魔法少女リリカルなのは〜原作介入する気は無かったのに〜 第二十話 転校生は三人目。そして四人目も……
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 「???何だか教室が騒がしいな?」

 

 学校に登校し自分の教室に近付いてきた時、何やら教室の中がざわついていた。

 

 「だね。何かあったのかな?」

 

 「中に入って誰かに聞けばよかろう」

 

 「ですね。ユウキ、早く入りましょう」

 

 「そうだな……おは〜」

 

 ガラガラと教室のドアを開ける。教室の中にいた連中はこっちを向き挨拶を返してくれると再び雑談に戻っていった。

 

 「おはようございます。何やら騒がしいですけど何かあったのですか?」

 

 俺が誰かに聞こうと思った質問をシュテルが近くの男子に聞いていた。

 

 「おはようございますシュテルさん!実は今日、このクラスに転校生が来るらしいです!!(うおおおおおおっっっ!!!シュテルさんに話し掛けられた!!今日はなんてツイてる日なんだ!!!)」

 

 「そうなのですか?分かりました。ありがとうございます」

 

 シュテルに聞かれた男子は雑談を交わしていたもう一人の男子との会話を中断し、質問に答えていた。

 

 「ユウキ、ざわついてる理由が分かりました」

 

 「いや、こっちにまで聞こえてたから」

 

 さっきシュテルの質問に答えていた男子の声のボリュームは相当だった。

 何つーかメッチャ元気だね、彼。しかもやたら嬉しそうだし。

 何か良い事でもあったのか?

 

 「そりゃ、天使の一人に声を掛けられたんだ。テンションを上げるなという方が無理だと思うがね」

 

 振り返るといつの間にか謙介がいた。

 …いたのか謙介。てか人の心を読むな。

 

 「ただ…見たまえ」

 

 謙介が指を差すのでその方向を見ると

 

 「「「「「「「「「「断罪する!!!」」」」」」」」」」

 

 「お、俺から話し掛けたんじゃない!!話し掛けられたんだ!!」

 

 「「「「「「「「「「問答無用!!!」」」」」」」」」」

 

 「だ…誰か、助け…助けて………ぎゃあああああああっっっっっ!!」

 

 さっきの男子が教室から連れ出され、その直後に断末魔の叫びが聞こえてきた。

 

 「……彼に罪は無いだろうに」

 

 「シュテルさんと話せたんだ。彼も心残りは無いだろうさ」

 

 相変わらずの我がクラスだった………。

 

 

 

 「で、転校生が来るってのはマジなのか?」

 

 とりあえず自分の席に着き、前の席に座る謙介に話を聞く。

 

 「それは本当みたいだよ。今朝、教頭先生に連れられて見知らぬ子が職員室に入っていったのを何人かが目撃してる」

 

 「それだけで何故このクラスだって分かるんだ?」

 

 「教頭先生が我がクラスの担任に紹介していたらしいからね。『今日から君のクラスに入る転校生ですよ』って」

 

 成る程な。それでこのクラスに来ると分かっていたのか。

 

 キ〜ンコ〜ンカ〜ンコ〜ン…

 

 「おっと予鈴が鳴ったね。まあどんな子が来るか楽しみにしていようじゃないか」

 

 謙介が前を向いたので会話を終了し俺も1時間目の授業の準備をし始めた。

 それから本鈴も鳴り、すぐに((担任|ロリコン))がやってきた。

 

 「お前等席に着けー。出欠取るぞー」

 

 出欠を取り、今日の連絡事項を伝えていく((担任|ロリコン))。

 入ってきたのは((担任|ロリコン))だけ。転校生らしき子はいない。おそらく廊下で((担任|ロリコン))に呼ばれるのを待っているのだろう。

 

 「…以上だ。それともう一つ、今日からこのクラスでお前等と過ごす仲間が一人増える」

 

 その言葉に再び教室がざわつき始める。

 

 「せんせーい。転校生って男子ッスか?女子ッスか?てか女子を希望するッス」

 

 一人のクラスメイトが手を上げながら質問する。だが希望ってお前…。

 他の男子達も『俺も』『俺もです』と声に出し、クラスの女子達は冷めた目で男子達を見ている。

 しかしその質問を聞いた((担任|ロリコン))の表情は見る見る内に険しいものになっていき

 

 「…………チッ」

 

 「「「「「「「「「「舌打ち!!?」」」」」」」」」」

 

 思わずクラス全員が同じセリフを叫んでいた。

 

 「今呼んでやるから待ってろ。……おい、もういいぞ。入って来い」

 

