超次元ゲイム ネプテューヌmk2 〜Blue Wind〜(Rom’s inmost thoughts)
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―――あれ……?

 

私は突然ハッと顔を上げる。

「あれ……皆さん……?」

周りを見回すも、辺りには誰も居なくなっていた。

ソニック、コンパさん、アイエフさん、日本一さん……皆が居なくなっていた。

だが、そんなことより何故か体が凄く熱く重い。

喉も痛く、唾液を飲み込むと物凄い激痛が奔る。

もしかして、私風邪引いちゃったのかな……?

 

―――ブルッ!

 

急に寒気が奔って、私は身を縮みこませる。

中は灼熱、外は極寒が私を待ち受けていた。

止まっていても仕方がない、私はまるで亀のような足取りで歩き始めた。

多分、こんな遅さで歩いてたから皆と逸れちゃったのかな……?

沢山の人が行き交う中、私は1人歩き続けた。

 

「ふぇぇぇん………どこ……?ぐすっ………」

 

あれ……?

あの子もしかして……?

 

今まで気づかなかったけど目の前で青いコートの少女が泣いていた。

よく見たらロムちゃんだった。

「……もしかして、ロムちゃん?」

「ふぇ………?」

涙で濡れた顔でロムちゃんがこちらを見つめてくる。

「……悪い女神……(ふるふる)」

「ち、違うよ……!悪い女神じゃないよ……!」

必死に誤解を解こうとするけど上手く声が発せず私は咳き込む。

「………具合悪いの……?」

「うん……ちょっと風邪引いちゃったみたいなんだ……でも大丈夫だよ。」

ロムちゃんに心配かけちゃいけないよね――私は何とか笑顔を作る。

「ところで……ロムちゃんは何してたの?」

「ペン……探してた……」

「ペン?」

「うん……ロムちゃんとおそろいのペン……大事にしてたの……」

「そっか………どこで落としたかは分かるかなぁ……?」

「きっと……あの人に捕まった時……」

「じゃあ、あの時の道を辿って行けば見つかるよ。暗くなるといけないからいこっか。」

「一緒に……探してくれるの……?」

「うん。勿論だよ。」

「………ありがとう。(にこぉ)」

ロムちゃんが笑顔を見せてくれたのって今回が初めてかも。

「それじゃあ、いこっか。」

「……(こくこく)」

ぎゅっとロムちゃんが私の手を掴んできた。

私達は、そのまま歩いていった。

 

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「………みつからない……」

「大丈夫、きっと見つかるよ。」

 

私達は前に下っ端がロムちゃんをさらった時に残していったタイヤの跡を沿って歩きながらペンを探していた。

結構歩いたと思うけど、ロムちゃんのペンは一向に見つからない。

「う〜ん……どこにあるんだろう……?」

私は周りを見渡す。

 

「…………お姉ちゃん……」

 

お姉ちゃん……?

「ふぇ……?もしかして私のこと……?」

「………(こくこく)」

何だろう、嬉しいけどちょっと恥ずかしいな……

「ロムちゃん……私のことはネプギアって呼んでくれないかな?お姉ちゃんってちょっと恥ずかしいし……」

「ネプギア……ちゃん……?」

「うん、なぁに?」

「お姉ちゃんの事……知ってる……?」

お姉ちゃん………ブランさんのこと……だよね……

「……うん……勿論知ってるよ。ブランさんは優しい良い人だよね……」

「………お姉ちゃんが……帰ってこないの……」

「……今、ブランさんはギョウカイ墓場っていう所で捕まってるんだ……だから……」

 

ガバッ!

 

私が話していると、ロムちゃんが私にしがみついてきた。

「………ふぇぇぇぇん…………お姉ちゃん…………会いたいよ………!」

「ロムちゃん………」

膝元に温もりを感じつつ、私はそっとロムちゃんの頭に手を置く。

 

――辛いよね……こんな小さいのにお姉ちゃんに三年間も会えないなんて……

 

そのまま泣き出しちゃったロムちゃんを私はずっと撫で続けていた。

 

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ロムちゃんが泣き止んで落ち着くと私達はさっきも来た国際展示場まで来ていた。

「――――…………」

(――暑いなぁ………)

国際展示場に着いた時にはすでに自分の呼吸がさっきよりも荒くなっていたことに気づいていた。風邪はどんどん悪化していく一方だった。何だかボーっとして、目の前がよく見えなかった。

