IS〈インフィニット・ストラトス〉 〜G-soul〜
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「ふぅむ……」

 

昼休みの食堂、そこで俺は携帯に映る画面を見ながら唸っていた。

 

「瑛斗、どうしたの? さっきから難しい顔して」

 

向かいの席に座るシャルが不思議そうに俺に話しかける。

 

「んー? これだよ。これ」

 

その隣に座るラウラにも見えるように俺は携帯を見せた。

 

「今朝エリナさんから送られてきたサイコフレームの研究資料なんだ」

 

「あれから、エレクリットでは解析が進められているのだったな」

 

「そうだな。だけど俺が気になってるのはこれなんだ」

 

画面を操作してある画像を見せる。

 

「サイコフレームの…共鳴?」

 

シャルが首を捻る。

 

「ああ。サイコフレームっていうのは一つ一つISのコアみたいに意志的なものを持ってて、それが別のサイコフレームに反応して共鳴をするらしい」

 

「共鳴を起こすとどうなるの?」

 

「それは向こうでも必死に研究中らしい。反応が起きるものと起きないものがあるみたいだ」

 

「なるほど、それでお前がこの共鳴の何が気になっている?」

 

ラウラの問いに、俺は声を小さくして答えた。

 

「実はよ…昨日の夜にセフィロトがその共鳴をしたんだ」

 

「それって………」

 

「この学園に、サイコフレームを搭載したISがある、ということか…」

 

勘の鋭いラウラが言った。

 

「はっきりしたことは俺にも分からない。けど、誰かに呼ばれてるような感覚があったんだ」

 

「でも、サイコフレームなんて最先端技術を取り入れたISが、この学園にあるの・・・・・?」

 

シャルの問いはもっともだ。確かに俺の周りの専用機持ちで、サイコフレームなんてけったいな代物を積んでる機体を持ってる人はいない。

 

「けどな、一人だけいるんだよ。サイコフレームを積んでるかもしれない機体を使ってるヤツが」

 

俺は顎をしゃくって、二人を振り向かせる。視線の先には、一夏と話をしている蘭、そして戸宮ちゃんがいた。

 

「あの子って…」

 

「オランダの代表候補生か」

 

「考えられるのは戸宮ちゃん一人。だけど、これという証拠はどこにもない」

 

俺はそこで肩を竦めた。

 

「まったく、サイコフレームを取り巻くのは謎だらけのものばっかりだ」

 

 

 

 

「……………」

 

梢は一夏と話をする蘭を見ていた。

 

(彼女は……)

 

目の前で明るい顔で一夏と話している蘭。

 

「ちょっと! 離れなさいよ!」

 

そこに鈴が乱入してくる。

 

「ちょ、ちょっと先輩! 邪魔しないでくださいよ!」

 

「邪魔なのはアンタの方でしょうが!」

 

睨み合う二人。

 

(ううん、彼女たちは……)

 

「まったく、なんでそんなに仲が悪いかなー」

 

困ったように頭を掻きながらつぶやく一夏。

 

「……………」

 

梢は教室へ戻る途中で、蘭に聞いた。

 

「…どうして、好きって言わないの?」

 

「ん? え?」

 

「…蘭も、凰鈴音も、織斑一夏が好きなのに、どうして、言わないの?」

 

「え、ええっ!?」

 

蘭は頬を紅く染める。

 

「だ、だって、一夏さんは絶対気づいてないし、それに・・・・・」

 

「?」

 

そこで黙り込んだ蘭に梢は首を捻る。

 

「……こっ、梢ちゃんにもいつか分かるよ! ほら、急がないと! 次の授業は実習だよ!」

 

歩調を速める蘭。

 

(…分からない。やっぱり……)

 

梢は、心のうちでそう呟き、蘭の後を追った。

 

「……」

 

そんな梢の後ろ。何者かが壁の影から梢を観察していることに、梢自身は気づいていなかった。

 

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放課後、生徒会の仕事である部活派遣に俺は駆り出されていた。

 

「瑛斗ー、早くタオルー! それとスポーツドリンクもー!」

 

今日の派遣先はラクロス部である。鈴が所属してる、ラクロス部である。

 