 テンションも低くやる気の感じられない声で扉の向こうで待っているであろう転校生を呼び寄せる。

 その態度で俺…いや、クラスの全員が理解した。

 

 「「「「「「「「「「(転校生は男子かよ(なんだ))」」」」」」」」」」

 

 そうでなければ((担任|ロリコン))のテンションがここまで低い筈が無いしな。

 でも舌打ちは駄目だろ舌打ちは。アンタ教師なんだからよ。

 そしてガラガラと扉が開き、一人の男子が入ってくる。

 

 黒髪黒目で顔は童顔。

 身長は俺と同じぐらい。

 ただ普通の子供と違いやけに大人びている様な感じがする。それに…

 

 「《ユウキ》」

 

 ディアーチェからの念話が入る。

 

 「《あの転校生、((魔力|・・))が有るぞ》」

 

 「《ああ、気付いてる》」

 

 転校生の彼からは魔力を感じる。

 

 「《もしかして管理局の魔導師か?》」

 

 「《いや、俺に聞かれても…。だけど管理局の魔導師とまだ決めつけるのは早いな。ひょっとして魔法の事自体知らない一般人かもしれないし》」

 

 「《確かにそうだな》」

 

 …彼の魔力量は大体Aランクぐらいか。

 

 「とりあえず自分の名前黒板に書いて自己紹介しろー」

 

 ((担任|ロリコン))にそう言われ転校生は自分の名前を書いていく。

 おい((担任|ロリコン))。名前ぐらいは書いてやれよ。

 自分の名前を書き終えた転校生は再び俺達の方を向き

 

 「僕の名前は((大槻|おおつき))((亮太|りょうた))といいます。趣味は囲碁と散歩です。少しでも早くクラスメイト皆さんの顔と名前を覚えられる様努力しますので宜しくお願いします」

 

 ペコリと頭を下げ挨拶する転校生、大槻君にクラスの皆から拍手が送られる。

 

 「という訳でお前等の新しい仲間だ。学校に慣れるまでちゃんと面倒見てやれよー」

 

 ((担任|ロリコン))の言葉に『はーい』と返事をするクラスメイト一同。

 …特に女子の方が元気良く返事をしているが。

 

 「先生、僕の席は何処ですか?」

 

 大槻君は自分の席が何処なのかを((担任|ロリコン))に聞いている。

 

 「大槻の席は小僧の後ろだ。おい小僧」

 

 ((担任|ロリコン))が不意に俺を呼ぶ。

 

 「空き教室から机と椅子を持ってきてやれ」

 

 「……それぐらいはいいですけどアンタはいい加減俺の事名前で呼べないのですか?」

 

 「黙れ!貴様の様な羨ましい環境で生きてる奴なんぞ小僧で充分だ!!」

 

 ハア〜。ホントにこの((担任|ロリコン))は…。

 俺は溜め息を一つ吐いた後、空き教室に机と椅子を取りに行った………。

 

 

 

 少し時間は飛んで昼休み。

 給食を食べ終えた俺に今日からクラスメイトになった大槻君から声を掛けられる。

 

 「少しいいかな?」

 

 「ん?どうしたんだ?何か困った事でも?」

 

 「折角席が近くになったから少し話でもしたいなと。…休憩時間は他の人達が質問に来てたからさ」

 

 確かにクラスの皆が大槻君に群がっていた。転校生にはお約束の質問攻めだ。

 しかも質問しているのは女子ばっかりだった。質問しようとする男子達を押しのけて横から割り込んで来る。

 納得はいくがな。大槻君の容姿はイケメンの部類に入るだろうから。

 そんな女子達に囲まれているのを見た男子達は早速彼に敵意を持ち始めていた。そして((担任|ロリコン))は殺意を。

 

 「いいけど」

 

 「良かった。じゃあさ、ちょっと場所を変えないかな?また他の人が質問にきたら話せなくなりそうだし」

 

 確かに。今は皆給食を食べているから誰もこっちに来ない。大槻君も既に食べ終わっているため話をするのには問題無いだろう。

 

 「じゃあ屋上にでも行くか?」

 

 「場所は君に任せるよ」

 

 彼の返答を確認し俺と大槻君は教室を出て屋上に向かうのだった………。

 

 校舎の階段を上り屋上への扉を開ける。

 俺達二人以外に人の気配は無い。

 

 「良かった。他に誰も居なくて」

 

 ホッと一息吐く大槻君。誰も居ないのに安心してるなんて他の人には聞かれたくない話でもするのか?

 初対面の俺に?

