魔法先生ネギま 〜疾風物語〜 第九話
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「それでは遥々遠くから来てくださった風見手華さんに乾杯!」

『乾杯!!』

 

疾風だ。今は楠根さんの音頭で宴会が始まった

クラマは…俺の横で手当たり次第に料理を腹に収めている

久慈奈ちゃんは俺のお猪口に酒を注いでいる

 

「どうぞ…」

「ありがとう。久慈奈ちゃん」

 

ん、この酒美味いな。鬼達と飲んだものと同じくらい美味い

 

「ふぅ…。久慈奈ちゃん。その、君のお母さんは…お酒好きなのかな」

「・・・?はい。父が死んだ後から夜毎お酒を飲むようになりました」

「通りで…。浴びる様に飲んでるもんねぇ・・・。この酒も美味いし、こだわってるのかな?」

 

言葉どおり楠根さんは酒をわんこ蕎麦ならぬ、わんこ酒のように飲んでは召使に注がせ、飲んでは注がせ・・・を繰り返している

それでいて見た目は全く酔っていないのが不思議だ

 

「母は元々余りお酒を飲まなかったのですが、父が死んだ後から悲しみを紛らわすように飲むようになりました。…すいません手華さん。少し違う部屋でお話しませんか?」

「…わかった。ほらクラマも来なさい」

「…まだ食い足りないのだが」

「後にしろ」

 

久慈奈ちゃんに連れられて、昼に案内された俺たちの部屋へと来た

 

「…この紙は何ですか?『他の人に見られない部屋で話をしたい』とは」

「まあ、ちょっと待っててくれ。クラマ、結界を」

「わかった。オン・キリキリ・マサラカト・ガタル」

 

クラマが呪文を唱え、結界を張る

並みの妖怪には破れない堅固な結界を

 

「…これは、呪術?もしかしてあなた達は…!」

「さて、改めて自己紹介と行こうか?」

 

俺とクラマはそれぞれ自身にかかっていた変化の術を解除する

現れたのは漆黒の剣士と橙の呪術師

 

「京都神鳴流剣士、波風疾風」

「関西呪術協会呪術師、クラマ」

『依頼を受けて、参上いたしました』

「………」

 

…どうしよう、ノリでやったけど結構恥ずかしい

久慈奈ちゃんの反応も薄い、し?ってか泣いてね?

 

「ちょ、ちょっとどうしたの久慈奈ちゃん!?何で泣いてるの?!」

「わ、ワシ達が何かしてしもうたか!?」

「ち、違います…」

「…?」

「やっと、やっと助けに来てくれた。怖かった。母上が日に日に別人になって行くのを見るのは辛かった…!」

「…そっか。もう大丈夫だ。俺たちが来たからには。楠根さんは必ず助けるし、妖怪は斬る。そして、君も救うよ」

「ありがとうございます。疾風様…!」

 

疾風『様』って何ぞ!?

 

「あ、あの疾風『様』って何…?」

「知らないのですか?妖怪を切り倒し、庶民を救う。姿勢では『英雄』と呼ばれておられる疾風様を呼びつけにするなど、恐れ多くてできません」

「…ま、まあいいや。とりあえず他の人たちの前では『風見手華』で呼んでね?一応任務中の偽名だから」

「わかりました」

 

ホントに分かったのかな?

 

「さて、依頼の話だ。話によれば楠根さんは妖怪に取り憑かれていると?」

「…はい。先ほどもお話いたしましたが、アヤカシに喰い殺された父の亡骸を見た後、頭をおさえてのた打ち回り…起きた後には、どう言えばいいのかわかりませんが…雰囲気が以前の母とは全く違っていて。それから日に日に母が母でないものに変わって…」

「…見たところ、君のお母さんには確かに妖怪が憑いている。それにある程度正体も分かってきた」

「本当かの?疾風」

「ああ。楠根さんに取り憑いているのは―――」

 

 

 

 

 

 

「なるほど。それなら確かに異常に体温が低いこと。それに酒豪なのにも説明がつくの」

「しかし本当にその妖怪が憑いているのなら、どうやって母上から引き剥がすのですか?」

「そこは影分身…偽者の俺を作ってそれを変化させる。ある程度の反応はあるはずだ」

「確かにその変化なら反応せざるをえんの」

「それに、さっき偵察に放った鼠に変化させた影分身が何者かに喰われている。このことからも作戦は有効なはずだ」

「わかりました。それでは作戦の決行は…」

 

「「「今日の深夜」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…その日の深夜、龍宮楠根は縁側を歩いていた

なぜか今日は寝つきが悪く、屋敷内を散歩していたのである

そんな楠根の目にあるものが映った

 

「ひっ!な、蛞蝓…!?」

 

そう、あのツルツルヌメヌメの生き物である

世の中の女性は大部分が蛞蝓が苦手であろう。しかし楠根の怯え方は尋常ではなかった

身体がガクガクと痙攣し、腰が抜けて歩けなくなっている

あまつさえ目には涙が溜まってさえいた

 

そんな楠根を助けるものがいた

 

それは長い舌を伸ばし、蛞蝓を捕らえた

そして舌を戻して口の中に蛞蝓を収めた

…蛙だった

恐らくこちらも世の中の女性は苦手な方が多いだろう

 

 

だが楠根は違った

目を光らせて、蛙を捕まえにかかったのである

改めてよく見れば楠根の歯が尖っている様に見える

―――いやそれだけではない

口は耳まで裂けて、舌が二股になっている

口からはシューシューと到底息とは思えない音が漏れている

とうとう蛙は捕まり、楠根は大口を開けて蛙を喰らおうとした

 

 

 

その瞬間、蛙は音を立てて白煙と化した

蛙が消えた楠根は驚き、うろたえる

 

「正体を現したか。こんなにあっさりと罠に掛かるとは思わなかったな」

「ワシもだな。全く、こんなのと同じ妖怪というのに腹が立つ」

「母上にこんなのが憑いていたなんて…」

 

そんな楠根に声が掛かった

このような深夜に、一体誰が!?そう思い、声がした方へ目を向ける

楠根の視線の先には…

 

「さて、仕事と行きますか」

「そうじゃの。早く京都に戻って一杯やりたいわい」

「私も行っていいですか?」

 

巷で有名な魔祓いの剣士と呪術師、我が娘の姿があった

 

 

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さて、今回は次回へのつなぎです。

元々ここで正体をばらす予定だったのですが、少し予定が変わってしまいました

次回は戦闘の予定ですが、今回のように変わる可能性もあります

今日はバイトの面接があり短い時間で書き上げたものなので、クオリティの低さはご容赦くださると嬉しいです(元々高いとはいえませんが)

作中のクラマの呪文はオリジナル(というより聞いたことあるのをつなぎ合わせただけ)なので、意味はあってないようなものです

説明
第九話です。遅れてしまい申し訳ありません
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コメント
クライシス様コメントありがとうございます。楽しみにしていてくださーい!(ディアーリーズ)
続きを楽しみにしてまーす!(クライシス)
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