〜幻想郷外伝録〜異変・少年

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朝─────

窓から漏れた光が、椿の顔に当たる。

眩しい。そう感じた。

外から聞こえる、ご老人の方達の散歩話。

「･････うぅぁ、朝か･･･ふぁぁ･･」

少年、桜集椿、起床。

「････mgmg」

少年、桜集椿、食事。

「･･･････」

少年、桜集椿、歯磨き。

「････行って来ます･･･」

少年、桜集椿、声空しく部屋に響く。

家を出た椿。

昨日の事を思い出す。

そう、あのペンダント。

椿の服のポケットには、あのペンダントが入っている。

これを、登校する際に交番に届ける。唯それだけ。

しかし、椿には不思議と、虚しさが残っていた。

「･････これで、良いんだよね。」

自分に激似の少年。そして、ピンク髪の綺麗な女の子。

これを、このペンダントを手放したくなかったのであった。

なんせこんな事、滅多にない。

これを手放せば、いつもの自分に戻る。しかし、いつもの自分に戻って何がある。あるのは、悲しい自分。

もし、このペンダントに何かが関わっているのならば、

自分が関わっているのならば、

自分が変われるのかもしれない。

そう思い、唇を噛む椿。　

眉間にシワを寄せ、苦を噛みしめるような、複雑な顔を椿はしている。

「･････変わらない自分と、新しい自分･･･？」

今までの情けない自分が良いのか？　いっその事、このペンダントに賭けてみるのもありではないのか？

もしかしたら、自分が変われるのかもしれない。

「････こんなペンダントひとつに････？」

だが、もしかすると･･･。

このペンダントと自分は本当に無関係で、ペンダントも唯の誰かの所有物なのかもしれない。

「････僕は････僕は･････」

悩む　悩む　悩む　悩む

自分が変われるかもしれない。しかし、単に思い込みなのかもしれない。

そんな事を考えている間に、交番についてしまった椿。

「･････」

椿は････

「これでいいんだ･･･これで･･･。」

交番に足を踏み入れ、落し物箱と書いてある箱にペンダントを入れた。

椿は、今までの自分で生きていくことを選択したのだ。

「さぁ････学校までもう少しだ･･･」

･･･もう良いんだ。今回は･･･僕に神とか何とかが与えた冒険なんだ。

あぁ、あとこの商店街を抜ければ学校だ･･･

足を踏み出す。いつもの自分で良い。そう、椿は選択をしたのだ。

学校──────

いつもの授業を受け、ご飯を食べ、いつも通り帰る。

それだけ。

いつもの繰り返し。

椿は、いつも通り下校していくのであった。

「････さぁ、今日は何を作ろうかな･･･。あ、食材が切れてるから買い物にも行かないとね･･･。」

今日の夕飯の事を考える椿。

何たって、家事を全て椿はこなしている。

料理に洗濯に食器洗いに掃除にと･･･全てこなしている。

お金に関しては、母が毎月送ってくれるおかげで、苦なく生活できている。

世界を飛び回り、軍事系の仕事をこなす母。それに比べて僕は･････。

つい、親と自分を比べてしまう椿。　昔、軍の上層部が「あの人の子だと聞いた！やはり、天童なのだろうっ！？」

そう問いかけ、椿を調べに来たのを、椿は今でも覚えている。

･･･椿を見て、軍の者達は

「････ちっ。こんな凡人に育て上げるとは････これではわが軍の予定ｇ(etcetc...」

椿を嫌悪したらしい。

あの時からだろうか、椿が自分と親と比べるようになったのは。

(僕は････凡人なんだ。父や母のような特化した才能を持っていない。

それでも、僕は生きている。　死にたいくらいだけど･･･

「あなたはあなたなのよ！他の誰でもないあなた！だから、他人にはできなくてあなたには出来る事がある！」

「それを探して、何をしても無駄で、生きる意味もなくなったら！自殺でも何でもしなさい！私は止めない・・！」

「･･･だけどね！あなたが死んだら、悲しむ人がいることをしっかり覚えときなさい。」

･･･うん、死ぬなって言ってるんだよね。お母さん。

･･･母さん、この言葉のおかげで･･･何とか生きてるよ･･･

･･･探して、どうしても駄目だったら･･･僕はどうすればいいと思う･･･？）

そんな事を考えてれば、椿は、前を見ていない訳で･･･

ｺﾞﾁﾝｯ!!!　

良い音を鳴らして電柱に衝突する。

「････あ”〜〜〜−−−････うおぉおおお････」

唸りながらおでこを抑える椿。でこは真っ赤になっているが、そこまでの傷ではない。

････････うん、もう考えるのはやめよう。

そう考えた椿であった。

「ただいま･･･って、誰もいないのか。」

家に着いた椿。

「･･･mgmg」

夕飯を食べ、

お風呂に入り、

着替え、勉強し、遊び、

「･･･消灯っ・・・と」

就寝。