 そんな事を考えていると

 

 パチンッ

 

 「っ!?」

 

 彼が指を鳴らすと同時に結界が張られた。防音、認識阻害、そして人払いの結界か…。

 結界の効果を冷静に分析していると

 

 「ストレートに聞くけど君、魔導師だよね?」

 

 大槻君の開口一番からそんなセリフが飛んできた。

 

 「…ホントにストレートだな」

 

 「回りくどい聞き方したって仕方無いしね」

 

 呆れた表情をしながら言葉を返した俺に苦笑しながら答える大槻君。

 

 「誤魔化す必要は無いか。確かに俺は魔導師だ」

 

 「やっぱりね。ちなみに管理局員だったりする?」

 

 「管理局には属してないな」

 

 「そうなのかい?それだけの魔力なら厚待遇で迎えてくれるだろうに」

 

 「尤もな意見だけど出来れば俺は家族と普通に過ごしたいんだ」

 

 「ふーん。勿体無いね。((転生者|・・・))としてそれだけの力を貰っていながら」

 

 ……今、大槻君は何て言った?

 俺の事を((転生者|・・・))と言ったのか?

 聞き間違えたとか空耳だとは思えない。

 というか彼がこの世界の((純粋|・・))な住人ならまずその単語は出てこないだろう。

 ならば考えられる可能性は一つ…。

 

 「…まさかお前もか?」

 

 「そう…長谷川勇紀君。君と同じ転生者だよ」

 

 大槻君の思いがけない告白に俺は…

 

 「…………ハア〜」

 

 溜め息を吐く事しか出来なかった………。

 

 

 

 「で、転生者のお前が俺に何の用なんだ?」

 

 俺はテンションがやや下がった状態で彼の目的を聞く。

 彼に限っては無いと信じたいがもし西条みたいに『ハーレム目指す自称・オリ主』タイプの転生者なら面倒臭い事この上無い。

 

 「僕がこの世界に転生する際、神様から君に伝言を扱ってるんだ」

 

 「伝言?」

 

 「うん。『ゴメンね、私のうっかりのせいで君がどんなに原作介入したくないと思っていても原作イベントが君の身に起こる様になっちゃった』…だってさ」

 

 ……チョットマテ。

 俺が関わりたくなくても原作イベントが起こるだと!?

 

 「何でそんな事になってんだよ!!?」

 

 大声を上げずにはいられなかった。

 

 「何でも君を転生させた際の術式にミスがあったみたいでどう足掻こうとも君は関わってしまうみたいだよ?」

 

 …何だよそれ!?

 つまりアレですか!?俺が管理局に属さなくても約8年後に始まるStsに関わるのは確定ですか!?JS事件に巻き込まれるのですか!?スカリエッティやナンバーズの皆さんとご対面ですか!?

 

 「『そのお詫びといってはなんだけど宝物庫の宝具全て真名解放出来る様にしておいたから』とも言ってたよ」

 

 ヲイイイイイッッッッッ!!!!?

 

 「何勝手な事しちゃってんの!?てか俺が真名解放出来る理由も神様のせいだったのかよ!!?」

 

 そう…あれは俺が7歳の時だ。

 結界を張って鍛錬していた時、((王の財宝|ゲート・オブ・バビロン))からエクスカリバーを取り出した。最初は素振りをするために出して素振りをしていたのだが、ほんの少し冗談のつもりでエクスカリバーを

 

 『((約束された勝利の剣|エクスカリバー))ーーーー!!!』

 

 とか叫んで一気に振り下ろしてみた。すると…

 

 ズドオオオオオンンンンンッッッッッ!!!!!

 

 剣先から放たれた光の斬撃が結界内の住宅街を跡形も無く消し飛ばしてしまった。あまりの威力に結界も砕けかけた。

 その後しばらくは開いた口が塞がらず呆然としてたっけ。

 思わぬ事実が発覚した事により落胆してしまう俺。

 平穏という単語がどんどん俺から離れていく。

 というかそんな大事な事はすぐに連絡してくれよ神様。

 

 「えっと…落胆してる所悪いけど少し聞いてもいいかな?」

 

 「…何?」

 

 「『宝物庫』『真名解放』って事は君が貰った力はfateのギルガメッシュが使う((王の財宝|ゲート・オブ・バビロン))だったりするのかい?」

 

 「ああ」

 

 「なら普通は喜ぶべきじゃないの?原作でもギルガメッシュは宝具の原典を射出するだけだったのに」

 

 「それだけでも十分強いだろ?」

 

 「それはそうだけどね…」

 

 そもそも俺、ギルガメッシュみたいに宝具を射出させた事無いしな。

 大抵使う時は両手が塞がった時に荷物を収納するぐらいだし。

 

