語られし者たちとIS 世界樹大戦 第13話 新たな参戦者は身近なところに
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無人機襲撃の事件、学園側から箝口令が敷かれた。一応俺も関係者ということで色々と事情聴取を受けた

 

どうやら客席にも魔物が現れていたそうだが、無人機の幻覚作用ということで片づけられた

 

あとでこっそり聞いたが、楯無会長や山田先生が裏から手をまわしたらしい

 

まあ、普通そうするよな。世界樹大戦の参加者でない人にとってあんな魔物たちはあってはならないんだから

 

そして六月初めの日曜日、俺は久しぶりに実家に帰ることにした

 

掃除をしたり、色々と学園に持っていくものを用意したり、千冬姉に夏用のスーツを用意するとかやることは色々ある

 

ジュディスさんが手伝ってくれたおかげで思ったよりも早く終わった

 

「それにしてもあなたのお姉さん、家事ができないのね。まさか自分の着る服を弟にやらせるなんて」

 

「そうですね、ほとんど俺がやっていましたから」

 

ジュディスさんの言葉に同意していた。まあ、久しぶりに帰ってきた我が家の状態がすごかった……

 

さてと、じゃあ友達に会いに行くか、報告しておきたいこともあるし

 

学園に持っていく荷物を持ったまま友達である五反田弾の家に向かった

 

弾とは中学の友達で、結構仲良く遊んでいる

 

家が近所なため、すぐに到着しいつも通り、ゲームで遊んでいた。するといきなり弾が話しかけてきた

 

「なあ、IS学園ってどんな感じだ? というよりも女子高だろ? うらやましいぜ」

 

「そうでもないぞ」

 

「何だよ、だって男子はお前一人なんだろ? ハーレム状態じゃねえか!」

 

(あなたのお友達は面白いわね)

 

ジュディスさんが面白そうに笑っている。まあ、否定はしないけどな

 

「そうは言うけどな……女子たちが無防備な姿がいることが結構多いから気疲れするからな。きっとお前みたいなやつでも一週間で疲れるぞ。大体、お前は女子を襲う気か? このご時世だから捕まるぞ」

 

「……それを言ったらおしまいだぜ、一夏。男っていう奴は……夢を見る生き物なんだよ」

 

こいつは何を言っているんだ? 正直ついていけない

 

お互いに黙ってゲームをしているとノックの音が聞こえた

 

「お〜い、弾。そろそろ昼飯の時間だぞ……おっと、お客が来ていたのか」

 

部屋に背の高い金髪の品のいい男性が入ってきた

 

「あ、お邪魔していま……!」

 

この人! ジュディスさんも気が付いたのか少し身構えた

 

とにかく誰がパートナーなんだ?

 

「弾、悪いが立って回ってくれないか?」

 

良くわからないという感じだがやってくれた。しかし彼の体のどこにも果実の模様がない。じゃあ一体……

 

「あの……私です……一夏さん」

 

ドアからもう一人、やってきた。弾の妹の蘭だ

 

彼女の左膝の辺りに果実の模様があった。蘭も俺の果実の模様に気が付いたようだ

 

「戦う気はないです。とりあえず、お昼を食べながらお話ししてもらえませんか?」

 

その提案に俺とジュディスさんも承諾した

 

五反田家は食堂をやっている為、昼食はお店の中で食べることになる

 

豪快な弾の爺さん、厳さんの作る料理はおいしいから参考にしたいと思っているが、なかなかうまくいかない

 

蘭のパートナーの男の人が姿を現している為、ジュディスさんも姿を見せている

 

現在、五人で昼食をとっている。やっぱりうまい

 

「これは一夏の家では無理ね。火力が足りないわ」

 

「なるほど、火力でしたか……」

 

「まあ、ここは食事を取るところだからな。家庭ではうまくいかないだろうな……とまあ、食事談義はこれくらいにしておこうか」

 

料理の話にあまりついていけないと思った弾がほっとしている。そんなに難しい話ではないと思うんだけどな

 

「俺の名前はガイだ、よろしく。今はここで働いているんだ」

 