「へーへー、わーりやしたよ」

 

「んっふっふー、ホント便利ねぇ」

 

俺の渡したタオルで汗を拭きながら、ベンチに座った鈴は言う。

 

「なぁんか納得いかねぇけど、仕事だから仕方あるめぇ。ほれ」

 

ドリンクを差し出すと、ありがと、と言ってゴクゴクと飲む。

 

「んで、どうなの?」

 

「何が?」

 

「あの暴れ馬なISよ」

 

その一言でピンと来る。

 

「あーセフィロトか。ダメだ。通常武装は使えるけど、サイコフレームは全く掴める気がしない」

 

俺もベンチに座って嘆息する。

 

「ふーん。確か、サイコフレームってアンタの強い感情に呼応するのよね」

 

「理論上はな」

 

「なら、ブチ切れれば動くわけね」

 

「そんな簡単にいくかよ」

 

「きゃ」

 

『アタシ、良いこと言った…!』的な顔して右手の親指を上にあげてそんなこと言う鈴の頭に軽くチョップ。

 

「なによ、こっちは行き詰ってるアンタをリラックスさてあげようとしたのに」

 

「あのなぁ、仮に俺がブチ切れてサイコフレームが動いたとしても、十中八九暴走だろ?」

 

「た…確かに、あの時はたまたま人が近くにいなかったから良かったけど………」

 

鈴の表情が青ざめる。

 

「IS学園で暴走なんかしたら、それこそ大惨事になりかねえ。それだけは絶対に避けないと…」

 

「でも、整備科の人達との試合はもうすぐなんでしょう?」

 

「まあな。そっちはどうなんだ? 一夏とタッグで戦うんだろ? 練習してるそうじゃねえか」

 

「えっ、あ…ああ、まあ、ね」

 

なぜか顔を紅くしてツインテールの先っぽを弄る鈴。

 

「? 上手く行ってないのか?」

 

「ううん! 全然へーきよ! ただ…」

 

「ただ?」

 

「あの時、戸宮って子の様子が変わった時…すごく、嫌な感じがしたの」

 

「なるほどねぇ……ん?」

 

ふと、遠くに蘭と戸宮ちゃんが見えた。

 

「蘭と戸宮ちゃんだ」

 

「ランニングかしら?」

 

ジャージ姿で、汗を流しながら走っている蘭と戸宮ちゃん。ふと、俺は気になったことを鈴に聞いてみた。

 

「そう言えばよ、お前が中学のころの蘭ってどんなヤツだったんだ?」

 

「? 何よ急に」

 

「お前と蘭が仲が悪いのがなんとなーく気になった」

 

「んー…そうねぇ」

 

遠い目をしながら、鈴は顎に手をあてた。

 

「世話好きな子、ってイメージかな」

 

「というと?」

 

「蘭って、なにかと人に気をかけて、余計なお世話なんじゃないのって思えるようなことを平気でしたりするの」

 

「ふーん」

 

どうやら何か思い出したようで、そうだ! と言いながら鈴は手を叩いた。

 

「アタシがまだ中国に帰る前、蘭が長いことひきこもりの同級生を学校に来させようとして、そのひきこもりの子の家にほぼ毎日通ってたことがあってね」

 

「おお、ドラマのようなことをしてんな」

 

「半年くらいだったかしらね。その間ずーっと通い詰めてたわ」

 

鈴は話を進めていく。

 

「アタシも弾も一夏も、『もうやめておいた方がいい』って止めたことがあったんだけど、蘭も頑固なのよねぇ。そんなの全然聞かなくて。結局そのひきこもりの子が根負けして蘭と学校に行ったの」

 

「いい話じゃあねえか」

 

「そんなことしてたから、前の学校で生徒会長なんかやれてたのかもね。アタシにはアイツが何考えてんのか分からないわ」

 

苦笑しながら言う鈴の顔は、なんだか優しい感じがした。

 

「さてと、休憩終わり! 行くね」

 

「おう、頑張れよ」

 

鈴はベンチから立って、そのままグラウンドに戻っていく。

 