「………ネプギアちゃん……大丈夫……?」

「………え?……うん大丈夫、だよ……」

ロムちゃんが不安そうに私の手をぎゅっと握って心配してくれる。ロムちゃんは優しいなぁ……

「ここら辺にあるといいね……」

「うん……(こくこく)」

私とロムちゃんはそのまま歩き続けた。

呼吸が荒くなり、髪や顎先から幾度も汗が垂れた。

歩くスピードも徐々に遅くなっていた。

「………ネプギアちゃん……?」

「………ん?」

「………どうして……そんなに頑張ってくれるの……?」

「どうしてって……ロムちゃん困ってたし……困ってる人を見かけたら放ってなんかいられないよ……」

「………ネプギアちゃんはルウィーに何しに来たの……?」

「……私?私はルウィーのロムちゃんとラムちゃんに会いに来たんだよ……」

「……私達に?」

「……うん。お姉ちゃんを助けるためにルウィーの人達に協力を求めに来たんだ。」

「………でもここ、プラネテューヌから凄く遠い……」

「あはは……平気だよ。お姉ちゃんを助けて、ゲイムギョウ界を救うためだもん……」

「……………」

「ホントは……ロムちゃんとラムちゃんにも一緒に来て欲しいんだ……けど……ソニックにコンパさんやアイエフさん……日本一さんもいるし……きっと大丈夫だよね。」

「………あ……!」

突然ロムちゃんが私の手から離れて何処かに走って行く。

 

―――私が覚えているのは………ここまでだった。

 

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「……あった……私のペン……!」

ロムは近くに落ちていたペンを拾い上げる。

そして、ぶら下げていたカバンの中にペンをしまう。

 

その時だった―――

 

ドサァッ……!!

 

「ふぇ……?」

ロムは突如聞こえた大きな音にビクッとなる。

そして、恐る恐る顔を音がした方に向ける。

 

「―――――ネプギア………ちゃん………?」

 

ロムが目にしたのは倒れているネプギアだった。

顔を真っ赤にしたネプギアはうつ伏せの状態で倒れていた。

てちてちとロムが近づき、ネプギアの体を揺さぶる。

ネプギアは苦しそうな表情でその目を閉じている。

「ネプギアちゃん……ネプギアちゃん……!?」

揺さぶりながらその名を呼ぶも、ネプギアは反応を示さない。

ネプギアから聞こえてくるのは苦しそうな呼吸の音だけだった。

「ネプギアちゃん………起きて……!」

必死にその名を呼ぶ。

だが、やはり反応はなかった。

「ネプギア……ちゃん………ふみゅう……!」

とうとうロムは泣き出してしまった。

「……………みゅ……?」

だが、ロムは涙で顔を濡らしたままネプギアのポケットから出ていたある物に気がつく。

「…………あ………!」

そして小さく声をあげる。

 

―――ロムが目にしたのは青色のカオス・エメラルドだった。

 

(――前に……ラムちゃんと拾った物とそっくり……!)

 

それは5日程前、ロムがラムと共に公園で拾ったあの水色の宝石にそっくりだったのだ。

 

「…………どうして……?」

 

ロムの問いに返事はない。

静まり返った展示場内―――聞こえるのは少女のすすり泣く声だった。

 

ギュンッ!!

 

そんなロムの周りを描くように、突如『青い風』が吹き渡った。

「ふぇ……?」

ロムが顔を上げる。

 

「二人共ここに居たのか。探したぜ!」

 

正体―――ソニックが突如ロムの目前に現れ、ロムがビクッ!となる。

 

「………誘拐犯………(びくびく)」

「Huh……」

徐にソニックはしゃがみこむとロムの顔の前でチッチッチと指を振る。

「俺は誘拐犯なんかじゃないぜ。」

どうせ言っても無駄だろうけど―――と言いたげにソニックは溜息をつく。

そのままネプギアの額に触れるとアッチ!と手を離した。

(すげえ熱だな……早くコンパ達の所へ連れてってやらないとな……)

 

「―――ホント……?」

 

「……?」

 

ロムの言葉が予想外だったのか、意外そうな面持ちでソニックが顔をロムに向ける。

「――信じてくれるのか?」

「………ネプギアちゃんは……とっても優しかった……だから、きっとお兄ちゃんも優しい……」

「お兄ちゃんって俺のことか?」

「……(こくこく)」

 

―――お兄ちゃん、か……

 

―――そういや俺、一応弟と妹居るんだよな……何だか懐かしいぜ。

 

―――マニア達、元気かな……

 

