デジモンクロスウォーズ 絆の将と魔道の戦士
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ある日、さまざまな機械が並ぶ工場で、なのはがドライバーを片手に何やら作業していた。

「さて、調子はどうバリスタモン?」

と、なのはに訊かれたバリスタモンは、ぶんぶん腕を振り回すと、

「ダイブイイカンジダ。」

と、答えた。因みになのははこれでも生粋の機械オタクなのである。魔法と出会った記念すべき九歳の時にはすでに、普通にはんだごてを使いこなしていたほどだ。精密機械の精密部分でなければ彼女でも十分に修理可能である。

「にゃはは、でもこの手の機械に関しては、シャーリやヴァイス君の方がもっと上手に修理できるんじゃないかな。」

なのははこう言った、だが、

「それはダメですよ。私はともかくヴァイスさんには前科がありますから。」

どこからか現れたシャーリが、なのはにこう言って説明を始めた。あの日、何があって隊舎が壊れていたのかと。

 

 

 

 

 

 

 

 

はやて、フェイト、なのは、そしてタイキが聖王教会本部へ行った後の事である。スバル、ティアナが通常の仕事班、エリオ、キャロ、そして学校が終わり機動六課隊舎にやって来たアインハルトがヴィヴィオの世話を担当することになった。

コンピュータ室で仕事をするスバル達はと言うと、

「……よし、終わり!」

「早?!!!」

ワイズモンと共に、この間の事件の調査資料を纏めていた。

「ほら、少しこっちに回しなさい。手伝うから。」

ティアナは割と容量がいいが、スバルはこの手の仕事が苦手らしく手間取っている。

「それにしても、途轍もない力を発揮しながら魔力の反応が一切ないなんて、やっぱこいつら……」

スバルがまとめている資料を見ながらぶつぶつ言っていると、ティアナのデコピンが飛んできた。

「別にこいつらの正体がなんであれ、あんたが気にする事じゃないでしょう。」

ティアナはこう言って、作業を再開した。

(一体どういう事だ?)

同じように作業しながら、二人のやり取りを聞いていたワイズモンは、パネルを叩きながらこう思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして一方、ヴィヴィオの世話をしているエリオ、キャロ、アインハルトはと言うと、

戸惑いながらも積み木を積み上げるヴィヴィオを見ながら、アインハルトは思った。

(真紅と深緑のオッドアイ。この子、あの人に良く似ている)

彼女の中にある、元祖覇王こと「クラウス」の記憶の中に、彼女にそっくりな女性の記憶があるのだ。

「ねーねー、アインハルト。」

突然、テリアモンがアインハルトを呼んだ。

「?!どうしたの?」

と、アインハルトが訊くと、

「ヴィヴィオが積み木を全部積んじゃった。」

テリアモンはこう言って、不安定ながらも微動だにしない積み木の塔を耳で指した。そして当のヴィヴィオは、積み木が飽きたのか絵を描いている。

その様子を見ながら、アインハルト同様にエリオにも気になることがあった。

(普通に生まれた子供にしては人格がはっきりしすぎてる。きっと自分の元になった人物の記憶があるんだ)

これまでにヴィヴィオの様子を見て、エリオは彼女の意思がはっきりしていることを不自然に感じたらしい。

(きっとどこかで続いているんだ。プロジェクトフェイトは)

エリオがこう考えた時、

「あの、エリオ君?」

キャロが心配そうな顔で、自分の顔を覗き込んできた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、ここからが重要な話である。丁度冒頭でなのはがバリスタモンの修理をしていた場所。ここではヴァイスがバリスタモンの修理をしていた。

「すげぇな、こんなにハイテクながら俺の技術で十分修理可能なんてな。」

事実、デジタルワールドではタイキの仲間である「剣ゼンジロウ」がバリスタモンの修理をしていたのだ。常日頃から機械いじりをしているヴァイスの手にかかればすぐに修理できるだろう。

「ん?なんだこれ?」

ふとヴァイスは、意味不明なパーツを発見した。そしておろかな事に、そのパーツに触ってしまった。その瞬間、

「ガギュイイイイン!!!!」

という意味不明な騒音が発生し、工場が爆発した。

 