(なんだかんだ言って、鈴も、蘭のことが嫌いなわけじゃないのかもな)

 

タタタッと走っている鈴の後ろ姿を見て、そんなことを思う。

 

「じゃ、二人が早く仲良くなる日が来るのを祈りつつ、俺も仕事に勤しみますか」

 

俺もベンチから立ち上がり、鈴の後を追った。

 

 

 

 

 

「…対象に、特に変化はない」

 

この日の夜、梢は部屋で電話をしていた。蘭は大浴場に行っているのですぐには戻ってこない。

 

『そうか。引き続き警戒は怠るな』

 

電話の相手は梢がいた施設の研究者だ。

 

「…あの」

 

『なんだ?』

 

「……………」

 

聞こうとした言葉は、喉の奥に引っかかり、口には出ない。

 

『…どうした?』

 

訝し気な声に、懸命に声を出した。

 

「…なんでも、ない」

 

『おかしな奴だ。ではな』

 

そして一方的に電話は切れた。

 

「……………」

 

梢は、携帯電話を机に置いて、ベッドに寝転ぶ。

 

「……………」

 

虚空を見つめる梢は、フォルヴァニスにそっと触れた。

 

「…怖くないよ……ただ…」

 

そこで部屋の扉が開き、蘭が入ってきた。

 

「ただいまー…あれ? もう寝ちゃうの?」

 

こちらを見る蘭に、梢は起き上がって首を横に振った。

 

「ねえねえ、梢ちゃん。土曜日は空いてる?」

 

「?」

 

突然の問いに戸惑いながらも梢はコクリと頷く。

 

「クラスのみんなと午後遊びに行くんだけど、梢ちゃんもどう?」

 

「……………」

 

梢はクラスで少し浮いている。あまりクラスメイトと話さないこともその一因だ。

 

そのため梢はまだクラスに馴染めていない。

 

「…いい。蘭だけ、行ってきて」

 

梢が首を横に振ると、蘭はおもむろに梢の手を握ってきた。

 

「ダメ! このままじゃ梢ちゃんひとりぼっちになっちゃうよ!」

 

「…別に、構わない。一人には、慣れてる」

 

見つめてくる蘭から顔をそむけるが、蘭は諦めない。

 

「そんなこと言わずに、一緒に行こうよ」

 

「……………」

 

蘭の気迫に、梢は若干気圧される。

 

「授業が終わったらみんなで駅前に行くの。きっと楽しいよ!」

 

「………」

 

梢は(…これは、行くって言うまで終わらないな……)と直感し、

 

「…分かった。行く」

 

頷いた。すると、蘭は嬉しそうに笑った。

 

「うん! 楽しみだね!」

 

その笑顔に梢の胸はチクリと痛んだ。

 

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瑛「インフィニット・ストラトス〜G-soul〜ラジオ!」

 

一「略して!」

 

瑛&一「「ラジオISG!」」

 

瑛「読者のみなさん! こんばどやぁーっ!」

 

一「こんばどやぁ」

 

瑛「さあ! 今回も始まりましたラジオISG!」

 

一「おー!」

 

瑛「前回の記憶がいまいち曖昧だけど、今回も張り切っていくぞぉー!」

 

一「おー!」

 

瑛「…うーん、いまいち盛り上がりに欠けるなぁ」

 

一「きゅ、急にテンション下げるなよ」

 

瑛「だって、なんかもうちょっとラジオっぽいことしたいだろ?」

 

一「ラジオっぽいことって…たとえば?」

 

瑛「たとえば……」

 

一「………」

 

瑛「………」

 

一「………」

 

瑛「………」

 

一「………」

 

瑛「……よし! オープニングの時間はとれたな!」

 

一「何やってんだお前は!? 放送事故一歩手前だったぞ今!」

 

瑛「まあ何はともあれ、さっそく質問コーナーだ。一夏よろしくぅ!」

 

一「えー、お、またまたグラムサイト2さんからの質問だ。質問ありがとうございます!」

 

瑛「どもでーす!」

 

一「あ、俺宛ての質問だな。えーっと、もし白式に自分で考えるパーツを組み込むとしたら、どんなパーツを組み込みますか? 装飾品でも化! だって」

 

