の手の平や指では収まらずに結構はみ出してる。

こりゃあボリュームがかなりあるみてえだな。

しかも埋まるだけじゃなく、程よい張りと弾力を持っていて途中から俺の指と掌を極上の柔らかさで包み込みながら押し返してくるという矛盾を触覚に伝えてくる。

熊手の形でわし掴んでるソレは俺の中指と薬指の付け根に他の柔らかい部分とは違った感触の固いポッチの様なものが当たるのが一つだけ感じられる……

 

え?マジで何これ?

 

ぐにぐにぐにぐにぐにぐにこねこねこねこねこねこね

 

「ふあっぁあッ!?///ひゃああああああッ!!?///」

 

その極上の柔らかさに惑わされて、強めに掴んで離してを繰り返してみると、俺の頭上から今度は艶を含んだ嬌声が聞こえてきた。

しかも俺が掴んでるソレのポッチの様なものも、気になって指と指で挟みこんだら小刻みにピクピクと痙攣するように動く。

 

……あっるぇ?……ちょっと待てよ?

 

意識が覚醒してから段々と澄んできた思考能力で今の状況と掌に伝わる触覚情報を再度考え直す。

 

『ずっしりとした重み』?

 

『水風船のようなたぷたぷ感』?

 

『沈み込んで手の平全体を包み込む極上の柔らかさ』?

 

『程よく押し返してくる弾力』?

 

『掴んだら聞こえる艶を含んだ嬌声』?

 

『指に感じる他とは違った感触の固いポッチの様なものが一つ』?

 

『濃厚で、ずっと嗅いでいたくなるような魅惑的で甘い香り』?

 

欠けたピースが寝ぼけてた頭の中でパズルの様にカチリッカチリッと音を立てて組み立てられていく。

…おーいおいおいおい……これってもしかしなくても……『掴んでる』じゃなくて……ま・さ・か・?

少しずつ目が覚めてきた思考に従って中途半端に起こしていた体をずらして完全に起き上がってみる。

俺が体を起こすと右半分を覆っていたはずの重みも『ぷるんっ』と揺れて離れる。すると、黒く染まっていた視界が完全に開けた。

まず、開けた視界の真正面に入ってきたのは……顔をトマートみてぇに真っ赤にした守護騎士の面々とはやて、なのは、そしてユーノだ。

 

なぜか、シグナムは俺と目が合うと、いそいそと自分のでっけえ胸を抱きかかえて隠そうとしてる。

まぁ、でかすぎて全然隠しきれてねえけどな。

 

ヴィータはと言えば顔を真っ赤にしたままおもむろに自分の胸?に手を当てて、地面に四つん這いの格好で崩れ落ちちまった。

なんて見事なorz……そういや、守護騎士って何百年もその体系のままなんだっけか?……まぁ、ご愁傷様としか言えねえな……

 

シャマルさんは…なんか目をキラキラさせて俺を見てらっしゃる……なんでせう?その『これから起きる事にwktk』みたいな期待に満ちた眼差しは?

なんか小声で「修羅場♪修羅場♪」って聞こえんのはヌルーじゃなかった、スルーの方向で

 

守護騎士で唯一の男性(オス?)ザフィーラはというと……なんか伏せの体勢で前足を器用に使って耳を塞いでた。目も確りと固く閉じられてる。

なんかブツブツと「見るんじゃない、見るんじゃない、見るんじゃない、見るんじゃない、見るんじゃない」ってアンタ……

 

うん、もうね。

チミ達のその素晴らしすぎる反応とさっきまでの情報を照らし合わせただけで俺が今、かーなーりやらかしてるってのはもう充分、いやディ・モールト(非常に)理解できたぜ。

全てを理解した今の俺の心境は悟りを開いた修行僧の如く穏やかで、それでいて山の天然水の如く澄み切っている。

 

「あ、あの……ぁッ///……ゼ……ゼン?///」

 

すると、悟りを開いた俺の右隣からかなり震えた声音で誰かがおずおずと声を掛けてきた。

その声に誘われるままに視線を右隣に移せば……そこにいるのは目尻に涙を溜めて、切れ長の瞳をギュッと閉じ、俺の左手が与えてくる自分の身体の一部から伝わる刺激に耐えながら、フルフルと魅惑的な身体を子犬の様に震わす『銀髪の女性』が……涙の溜まった片目を薄く開け、潤んだ真紅の瞳で、真っ赤に染まった端整な顔で、切なげに俺を見つめていた……口元でぬらりと光る一筋の涎がなんともセクシーでなやましいぜ、ベイビー。

 

…あぁ、やっぱりな……俺はさっきから『掴んでた』んじゃなくて……

 

 

 

 

 

 

 

「そ、そんな、に///……んぅッ!///……ハ、ァ///わ、私の………むむ、むッ……『胸』///……を///…ふぁ、っ……揉ま、ないで///」ウルウルウル

 

『揉みしだいて、こねくり回してた』ってわけだ……『リィンフォース』の『爆乳』をこれでもかと……ふむ……ほぉ……うむ……

 

 

 

 

 

何このご褒美?

 

 

 

 

いやいやいやいやいやいや待とうか待とうか待とうか待とうか待とうか待とうか橘禅よ、落ち着けもちつけもちけつ、急いては事を仕損じるぞ?お前はさっき悟りを開いたばかりじゃねえか?

まずは冷静になって状況をHQとホワイトハウス、そんでもって首相官邸、最後はPTAと順番に報告書を提出するんだ、お前ならそれができる、びーくーるびーくーる。

えーっと?まず今いる場所は……アースラの会議室だな……んで、そこにさっきのメンバーが全員集まっている……いや、フェイトが見当たらねえな……何故?……とにかく、フェイト以外の面々はここに集まってる。

守護騎士やはやて達はさっきのまんま赤くなって各々素敵な反応を見せてくれたけど……プレシアさん、リンディさん、エイミィさん、そしてクロノは席に座って何事も無かったかのように茶を啜ってる。

もはやあの人達ん中じゃこれが日常の風景になってるんじゃなかろうな?