 

 

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所変わって、エリオたちは何をしていたかと言うと、お外で遊んでいた。ルーチェモンが転がしたボールをヴィヴィオが受け取り、投げ返す遊びをしているのだ。

その様子を、遠くからドルルモン、ナイトモン、バステモンが見ていた。さらに、少し離れた場所ではグラウンドラモンが昼寝をしていた。

「何事も無くて良かったですね。」

バステモンが様子を見ながら隣にいる二人に言った時である。

「ガギュイイイイイン!!!」

という騒音と共に、機動六課隊舎の一部が壊れた。

「何事だ!」

と、ドルルモンが叫ぶと、第一級警戒態勢を知らせるブザーが鳴った。

 

 

 

 

 

 

 

「第一級警戒態勢、しかもここでって、どんだけ危険なのよ!」

「ティア、そんな事より早く!!」

書類仕事をしていたスバル、ティアナ、ワイズモンがエリオたちに合流した時、青と黒を基調としたボディに、両腰にマシンガンのような物、腹部にスピーカーのようなものを付けた、クワガタのような機械が歩いてきた。

スバル達が、新種のガジェットか、と身構えると、

「あれはダークボリューモン!なんであの姿に!!」

デジモン達は一様に驚いた。何故バリスタモンがあの姿になっているのかと。

「ええ?あれバリスタモンなの?」

機動六課の面々ももちろん驚いた。しかし、

「どのみち、奴をほっとけばこの隊舎はおろか周囲一帯があっという間に壊滅する。」

ルーチェモンはこう言って、普段の天使のような姿から、背中の羽が半分天使で半分悪魔の貴族のような姿に変わった。

「ルーチェモンがフォールダウンモードになるなんて、相手は強いです。」

バステモンは皆にこう言って、ヴィヴィオを庇うようにして後ろに下がった。

「とにかく、みんな行くわよ!!」

と、ティアナが啖呵を切ると、

「マッハキャリバー!!」

「クロスミラージュ!!」

「ストラーダ!!」

「ケリュケリオン!!」

「「「「セットアップ!!」」」」

四人はバリアジャケットを身に着けた姿になった。

「武装形態。」

アインハルトも、自分の魔力を高めることで、今の姿から一気に十六歳くらいの姿に変わった。

「なんとかしてすぐに止めるぞ!!」

ドルルモンは皆にこういうと、

「ドルルトルネード!!」

尾のドリルを使って竜巻を発生させた。それに続いて、

「メテオスコール!!」

スターモンの指示の元、沢山のピックモンが襲い掛かり、

「ウルトラソニックウェーブ!!」

キュートモンは破壊力のある特殊な音波を口から発射し、

「チェックメイト・インパクト!!」

ナイトモンはポーンチェスモンズと一緒に突撃し、

「ブルーブレイブ!!」

スパーダモンは持っている短剣から青い斬撃を発射し、

「ブレイジングファイア!!」

テリアモンは口から高熱のエネルギー弾を放ち、

「デッドオアアライブ!!」

ルーチェモンは二発のエネルギー弾を投げつけ、

「覇王流、旋翔波!!」

アインハルトは、覇王流に伝わる気弾攻撃を行い、

「ディバインバスター!!」

スバルは右の拳から一筋の閃光を放ち、

「クロスファイヤーシュート!!」

ティアナは分身すると、分身たちと一緒に弾丸の雨を放った。

「エリオ流、グングニル!!」

エリオはメデューサモンがデジクロスした際に使う必殺技を自分なりのやり方で行い、

「フリード、ブラストフレア!!」

最後にキャロが、フリードの火炎の威力を上げて攻撃した。しかし、

「ガギュイイイイン!!」

ダークボリューモンは平気なようで、

「アルティメットスピーカー!!」

腹部のスピーカーから攻撃力のある音波攻撃を行った。

「くそ、このままじゃやられる!!」

と、ドルルモンが叫ぶと、アインハルトは思い出した。この日、タイキからいざっていう時の為のデジクロスを教えてもらっていたことを。

なので、自分の緑のクロスローダーを掲げると、

「キュートモン、ドンドコモン、ナイトモン、ポーンチェスモンズ、バステモン、チビカメモン、ワイズモン、デジクロス!!」

と、叫んだ。本来はジジモンが対応すべきポジションはワイズモンを代用した。

