魔法世界に降り立つ聖剣の主 (改訂版)
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3:類は友を呼ぶって言うけどこれはないでしょ……

 

 

 

 

いきなりのレアスキル覚醒からの重傷を負った忙しい日から数週間後、俺は親父の伝言通りに地獄を見せられていた。

 

アン婆と共同作業で魔力制御及び総量の向上をすべく魔力の流れを協力に拡散させて、早い話暴走状態にさせた状態で身体に流れる分を一定量に保つ特訓をしたり、

光速移動に耐えられるように重力魔法掛けられながら親父と組手やらされたりともう無茶苦茶だった。

 

おかげで今までみたいに身体強化に回す魔力にムラが無くなったり、体感時間でほんの3秒間だけだけど光速移動が可能になったりした。

 

しかし、これでもまだ俺の能力を円滑に機能させるには足りないらしく、魔力と体力と技量をそれぞれ効率的に向上させるべく各地に散らばっていた親父の仲間を呼び寄せて特訓に付き合ってもらうらしい。

 

出来れば親父とアン婆よりかは優しい人達であって欲しい。

これ以上スパルタ教官が増えたらマジで死ねる。

 

切実な思いを抱きつつ、ナイトヘルムの後ろで二本のハルバートが交差したインサラウム家の家紋が刻まれたデカい門の前に立っている。

 

親父の仲間で俺の訓練を見てくれる人物を待っているのだ。

 

暫くその場で突っ立っていると、門が開き、三人のゴツい男性が歩いて来た。

その姿には見覚えがあったが、俺はその予想を半ば願望で否定した。

 

俺が一人祈りを捧げている中、三人の名を親父が呼ぶ。それは無情にも俺の予想通りの名で、出来れば嘘であって欲しかったものに相違なかった。

 

 

「久しぶりだな。シュバル、カイ、ゼンガー。」

 

 

何でよりにもよって「マァァァルグリットォォォォ!!」のおっちゃんに、背負い投げで有名な教導隊の少佐に、一刀両断親分さんなんだよ……

 

これまた随分と濃い…濃過ぎる一面が揃ったものである。ここに親父も加わるんだからもう色々とお手上げだよ。

 

こんな色々な意味で凄い人達にこれからビシバシ扱かれるとか……HA HA HA !死んだなこれはo(^▽^)o

 

若干名(主に俺)が真っ白になっている内にも、親父達は再開の挨拶を済ませて行く。

 

 

「大体5年ぶりになるか。我々がこうして集うのも。」

 

「今まではリモネシアやインペリウムの対処でそれこそ休む暇も無かったからな。忙しないほどに時の流れは早く感じるものだ。」

 

「しかし、こうして我等を呼んだということは、解決の目処が立ったと見て良いのですか?ご当主。」

 

 

上からシュバルさん、カイさん、ゼンガーさんの順で話を進める。親父はそれに小さく頷いて答えた。

 

 

「連邦も帝国もベルカを攻めるより今は力を蓄えるべきと判断したのだろう。こう我等に連敗を続けていては士気に関わるからな。あと数年は大人しくなるだろう。」

 

 

因みに連邦ってのがリモネシアのことで、帝国がインペリウムを刺している(名前につっこむな)。

 

前々から戦争してた両者は、多くの“聖王”と呼ばれる一族によって治められる国の集合体であるベルカ王国を味方に引き入れる、もしくは占領する為にここ数十年に渡って侵攻を続けているのだが、豊富な人材、豊かな資源、進んだ技術、そしてインサラウムを初めとする多くの騎士一族の武力に対抗出来ず、何度も苦汁を呑まされている。

 

初め聞いた時は、基本中立の体制を貫くベルカを自分達が勝ちたいからって理由で引っ張り込もうとするその身勝手なやり口に怒りも湧いたが、何度も撃退されているって聞いたらその気も失せた。

 

俺の中では連邦も帝国も下らない意地の張り合いを続けて戦争を長引かせる大馬鹿連中であり、そいつらがふっかけて来る争い事もどこか他所の世界の出来事に思えた。

 

というよりも毎日が忙しくてそれどころじゃなかったってのもある。そして今から更に苛烈な毎日が待っていると思うと鬱になりそうだ。

 

 

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「それで、こっちのが……」

 

「ああ。私の息子だ。」

 

