IS 〜デジモンテイマーたちの新たな伝説〜
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Side一夏

いきなり、ライフルを撃ってくるが俺は動かずに

「はっ」

 

右手、正確には鉤爪で弾いた

 

「なっ!?私のビームをはじいた!?」

 

弾いた箇所を見てみると無傷だった。さすがクロンデジゾイト製のドラモンキラーだ。

クロンデジゾイトとはデジタルワールドで産出される金属で非常に硬い。また、この金属は純度によってその性質を変えるという特徴を持っている。(硬度に関係はない)

 

ちなみに織斑はよけきることができず左肩にくらっていた。

やっぱりあのISは一次移行していないみたいだ。

 

俺はドラモンキラーを構え、オルコットに突撃する。その間にライフルを何発も撃ってくるが、かわしたり弾いたりしていく。

 

「なぜレーザーを受けながら無傷なんですの?!」

 

「俺のISは特殊な金属でできているんだよ。たぶん、ダイヤモンドよりも固いんじゃないか?」

 

「なぁ!?そんな金属あるわけが」

 

「おらあ!」

 

「きゃああ!」

 

オルコットが驚いている間に接近して右手のドラモンキラーで斬りつける。そして追撃の蹴りを放つ。

 

「はっ」

 

「ぐうぅ」

 

そんな攻撃をしばらく続けていたら、オルコットはなんとか上空へ回避。俺も体勢を立て直す。

 

「はあ、はあ、なかかな、やるようですね」

 

「息切れしながら言ってもかっこ悪いぞ」

 

「うっ。しかしそれもここまでですわ!お行きなさい、ブルー・ティアーズ!」

 

オルコットがそう言うと、背中のアーマーから、四つのビットが射出され、俺に攻撃を始めた。

 

「さあ!踊りなさい!私、セシリア・オルコットとブルー・ティアーズの奏でる|円舞曲《ワルツ》で!」

 

「いやだ」

 

とりあえず、かわす。

オルコットのビット兵器は、フィン状のビット四つからBTレーザーを発射するという兵器だが、オルコットが完全に使いこなせていないのか攻撃が単調で読みやすい。

織斑も同時に攻撃されていたけど何とか食いついている。それでも少しずつシールドエネルギーが削られていっている。

 

織斑の実力が見たい俺としては少し、邪魔だな。

先に落とすか。

 

Side out

 

ピッド内

Side簪

モニターには一夏、織斑君、オルコットさんが闘っている様子が映っている。

それを見ているのは私と鈴、本音、円夏だ。

今のところ試合は大きく動いていない。

でも、すぐに動く。

 

「あれが織斑秋人か」

 

円夏が織斑君を少し憎悪するように見ながらそう呟いた。彼女は織斑先生と織斑君と深いかかわりがある。それを言うなら一夏もだけど、いろいろあって一夏とは兄妹の関係に落ち着いている。それまでが大変だった。

 

「多分だけど、一夏は秋人と戦おうとするはずよ」

 

「ほう。その根拠は?」

 

「女の勘」

 

「・・・・・・・ハッ」

 

「今鼻で笑ったでしょ?円夏」

 

「知らんな」

 

「ちょっと体育館裏来なさい」

 

うん。一夏との関係は何とかなったんだよ。でも、私たちに対する態度が少し問題ありというか、やっぱりどこか皮肉っぽい口調になるんだよね。例外はお姉ちゃんとお義兄ちゃんかな。

二人は徹底的に円夏をしつけた(その時のことを思い出すと円夏は震えだします)らしいから。

 

本音は喧嘩を始めそうな二人を放置している。

 

はぁ、少しは静かにして。そう思うよね?白歌。

 

『はい』

 

Side out

 

Side一夏

 

まず、一番近くのビットに接近。撃破。

 

「なっ!」

 

「まだまだ!」

 

やっぱり読みやすい。常に俺の死角から撃とうとしているから、誘導しやすい。

場所がわかっているのなら対処は簡単だ。

そのまま、二機目、三機目を撃破。

 

「これで、ラスト!」

 

よし、全機撃破。あとは

 

「おまえだけだ!」

 

オルコットにむかう。

 

「甘いですわ!ブルー・ティアーズは四機だけではありませんわ!」

 

「わかっている」

 

ブルー・ティアーズのスカート状のアーマーから突起がはずれ、ミサイルが打ち出されるが

 

「『グレートトルネード』!」

 

両腕を頭の上で組み合わせ、回転しながら敵に突っ込む『グレートトルネード』で防ぎながら急接近する。

そのまま右腕で殴り掛かる。

 

「ドラモンキラー!!」

 

「ぐうう!?」

 

地面に向かって弾き飛ばし

 

「『ガイアフォース』!!」

 

エネルギーを両手に集めて作ったエネルギー体『ガイアフォース』を放つ.。

 

「きゃあああ!!!」

 

直撃はしなかったが、その余波だけで半分近く削られていたシールドエネルギーはゼロになり

 