「グレイテストキュートモン!!」

キュートモンは甲冑を身に着け、下半身が太鼓のようになり、さらに途轍もなく巨大化した。

「デジトランス、ルーチェモン、ドルルモン、スパーダモン、スターモンズ!!」

そして、ルーチェモンをスバルのマッハキャリバーと、ドルルモンをティアナのクロスミラージュと、スパーダモンをエリオのストラーダと、スターモンズをキャロのケリュケリオンと合体させた。

結果、スバルのバリアジャケットはダークスーツのようになり、ティアナの銃は大砲のように、エリオの槍は西洋風の形状に、キャロのバリアジャケットは星の模様のちりばめられた物に変わった。

「グレイテストソニックウェーブ!!」

一連の行動が終わると、最初にグレイテストキュートモンが動いた。自分の口と太鼓から破壊力のある音波を放ったが、

「アルティメットスピーカー!!」

ダークボリューモンの攻撃にかき消され、さらにグレイテストキュートモン本人にも被害が現れた。

「キュー!!」

グレイテストキュートモンの唯一の弱点、打たれ弱い事を突かれたグレイテストキュートモンは倒れた。

「行くわよドルルモン!!」

ティアナはクロスミラージュと一体化しているドルルモンにこう語りかけると、

「ドルルキャノン!!」

ティアナの弾丸のスピードと正確性、ドルルモンの突貫力を得たエネルギー弾を放った。

「われが求めるは流星、我が願いを届けたまえ。」

キャロが祈りをささげると、空から隕石のような火炎弾が降り注いだ。

「エリオ君!!」

「行くよ!ストラーダ!スパーダモン!!」

キャロの合図を受けたエリオは、槍を構えて突撃した。さらにキャロの支援も受けたその姿は、さながら大気圏に突入するスペースシャトルだった。

エリオの一撃でダークボリューモンは吹っ飛ばされた。

「スバル!決めて!!」

スバルはティアナの合図を受けると、持ち前の俊敏性でダークボリューモンとの距離を縮めて、

「パラダイム・ロスト!!」

かの暗殺拳の必殺技のごときスピードで連続パンチをお見舞いした。

しかし、ダークボリューモンの固い装甲の前には、まるで効いていない。

「遊ビハ終ワリダ、アルティメットスピーカー、レベルMAX。」

ダークボリューモンの腹部に途轍もない力が集まり始め、皆がもうダメだと思った瞬間、突然上空が暗くなり、落下してきた巨大な何かにダークボリューモンが潰された。

「うるせえんだよ!!!!!!!!!」

落下してきた何かはグラウンドラモンだった。あれほど騒がしかったので起きたようだ。その場にいた皆に怒鳴ると、そのまま元いた場所へ戻って行った。

「………………」

その場に取り残された面子は、グラウンドラモンの怒りのすさまじさに驚き、しばらくは何も話せなかった。ヴィヴィオも、今にも泣きそうなのだが、何かがつっかえているようで泣かなかった。

(ああ、これが所謂泣く子も黙るってやつか)

(グラウンドラモンの昼寝だけは邪魔しないようにしよう)

皆がそろってこう考えていると、

「あ、あのー。」

背後から遠慮しがちに呼ぶ声が聞こえた。見ると、ユーノ・スクライアがやって来ていた。

「なのはに頼まれていた資料渡しに来たんだけど。なのはは………」

ユーノは、機動六課の隊舎が少し壊れていることに触れないようにこう訊いた。

「えーと、なのはさんは今聖王教会の本部に行ってます。」

と、スバルが行った後、

「とりあえず、どこか安全な場所を知りませんか?この子を避難させたいんで。」

ルーチェモンが天使の姿に戻り、ユーノに訊いた。この子は勿論ヴィヴィオの事である。

「………それじゃあ、無限書庫にでも来ますか?」

と言うユーノの提案で、ワイズモンとルーチェモンはヴィヴィオを連れて、一時無限書庫に避難することになった。

ちなみにこの後、ダークボリューモンは機動六課のメカニックスタッフが全総力を費やしてバリスタモンに戻しました。そして、ヴァイスに”バリスタモンのメンテナンス永久禁止令”が出されたのは言うまでもない。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、無限書庫に行ったワイズモン達は、