 「…はあ、もういいや。いつまでも落ち込んでたってしょうがない。教えてくれてありがとな」

 

 「どう致しまして」

 

 「ところで俺からも聞きたいんだが?」

 

 「何だい?」

 

 「お前は原作介入とかするのか?」

 

 とりあえず原作介入する気があるのかは気になる。

 

 「勿論あるよ」

 

 「じゃあ何で((海小|ウチ))に?原作に関わりたいなら聖祥行けばいいのに」

 

 なのは達原作キャラに遭遇した方が介入もし易い筈だ。

 …向こうには((自称・オリ主|さいじょう))がいるので絡まれると面倒だが。

 

 「…僕が介入したかったのはこんな昔じゃなくて『なのはForce』の時期だったんだよ」

 

 「Forceって…まだまだ先の話じゃん」

 

 「本来なら僕は『なのはForce』の時期に15歳のオリキャラとして介入したかったんだよ。ところが転生の際、神様がうっかりミスをしたせいでこの時代に来てしまったんだ。そのついでに君への伝言も頼まれたし」

 

 「……どんだけうっかりすれば気が済むんだよ神様」

 

 もう少し落ち着いて仕事しろよな。

 

 「おかげさまで『なのはForce』が始まる頃には僕は25歳だ。ははは…」

 

 力なく笑う大槻君。

 

 「まあ、気楽に待つしかないんじゃないか?」

 

 「僕にとっては拷問に等しい状況だよ。彼女と同い年で幼馴染みになりたかったのに…」

 

 「ん?彼女って?」

 

 「アイシス・イーグレットちゃんだよ!!!」

 

 さっきまでの暗い表情から一転、物凄い勢いで俺の質問に答えてくれた。

 

 「初めてForceで彼女が出てきた時、僕に電流が走ったんだ!!そして高鳴る胸の鼓動…この時に確信したんだ!!僕は彼女に一目惚れしたと!!!」

 

 「そ…そうですか」

 

 突然テンションMAXでアイシス・イーグレットへの想いを語り出す大槻君。

 そんな大槻君を見て俺は若干引いていた。

 大丈夫なのか?西条とは別の意味で暴走しそうなんだが…。

 

 「ま、まあ大槻君の想いはまた今度聞くから。もうすぐ昼休みも終わるしこの結界解いてくれないか?」

 

 腕時計を見るともう昼休みが終るまで3分を切っていた。

 

 「え、もうそんな時間なのかい?まだ語り足りないけど仕方無いな」

 

 やや不満気な表情をしつつも結界を解いてくれる。

 そして俺は教室に戻ろうと歩き始めるが

 

 「そうだ、最後にもう一つ…」

 

 大槻君が声を出すので俺も足を止め振り返る。

 

 「君とは((同じ者同士|・・・・・))、仲良くやっていきたいと思ってるんだ。だから僕と友達になってくれないか?」

 

 同じ者同士…転生者同士という事だな。

 大槻君なら西条とは違うし友達になれそうだ。

 …後に出て来るであろうアイシス・イーグレットと出会ってからは絶対に暴走して俺が苦労する羽目になりそうだけど。

 

 「了解だ。改めて自己紹介しておく。長谷川勇紀、お前と同じ転生者だ。遠慮せずに勇紀と呼んでくれ」

 

 「ありがとう。大槻亮太、同じく転生者だよ。僕の事も亮太でいいから。これからもよろしく」

 

 お互いに改めて名乗り合い、握手を交わし俺達転生者同士は友達になった………。

 

 

 

 また少し時間は飛んで放課後。

 

 「「「大槻君、私達と一緒に帰らない?」」」

 

 早速、大槻君…いや、亮太がクラスメイトの女子から声を掛けられていた。

 ホント女子に凄い人気だね。

 男子達と((担任|ロリコン))は睨んでいるが肝心の亮太自身はそれらの視線に気付いてない。

 

 「ゴメン。今日は先約があるんだ」

 

 「「「えーーっ!!?」」」

 

 しかしその誘いをやんわりと断る亮太。

 

 「本当にゴメン。また今度誘ってくれるかな」

 

 顔の前で手を合わせ謝る。

 残念そうな表情をして『じゃあ今度は一緒に帰ろうね』と言い残し去っていく女子達。

 そんな彼女達を亮太は手を振って見送る。

 さて、俺も帰るか。

 机の中の教科書、ノートをランドセルに入れて帰ろうかと立ち上がった瞬間

 

 「という訳で勇紀、早速行くよ」

 

 後ろから肩を叩かれた。振り向くと笑顔でこっちを見てる亮太。

 

