乱世を歩む武人〜第三十七話(裏)〜
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〜数日前〜

 

趙雲

「荀攸を・・・捕獲する?」

 

賈駆

「ええ。捕獲よ。殺しちゃダメ」

 

出撃を前に集められた数人。諸葛亮、?統、趙雲に賈駆はそう告げた。

 

諸葛亮

「えっと・・・何故突然そんなことを?」

 

?統

「そもそも曹操さんを打倒してしまえばそのようなことしなくても問題ないのですが・・・」

 

趙雲

「そうだぞ詠。それに何故荀攸なのだ?他にも夏侯惇や張遼、それこそ荀ケなどの軍師だっていっぱいいるだろうに」

 

純粋な疑問として三人は賈駆に向かってそう言った。

 

賈駆

「色々とあるんだけどね。まず前提としてボクは今回の戦で曹操を倒しきれるとはボクは思ってないのよ。今回の戦いで曹操が見せるであろう隙はせいぜい一両日中程度。籠城戦になったら華雄ような猪でもいない限りは不可能でしょ?」

 

諸葛亮

「はわわ・・・おっしゃるとおりです。」

 

軍師二人僅かに顔を曇らせた。

 

賈駆

「だからこそ次善の策で誰か将を一人でも減らしてお期待って思うわよね。そこで、荀攸狙えばいいってこと。これは単純に捕獲できる機会がある可能性が一番高いということがあるわ。

 

誰一人将を残していないというのならばなおさら曹操が自分の所で副将につけていてもなんら不思議じゃない。」

 

鳳統

「なるほど・・・確かに部隊が全部で払うとはいえ荀攸さんはあくまでも副将。部隊をもっていないから手薄な本陣に残っている可能性は十分にありますね」

 

納得したように鳳統が頷く。

 

趙雲

「しかし・・・例えいたとして何故わざわざ危険を犯してまで捕獲するだけの価値はあるのか?」

 

趙雲の疑問ももっともだろう。討ち倒すだけならまだしも今回の狙いは捕獲。それ相応に実力に差がないと不可能なため二人以上の武将をつける必要がある。

 

そこまでの手間をかけてまで捕獲する必要があるのかと思うのは道理だ。

 

賈駆

「ええ、あるわね。」

 

そんな疑問に対しても賈駆はハッキリと即答した。

 

趙雲

「ふむ・・・そこまで有能なやつだということか?

 

賈駆

「そうよ。味方すればわかるけど・・・あいつは凄く使えるやつなのよ。ボクは洛陽時代にアイツの補佐を受けたことがあるわ。」

 

諸葛亮

「そうでしたね。詠さんは元董卓軍の軍師。ならばそこにいた荀攸さんを使ったことがあるというのはわかりますが・・・」

 

鳳統

「話に出すくらいに優秀なんですか?」

 

賈駆

「そうよ。自分では「兵を数字としてしか見れない無能」とかいってはいたけど・・・アイツ計算を始めとして分析力、戦力その他諸々において非常に高い能力を備えているわ。

 

ーーーーーーーーー「兵の指揮ができない」って荀攸は自分で行っていたけど逆に言えば兵の指揮以外にできないことがないといっていいほどに多才よ。」

 

その言葉に軍師二人は驚愕した。

 

ここの主、劉備には彼女のことを少ししか話していないため、彼女達二人が董卓、賈駆だということは知らないが一部の信頼できそうな人にだけは教えることにしていた。

 

軍事筆頭である関羽に対して正体を明かしていないため表立った功績はないが、諸葛亮、?統共々彼女の意見を聞きに行く事だって珍しくはない。

 

そんな彼女が・・・自己の能力に対して絶対の自信を持つ彼女がここまで他人を評価したのを聞いたのは初めてだった。

 

趙雲

「なるほど・・・それだけの評価に値する人間だというのはわかった。しかしなればこそ討ち倒してしまったほうがいいのではないか?」

 

賈駆の実力をわかっていない彼女だが、それだけすごいと言われる人物なのだから倒せるうちに倒してしまったほうがいいと考える。それが武人としての真っ当な意見であろう。

 

しかし諸葛亮はその意見に首を振った。

 

諸葛亮

「いいえ。ソレほどの実力者を打ち倒してしまえば曹操軍はこちらを攻撃する意志を一層高めてくるでしょう。それこそ全軍を差し向ける勢いで来るかもしれません。

 