……あ、クロノの眉がピクピクしてる……テメエ、最初っから何も見て無かったってことにしようってか?ちくせう。

そんでまぁ肝心の問題、何故俺が体を起こしたらリィンフォースのSHI・TA・TI・TIに顔を埋める結果になったかと言えば……俺の下半身は椅子の上に寝かされていて、上半身は……隣の椅子に座ってるリィンフォースのHI・ZAを枕にして寝ていたと、あーなるほどそーゆうことかーうんうん。

 

 

なんでさ?

 

 

なんで美女の膝枕なんていうおいしいシチュエーションになってたわけ?ほんとわけワカメなんだけど?

落ち着いて現状を確認しても意味なかったじゃねえか、ちくしょう。

絶賛混乱中の俺の眼前で瞳を潤ませて見つめてくるリィンフォースは胸を揉まれた刺激が強すぎたのか背筋をピンと張って若干弓なりに仰け反った姿勢で椅子に座っている。

両手は椅子の座る部分を握り締めて突っ張っているって言えばいいのかね?

 

まぁ、長々と語ったが……俺が何を言いたいのかとゆーと……今、目の前で胸を揉まれて、涙目になりながら必死に耐えてるリィンフォースの姿に無茶苦茶キュンキュンしてます。

まさにドキがムネムネ状態ってやつだ。

 

いやさ、ほらアレだよアレ、アレっつったらアレしかねーじゃん。

なんつうかさ、今までアルフに迫られたりしてアルフのスイカ様を鷲掴みにしても『離れろッ!!』的なこと言ってきた俺だけどさ?

そらぁあれだよ、そのまま受け入れちまったら最後、パックリと美味しく頂かれちゃいそうだったからであってだな……まだこの年で年貢は納めたくなかったってゆーか……ねえ?

でもよ?そんな俺もさっきまで地獄のほうがマシと思えるようなとんでもない悪夢を見てたせいでさ、心がスッゲー弱っちまったから、心の癒しが欲しいなーとか思ってたわけよ?

それはまぁ、普通に子犬モードのアルフを二時間ほど撫で繰り回して愛でるとか、フェイトの頭を撫でてワタワタと慌てふためく姿を二、三時間ほど見て癒されるとか、地球に帰って久遠と((一日中|・・・))たっぷりと戯れるとかの癒しで良かったんだ。

なのに、それなのにどうよ?

あの美の女神で有名なアプロディーテですら裸足で逃げ出すほどの、そこいらのチャチなアイドルなら「自分に自信無くしました」とか言って芸能活動辞めちまいそうなほどの美貌を持ったクール系美女、リィンフォースの……あのスイカ様を有してるグラマーなアルフを超えた、プレシアさんレヴェル(一尺玉級)の爆乳をこれでもかと揉みしだいたうえでそれを怒ってくるんじゃなく、涙を堪えて頬を恥ずかしげに赤く染めながら潤んだ瞳で懇願してくるんだぜ?

時間にしてたった三十秒ちょっとの出来事……でも、こんな可愛いところを魅せられちまったら……ねぇ?

 

つまり俺の今の気持ちを一言で表すならこれよ。

 

「お、おっ持ち帰りぃぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいッ!!!」

 

スゥパーフィーバータイムに突入するしかねえだろおぉぉぉおおおおおおッ!?

 

考えてもみろよッ!?あのリィンフォースの恥ずかしがる姿だぞッ!?プルプルと雨に打たれた子犬みたいに震えながら、涙で潤んだつぶらな瞳で見つめてくるんだぜッ!?これでテンションが俺みたいにならなかったら男としておかしいだろッ!?

ねぇそうだろ?なぁそうだろッ!?そうだと言ってよバー二ィィィイイイイイイイイイイイッ!!?

 

「ひゅえッ!!?///」

 

俺の脈絡の無さすぎるシャウトにリィンフォースは可愛らしい悲鳴をあげて驚く。

ちょっ!?おま「ひゅえ」ってなんだよ「ひゅえ」ってッ!?

あんたみたいなクール系美女のどっからそんな可愛らしい悲鳴がでるんだよッ!?こりゃ是が非でもTAKE OUTしてたっぷりと調べてや……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なぁぁぁぁにやってんだいアンタはぁぁぁああああああああッ!!!!!」

 

パアァァァァアアアアアアアアンッ!!

 

「えぶろっしゃあぁぁぁぁああああああああああああああッ!!!?」

 

風船が破裂したかのような快音と頬に伝わる鋭い痛みで、スゥパーな俺のフィーバータイム終了のお知らせ。

 

先程まで可愛すぐるリィンフォースのお顔を捉えていた筈の我が視界には背景が超高速で流れていくという滅多に拝めない(拝みたくない)景色が強制的に入ってきた。

そのまま身体もその勢いに乗って宙をきりもみ回転しながら重力に従って鉄の床を目指す。

 

ズドンッ!!

 

「ぼべッ!?」

 

後頭部から無様にも床に垂直落下した俺、目の奥がチカチカするとです。

床に大の字にねっころがる俺の視線の先には……惚れ惚れするほど綺麗なポーズで手を振りぬいたアルフがいました。

アルフの手の平からシューっとか音を立てて煙が上がってるのを見るに、俺は渾身の力で思いっ切りスナップを効かせた破壊力A(超スゴイ)のビンタをカマされたってわけか。

道理で滅茶苦茶痛いはずだよちきしょう、何だよこの、地獄→天国→大地獄って一度落として、上げていい思いさせてから、トコトン落とす構図は?