 「何が『という訳で』なんだ?俺、お前とどっか行く約束なんてしたか?」

 

 昼休みはそんな約束しなかったし午後からは今まで亮太と一言も喋っていない。

 

 「したよ。昨日僕の夢の中で」

 

 「それ俺本人じゃねえよ!!」

 

 夢の中ってなんだよ。

 

 「冗談だよ。でもどうしても行きたい場所があるから案内してほしいんだ」

 

 「…一体何処だ?」

 

 「翠屋だよ」

 

 翠屋ですか。

 

 「うん。あそこのシュークリームがどうしても食べたいんだ」

 

 「まあ俺としては特に予定も無いし構わんけどね」

 

 家には買い込んでおいた食材があるから買い物に行く必要は無いしな。

 とりあえずシュテル達に今から翠屋へ行くことを伝えておこう。

 

 「シュテル、レヴィ、ディアーチェ、ユーリ、ちょっといいか?」

 

 シュテルの所に集まっていた四人を呼ぶ。四人共俺が名前で呼ぶとすぐにこっちに来てくれた。

 

 「何々?どったのユウ?」

 

 「ああ、今から翠屋に行ってくるから四人共先に「「「「私(僕)(我)も行きます!!(行くよ!!)(行くぞ!!)」」」」…帰っててもいいんだけど…」

 

 四人共翠屋の名前を出すだけですぐに反応し着いて来ると宣言する。

 

 「シュークリーム食いたいなら買って帰るぞ?」

 

 「シュークリームは当然テイクアウトで頼みます。翠屋ではケーキを食べたい気分なんです」

 

 「そーそー。ショートケーキにチーズケーキ、ティラミスにモンブラン…」

 

 「レヴィ。お前はどれだけ食う気なのだ…」

 

 「そもそもレヴィはお小遣いをちゃんと残しているのですか?」

 

 シュテル、レヴィ、ディアーチェ、ユーリの順に口を開く。

 そしてユーリの言う通りレヴィはちゃんと小遣い残してんのか?

 

 「え?ユウの奢りじゃないの?」

 

 「人にたかる気満々ですねレヴィさん!?」

 

 何で俺が奢るという事を前提にしているんだこの子は?

 

 「レヴィ、俺は奢らないからな」

 

 『えーっ!?』とか叫んでいるレヴィは無視だ。

 

 「という訳で連れが四人程増えるけどいいか?」

 

 亮太に確認を取るが当の本人は

 

 「……………………」

 

 驚いた表情で俺のすぐ側にいるシュテル達を見ている。

 

 「どうした亮太?」

 

 「……………………」

 

 声を掛けるが返事が無い。

 亮太の目の前で手を振ってみても反応無し。

 

 「……あ、あれアイシスじゃね?」

 

 「アイシスちゃん!?」

 

 お、反応した。

 

 「何処だ!?僕のアイシスちゃんは何処だ!!?」

 

 凄い勢いでアイシスを探し始める。

 …が、亮太よ。アイシスがこんな所にいる訳が無いぞ。

 それにお前のじゃないだろう。

 

 「落ち着け亮太、俺の見間違いだった」

 

 「そ、そんな…」

 

 ガックリと肩を落としている。

 

 「まあ気を落とすな。それより何でさっきは驚いてたんだ?」

 

 「あ、ああそうだ。ちょっといいかい?」

 

 俺の手を引きシュテル達から若干距離を取る。それから俺にしか聞こえない様小声で話し始める。

 

 「何でなのは、フェイト、はやての三人がいるんだ?彼女達は聖祥に通っている筈だろ?」(ヒソヒソ)

 

 「は?何言ってんだ?」

 

 「いや、『何言ってんだ?』じゃないだろ?髪型や髪の色は違えど彼女達はなのは、フェイト、はやて本人じゃないか」(ヒソヒソ)

 

 亮太はシュテル達の事をなのは達本人と勘違いしている様だが…。

 まさかコイツ…

 

 「なあ亮太、お前は前世でなのはのゲームをした事あるか?」(ヒソヒソ)

 

 「ゲーム?もしかしてP〇Pのヤツかい?」(ヒソヒソ)

 

 「おう、一作目の『なのはBOA』か二作目の『なのはGOD』のどっちでもいいから(ユーリの事も知りたいなら『なのはGOD』の方をプレイしないと分からないだろうがな)」(ヒソヒソ)

 

 「わるいが前世の僕はP〇Pを持っていなかったんだ。プレイした事無いから当然ゲームの内容も何も知らないよ」(ヒソヒソ)

 

 やっぱりか。ならシュテル達がどういったキャラなのか知らないのも無理は無い。

 