「織斑一夏です」

 

「そのパートナーのジュディスよ」

 

ジュディスさんが握手をしようとした時、ガイさんは少し後ろに下がって避けた

 

「こいつ女性恐怖症なんだってさ、こんなイケメンなのにもったいないよな」

 

確かに。IS学園の女子たちも放っておかないだろう

 

そう思っているとガイさんが何か気が付いたように俺を見てきた

 

「そうか、聞き覚えがある名前だと思ったら蘭が……」

 

「ガイさん!!」

 

蘭が急に叫んでガイさんを止めた。一体どうしたんだろう? 弾の奴はニヤニヤしているし

 

「ああ、悪かったよ、蘭。改めて聞くけど、織斑一夏ってもしかしてISを使える男性だっけ? うらやましいな」

 

「ですよね。なのにこいつときたら……」

 

「だってISだぜ! あれってどうやって動いているのか気になるし、操縦できるとなると空だって飛べるし……いいな、一夏は」

 

弾の言葉を遮ってガイさんが熱く語ってきた。女性目当てでない人は初めてかもしれない

 

「なあ、一夏! 少しでいいからISを展開してみてくれないか? 色々と見てみたいんだ」

 

そう言われたもののさすがに見せることはできない。勝手に展開でもしたら始末書を何十枚と書かないといけない

 

そんな熱くなっていたガイさんを止めたのは、ジュディスさんだった

 

彼の手を握ったことで彼が急に飛び上がった

 

「ごめんね、勝手にISを使っちゃうと一夏が怒られちゃうから」

 

女性恐怖症って大変だな。ガイさん、震えているよ

 

その後、お互いに世界樹大戦について話し合った

 

どうやら四月の頭に蘭は世界樹大戦に参加することになったらしい。現れた時の騒ぎでガイさんはブローチで姿を消すことを忘れていた

 

そのため、五反田家の皆に姿が見られ厳さんと揉めたらしいが、お互いに何とか話し合うことができた

 

主に蘭と弾の母親である、蓮さんのおかげで

 

とりあえず、ガイさんは基本的に五反田食堂で働くことになったらしい

 

蘭の護衛をした方がいいとも考えたが、一度蘭の学校に行った時に世界樹大戦の参加者が他にいないことが確認できたため、学校の行き帰りの護衛をするくらいにしたらしい

 

とりあえず、蘭には世界樹大戦に参加することには同意しているらしい

 

戦いに関しては蘭も鍛えているらしく、体育会系の部活の手伝いとして参加したり、駅前にあるシミュレーターを使ってISを練習したりとやっているようだ

 

そして、蘭はどうやらISの適性判定でAランクを取ったらしい。俺はBだからすごいと思う

 

もちろん俺達も情報を出した

 

IS学園ですでに俺を含め七人の参加者がいること、そのうちの一人は鈴だということも

 

何故か鈴の名前を出した時、蘭の機嫌が悪くなった。昔から仲が良くないよな、二人は

 

そのまま続けて説明した。俺達も今は争う気はないことを話した

 

とにかくお互いに本当に戦いが始まるまでは協力することを約束した

 

話し合っていたらもう夕方近くになっていた。そろそろIS学園に帰らないといけない

 

「蘭、何かあったらできるだけ知らせてくれ。協力するから」

 

最後にそのことを伝え、帰ることにした

 

「一夏さんも無事で……」

 

「大丈夫だ。信じてやれ。俺達も頑張らないといけないからな」

 

そんな会話をしているのが後ろから聞こえた

 

そうだよな、俺達だってもっと頑張らないといけないよな

 

「今日はもう寮に帰るのかしら?」

 

「そうですね、明日からまた学校なので日が出ているうちに帰ろうと思っています」

 

晩御飯は学食で食べようかな。それとも料理を作ってもいいかもしれない

 

久しぶりに厳さんの料理を食べたからか、何か作ってみたい気分だ

 

ジュディスさんもそういう気分だったらしい。ということで今日は異世界で料理を作ろうと二人で決めた

 