上げて落とすなんて生易しいモンじゃねえぞ、美人局が可愛く思えるぜ。

 

「フゥーッ!!フゥーッ!!フゥーッ…まったくッ!!ア・ン・タって男はッ!!怒るにしてもちょーっとやりすぎたかな?ってアタシがさっきのこと反省をして『目が覚めたらできるだけ優しくしてあげなきゃ?』って思ってたらこれだよッ!?目が覚めて直ぐにリィンフォースの胸を揉みしだくなんて……この、助平ッ!!!色情魔ッ!!!女の敵ぃッ!!!」

 

アルフは荒い息を整えると眉毛を八の字に曲げて交じりを吊り上げながら俺に怒鳴り散らしてくる。

つうか、おいッ!?あれがッ!!あのO☆HA☆NA☆SHI☆がちょーっとやりすぎたかな?ってレベルなわきゃねえだろッ!!?

一撃目で綺麗サッパリと意識飛んだかわりに((とんでもないモン|BADEND))延々と見せられちまったんですけどッ!?

マジで一生モンのトラウマレベルだったっつうのッ!!

 

「お、おまッ!?あれがちょっとなんてカワイーレベルなわきゃねえだろッ!!?おかげで俺の冷凍マグロ並みに((頑丈|タフ))な精神がブッ叩かれすぎてドロドロになっちまったネギトロの如くグチョグチョになっちまうようなとんでもないモン(悪夢)見ちまったわッ!!」

 

俺は赤い紅葉の刻まれた頬を摩りながら体を起こして見下ろしてくるアルフに文句を言ってやる。

だが、俺の反論がお気に召さなかったのか、アルフは鼻を鳴らしながら俺を見てくる。

 

「ハンッ!!そんなこと言って、どーせやらしい夢でも見てたんじゃないのかいッ!?もし仮に悪い夢だったとしても、そりゃアンタが手当たり次第に何人も女をたぶらかして、女心を弄んできたバチが当たったのさねッ!!自業自得だよ、この『ド助平』ッ!!!!!」

 

プッツン☆

 

アルフは腕を組んだままに、俺を睨んだ姿勢でとんでもない台詞をカマしてくれた……それが、その言葉が引き金となって俺の溜まりに溜まった怒りを爆発させる。

 

…ド…『ド助平』……だ……と…?……フ、フフフフ……そ、そそそそそそーんなこと言っちゃうのかい、アルフちゃんよぉ?

も、もうこりゃ……アレだな…………禅君カンッペキにプッツンしちゃったぞ♪

 

「……フ、フフフ、んなわけあるかぁぁぁああああああッ!!?さっきから黙って聞いてりゃあよくもまぁ、酷えことばっか好き放題言ってくれんじゃねぇか、えぇおいッ!!?お前俺を何だと思ってんのッ!?こちとら女をたぶらかした覚えなんざ微塵も無えよッ!!おまけに誰がド助平だごるぁぁあああああああああああああああああああああああッ!!?」

 

俺は内から溢れ出る感情の赴くままにアルフにたあっぷりの怒りを込めて怒鳴り散らす。

な、なんつー人聞きの悪い事を抜かしやがるかね、この狼っ娘はッ!?俺は普通の男子として正常に可愛いモンが好きなだけだっつうのにッ!!

あんま酷い事言ってると、終いにゃアレだよッ!?巷じゃ温厚で優しいって有名な禅君だってブチキレちまうぞコラァッ!!?

 

……この時、俺は余りの夢見の悪さと起き抜けのご褒美とも言える天国を味わってる最中にイキナリ顔をブッ叩かれた痛み、理不尽さといった三重コンボのストレスのせいで、頭がちっとも冷静になれてなかったんだ。

だから、アルフに言われたド助平だとか女をたぶらかしたってとこに過剰に反応して、怒って大声でアルフに初めて怒鳴っちまった……そう、アルフに、否『泣かせねえようにしなきゃと思っていた女の子』にありったけの怒気を向けちまったんだ。

その結果はもちろん最悪。

 

「ッ!?…ぁう………ぐっ…ぐずっ……ぅ……うぅ、ぅぅッ!!…」ポロポロポロポロポロポロ

 

俺の怒声を聞いたアルフはさっきまでの不機嫌な表情はどこへやら、ビクッと体を震わして…………顔をくしゃくしゃに歪めて、涙をポロポロと零し始めた。

いわゆるガチ泣きである、もうホントのガチ泣き。

ここでハッとした俺はアルフの涙と本気で悲しんでる顔を見て、俺は自分のやらかした最大級のバカさ加減にようやく気づいた。

 

「あ、あのぉ…アルフさ…」

 

「ひぐ、っ…ひっぐ、っう、えぇぇ……」ポロポロポロポロポロポロ

 

急いで俺は謝ろうとしたんだが、アルフは両手で顔を覆って声を震わせながら床に座り込んじまった。

そこには、いつも元気な使い魔としてのアルフの姿は微塵も無く、只、俺の言葉に傷ついて悲しみに暮れて泣きじゃくる『女の子』の姿だけだった。

これにはさすがにお茶を啜ってる場合じゃないと判断したのか、リンディさん達もかなり慌てふためいてる。

ってそんな外野のことはどうでもいいんだよ俺のクソ大バカ野郎ッ!!いくら酷い事言われたからって、守らなきゃいけねえ大事な女の子泣かすなんて何やらかしてんだよッ!!?

 

「す、すまんッ!!悪いのは俺なのに、お前に怒鳴るなんてどうかしてたッ!!ほ、本当にすまねえッ!!」

 

俺は頭を姿勢を正して思いっきり頭を泣きじゃくるアルフに向かって下げる。

両手で顔を覆って泣き続けてるアルフには見えないだろうけどそれでも俺は頭を下げ続ける。

それぐらいしか、誠心誠意謝るぐらいしか、クソ馬鹿な俺にできる事は無いからだ。

俺はアルフが泣き止んでくれるなり、怒ってくるなり、とアルフが何か反応してくれるまで頭を下げ続けようと思っていたんだが……

 

「ぐ、ぐすっ……ッ!!…」がばぁッ!!