 「今はあまり時間無いから簡単に言うけどなのは、フェイト、はやてにソックリな三人とあの金髪の子はゲームに出てきたキャラ達だ。決してあの三人はなのは、フェイト、はやて本人じゃないから」(ヒソヒソ)

 

 「そうなのかい!?」(ヒソヒソ)

 

 「というか『なのはシリーズ』に関する情報は神様から貰ったデバイスにちゃんと入っている筈だぞ?後でちゃんと確認してみ」(ヒソヒソ)

 

 「分かったよ。家に帰ってから確認してみるよ」(ヒソヒソ)

 

 『ありがとう』と小声で礼を言われ、会話が終了したので再びシュテル達の側に戻る。

 

 「何を話していたんですか?」

 

 「気にするな。他愛も無い世間話だから」

 

 「そうですか…。しかし随分と仲が良くなったみたいですね」

 

 「昼休みも二人で何処かに行ってたな?」

 

 「まあな。意外に気が合うんで友達になれた」

 

 「うん。勇紀とは今後も良い友達で長い付き合いになりそうだからね」

 

 それに同じ転生者だしな。

 

 「…っと、これ以上教室に居ても仕方ないからさっさと翠屋に行くか」

 

 俺がランドセルを背負い教室を後にする。続いてシュテル達、そして亮太が後に続く。

 学校を出てすぐに亮太とシュテル達は簡単に自己紹介を済ませ、俺を含めてワイワイ話しながら目的地である翠屋に向かっていった………。

 

 

 

 「着いたぞ」

 

 「ここが翠屋…」

 

 翠屋の店前に着いた俺達。

 

 「早く入ろうよユウ!ケーキが僕を呼んでいる!!」

 

 「自分の分は自分で払えよ」

 

 「わ、分かってる…よ?」

 

 何で疑問形なんだよ。

 

 「そ、そんな事より早く入ろう!!」

 

 さっさとこの会話を打ち切ろうとばかりに俺の手を引く。

 

 「はいはい…」

 

 これ以上ここで言っても時間の無駄だしとっとと店に入ろう。

 扉を開け俺達は店の中に入る。しかし

 

 「???いつもなら士郎さんか桃子さんの声が聞こえるのに…」

 

 どうなってるんだ?

 キョロキョロと見渡すが店員の姿が無い。

 お客さんは…………居た。

 店の奥にあるテーブル席に座っている人達……ってなのは達じゃん。

 何か皆苦い表情をしているがその理由はすぐに分かった。

 それはなのは達聖祥組六人に加え彼女達や俺の家族が皆毛嫌いしている銀髪イケメンオッドアイの少年、西条が

 

 

 

 

 

 ((二人|・・))いた。

 

 ……………………

 

 ………………

 

 …………

 

 ……

 

 「「「「「増えてるーーーーーっっっ!!!!?」」」」」

 

 思わず俺達長谷川家の面々は叫んでしまった。

 え!?何々!?

 何で西条が二人いんの!?

 俺は当然シュテル達も混乱していた。

 唯一亮太だけは『???』と疑問符を浮かべている様だった。イキナリ叫んだ俺達の行動の意味が分からないみたいだ。

 

 そんな大声を聞いた聖祥組+二人の西条の視線が一斉にこちらへ向く。その時片方の西条は俺達の方を見て驚いていた。

 

 「「勇紀君!!」」

 

 真っ先に俺の名前を呼ぶのが二人。

 すずかとはやてだ。だが今の俺は二人に言葉を返せる程冷静ではない。

 

 「な、なのは…これは一体どういう事なのです?何故あの男が二人に?」

 

 シュテルはなのはに現状の説明を求めている。

 

 「え、えっとね。一人は西条君なんだけどもう一人は今日転校してきた転校生なの」

 

 「「「「「転校生!!?」」」」」

 

 嘘だろ!?

 どっからどう見ても西条の容姿そのままだぞ!!まだ双子って言われた方が納得出来るって!!

 

 「信じられない気持ちは分かるけど事実よ。((西条|アイツ))とソイツは兄弟でも何でもなく唯の他人よ」

 

 アリサからの駄目出し。他の五人も頷く。

 どうやら本当に事実らしい。

 しかし西条はともかく今日転校してきたらしい彼をソイツ呼ばわりするなんて。

 そして最初に見た六人のあの表情…。

 まさかコイツも西条と同じタイプか?

