二代目 Mの英雄
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城の中で、クッパとマリーの戦いが始まっている頃、ルキが勝手にライブを行っている路上では、彼女のファンクラブのメンバーと、クッパ軍のメンバーの間で諍いが起こっていた。

「ここでの許可のない集会は厳禁となっているぞ!!」

「うるせえ!!せっかく楽しく聞いてたのに、邪魔するんじゃねえ!!」

会場は緊張状態になり、いつ警察が出てくるような事態になるか、分かったものではない。

「ブロッサ様、どうしよう。」

諍いに参加しない観客に謝ったルキは、ライブを一時中断し、舞台裏のブロッサに案を求めた。

しかし、ルキが舞台から居なくなったことで、諍いを行っているファンたちの闘志に余計陽が付いたのか、

「見ろよ、お前らのせいでルキちゃんが下がっちゃったじゃないか!!」

「知るか!!」

ファンクラブとクッパ軍団の間に流れる緊張が、さらに強くなった。

一方のブロッサは、下がって来たルキにこう言った。

「まあこの結果は予想済みだったよ。ルキの歌は聞こえてる範囲にポジティブゾーンを展開するからね。」

ブロッサの言うポジティブゾーンとは、ルキが歌を唄う事で展開される特殊な空間の事で、その中では本人が味方と判断している人間の力が倍加されるのだ。ちなみに、命名者はブロッサである。

「だけど、彼らにけがをさせるわけには行かない。僕に任せてよ。」

ブロッサはこういうと、ルキからマイクを受け取って、自分が舞台に出た。そこで、

「みんな、僕の話を聞いてくれ!!」

と、マイクを通して皆に言った。結果、今まで諍いをしていた面々も、それを不安そうに眺めていた面々も、ブロッサに注目した。

皆の視線が集まっていると判断したブロッサは、一息吸って、こう言った。

「この喧嘩で死人が出ても、誰も献花を出しませんよ。」

その瞬間、皆は一様に凍りついた。なぜなら、ブロッサが喧嘩と献花を掛けたダジャレを言ったからだ。

「仮に死人が出ない事が視認されても、喧嘩両生類で皆に罰を与えます。」

こう言ったときには、皆の顔が寒さで青白くなり、

「そういうわけで今この場で、皇帝の権限で開ける法廷を開きます。」

こう言った瞬間、その場に居た面々が、ブロッサの言ったダジャレの寒さで、凍結した。

「何これ?」

影から出てきてルキが、ブロッサに訊くと、

「僕の必殺技、ブロッサアブソリュート。」

と、ブロッサは言った。

「いや、本当にリスペクトしますね、ブロッサ様のいちいち技に名前を付けるセンスは。私の歌にもポジティブゾーンなんて名前を付けてくれて。と言うか、それ私のファーストシングルですけどね。」

冷たい目をしたルキがこう言うと、

「何?その侮蔑を含んだ目は?」

ブロッサは不満そうに言った。

 

 

 

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そして、クッパとマリーの戦いはと言うと、

「クッパブレス!!」

クッパは口から火球を吐き出して攻撃した。マリーはそれをジャンプで回避し、クッパの頭を踏みつけた。

「くぅ、親子二代で踏みつけやがって。」

「どちらの場合も、貴方が悪いんでしょう。」

クッパの言う事に、マリーがこうツッコむと、

「何だ?ワガハイが悪いと言うのか?ワガハイは、ワガハイは…」

クッパはこう言って黙り込むと、

「ワガハイは悪くないぞい!!」

と、叫んだ。

「一体何のネタですか?!ゲームが違うでしょう!!」

マリーがクッパにツッコむと、

「もらった、クッパドロップ!!」

クッパはその巨体に見合わない高さに飛び上がり、マリーめがけて降下した。

「危な!!」

マリーはそれを間一髪回避すると、

「フリーザを喰らえ!!」

と言って、クッパに顔の書かれた氷の塊を投げつけた。

普通なら、これで相手は凍るのだが、クッパの強力な肉体には効果が無く、代わりに甲羅の一撃で、フリーザは粉々に砕かれた。

「シェルスピン!!」

そのまま、クッパは甲羅に体をしまうと、高速回転でマリーを攻撃した。

「うわぁぁ!!」

その一撃でマリーは吹っ飛ばされて、部屋の壁に激突した。クッパは体を出すと、追い打ちをかけた。

「連続クッパブレス!!」

クッパの吐き出した火球は、全弾マリーの激突した個所に当たり、黒い煙を発生させた。

「マリー、まさか負けてしまった?やはりまだ若すぎたの?」

様子を見ていたピーチが落胆し、クッパが勝利を誇ろうとした瞬間である。突然炎や煙が吸い込まれ始めたのだ。

「え?」

「な、なんだ?」

ピーチとクッパが驚くと、そこには両手にファイアフラワーを持ったマリーが居た。このことを「両手に花」と言うのだろうが、今は気にしない。

「簡単に終わる性質じゃないんですよ。戦いもゲームも。」

ぶつかった背中が痛むのか、マリーは苦しそうに立ち上がると、両手の花に吸い込ませた炎を解放し、その身にまとった。

「く、さすがはマリオの娘と言う事か。」

クッパが、マリーの全身から迸る巨大な炎を見てこう呟くと、

「マリークライマックス!!」

マリーは両手から炎を発射した。

放たれた炎は竜のような姿になると、クッパを捕まえて城の外に飛び出し、そのまま空高く飛んでいくと、爆発した。

「私たち、そしてこの国の因縁も、終わりです。」

マリーはこう言った。その瞬間、力を使い果たして倒れた。

「お見事でしたよ、マリー。父親にも負けない活躍でした。」

その様子を見ていたピーチは、倒れたマリーにこう声をかけた。その瞬間、今まで外に居たルキとブロッサが戻り、ピーチを解放すると、マリーを医務室に寝かせてきた。

 

 

 

 

その後、マリーが倒したと言う事実は伏せられているが、クッパ軍団が一人の英雄に倒されたことは、王国中に広がった。

そして、この場所にも、

「あなた、あの子はちゃんとやってるみたい。」

夫のマリオと一緒に、ドルピック島を旅行しているポリーンは、マリオにある新聞を見せた。そこには、

「噂の英雄、クッパを倒す。」

と、書かれている。

「そうか、やはり俺の娘だな。」

マリオはこう呟くと、ポリーンに言った。

「となると、今夜は祝杯だな。」

 

 

 

 

そしてクッパ城では、クッパjrを始めとするクッパの息子たちが、クッパの話を聞いていた。

「ワガハイは負けたとはいえ、いまだにクッパ軍団、そしておぬしたちは健在だ。まだまだ戦う事は出来るが、ワガハイはもうすでに年のようだ。よってこれよりは、jrにすべての指揮権を譲渡する。ワガハイの代わりに、打倒マリオ一族の悲願を達成するように、精進してほしい。」

「分かりました、父さん。」

クッパjrは、クッパの前でひざまづいて、こう言った。彼の今の容姿は、昔のような牙も生えそろわない小柄で可愛らしい容姿ではなく、父親そっくりの凶悪な容姿となっている。

「マリーか、やはり俺が奴と干戈を交えることになったな。」

クッパjrは、部下の報告で聞いていた新たな強敵の事を思い、笑みを浮かべていた。

 

 

 

 

 

 

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第七話
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