 

「お、おわッ!?ア、アルフッ!?」

 

そのアルフは怒るでも、泣き止むでもなく、突然、頭を下げていた俺に抱きついてきた。

今は首に腕を回して俺の首筋に顔を埋めている……そのせいで俺にはアルフが今、どんな顔で泣いてるかが、俺には判らない。

 

「……ぐすっ……すん、っ…」

 

「ア、アルフ?……おい、どうしたんだよ?」

 

俺はワケがわからず、未だに俺の首に顔を埋めて泣いているアルフになるべく声を優しくして呼びかけるが、アルフは返事をしてくれない。

そして、俺の呼びかけに答えないまま、アルフはおもむろに首から顔を離して……

 

「…がぶッ!!」

 

「い゛ッ!!?」

 

思いっ切り歯を剥きだして、俺の首筋に力いっぱい噛みついてきた。

突き立てられたアルフの歯は難なく俺の皮膚に歯型を作って、更に皮膚を食い千切らんと食い込んでくる。

歯を突き立てられた首筋からじんわりと、染み込んでくるような痛みが俺の痛覚をじくじくと刺激してくる。

 

そ、そんなに怒ってんのかよッ!?どぉすりゃ許してく……

 

「ア、アルフッ!!貴様はゼンに何をしているんだッ!!?」

 

ここで、さっきまでハァハァと荒い息を吐いて放心していた筈のリィンフォースが焦りと怒りを含んだ声で俺達に詰め寄ってきた。

その声音は今まで怒りという表情を見せなかったリィンフォースがはっきりと怒っているのが付き合いの短い俺でもわかるぐらいに怒りに満ちていた。

だが、アルフはリィンフォースの怒りの声を無視して俺の首筋を噛んだ口を離そうとはしない。

さすがに首の痛みが限界だった俺もアルフの肩に手を添えて押し返そうとしたんだが……

 

「ぅ、ううぅぅぅぅぅッ!!」

 

リィンフォースが近づいてくるのを気配で感じたのか、俺にしがみついてるアルフは泣き声をだしながら俺に噛みついていた。

しかも、俺が肩に触れると俺に噛みついたまま、首をイヤイヤと左右に振ってくる。

なにがあっても、俺を離すまいと、俺に抱きついてる腕にも首に噛みついてる歯にも力が更に篭る。

その声を聞いた瞬間、首の痛みなんざ綺麗サッパリとフッ飛んで、ポロポロと涙を流しながら顔を悲しそうに歪めて俺を噛んでいるアルフの姿が顔を見なくても俺には想像が浮かんできたんだ。

 

……あぁ、くそっ…そーゆうことかよ……

 

「貴様ッ!!いい加減に……」

 

そして、俺の首に顔を埋めたままイヤイヤと首を左右に振るうアルフを見たリィンフォースは顔を怒りに染めながら俺からアルフを引き剥がそうと手を伸ばしてくる。

 

だが……

 

「ま、待った……いでで…ちょい待ってくれ…」

 

俺はリィンフォースに手をパーの形で広げてストップをかける。

この問題は今のアルフを俺から引き剥がすだけじゃダメなんだよ……

 

「ッ!?ゼ、ゼンッ!?何故止めるんだッ!?噛まれているのだぞッ!!」

 

まさかやられている本人から待ったがかかるとは思っていなかったんだろう。

リィンフォースはさっきまでの怒った顔から一転して驚きを表してる。

 

「まぁ、いいからいいから……な?」

 

「だ、だが……」

 

皮膚に歯が食い込むのを耐えながら俺はリィンフォースに笑いかける。

そのまま、困惑するリィンフォースから視線を移して、俺は未だにぐずりながら噛みついてるアルフの頭を優しく撫でる。

 

「ッ!?」

 

そうすると、アルフはピクッと体を震わせて歯に力を込めるのをやめてくれた。

相変わらず首に噛みついたままだが、体の方は俺に撫でられるがままに大人しくなってる。

 

「あー…アルフ?…その……本当にゴメンな?…怒鳴ったりしてよ?……さっきは気が立ってたっつうか、なんつーか……と、とにかくだ…俺はアルフのことが嫌いになったから怒鳴ったとか、そんなわけじゃねえからよ……お前の気が済むまで好きなだけ噛んでていいからよ……落ち着いたら泣き止んでくれねえか?…お前が泣いて悲しんでるのは俺も辛いからよ……な?」

 

俺はなるべく気持ちが伝わるように優しくアルフの頭を撫で続ける。

すると、しばらくそのままだったアルフがゆっくりと俺の首から口を離して、今度は俺の胸に頭を預けてきた。

まだ、声はぐずってるけど今はもう落ち着いたのか、また噛みつこうなんてそぶりは見せてこない。

そのまま撫で撫でしていると、アルフは涙まみれの顔を上げて、恨みがましそうな視線で俺を見てくる。

 

「ぐずっ…ぅうッ…な、なにさなにさ……こん、な…こんな時、ばっか、り優しくするなんて……ずるいよ……あん、たがさっきか、ら……ず、ずっとリィ、ンフォースにばっか…ひっく……構って、るのが悪いんじゃん……か、ぁ……ア、アタシ…ぐすっ…だってねぇ……ぇぐっ……『女』なん、だよ?……いつ…までも…ぐすん…他の((女|メス))に…ばっか、り…構ってて……ァ、アタシだ…って…放って置かれたら…ぅくっ…や、妬き餅だって…………妬い、ちゃうんだよ?///」

 

そう言ってアルフは頬を赤く染めながら俺の胸元でぐずぐずと文句を言ってきた。

……なんつうか……ちくしょう、もう滅茶苦茶可愛いぜ、この娘。

リィンフォースやフェイトとはまた違った可愛さがとても俺の萌え心を擽ってきやがる。

 

「あ、あぁ……本当に悪かったな……反省してる」

 

胸元にアルフがいて頭を下げれないので、俺は代わりに頭を撫でたまま目線で謝る。

 

「……じゃあ……もうしばらく、このまま撫でてくれるかい?///」

 