「うおおおお!本がこんなに、夢のようだ!!!!」

ワイズモンは、無限書庫内の大量の本を見てテンションがおかしくなっていた。

「ここにはさまざまな世界の古今東西の本がそろってるから、調べ物をするとき便利なんですよ。」

ユーノはルーチェモンに無限書庫の説明をした。

「そうなんですか、でもこれでは目的の本を探すのだけで時間が無くなってしまうのでは?」

ルーチェモンは、シャウトモンを連れてきたら、入った途端にぶっ倒れるだろうな、と思いながらユーノに言った。すると、

「ここでの本の探し方は変わっているのですよ。見たい本のジャンルやタイトル、作者を想像するだけでその本が入った本棚がやって来ます。」

ユーノが補足説明をした。なので、ルーチェモンは政治に関する本の事を考えた。すると、どこからか政治の本で埋め尽くされた本棚が出現した。

「確かに、これは便利だ。」

と、ワイズモンが関心していると、大量の本を見ているが、それも理解できる内容ではないため、手持無沙汰なヴィヴィオが目に入った。

「とりあえず、私はヴィヴィオに絵本を読んであげているとしよう。ルーチェモンは、」

「僕は調べたいことがあるんで、終わったら変わりますよ。」

こう告げると、二人は別れた。ワイズモンは適当に絵本を見繕うと、ヴィヴィオの所へ持って行った。

ルーチェモンは、

「覇王イングヴァルトについて書かれた本はと?」

覇王について書かれた本を探した。すると、出てくるわ出てくるわ、小説や歴史読本、研究記録がところせましと並んだ本棚が沢山やってきた。その中でも、

「これは、覇王本人の書いた本。」

覇王イングヴァルトの書いた自伝を見つけた、その内容を速読で読んでいると、一つの項目にたどり着いた。そこには、イングヴァルトと一緒にヴィヴィオと同じ色の双眸異色の女性が写っている挿絵が入っていた。

「聖王オリヴィエか。」

ルーチェモンは、ワイズモンの持ってきた絵本を真剣に見ているヴィヴィオを見ながら思った。

(まさかね)

ルーチェモンは、ヴィヴィオは聖王と関係があり、それが何か大きな事件につながるんじゃないかと考えたのだ。しかし、そこに書かれていることがどれだけ本当かは分からないが、最後の聖王には生涯配偶者はいなかったと書かれていた。

 

 

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カットマン

「カットマンと。」

 

モニタモンズ

「モニタモンズの。」

 

全員

「デジモン紹介のコーナ―!」

 

カットマン

「さて、今回のテーマはルーチェモン。ルーチェモンは天使の姿をしたデジモン。パワーアップすると「フォールダウンモード」、さらにパワーアップすることで「サタンモード」になる強力なデジモンだ。必殺技は七つの光弾を投げつける「グランドクロス」この技はセラフィモンの「セブンヘブンズ」と互角の威力があると言われている。」

 

モニタモンA

「天使型の時は飛び道具を使いますが、堕天した姿になると格闘技を使うようになりますな。」

 

モニタモンB

「さらにサタンモードになると、本体は外側の肉体が抱えている「ゲヘナ」の中に移動しますから、並みのデジモンでは勝てないですな。」

 

モニタモンC

「魔王の中ではほぼ最強クラスですな。」

 

カットマン

「因みに、グランドクロスは天文学の用語で、特定の惑星が十字を描いて配置される状態を表すんだ。この並びは昔から不吉だと言われているんだ。」

 

全員

「それじゃあまたね!!」

 

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デジモンクロスウォーズ 外伝 ダークボリューモン 

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