『セシリア・オルコット戦闘不能』

 

Side out

 

Side 千冬

山田先生と篠ノ之は何も言えなくなっている。

正直一夏がここまでの実力だとは思わなかった。更識家は日本の名家だがその正体は対暗部用暗部。古来より日本を守護してきた。ゆえに更識家の者は、暗部に精通するためかなりの実力者である。

それは、二年のIS学園生徒会長にして学園最強である更識家当主、更識楯無を見ればわかる。ゆえに、一夏もかなりの実力を身に着けたと思っていたが

 

「織斑先生、更識君は何者なのでしょう?正直、代表候補生以上の実力です」

 

「あいつの指導をしたのは、二年の更識でしょう。なら納得できます」

 

「はあ」

 

嘘だ。たしかに、更識は優秀だがそれだけでここまで強くはならない。一夏の強さは単純な力だけではない。あれは、おそらく実戦経験と覚悟からくる強さだ。

 

(一夏。お前に何があった?)

 

Side out

 

Side out

 

オルコットを倒した俺はすぐに織斑に向かう。

 

織斑は近接ブレードを展開し、警戒しながら構えている。

鉤爪をかまえ突撃。

俺の右腕のドラモンキラーを織斑はブレードで防ぐ。

反撃にと斬りかかってくるが、それを見切り避ける。

(筋はいいけど、雑念が入っているな)

 

「はっ!」

 

「ぐぅぅ」

 

こちらは武器が二つ、あちらは一つ。その差でついに俺の攻撃が織斑をとらえた。

織斑はいったん距離を離そうとするが、俺はそれを許さず、追撃。

 

「はあああ!」

 

「くっ、ぐうう!!」

 

吹き飛ばされた織斑は地面に落下する。

 

(この程度か)

 

両腕にエネルギーを収束する。

いまだ織斑は体勢を立て直していない。

 

「ガイアフォース!!」

 

ガイアフォースは織斑に向かっていく。

そして、織斑はエネルギー球に飲み込まれた。

 

Side out

 

ピット内

「秋人!」

 

エネルギー球に飲み込まれた秋人をみて箒は思わず声をあげる。

千冬と真耶もエネルギー球の爆発で巻き起こった爆炎を真剣に見つめる。

 

「ふん」

 

爆炎が晴れ始めたとき千冬は鼻を鳴らし、顔にわずかな安堵を浮かべる。

 

「機体に救われたな。あの愚弟め」

 

「「え?」」

 

千冬の言葉の意味が分からず二人は声をあげる。しかし、爆炎が完全に晴れたとき、そこには、最初の武骨なデザインから滑らかな曲線とシャープなラインの騎士鎧のようなデザインになった機体を纏った秋人の姿があった。

 

Side一夏

「ようやく|一次移行《ファースト・シフト》を終えたか」

 

さて、やっと本番か。

 

(主様よ)

 

俺があいつに向かおうとすると、幽里、『鎧輝龍』のコア人格が話しかけてきた。

コア人格とはISのコアの深層に眠っている人格のことで、ISが操縦者の経験を蓄積し、それに合わせて進化していくのはコア人格のおかげだと言われている。

もっとも俺、いや、俺たちのISは世間一般のISとは全く違うけど。

 

(なんだ?)

 

(あやつの武器、『雪片』に酷似しておる)

 

(何だって?)

 

雪片とは、かつてISの世界大会モンドグロッソで織斑先生が優勝したとき装備していた近接ブレードだ。

そのブレードにはある能力があった。

『バリア無効化』

自身のシールドエネルギーを攻撃に転化することであらゆるエネルギーを無効化する。まさにもろ刃の剣という能力だ。

IS同士の勝負はシールドエネルギーが0になった方が負ける。

この能力で敵を斬れば、ISのバリアは消滅。ISが操縦者を守るための最後の砦、絶対防御が発動し大幅にシールドエネルギーを削れる。

織斑先生はこの能力を使いこなし、『雪片』一本で優勝して見せたのだ。

 

(おそらく『雪片』と同じ能力かもしれん。警戒を怠るではないぞ)

 

(わかった)

 

今度は織斑が突っ込んできた。

雪片?を構えながら一直線に小細工なしに突っ込んでくる。

それに対し、ドラモンキラーで迎えうつ。

雪片を振り下ろしてくる織斑。

それを俺は

 

ガキン!

 

「なっ!?」

 

「・・・・・」

 

両腕のドラモンキラーで受け止める。

織斑はまさか受け止めるとは思っていなかったのだろう驚愕している。

 

「はあぁあ!」

 

キン!

 

雪片?ごと織斑を弾き飛ばし

 

「ガイアフォース!」

 

エネルギー体を作り出し

 

織斑に向けてはなった。

 

「う、うおおおおおお!!!」

 

それを織斑は

 

ザン!