そう言って上目遣い+涙目で俺を見上げてくるアルフは……反則的に可愛いかった。

そんなウルウルした目で見られたら……どんな無茶な注文でも構わずホイホイ請け負っちゃうじゃねえか、ちくしょう。

いや、むしろ撫でさせて下さいって感じだ。

 

「……オ、オーライ、それぐらいお安い御用だ///」

 

OKの言葉と共に、俺は赤くなりそうなのを必死で我慢しつつ、アルフの肩を左手で抱いて右手で頭を優しく撫でてやる。

 

「…………えへへ///」

 

俺が一撫でしていく度に、アルフの顔から不機嫌さと悲しさが抜けていき、最後は笑顔になってくれた。

やれやれ……ようやく機嫌を直して頂けたようで……良かった、良かった。

アルフがなんで俺に噛みつくなんて行動に出たかっつうと……要はなんというか……アルフは……まぁ、癇癪を起こしたわけだ。

自惚れかも知れねえが…………自分だって構って欲しいのに俺が他の娘にばかり構って放って置かれたから俺に怒った。

それを怒ったら逆に俺に怒鳴られて、ビックリして構ってくれない悲しい気持ちと怒りがごっちゃになって爆発したんだろう。

前にアルフが言ってた年齢が本当だとすりゃ……アルフの精神年齢は本当はかなり幼いんだろうな。

まぁ、つまりは感情に抑えが効かなくなった結果、今みたいに爆発してしまったということだ。

周りの皆も、アルフの幸せそうな笑顔に安堵したのか、各々がふぅ〜っと息を吐いて緊張を解いていく。

 

……まぁ、でも一人だけ……

 

「む、むむ……」

 

なんか、リィンフォースだけ納得いかないって顔をして唸ってるんだが……なして?

つうか、この場にフェイトがいなかったのが今思えばとてもありがたいぜ……間違いなくさっきの(リィンフォースの胸を掴んだ)が見られてたらブッタ斬られてたね、うん。

んで、今この状況を見られたら間違いなく、BAD ENDならぬDEAD ENDになるんだろうな………

と、とりあえずこのままアルフを撫でるのは一向にかまわないんだが……アルフは成人女性、それもかなりのスタイルを保持している。

つまりは……ちょ〜っと小学生の僕チンには…『荷が重い』とゆーか……せめて体勢を変えたいです…こう、アルフが床に寝そべる感じで上半身だけ俺に抱きついてるから……体重が掛かって…支えきれません。

いや、まぁ普段なら余裕なんだが……今日は精神的にも肉体的にも疲れが溜まってるとです。

 

「あ〜アルフよ?ちょっといいか?」

 

俺の胸元でなんか幸せいっぱいって顔をしてるアルフに俺は声を掛ける。

 

「〜♪///…え?」

 

「えっとな?ちょ〜っと一旦、離れ「嫌だよッ!!」て……ゑ?」

 

あ、あれ?おかしいなぁ?

なんでアルフさんはそんな膨れっ面をなさってるんでせう?

俺まだ理由すら言ってねえんだけど?……と、とらいあげいん、逝ってみよー。

 

「あ「ヤダッ!!」……」

 

最初の一文字で遮られちまったい。

どうしてこうなった?

 

「アルフッ!!ゼンが困っているだろうッ!!早く離れるんだッ!!」

 

と、俺が頭を抱えて悩んでると、さっきまで黙っていたリィンフォース参戦。

さっきまでの納得いかないって顔はどこへやら、また顔が怒ってるぜ。

いや、確かに困ってるけどそんな強く言わなくても……しかも別に早くなくてもいいんですが?

 

「ヤダヤダヤダッ!!まだ全然撫でてもらってないんだから離れるなんて嫌だよッ!!アタシが満足するまでは絶対に離れてやるもんかーッ!!」ギュウゥゥゥウウッ!!

 

アルフはそう言って、再び俺に抱きつく力を上げる。

俺の耐久力なんてお構いなしに。

 

ギリギリギリギリッ!!

 

ちょっ!?加減をしてくれッ!!そんな力込めたらあばばばばばばばばばばばばばッ!?

な、内臓がッ!?新鮮なモツがでちゃううぅぅぅううううううううッ!!?

 

だが、そんな悶絶状態の俺をお構い無しに、リィンフォースとアルフの言い争い?はヒートアップしていく。

俺のことなのに当事者そっちのけっておかしくねッ!?

 

「わ、我儘を言ってゼンを困らせるんじゃないッ!!」

 

まずリィンフォースは正論を述べてアルフを諭そうとするが、アルフは俺に抱きついたままの姿勢でドヤ顔でリィンフォースを見返した。

 

「ふーんだッ!!アタシとフェイトはねぇ、ゼンに何でもお願いを聞いてもらうって約束をしてるんだよッ!!だから我儘言ったっていいのさッ!!」

 

「ぐッ!?た、確かにそれはさっき聞いたが……しかし……」

 

「それにリィンフォースはさっき呼び捨てで呼んでもらうってお願いを聞いてもらったばっかりじゃんかッ!!」

 

「うッ!?だ、だが……」

 

ここで持ち出された「お願いを既に聞いてもらってる」という事実を突きつけられたリィンフォースは二の句が告げなくなった。

 

「大体ッ!!アタシとフェイトはゴタゴタしててずーっと先延ばしになってたんだから、これぐらい甘えたって当然の権利さねッ!!」

 

「む、むむ……」

 

最後にまだ約束が果たされて無いという話が出ると、リィンフォースは言葉を詰まらせ押し黙る。

いや、確かにお願いを聞くって約束はしたがよぉ……あっるえ?まさかの上限無し?……ヤバくね?

オマケにアルフさんや?これが当然の権利かよ……

と、とにかく話が止まったとこで割って入らねえとッ!!このままじゃ余計こじれるッ!!

つうか、このまま力入れられたら間違い無くモツ煮の材料が出ちまうぞッ!!?