二人で話しているとそろそろ学園に着くころになったので、ジュディスさんは姿を消した

 

すぐに部屋に戻ろうとした時、帰り道に鈴にあった

 

「一夏、出かけていたんだ。そろそろ晩御飯の時間なんだし付き合いなさいよ」

 

どうやら料理はできないみたいだ

 

(今度ね、今日の所は行ってあげなさい)

 

(ありがとうね、ジュディス)

 

そのまま鈴に引っ張られる形で学食に行った

 

何とか晩御飯のメニューを買って鈴と食べることにした

 

今日の何をしていたのかとしつこく聞かれたので答えた。そうだ、蘭のことを報告しておかないと

 

「鈴、今日弾の家に行ったんだけど驚いたぜ」

 

「何? まさか誰かがパートナーを持っていたとかいうんじゃないでしょうね?」

 

何でこいつはこんなに勘が鋭いんだ?

 

「ああ、蘭が……」

 

その瞬間、鈴はため息をついていた。よりによってあの子か、とつぶやいていた

 

(誰?)

 

「マオには話していなかったのか? 俺や鈴の友達の兄弟のことだ」

 

(ふ〜ん、でもどうして鈴はそんな表情をしているの?)

 

不思議そうにしているマオにジュディスさんは耳打ちをしていた

 

マオは何か納得しているようだった

 

(一夏も罪作りな男だネ)

 

そう言われても……なんだか複雑な気分だった

 

結局そのまま軽く話をしながら食べていた

 

その後、部屋に戻ったら今度はジュディスさんとの修行だ

 

いつものように異世界に行って修業を始める

 

それにしてもジュディスさんもそうだけど、マオやリオンさんたちってIS相手に生身で戦って勝てるってすごいよな

 

俺みたいに弱い人が相手じゃなくても十分に戦えるみたいだし

 

「さて、今日は新しい技を覚えてもらいましょうか。まあ、そうは言ってもあなたこの前の無人機との戦いで無意識に出したのだけれどね」

 

あの時の事か、確かに何か見えた感じがした。そしてそこに攻撃を放ったらいつもより力を出せた

 

「あの技はフェイタル・ストライクという技ね。相手にうまく攻撃を加えることで敵の体勢を崩し、その隙をついてとどめの一撃を打ち込む技のことよ」

 

ジュディスさんの説明は続く

 

「基本的に弱い敵なら一撃で倒すことも可能ね。まあ、熟練した相手でも相当なダメージを負わせることができるわ。とにかく何度も使いこなすことね」

 

今日の特訓はどうやら魔物相手にフェイタル・ストライクを叩きこむことのようだ

 

……しかしうまくいかない

 

何度も攻撃を当てても、相手の隙がほとんど見えない

 

「頑張ってね。この技を覚えれば確実に強くなれると思うわよ」

 

確かにそうかもしれない。まだまだ強くなれるからこそ教えてくれる

 

最近になってそう思えるようになった

 

結局二時間くらいやってみたが、まだまだ会得は遠くなりそう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スキット

 

五反田家の日常

 

 

 

一夏が帰った五反田家

 

蘭はガイに対して不満を持って見ていた

 

「全く……何でばらそうとしたんですか? 私が一夏さんのことを……」

 

自分で言いながら恥ずかしくなっている蘭をガイはしみじみと見ていた

 

「悪かったって、だけどそう言うのを抜きにしてもいい奴そうだな。彼は」

 

「まあ、俺の親友ですからね」

 

「……あんまり関係ないよな? 弾」

 

「ですね」

 

「お前ら俺をいじめて楽しいか?」

 

弾の叫びに蘭とガイは笑っていた。叫んだ弾は厳にうるさいと怒鳴られて拳骨を喰らっていた

 

「こんな明るい家族に恵まれてうらやましいぜ」

 

「何を言っているの? ガイさんだって立派な家族よ」

 

蓮はガイの後ろからひょっこりと出てきた

 

「……心臓に悪いのであまりやらないでください」

 

そんなガイに蘭も笑顔になっていた

 

 

 

 

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