IS x 龍騎?鏡の戦士達 Vent 8:ブルート・ヴォルフ、推参
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「一夏、あの蝙蝠と白鳥みたいなアレは一体何なのだ?」

 

「アドベントシステムの一部だ。詳しい事は企業秘密だから言えないけど、あの黒い奴は俺のアドベントシステムの補助をしてくれる、コードネーム((闇の翼|ダークウィング))。あの白鳥は閃光の翼、通称ブランウィング。」

 

「ダークウィングに、ブランウィング・・・・道理で細かい所が似ていると思った。しかし、中々面白い戦いだったぞ、織斑。」

 

「ありがとう、千冬姉。」

 

スパーン!

 

「ここでは織斑先生だ。それと受けるな。」

 

「怖いです。痛そうです。だから防御はします。」

 

一夏はウィングナイトの待機状態で千冬の出席簿を受け止めていた。修復とエネルギーの補充を終えたマドカは待機しており、ブルート・ヴォルフを纏った司狼も丁度現れた所だった。

 

「さてと、マドカ、用意は良いか?」

 

「元々勝てるとは思っていない。全力で行かせてもらう。」

 

『Sword Vent』

 

ウィングスラッシャーとスターブレイカーを構えるマドカに対し、司狼はデュアルバイザーを連結させた大型の銃器に、右手の実体がある鉤爪から伸びたプラズマクローを構えていた。

 

「行くぜ。」

 

レーザーがアリーナを飛び交う。スターブレイカーがライフルなのに対して、デュアルバイザーは面を重視して弾幕を張るショットガンタイプの銃器である。プラズマクローを振り下ろすが、スターブレイカーの銃剣で受け止められ、ウィングスラッシャーの攻撃をプラズマクローで弾いた。一進一退の戦いを繰り広げる二人に、アリーナは唖然としていた。

 

「凄い・・・・こんなハイレベルの戦い・・・・・国家代表レベルですよ!?」

 

「いや、司狼はまだ遊んでる。本気になれば、三分以内に国家代表を倒せる。俺は実際にそれを見た。まだアドベントシステムすら使ってない。デモンストレーションに幾つか使うかもしれないけど。それに、これは宣伝でもあるけど、餌を撒いているんだ。」

 

「餌?」

 

「成る程。そう言う事か。全く危険な事をする奴だ。」

 

箒が疑問の声を上げるのに対し、流石は元国家代表と言った所か、千冬は直ぐに理解した。

 

「このアドベントシステムは前代未聞。攻撃力も高い。当然ながら欲しがる奴は世界中にいる。その中で下心のある奴が近付いて来た所でそれを取り押さえ、証拠を本国に持って行く。そうする事で、ダメージを負わせ、貸しを作る。必要とあらば、その企業を消す。当然それに関わっている奴らだけだが。AD・VeX7は、確かに世界中にポツポツと支社が散らばっていて儲かってはいるが、それでも小さい事に代わりは無い。だから、雇われている時もある。」

 

「雇われている?」

 

「そう。AD・VeX7はある意味便利屋も兼ねているんだ。当然優秀な人材しか抜擢しないし、契約者が俺達を嵌めようとしていると分かった時点で、そいつらは終わる。契約金もふんだくるがな。でも、これはあくまで基盤に過ぎない。ファントム・タスクを潰したって言ったけど、正確には配下に置いたんだ。」

 

「馬鹿な!!そんな事をして委員会が黙っている筈が無いだろう?!」

 

「だからだよ。国際IS委員会は女尊男卑がデフォルト。それに対抗する為にファントム・タスクは作られたんだ。世界情勢を元に戻す為に。目的は一致してる。でも、やり方がマズい。だから、俺達に協力してくれている。お、そろそろ決まるな。」

 

「え?」

 

『『Strike Vent』』

 

二枚のカードを両腰のバイザーに装填、両手にセスタス、『ハウリング・ガオ』が現れる。右手のセスタスは口から砲口が現れ、左手の口からは何やら音が放たれている。両手を突き出すと大出力のエネルギーが撃ち出され、それに加えて衝撃波の様な物も射出された。

 

「あれは一体・・・?!」

 

「音波砲だ。」

 