 

「おいおい」

 

(あ奴ガイアフォースをぶった斬りおった)

 

幽里が呆れたようにつぶやく。

 

(じゃが代償は大きかったようじゃな。あ奴のシールドエネルギーがほとんど残っておらぬ)

 

今の斬撃に零落白夜を発動させたのだろう。

シールドエネルギーがほとんどなくなっている。もはやここから逆転することはほぼ不可能。

それでも織斑は構えを解かない。

 

「なあ?なんでそこまで必死になるんだ?これはクラス代表を決める試合だが、おまえはそうまでして代表になりたいのか?」

 

俺は気になっていたことを織斑に質問する。こいつはこの試合で心の中で迷いを持ちながらもしつこく向かってくる。何かを振り払うかのように

 

「別に代表になりたいわけじゃない。ただ後悔したくないんだ」

 

「後悔?」

 

「僕は昔、気づくことができなかった。そのせいで大切なものを失った。だから、もう後悔したくないんだ!そのために、強くなる!」

 

ああ、そういうわけね。つまりまだ引きずっているってことか。別に俺は恨んでもいないし、今の自分に満足している。

だけど、織斑の中ではまだ整理がつかないと。

元弟ながら、難儀な性格だな、お前は。

 

「だったら、俺に本気で向かって来いよ」

 

「え?」

 

「強くなるとか言いながらお前は、どこか迷っている。そんなんじゃ俺には勝てない」

 

「!!」

 

「終わりにするか」

 

もうこいつの実力はわかった。才能はあるがまだまだあまいし、弱い。

 

「ジオグレイソード」

 

(ドラモンキラー|格納《クローズ》ジオグレイソード|展開《オープン》)

 

両腕のドラモンキラーが量子変換され、右腕に|大地《ガイア》のエネルギーが凝縮されたオレンジ色の両刃剣ジオグレイソードを基にした剣が出現する。

それを見て緊張感を高める織斑。

同時に相手に向かう

 

「はあ!」

 

織斑は雪片を振りかぶるが

 

「なっ!?うわああああ」

 

ジオグレイソードで俺は受け止め、ジオグレイソードを回転させる。

織斑は弾き飛ばされアリーナの地面に激突。そして

 

「勝負ありだ」

 

バーニアで加速し、織斑にジオグレイソードを突きつける。

 

『試合終了 勝者更識一夏』

 

Side out

 

Side 簪

一夏の試合が終わった後、私たちはIS整備課の整備室に集まっていた。

お姉ちゃんたちもいる。

 

「それじゃあ、説明するぞ」

 

円夏が話し始める。

 

「『鎧輝龍』と『蒼鋼・狼』、そして『赤天凰龍』は調整を終えた。具体的には一般的な第三世代ISなみに性能をセーブしている」

 

『鎧輝龍』は一夏、『蒼鋼・狼』は私、『赤天凰龍』は鈴のISの名前で、今は私たちのDアークの中に収納されている。

 

「ちょっといい?」

 

「なんだ?」

 

「調整が終わったのなら、なんであの子を持ってこなかったの?」

 

そう、鈴のISだけなぜか円夏は届けていない。

 

「いや、桜花が突然、新武装を思いついたとか言い出してな。今はそれを作って装備している最中だそうだ」

 

「はああああ!!?」

 

また、何とも桜花義姉ちゃんらしい。

 

「安心しろ。一週間後にまた届けてやる」

 

激昂しかけた鈴だったけど、円夏の言葉で落ち着いたみたい

 

「そして、楯な「んん?」お、お姉ちゃん」

 

呼び捨てしようとしたけど、お姉ちゃんの笑顔をみて慌てて訂正する円夏。まあ、義理とはいえ姉妹だしね。

 

「『はねちゃんの子はあともう少しで完成するよ。お楽しみに?』とのことです」

 

「うん。ありがとう円夏ちゃん」

 

そういって円夏を抱きしめるお姉ちゃん。

 

「あ、う、うん」

 

お姉ちゃんに抱きしめられて少し顔を赤らめる円夏。

しばらく、そのほほえましい光景を続けた後、離れる二人。

 

「それでは私は、戻る」

 

そう言った円夏は近くにおいてあったノートパソコンに自分の空色のDアークを向ける。

すると、デジタルワールドへの時空の穴、デジタルゲートが開く。

桜花お義姉ちゃんと円夏は今デジタルワールドに住んでいて、研究をしている。

ゲートに円夏が消えたあと、お姉ちゃんが手をたたいて、

 

「じゃあ夕ご飯でも食べに行きましょうか」

 

「「は〜い」」「「「はい」」」

 

「じゃあ、ご飯を食べにレッツ・ゴー〜」

 

本音の言葉に従って、わたしたちは食堂へ向かった。

 

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あとがき

いろいろ加筆してたら結構長くなってしまった。

しかも、布仏姉妹が空気。

次回は少しでも本音に出番を

 

説明
六話 陸戦の勇者
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織斑一夏 更識簪 更識楯無 凰鈴音 デジモン インフィニット・ストラトス IS 

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