瑛「多分その『化』は『可』って書きたかったんだろうな」

 

一「白式に追加パーツかぁ」

 

瑛「装飾品をISにアクセサリーを着けるなんて、新しい考え方だな。どうせならギラッギラしたやつ着けるか?」

 

一「いやぁ、戦闘に不便なのはちょっと…あんまり目立たないようなのがいいな」

 

瑛「じゃあ、なんか武装着けようぜ。白式状態で射撃武装つけれたら良いと思う」

 

一「あー、確かに。みんな大体射撃武装持ってるからいいなーって思ってた」

 

瑛「いつかシャルのアサルトライフルを貸してもらったりしてたもんな」

 

一「懐かしー。それでアレガルスのミサイルポッドを撃ったらヘロヘロだった」

 

瑛「っと、話がそれた。そんじゃどんなパーツ着けたい?」

 

一「やっぱり、射撃武装かな」

 

瑛「ま、無いものねだりだけどな」

 

一「そういうこと言うな!」

 

瑛「ほいじゃ次の質問! グラ2さんからの質問! 俺たちが考えるIS最強コンビはどんな組み合わせですか? 複数でも化!」

 

一「『化』は『可』なんだろうな」

 

瑛「うーん、最強コンビか。なかなかタイムリーな話題だ」

 

一「蘭と戸宮ちゃんこともあるからな」

 

瑛「そうだなぁ…俺が思うに……ラウラとシャルあたりなんかがいいかも」

 

一「普段から仲良いもんな。訓練でも息ぴったりだ」

 

瑛「お前はどのコンビだと思う?」

 

一「うーん、良く組んでるイメージがあるのは鈴とセシリアだな」

 

瑛「事実強いからな、あの二人のコンビ。鈴が近距離戦、セシリアが射撃援護。あの二人は怖い」

 

一「思い出してみると、マドカとセシリアのビット組が組んでも怖いぞ。こっちの目が回る」

 

瑛「ビットがヒュンヒュン飛び回って、全然アイツらに近づけないぜ」

 

一「箒なんかも、結構いろんな人と組んでるよな」

 

瑛「ラウラと組んだこともあれば、楯無さんとも組んだこともあって、その後のゴーレムVとの戦いのときはお前と組んでたし」

 

一「まあな、あの時は無我夢中だった。あの時は冗談抜きで死ぬかと思った」

 

瑛「ああ。俺も死にかけた」

 

一「正直、あの時はお前と簪が来てくれなかったら危なかった」

 

瑛「いまじゃそれも思い出だねぇ」

 

一「はは、だいぶ物騒だけどな」

 

瑛「さてと! それじゃあエンディング!」

 

流れ始める本家ISのエンディング

 

瑛「事前に言っておくと、今回はたまたま知り合った小学生たちに歌ってもらったぞ」

 

一「うーん、それは良いけど、一人だけめっちゃ音痴だな」

 

瑛「まあまあ、そこはご愛嬌ってな。読者のみなさん!質問どんどん送ってくださいねー! それじゃあ!」

 

一「みなさん!」

 

瑛&一「「さようならー!」」

 

???「おい! お前相変わらず音痴だな!」

 

???「ホント、よくそんな自信満々に歌えること」

 

???「僕たちで教えてあげましょうよ!」

 

???「うん! さんせー!」

 

???「バーロー! 余計なお世話…ん? 博士か? どうした? ・・・・・事件!? 分かった! すぐ行く!」

 

???「あら、また事件? 忙しいのね、探偵さん」

 

???「よーし! 少年探偵団、出動だー!」

 

???「ったく、オメェら遊びじゃねーんだぞ!」

 

???「無駄よ、聞いてないもの」

 

???「はぁ…とにかく行くぞ!」

 

一「……なんか、行っちゃったぞ?」

 

瑛「ああ、そう言えばその小学生たちが住んでる街って、大体週一で殺人事件なんかが起きるらしい」

 

一「物騒すぎるだろ!? っつか、少年探偵団って…」

 

瑛「ま、世の中広いってことだな」

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嵐の前の静けさのように…
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