 

「ア、アルフッ!!違うってッ!!俺が言いたいのは、そ、そうじゃなくてだな……」

 

俺が会話に割って入ると、アルフは?を頭に浮かべて俺に視線を向けた。

 

「?…じゃあ、なんなんだい?」

 

「あ〜あのよ?……体勢を変えてぇんだ」

 

やっと目的の言葉を伝えることはできたがアルフはその意味が解らなかったのか、更に首を傾げる。

さぁ、ここでワケの説明の仕方を間違えたらボコられるぞ?橘禅?焦らず、気合を入れて、そんで発言には細心の注意を払え。

しっかりとアルフの言葉に対する反応を『見る』んじゃなくて『観る』んだ…アルフの心の声を『聞く』んじゃなくて『聴く』んだ。

ジョー・モンタナの投げるタッチダウンパスの様に正確にアルフと会話のキャッチボールをプレイしねえとヤラれるぞ。

 

「情けない話なんだがよ……俺ぁ今、精神的にも肉体的にも疲労がマッハでピークなわけで……波紋を練る力も残ってないッス……だから、まぁ、今の体勢でアルフを支え続けるには限度があってだな…」

 

あくまでも、俺の体が現在弱ってるということで説明していく……『アルフが重い』なんて言った日にゃそれこそ間違いなくボコられるだろう。

女性に『重い』は禁句ワードらしいからな。

アルフならそこまで気にしないかもしれんが……念のために注意しておかなきゃな。

俺が懇切丁寧にワケを話すとアルフは納得がいったのか、したり顔で頷いてる。

 

「あーッ確かにね……良かったぁッ!!もしこれでゼンに『重いから』なぁんて言われたら……」

 

……言われたら?

 

「『月まで』ブッ飛ばしちゃうところだったよ♪」

 

アルフは満面の笑顔でかなりおっかないキーワードを呟いてくれやがった。

 

訂正ッ!!訂正ッ!!訂正ッ!!

 

アルフにも重いは禁句中の禁句ワードだったみたいだぜぇ……しかもあーた、月までって……

もし間違えてたらボコられるどころか、命がなかったぞ俺。

 

「んー…でも、ゼンから離れたくないしなぁ………あっ、そうだッ!!こうすりゃいいんだよッ!!♪……フゥゥ…」

 

怯える俺の横でなんか難しい顔をしていたアルフは何やら思いついたのか、俺に抱きついたまま目を閉じて何かに集中し始めた。

そして、アルフの集中を表すかのごとくオレンジ色の魔法陣がアルフの足元に浮かび上がる。

すると…………

 

パアァァッ!!

 

「うおっまぶしッ!!?」

 

いきなり、俺の腕の中にいたアルフが眩い光を放ちだした。

つうか、マジで眩しいんですけどッ!?だれかグラサン持ってねーかッ!?

そして、十秒ほどして光が収まると其処には……

 

「えへへ///……新形態、子犬フォームの人間形態さ///♪」

 

なんかなのは達と同じぐらいの身長になったアルフが俺の腕の中にスッポリと収まっていた。

 

……自慢げなトコ悪いけどよ………びふぉー、あふたーってレベルじゃねえぇぇぇえええええええッ!!?

 

俺は余りにも唐突な変化に開いた口が塞がらなかったが……皆も唖然としてるということは誰も知らなかったってことだよな?

……しっかし…新形態、子犬フォームの人間形態って……長くね?普通に子供フォームでいんじゃね?

 

「どう……だい?///ゼン……この姿になるのは初めてなんだけど……ア、アタシ、変じゃないかい?」

 

と、俺がアルフの子犬フォーム?について考えていると腕の中のアルフがモジモジしながら不安げに聞いてきた。

いや、なんていうかもう……ねぇ?

やっぱ普段とのギャップがあり過ぎて…………んで、そのつぶらな瞳の上目遣いで見つめられたりしたらもう……

 

「……メッチャクチャ可愛いッス…///」

 

ぐらいしか言えねえよなぁ、ちくしょう。

あぁ、ダメだ。アルフが可愛いすぎて生きてるのが辛い。

顔が熱い、頬に血が集まって、赤くなるのが止めらんねえぜッ!!

 

「ッ!?///それ、ほ、ほんとかいッ!?///う、嘘じゃないだろうねッ!?嘘だったらその……ブ、ブッ飛ばしちゃうよッ!!?///」ウルウルウル

 

なんということでしょう〜上目遣いに涙と子犬のようにプルプル震えるオプションが追加されました。

 

ゴッパァアァアァァアアッ!!!?(魂の吐血)

 

YA☆ME☆TE☆!!俺のライフはもうマイナスよッ!!?

これ以上はホントに耐えられますぇぇぇぇぇぇぇんッ!!!!?

 

「ほ、ほんとだってッ!!その……かなり、可愛いっつーか……ちくしょう、可愛いすぎるぜベイビー///」

 

だぁーーーーッ!!?何言っちゃってんだ俺ッ!?こっ恥ずかしいにも程があんぞ、ちくしょうッ!!

なんでこんな大勢の前でアルフを抱きしめたまんまラブコメらにゃいかんのじゃーッ!!?

 

「ッ!?そ、そそそそっかーッ!?///か、可愛いんだね、アタシは……ア、アハハハッ!!///…………か、かかかかかかなり……ゼンがアタシの事…か、かなり可愛いって……え、えへへ?♪///ゼン〜?♪♪///」コテン スリスリスリ

 

やっと俺の言葉を信じてくれたアルフは、なんか尻尾を左右にパタパタと振りながら目を閉じて、もう幸せいっぱいって顔で俺に抱きついてる。

しかもいつもみたいに力いっぱい抱きつくんじゃなくて頭だけを俺の胸に預けるように優しくだ。

極めつけには甘えん坊の子犬様が大好きなご主人様にマーキングするようにその幸せいっぱいの笑顔を俺の胸板でスリスリと擦りつけてらっしゃる。

俺は今この腕の中にいる可愛さMAXのアルフを離せなかった……アルフの笑顔に見惚れちまったんだ。

あぁもう、コイツ本当に可愛いなぁおいッ!!?俺はどうしたらいいんだよッ!!?