「おお!俺が見た時はまだ赤ん坊だったからな。随分と逞しくなったものだ!」

 

 

カイさんが、良い笑顔で嬉しそうに声のトーンを上げる。

それを機に他の二人もこちらに視線を移した。

 

っていうか、ちょっち待て!こんな濃いオッサン四人に一斉に見下ろされるとあまりの迫力にちびっちゃいそうなんですけど!止めてよマジで!((((;゚Д゚)))))))

 

 

「えっと……よろしくお願いします。13代目当主ジェラウド・インサラウムが実子シオン・インサラウムです。未熟者ですが、これからもどうかご指導のほどを。」

 

 

内心恐れおののきつつもアン婆に教わった挨拶を済ますと、三人は驚いた顔をする。

 

 

「こいつはたまげたな。この歳でもう礼儀作法を弁えているとは。」

 

「まだまだ遊びたい盛りであるというのに、立派なものですな!うちの弟子にも見習わせたいものです。」

 

「どうやらお二人に随分と仕込まれたようですな、若様。」

 

 

はい。そりゃもうみっちりと、嫌って程叩き込まれましたよ。

この挨拶だって噛まないで言えるようになるまでどれだけかかったことか……止めよ、アン婆の鬼の形相が浮かんで来やがった。

 

 

「この程度まだまだよ。インサラウムを継ぐ者として更に上を目指してもらうつもりだ。その為にお前達を呼び戻したのだからな。」

 

 

やれやれ…俺は正直インサラウム家を継ぎたいなんて思っちゃいないんだが……

 

まぁこういう家に産まれちまって尚且つ一人っ子。お袋だってもう既に……おっと、危ない危ない。危うくネガティブモード全開になる所だった。

 

気持ちを落ち着かせ、覚悟を決めた。こうなったら意地でもこの四人に食らいついてやる。

 

そんでもって親父を見返してやるんだ!

 

 

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そう思ってた時期が僕にもありました……

 

 

 

 

 

「若様!手を休めてはなりません!あと2526回です!」

 

「ぬがぁぁぁぁ!!」

 

 

シュバルさんに背中に乗用車ぐらいはある岩を乗っけられての腕立て一万回という無理ゲーをやらされ……

 

 

 

 

「集中力が切れて来たぞ!もっと研ぎ澄ませろ!」

 

「ギャァァァァ!!」

 

 

カイさんにバインドで動きを抑制された状態での組手3時間正拳突きやら背負い投げやらで吹き飛ばされ……

 

 

 

 

「力むのと集中するのは訳が違いますぞ!今は力に任せるよりも如何に完璧な軌跡を描いた一撃を繰り出すかを追求する時!」

 

「そんなこと言われたって…っ!」

 

「言葉を交わすよりも今は剣を振るう事にのみ意識を傾けて下され!」

 

「そんな余裕無いって「チェストォォォォ!!」ひぃぃぃぃ!!」

 

 

ゼンガーさんの二、三メートルはあるデカい剣をガチで振り回され……

 

 

 

 

「光速移動に頼るな!使えば使う程消耗して行く技ならばここぞという時にのみ振るうのだ!」

 

「だってそうでもしないと動きについて行けな「無駄口を叩く暇があったら手を動かさんか!」ひでぶぅぅぅぅ!!」

 

 

親父にトドメを刺される。

 

チクショウ……ドチクショウが……何がどうしてこうなった?

 

あれは修行なんかじゃない。そんな生ぬるいもんじゃ断じてない。

こんなのがこれから毎日続くのか?

 

 

「ねぇアン婆。俺、明日が不安で仕方ないよ。」

 

「こればかりはどうしようもありませぬ。強く生きなされ。」

 

「ジーザス!!(´Д` )」

 

 

俺に明日は来るのだろうか?

 

 

 

 

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あとがき

本日は二話連続投稿でした。

そして設定だけだった師匠三人組とアンブローンを出しました。

まぁインサラム繋がりと馬が合いそうな二人を出して見ましたけどどうでしょうか?

あとwikiって調べた所、ベルカが色んな王様が統治する複数の国家の集合体だったことが分かったんで修正しました。

ちょっと矛盾してたり欠けてたりしてた部分をこんな風に補って行こうと思います。

そこで質問なんですけど、この頃からデバイスってあったんですかね?

知っている方がいたらコメントお願いします。

でわでわ

 

 

 

 

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二話連続投稿です
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