 いや、それ以前にあの容姿の人間が都合良く二人もいるとは思えない。

 なら間違い無いだろう。

 西条ソックリの彼も多分転生者だな。

 そんな西条ソックリの転生者君(多分)は

 

 「初めましてシュテル、レヴィ、ディアーチェ、ユーリ。俺の名前は((吉満|よしみつ))((英伸|ひでのぶ))だ。よろしくな」(ニコッ)

 

 早速自己紹介をしていた。

 自己紹介されたシュテル達の様子は

 

 「初めましてと言ってる貴方は何故私達の名前を知っているのですか?」

 

 「シュテるん。多分アイツ世間一般で言う『スモーカー』っていうヤツじゃないかな?」

 

 「レヴィ、それを言うなら『ストーカー』だ」

 

 「ストーカー…ユウキ、怖いです」

 

 西条同様、最初から最悪の評価を受けていた。

 まあこっちが名乗ってもいないのに名前を知ってるとか普通は無いわ。ストーカー認定されてもしょうがないよな。

 

 「何だ四人共?照れ隠しにそんな事言わなくてもいいじゃないか」

 

 そしてコイツも都合良く解釈する勘違いタイプ。

 銀髪イケメンにはこのタイプしか存在しないのか?

 

 「おいテメー!シュテル達が嫌がってるだろうが!!ソイツら皆俺に惚れてんだから勘違いしてんじゃねーよ!!」

 

 「はあ!?テメーこそ勘違いすんな!!シュテル達は照れて素直に言えないだけなんだよ。この態度みたらすぐに分かるだろうが!!これだから勘違い野郎は!!」

 

 「何言ってやがる!!テメーこそ勘違いしてんじゃねーよ!!第一テメーなんかがオリ主の俺に勝てる訳ねえだろうが!!」

 

 「この世界のオリ主は俺なんだよ!!テメーはしょせん踏み台役だ!!とっとと自分の立場を理解しやがれ!!!」

 

 言い争う二人の銀髪。てかやっぱりもう一人の銀髪、吉満と名乗っていた方も転生者だった。

 

 「…とりあえず俺達は反対側の席に行こう。いいよな?」

 

 四人に確認する必要も無いと思うが一応聞いてみた。シュテル達の返事は

 

 「「「「異議無し」」」」

 

 そう言って反対側の席に移動した。亮太はまだ状況を理解し切れていないみたいだがシュテル達の方に黙って着いていった。

 

 俺も移動しようとしたら

 

 「ちょ、勇紀君助けてえな」

 

 左腕に抱き着いてくるはやてがいた。

 

 「「「「「はやて!?(はやてちゃん!?)(子鴉!?)」」」」」

 

 そんなはやてを見て突然叫ぶシュテル、レヴィ、ディアーチェ、ユーリ、すずかの五人。

 

 「ちょ!?はやて!!ここで俺に助けを求めるな!!」

 

 「何で!?」

 

 「何でって「「おいモブ!!俺のはやてに何してんだ!!!」」…こうなるからだよ」

 

 ホラ見ろ、面倒な事になったじゃねえか。

 殺気を飛ばしまくってくる西条と吉満(コイツも西条と同じタイプだから呼び捨てでいいだろう)。

 

 「この前((西条|アイツ))が絡んで来たらブッ飛ばしてわたしの事守ってくれるって言うたやん///」

 

 「言って無いッスよ!?ブッ飛ばすって言ったのヴィータだし、守ってやるって言ったのはこの前の帰り道の時だけだよね!!?」

 

 「「「「「……………………」」」」」

 

 しかもシュテル、レヴィ、ディアーチェ、ユーリ、すずかの方からもこっちに凄い殺気が飛んできてるんですけど!!?

 

 「と、とにかくあの二人の相手はお前等に任せる!!俺は今日からクラスメイトになった友達の歓迎会で忙しいんだ!!」

 

 「友達?」

 

 はやてが聞いてきたので亮太の方を指差す。

 

 「そう!!だからそっちはそっちでやってくれ」

 

 「嫌や!!あっちに戻ったらわたしの精神が持たん。わたしも((歓迎会|こっち))に混ぜてえな」

 

 「「「「「ちょ!?はやて!!(はやてちゃん!!)一人だけ逃げる気!!?」」」」」

 

 はやての言葉に反応する聖祥組。

 

 「だって勇紀君の友達やったら大丈夫な筈やし」

 

 「「「「「じゃあ私も((歓迎会|そっち))に混ぜて!!」」」」」

 

 即座に席を立ちこっちへ移動してくる五人。

 だがすずかだけは俺の右腕の方に抱き着いてくる。何故!?