誰か教えてプリーズッ!!?

 

 

今、会議室にはこの二人を中心に桃色の空間が形成され、そこらじゅうにハートが飛び交っていた。

 

 

ゼンとアルフの抱き合ってる姿をギャラリー中の皆様(念話LINE)↓

 

(……な、なんというか……凄まじいな、ヴィータ……)

 

(……割って入れる気がしねぇ…ドンだけ甘ぇんだよ、あそこの空間は…)

 

(…あぁ、まったくだ……ところで、リィンフォースはどうしたんだ?先程から姿が見えんが……)

 

(…………)

 

(?…ヴィータ?)

 

(……リィンフォースならあそこだ……でも、シグナム…絶対に目を合わすな)

 

(…?…何を言っ……なあッ!?)

 

シグナムが何気なく向けた視線の先には……

 

(…………)

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……………………

 

そこには闇の書の闇を遥かに越えそうな黒い威圧感に包まれたハイライトの無い瞳のリィンフォースが二人を見て佇んでいた。

ぶっちゃけ、ここにいる全員を集めてもアースラぐらいなら余裕で制圧してしまいそうな感じだ。

 

(ヴ、ヴィータッ!?あれは一体……)

 

(バカッ!!目を合わせるなよッ!?今のリィンフォースの機嫌を小指の甘皮ほどでも損ねてみろッ!?アタシ等、アースラごと宇宙の塵になっちまうぞッ!?)

 

(だ、だが何故あれほどまでに怒っているッ!?それどころかまた闇の書の闇に飲まれたかと思ったぞッ!?)

 

(アタシに聞くなよッ!!…多分だけど……大方、あそこであそこの二人がイチャついてんのが気にいらねえんじゃねぇの?)

 

(それだけであそこまでの威圧感が出せるものなのかッ!?ハッキリ言って、今のリィンフォースなら一人でもあの防衛プログラムを圧倒できたんじゃないかと思える程の威圧感だぞッ!!?)

 

(だからアタシに聞くなってのッ!!ア、アタシだってそんな経験ないんだからわかるわけねぇだろッ!!?///)

 

(そ、そうだったな……と、ともかくッ!!主はやての身の安全が第一だッ!!ザフィーラ、いざという時のために主はやての傍に……ザフィーラ?)

 

(……おい、ザフィーラ?)

 

返事が無いので、ヴィータとシグナムが下を見てみると……

 

(見るんじゃない、見るんじゃない、見るんじゃない、見るんじゃない、見るんじゃない、見るんじゃ……ブツブツ)

 

床に伏せて前足で耳を塞いで目を確りと閉じたザフィーラの姿が……

 

((まだやってたのかぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああッ!!?))

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

(うぅ、なんだろう?なんか口の中がやけに甘く……ってどうしたのなのはッ!?)

 

ユーノの視線の先では会議室の脇で壁に手をついてるなのはの姿が……

 

(だぱーーーーーーーーーーー……けぷっ)

 

(は、吐いたのかいッ!?大丈夫ッ!?)

 

(ふぇ?…あぁ、ユーノ君。心配してくれてありがとうなの♪)

 

(い、いや///それは当然のことだからいいとして……き、気分でも悪いの?医務室まで付き添うよ?)

 

(にゃはは…心配してくれてありがとう……で、でも大丈夫ッ!!ちゃんと全部出したから…『砂糖』を♪)

 

(あっ、そうなの?なら安心だね………って『砂糖』ッ!?)

 

慌ててユーノが覗きこむと、そこにはキラキラと光る一山の白い粉が……

 

(…?どうしたのユーノ君?)

 

(いやいやいやいやいやッ!?そんな「何を当たり前の事で驚いてるの?」みたいな顔されてもッ!!?)

 

(え?でも、ウチの学校じゃ皆出してるよ?砂糖)

 

(なのは、学校転校したほうがいいんじゃないかいッ!?おかしいでしょ砂糖ってッ!?)

 

(えぇッ!?それってアリサちゃん達とお別れしろってことッ!?ひ、酷いよユーノ君ッ!?)

 

(おっかしいなぁッ!?さっきから会話が全然噛み合ってないよ、なのはッ!?……じ、じゃあフェイトも砂糖を口から出したりしてるのかい?)

 

(ううん、フェイトちゃんは出してないの)

 

(あっれえッ!?)

 

(むしろ出しちゃう原因……かな?)

 

(フェイトに一体何がッ!?)

 

(う〜ん…でも、全部の原因は禅君だと思うの……いやむしろ禅君しか有り得ないの)

 

(ゼンって本当に何者なのッ!!?砂糖を口から出す原因がゼンってどういうことなのさッ!!?)

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

(…大丈夫?はやてさん?)

 

リンディの視線の先には車椅子に座ったまま砂糖を床に盛大にブチ撒けているはやての姿があった。

声を掛けているリンディも口元を抑える手からサラサラと白い粉が少しばかり出ている。

 

(だぱーーーー…けほっ……だ、大丈夫です、リンディさん…しっかし、禅君も中々の女ったらしやなぁ…リィンフォースの次はアルフさんて……手が早いとかっちゅーレベルちゃいますよ?)

 

(あの……はやてさん?そのリィンフォースさんなんだけど……)

 

(へ?リィンフォースがどうかし……はぁあああああああああああああああああああああああッ!!??)

 

(…………)

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……………………

 

そこには闇の書の闇を遥かに越えそうな(ry

 

(な、なななななななななな、なあーーーーーーーーーーーッ!!!?)

 

(……どうにかなだめてもらえないかしら?主であるはやてちゃんの言葉ならリィンフォースさんも聞いてくれると思うの……他の人が近づいたらケシ炭になりかねないし…)

 

(む、無理無理無理無理無理無理ッ!!うち一人じゃ絶対無理ですってぇーーーーッ!?せ、せめてプレシアさん、付き添って……)

 

(ごめんなさいはやてちゃん、私もまだフェイトとアルフを残して逝くわけには……)

 

(断るの早ッ!?完全な死亡フラグっちゅー事ですかッ!!?)

