ONE PIECE ?黒髪少年の描く世界? 第四十話 『うそつきノーランド』
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「あー…自然…に、お願いします?」

俺が上手く相手の船に乗り込めた事もあり、メリー号は順調に逃げていた。だが俺の方はまたもや少し苦戦しそうだ。船長さんがマシラと同じように目だちたがり屋だったのだ。何でそれがわかったかって?そらわかるわ。

 

だって絵描くって言ったとたん着替え始め、出て来たと思ったら中世貴族みてーな格好してバラくわえて椅子に片足を乗せてんだもん。もしかしたらマシラ以上だぞ。

絵の具を床に散らばらせながらそんな事を思ってると船長さんが驚いたような目で絵の具を凝視している。

「そんなに沢山の種類があるのか…」

そこにはおよそ20くらいの絵の具があった。船の上だし基本的に使う色しか出していないんだが…。これだけ原色にちかい色があれば大体の色は作れるしな。でもやっぱ気分によっては沢山の絵の具を並べて色を作らずにチューブから直接キャンバスに描く事もある。

「これでも少ない方だぜ?」

「そうなのか?でもこれだけじゃ色が足りないんじゃ」

「そんなことないぜー?ほら」

緑、青、白、そして少しの黄色をパレットの上で混ぜてみせる。

「これでエメラルドグリーンだ。そんで」

その色にまた別の色をくわえる。

「これが|青磁(せいじ)色だ。俺が一番好きな色」

青みがかった淡い緑色だ。ナミとかに言ったらジジくさいとか言われそうだが俺はなんかこの色をみてると落ち着くんだ。

「おおー。沢山作れるもんだな。おれ様の魅力が薄れちまうんじゃねえかとハラハラしたぜ」

ははははは。ここ多分笑うとこだよね?

 

そこから話しながら絵を描いていく。そしてわかったのは、この船長さんはショウジョウというらしい。

ははー。なるほど、お母様わかってらっしゃる。確かにこれはオランウータンだ。ちなみにオランウータンの旧和名が|猩猩(ショウジョウ)なのだ。ショウジョウの母さんはみたまんまの名前を付けたという訳だ。

「なあ、母さんの名前はなんていうんだ?」

「ムジナだ」

…あなたのお母さんはタヌキですか?

 

 

 

 

 

 

 

その後超美化されたショウジョウの絵を渡すと、どうやら満足してくれたらしい。みんなの所まで送ってくれるとまで言ってくれたのだが、みんなが逃げるため俺はここに残っていたのでお断りさせてもらった。そうじゃなかったら喜んで乗せてってもらうんだけどな…。

というわけで、別れを惜しまれながら船を出た俺。…良心が痛むなあ、なんでか。

そんな事思いながら飛んでいくと…

 

「?何だ、あの城」

見えて来たのはでかくてド派手な城。のパネルだった。上手くできていて、パッと見本物の城に見えるが、一応画家を名乗る者としてこれくらいはすぐに見分けがつく。でも結構リアルだ。その近くにはメリー号もあった。

「…俺の方が上手く描けるし」

変なとこで張っているヤマトだった。

「でもなんでパネル?」

その謎は陸地についたら解決した。パネルの裏には家があった。だが、まっぷたつに割れていて、半分ないのだ。おそらくそれを隠す為のパネルだろう。

 レンガ積めよという気もするが。

どうやらルフィ達はこの家にいるらしく、声が聞こえてくる。

 

 

 

 

 

 

 

「よー」

窓からルフィ達に声をかける。

「ヤマトさん!お疲れさまー」

ビビが労ってくれる。

おそらく今ん所素直に労ってくれるのはビビとチョッパーくらいだよ…。

まあみんな各々のやり方で労ってくれるんだけどね。暖かすぎる程。

ルフィ達は誰かの介抱をしていたらしい。寝台に誰か寝ている。

 

「ちょっぱー。この人“栗が生えてくる病”?」

「ああ、そうだ…って、違ぇよ!」

「え」

違うのか?頭に栗があるからてっきり。だって体からキノコが生える病気があるってのは聞いた事あるぜ?

「潜水病だ!」

チョッパー曰く、ダイバーとかがよくなる病らしい。聞くとこの人も海から上がって来た人らしい。でも、なんで潜ってるんだ?部屋をみた感じ海が好きという訳ではないらしい。海の写真やサーフボードがあるわけでもない。海が好きだったら少しはそれっぽいものが置いてあるもんだ。

 

その後しばらくしておっさんが起きた。俺はどうしてもおっさんの栗に目がいってしまう。

そこを頑張って目線を顔に戻し、話を聞く。

どうやらこのおっさん、モンブラン・クリケットはモンブラン・ノーランドという人の子孫らしい。その言葉に反応したのはサンジだ。どうやらモンブラン・ノーランドは『嘘つきノーランド』というノースブルーで伝わる童話の主人公らしい。

そういやサンジはノースブルー出身だって言ってたのを聞いたような聞いてないような…。聞いてないな。初耳だ。

つまり、その『嘘つきノーランド』は実在して、この人がその子孫だという。(2回目)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『うそつきノーランド』

 

冒険家のノーランドはいつも村の人に自分の冒険の話をしていました。

その話はウソかホントかもわからない大冒険の話。

ある時ノーランドは『航海していた時に黄金郷を見た』と王様に報告しました。

それを聞いた王様は2000人の兵士をつれて偉大なる海へと船を出しました。

苦難の末にたどり着いた所にあったのはただのジャングル。

怒った王様はノーランドを嘘つきの罪で死刑にしました。

ノーランドが最後に言った言葉はこうです。

「そうだ!山のような黄金は海に沈んだんだ!!」

王様達は呆れてしまいました。

もう誰一人ノーランドの言葉を信じませんでした。

 

ノーランドは最後まで嘘をつく事をやめなかったのです。

 

 

 

 

「なるほど?この人が実在してあんたはこの人の子孫だと」

パタンと絵本を閉じて言う。

「だからさっきからそう言ってんじゃねーか。お前バカか?」

「…」

ルフィに言われて思わず無言になるヤマト。

「ってことはここがその舞台だったってことか?」

めげずにおっさんに聞く。

「そりゃそーだろ。お前やっぱバカか?」

「…」

 

 

俺そんなバカ発言してた…?

 

それとも今までルフィの事バカにしてた罰かな…。

説明
にじファンからの転載です。
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