 

 「「何すずかやなのは達にも手を出してやがんだモブ野郎共!!!」」

 

 「僕もなのかい!?」

 

 一字一句違わずに同じセリフで見事シンクロする銀髪二人。

 そして何もしておらずほとんど喋ってないのに頭数に加えられた亮太。

 

 「「表出ろ!!オリ主である俺様が格の違いを見せてやる!!」」

 

 決闘を申し込まれた。

 

 「…おい誰かアイツ等を説得してくれ」

 

 「「「「「「「「「「嫌!(嫌だ!)(嫌や!)(嫌です!)(断る!)」」」」」」」」」」

 

 …誰もアイツ等とは会話をしたくないみたいだ。

 ハア〜…どうすりゃいいんだこの状況………。

説明
神様の手違いで死んでしまい、リリカルなのはの世界に転生した主人公。原作介入をする気は無く、平穏な毎日を過ごしていたがある日、家の前で倒れているマテリアル&ユーリを発見する。彼女達を助けた主人公は家族として四人を迎え入れ一緒に過ごすようになった。それから一年以上が過ぎ小学五年生になった主人公。マテリアル&ユーリも学校に通い始め「これからも家族全員で平和に過ごせますように」と願っていた矢先に原作キャラ達と関わり始め、主人公も望まないのに原作に関わっていく…。
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コメント
オリ主(笑)が二人になったwwwウザさ面倒臭さが二倍になっちゃうwww(海平?)
また神様のミスが原因なんじゃないの?(神薙)
銀髪二号はなんでこんな時期に転生してきたんだろう。時期指定しなかったのだろうか。(chocolate)
一方か〜…てか自分の妄想なんだけど、一方の能力って空間をピンポイントで爆発させる能力とか使って本体爆発させたら攻略出来るんじゃないの?(神薙)
馬鹿2号の能力はfateじゃなくて禁書の一方通行じゃない?もしくは〜〜の魔法が全て使えるとか(kaito)
めんどくさ過ぎるwww(ゆぎわ)
やっぱり馬鹿二号とアイシスLOVEの能力が気になる(hikage961)
まあ、今まで勝ったとしても全部ゴリ押しで勝ってきたんだろうから驕っていたんだろうな…それと主人公に負けた時は何かの夢だとか、俺のせいじゃなくてデバイスが悪いんだとか当り散らしてたとかで…(神薙)
あと馬鹿一号は以前負けてるけど……成長、してなさそうだなぁ。転生者では一番戦闘経験?ありそうなのに。馬鹿二号も鍛錬とかしそうにないし。(hikage961)
馬鹿一号は無限の剣製、馬鹿二号が王の財宝だと主人公と被るから多分違う。……あれ?やっぱり能力も被るんじゃ?(hikage961)
多分違いと言ったらありがちなのは片方が王の財産で、もう片方が無限の剣製っていう位だろうなwww(神薙)
多分アレだな、顔のイメージを言った奴はなんか神様の方でテンプレかなんかが用意されてて、二人とも同じ注文したから同じになったんだろうね。(神薙)
赤の他人が一卵性双生児のように瓜二つとかwww 神様手抜きwww 自惚れ勘違い系かませ犬自称オリ主銀髪オッドアイはこの程度www 能力まで同じだったりしてwww(hikage961)
ヤwwwバwwwイwwwいwwwきwwwがwww(更識簪)
腹筋が崩壊寸前ですwwwwwwwwww(紫蒼の慧悟[しっけい])
私の作品の優雨君と一緒にウキギ(うざいキモイ銀髪)二個を焼却処分してください!(竜羽)
ちょww これはヒジョーに面倒な状況でワロタwww(おれんじ)
1匹いれば30匹いるっていうからな・・・・・。   ・・・・・これ以上増えないよね(汗)(青髭U世)
この発想はすげえwまさかのダブルw(フリーラム)
畜生!!www夜なのに声出して笑ってしまった。(カケル)
銀髪イケメン(笑)が増える作品始めてみた(笑)主人公よ!親友予定(?)の亮太と一緒に完膚なきまでに銀髪イケメン(笑)を潰してしまえ!!(螺子)
銀髪が二人いる絵面を想像して吐き出したwww(アリアン)
うざいの増えたー(笑)(ginga+)
銀髪が二人・・・・ 駄目だ ボコそう(SAZUKI)
つうか、旧型のほうは一度ぼこられてるのによく喧嘩売れるな。最悪次は障害が残るレベルでぼこられるかもしれないのに。(tububu12)
本気で殴りたくなってくる奴等だな、ほんと…番が出向いたら…二人が溶かされるのがオチか…。(神薙)
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魔法少女リリカルなのは 多重クロス ハーレム 原作ブレイク オリ主 転生者 恋愛 

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