 

(……はやて)

 

(ク、クロノさん……付き添ってくれるんですか?)

 

口の端から砂糖を少しづつ零しているクロノは、はやての肩に手を置いて優しく微笑みかけながら……

 

(世界はいつだって……こんなはずじゃないことばっかりなんだよ?)

 

(諦めろっちゅー事ですかッ!!?)

 

少女に死刑宣告を下した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

禅が起きてからたった五分以内に静粛だった会議室は甘〜い空気、黒〜い空気、コメディ〜な空気が混合された((混沌|カオス))と化していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

なお、ゼンの起きた場所からはちょうど見えない位置にいる((三人|・・))の男女は……

 

 

 

 

 

 

 

(……どうするよ?この空気?…とりあえず話しかける?…管制人格以外に……)

 

(……もう少ししてから声をかけましょ…管制人格以外に…それでよろしいでしょうか?父様?)

 

(…そ、そうだな…もう少ししてから声を掛けよう……管制人格の彼女以外に……)

 

 

 

 

 

満場一致でリィンフォース(ダークフォース)にビビッてた。

 

 

 

 

 

 

 

説明
第23話〜俺がいるトコ、それ即ちカオス
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コメント
大 好 物 で…いやいや、フェイト様?冗談ですからそのプラズマザンバーブレイカーを消して頂けません?え?無理?ですよねー♪ (piguzam])
いえ全部面白かったですよ・・・ただこの話は自分のなかで一番気に入りなったのです。 最後に禅・・・君は巨乳好きかい?(モリオ)
ありがとございますwwwあれ?今回はってことはいままでは?...あっるえ?(汗)(piguzam])
初めましてモリオです。今回のお話は結構お気に入りましたのでコメントに書き込みました。 次の更新も頑張ってください(モリオ)
本当はフェイトもリィンも優しい娘なんですが禅がスケベすぎましてwwwまぁこの二人はそこまで制裁させませんのでwww(piguzam])
ヤンデレ苦手ですが作品は好きです。もしヒロイン増えるなら、ヤンデレ化も制裁(暴行)もしない心の広さと余裕(自信)を持った今までにないヒロイン見たいです。(hikage961)
なんか今回の冒頭ヤンデレ好きに受けがいいな、おいwww(piguzam])
ヤンデレ好きな俺得な回でしたwww(ナハト)
三個?砂糖(クリーク)三個も欲しいのか?いやしんぼめwwwよろしい、ならば砂糖(クリーク)だ!ヽ| ・∀・|ノ一心不乱の大量砂糖(クリーク)! だ!!(piguzam])
砂糖(クリーク)! 砂糖(クリーク)! 砂糖(クリーク)!(日隠 夜行)
中々に禅のブッ血kill希望が多いwww砂糖ですか…まだ欲しいのか?いやしんぼめwwwよろしいならば砂糖だwww(piguzam])
増えて修羅場が増えるのも有りだと思った(笑)ここまで砂糖が放出される小説は久しぶりです。これからも修羅場と砂糖をお願いします!!(螺子)
難しいトコなんですよねぇ…Strikersへの介入の仕方で変わってきちゃうので…まぁ、もし増えたら確実にブッ血killルートですがwww(piguzam])
えっ、多分なの!?ねぇ!?そこはっきりして!?お願いだから!!そうしないと禅の命が無くなるよ!(kaito)
そうやって二つの思いが交差してあれ〜?ってなって頂くのが俺の真の 目 的 で すwww(piguzam])
クソッ!爆発しろと羨ましがる俺と俺じゃなくてよかったと安心する俺がいる・・・!(匿名希望)
多分、無いですねwww(piguzam])
素直に爆発しろとは言えないけど……まぁがんばれ、ところでこれ以上ヒロイン増えるの?(kaito)
皆様お待ちかねの 修 羅 場 ですwww(piguzam])
禅君、久遠に癒してもらうんだ。……アルフも連れてネ!(T4号)
初コメありがとございますwww処女作なんでおかしいとこ多アリですが頑張って逝きますwww(piguzam])
どうもコメント書き出させてもらったたかBですぅ。イヤーいい感じで三角というか混沌関係になって面白そうですね。自分も書こうかなと思うんですけどラブ率が少なくて。piguzamさんの作品を見ると面白いです。これを見て自分の方も書いていこうと思います(たかB)
フェイトたんの行方は次回!!ぶっちゃけこれ以上ヒロイン増えたら禅君BADEND一直線ですからwww(piguzam])
そういや、フェイトさんどうしたんだ? 姿が見えないのが怖いんだが。 カリムを堕落すの無しですか。カリムヒロインってあまりみないし残念無念(´・ω・(tububu12)
それはないです(キリッ)(piguzam])
あれですね、ゼンはStrikers入ったらナンバーズもしくはカリム辺りも堕とすんですねww(茶漬け漬茶)
?「「逃ガサナイカラ?」」ゼン「一人増えとるッ!?ギャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!」間に合いませんでしたwww(piguzam])
自分では当社比4倍増しぐらいでやらかしたつもりだったんですがwww(piguzam])
今回はって言ってますけどいつも通りじゃないですか?(茶漬け漬茶)
いいえ、ケフィア(と書いて正常と読む)ですwww(piguzam])
BAD ENDが少し羨ましいと思った自分は病気っすかね。(青髭U世)
1!……あれ?1ってどっち?ww(piguzam])
も、もちつくんだ。こういう時は素数を数えるんだ! (おれんじ)
くけけけけけけけけけけけけけけけけけけけけッ!!!www(piguzam])
なんだよこれ・・・はっそうだ、これは夢なんだっKOOLになれ橘禅!!KOOLだ!(tiruno9)
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