「ソニックでいいぜ!」

ニッ、とソニックは口端をつりあげウィンクした。

「ソニック……ちゃん……?」

「『ちゃん』はいらないな。」

ソニックが乾いた笑いを漏らす。

「それよりロム、お前ルウィーの教会を黙って抜け出したんだって?ミナが心配してたぜ?」

「……………」

「どうしたんだい?」

黙り込んでしまったロムにソニックが優しく語りかける。

「………ペン、探してたの………」

「ペン?」

ロムがカバンの中から先程のペンを取り出す。

「……ラムちゃんとお揃いのペン………あの悪い人に捕まった時になくしちゃったの……けど、ネプギアちゃんが探すのを手伝ってくれたの………」

「そうだったのか……」

ソニックがそっとネプギアを見下ろす。

さっきからネプギアから苦しそうな呼吸の音が聞こえてくる。

 

―――ポタッ

 

そんなネプギアの頬に一滴の水が落ちた。

「?」

ソニックが顔を上げる。

水の正体はロムの涙だった。

「―――ふぇぇん………ごめんなさい……!」

「どうして泣くんだい?」

ソニックが微笑みつつもちょっと困った表情でそっとロムの頭を撫でる。

「………ネプギアちゃん……会った時から具合悪かったの……けど、最後まで手伝ってくれた……けど……!」

「もういいさ。」

言葉を続けようとしたロムをソニックが遮る。

「ネプギアはそんなことで怒るような奴じゃない。夢の中でお前がペンを見つけられたことを喜んでるかもしれないぜ?」

「………ホント?」

「Of course!」

あっ、とソニックがネプギアのポケットから出ているカオスエメラルドに気づく。

「カオス・エメラルドが出てるな。」

ソニックがカオス・エメラルドを手に取り、ポケットの中に入れようと試みる。

「――――………カオス・エメラルド………?」

ロムが聞き返す。

「Hun?カオス・エメラルドを知っているのか?」

「……………う――」

思わず頷きそうになったが、ロムは動きを止める。

 

 

――――ロムちゃん、これは私達だけの宝物だから誰にも内緒だよ!ミナちゃんや他の人には言っちゃ駄目だよ!

 

 

 

それは、少し前にラムと約束したことだった。

「ロム?」

「………ううん、知らない(ふるふる)」

普段からロムの声は小さいが、何故か今の言葉がいつもよりさらに小さく聞こえた。

「その宝石………」

「こいつはカオス・エメラルドさ。」

「カオス…………エメラルド………?」

「俺の元居た世界で七つ集めると奇跡を起こすって言われてる宝石さ。信じてくれないかもしれないけど、俺はこの世界の住民じゃないのさ。」

「ふぇ………?じゃあ……宇宙人……?」

「Hmm……厳密に言うとそうなるかもな。俺が元居た世界に帰るためにこの世界でバラバラになったカオス・エメラルドを探す旅に出てるのさ。」

「…………………」

 

 

―――実は…………その宝石………知ってるよ……

 

 

―と言おうとしたが…………

「………ハァ……ハァ………!」

「ッ!」

ネプギアの呼吸がさらに荒くなるのに気づき、ソニックがネプギアをおんぶするとロムに手を伸ばす。

「ほら、帰ろうぜ?皆が待ってる。」

「…………うん。」

ロムが小さく頷くと手を繋ぎ展示場を後にした。

 

 

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「………着いた……!」

ロムが小さく、けど嬉しそうにルウィーの教会を見上げる。

「ここからは1人で行けるだろ?」

ソニックがロムの手を握ったまま尋ねかける。

「うん……!(こくこく)」

ロムが頷くとそのまま照れくさそうにもじもじしだす。

「What?どうしたんだい?」

「……あ………あの………(もじもじ)」

「???」

「あ、ありがとう……ございました……!……ネプギアちゃんにも……伝えてください……!」

照れくさそうに言うとロムはソニックから手を離し、教会内へと走っていった。

そんなロムの背中をソニックは微笑みつつ見送っていた………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(一言:最近更新遅くてすいません……最近めちゃくちゃ忙しくてなかなか小説書けぬ…orz)

説明
ソニックはいつものようにエッグマンの計画を阻止しようとしていた。だがそれはエッグマンの罠だったのだ。カオスエメラルドの力で別世界へと飛ばされてしまったソニック。そこはゲイムギョウ界と呼ばれた異世界だった。そしてその世界でネプギアと言う名の少女に出会い―――……ネプギアは姉を助け出すことは出来るのか?ソニックは元の世界へ帰れるのか?これは、ネプテューヌmk2にソニックが居たら――のもしもの物語である。―――
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クロスオーバー ネプギア ソニック 超次元ゲイムネプテューヌ 

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