ですが逆に捕虜ならばこちらで生きている以上、侵攻するのをためらわせることができます。そうなれば捕虜にしている間に防備を固めることだって可能です。」

 

鳳統

「加えてそれほどの実力者がいなくなったとなればあちらも立て直しにはかなりの時間を要するでしょう。すごく有効な手になるかもしれません。」

 

軍師二人はウンウンと頷き合う。

 

こう説明してまで桂枝を自陣営に引き込みたいと考える彼女には他の人には話せないもう一つの理由があった。

 

それは劉備と桂枝を対話させることだ。

 

蜀という地を手に入れた今も彼女達に変化はなかった。

 

未だ「皆を笑顔にする」という彼女の理想と行動に口を挟むものは存在せず、その危険性に気づかぬままだ。

 

夢見る子供が権力を握る国。それが賈駆がみているこの軍の現状だった。

 

そんな国家が長続きするはずもない。武将、軍師ともに稀代の英傑がそろっているいずれこの国が負けるとすればそれは間違いなく「君主の差」だろう。

 

そしてその状況は必ずやってくる。彼女としてはそんなところに自分が、引いては大切な月がいていいはずがなかった。

 

だからこそ劉備と正反対の考えをもち、関羽達のような英傑相手にも引かず、陣営に引きこむのに正当な理由がある人材が欲しかったのだ。

 

そしてその要望全てを完璧に満たしている桂枝はまさにうってつけといえる人材だった。

 

趙雲

「やれやれ・・・何やら考え込んでいるようだが実際に戦って捕獲するのは私なのだぞ?何か策でもあるのか?」

 

趙雲は呆れたようにそういった。

 

そう、今までの話全てが桂枝を捕獲できなければ始まらない。いくら趙雲、いくら相手が男だとはいえ相応の使い手を何の策もなしに捕らえるというのは流石に難しい。

 

それは賈駆も十二分に承知している。だから彼女は・・・

 

賈駆

「ええ、それについてなんだけど・・・」

 

 

こうして賈駆は桂枝を捕らえる策を説明を始めた。容赦なく、確実に彼を捉えるための策を。

 

 

賈駆

(もしこれでダメだったら・・・)

 

 

 

彼女はある決意を胸に抱えつつ説明を続けるのであった・・・

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また修正と一緒にあとがきを消してしまった・・・

 

自軍ですら気づいている人がいないくらいに功績の薄い桂枝を何故蜀が狙っているかという話です。

 

実際蜀陣営で桂枝の事を理解している人は現時点まででは誰もいません。

 

一度部下として使ったことがある詠だからこそ桂枝のスペックと実用性を理解しているという。

 

続きは現在執筆中ですので気長にお待ちください。

 

過去話を含むご意見・ご感想はいつでもお待ちしております。

説明
蜀陣営での話。
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コメント
>> 匿名希望さん 手伝わなくても魏軍の妨害としては有効な一手になりますし桂枝狙いなのは今回の戦でもっとも捕獲できる可能性が高いやつだからです。それにここだけの話とある手段を用いることで自決は完全に防げます。(RIN)
>> 黄金拍車さん だいたいそんな感じですねw。桂枝の影響を受けると冬が到来するくらいの被害がでそうですが。(RIN)
ああ、正史で曹操を翻弄した魏最強の謀将がとうとう立ち上がりましたね。今回の最後のセリフは色々な見方ができますが、さてどうなることやら。(h995)
ついでに現段階で咲いてる花は、芥子の花な。幻想見させて依存すれば笑えない結末なんかそのままでしょう^^;それに用法容量を正しく使えば良いって点まで同じだしw(黄金拍車)
主人公を、捕虜にするのは良いですが、蜀軍を手伝わないとか自決するとか誰も考えないのが不思議。魏軍の強さは、主人公だけではないと軍師ならわかりそうですが・・・。現実的な考えならばですが、恋姫ならその辺緩いのかな。(匿名希望)
桃香がお花畑ww でも、あながち間違っていないという…… これで、一皮向けてくれますかね、桃香は……?(神余 雛)
↓言いえて妙だと思うけどお花畑て。(アルヤ)
逆に言兵の指揮以外に⇒言えば兵   予測通りお花畑に喝入れさせる為だったか^^;(黄金拍車)
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