「音波?!」

 

「詳しい事は良く分からないけど、あれでもまだリミッターが掛かってる。本気でやったらアリーナが観客ごと消えて無くなる。(元々あれライダーのデッキだしなあ・・・・)」

 

一気にシールドエネルギーを削られ、マドカは地上に降り立つ。

 

「さてと、勝ったのは俺だ。でも、見ての通り、俺がクラス対抗で戦ったら勝負にならない。だから、俺は辞退する。験担ぎってのもあるけど、教育の一環としても、一年一組のクラス代表の座は織斑一夏に譲りたい。」

 

 

 

 

代表決定戦が終わると、一夏、マドカ、そして司狼の三人は島に新しく建てた施設に戻ろうとしていた所でセシリアに呼び止められた。

 

「お前、もう大丈夫なのか?」

 

「はい、それと、申し訳ありませんでした!あの様な失礼なことを言ってしまっては自業自得ですわ。つきましては、代表の補佐を務めさせて頂きたいのですが・・・・」

 

「あれ、でもそれも自薦他薦じゃなかったっけ?」

 

「それは違う。 あの中学生にしか見えない様な教師に聞いた所では、補佐はクラス代表が決めて良いらしい。」

 

その特徴が当てはまるのは一人しかいないと言う事だけを明記しておこう。

 

(司狼、どうする?)

 

(大丈夫だ。イギリス政府は俺達に手は出さない。)

「分かった。じゃあ、よろしく頼むよ、オルコットさん。」

 

一夏は手を差し出す。

 

「セシリアで構いませんわ、一夏さん。」

 

その手をセシリアは笑って握った。

 

そしてその夜、一夏のクラス代表就任の祝賀会が開かれた。

 

「「「「「織斑君、クラス代表就任、おめでとうーーー!!!」」」」」

 

「ありがとうな、皆。」

 

「人気者だな、一夏。」

 

「マスコミにもみくちゃにされるよりマシだ。俺は記者会見とか嫌いなんだ。」

 

不機嫌そうな箒に一夏はにべもなくそう返し、ジュースを飲み干す。

 

「はいはーい、ちょっと通してねー。新聞部の黛薫子でーす。インタビューに来ましたー!」

 

リボンの色が自分とは違う、恐らく上級生であろう生徒がボイスレコーダー片手に人込みを掻き分けて来た。

 

「おお、薫、久し振りだな。」

 

「あ、司狼さん!」

 

「渚には世話になってるから、これ土産として渡しといて。よろしく伝えておいてくれ。お前は元気か?」

 

「はい!」

 

「インタビューする分には構わないが、あまり詮索はするなよ?」

 

「はーい♪じゃあじゃあ、早速!ズバリ、織斑君の強さの秘訣は?」

 

「鍛錬と相手の癖を見抜く事、かな?後は機体のデータ収集、それに応じての迅速な判断。言う程簡単じゃないけど。」

 

「おおー、現実的で良いねー。AD・VeXはどんな所?」

 

「パワハラも何も無い、理想的な仕事場。給料も安定してる。」

 

「じゃあ、白鳥さんは織斑先生と顔が似てるけど、それは何で?」

 

「他人の空似と言う物だ。」

 

クッキーを摘みながらぼそりとそう言った。

 

「じゃあ、最後に記念写真取りたいから、AD・VeX7の皆とセシリアちゃんで並んでくれる?後、織斑君とのツーショットも取るねー、学級新聞に載せるから。」

 

「そ、その写真、私も頂けますでしょうか?!」

 

それを聞いてセシリアが食いつく。

 

「勿論。」

 

まずはAD・VeX7組。これは滞り無く進んだ。だが、セシリアと一夏のツーショットを取る所になると、顔が少し赤くなる。

 

「うーん・・・・手握ってみようかー。」

 

一夏は何も言わずにセシリアの手を取り、カメラの方を向く。

 

「良いねー。じゃあ取るよー。576の自乗は?」

 

「331776」

 

「正解?。」

 

だが、写真に写っていたのは・・・・・一年一組の全員だった。

 

「あ、貴方達ねえ!」

 

「まあまあ、良いじゃないの。クラスの思い出よ、思い出。」

 

「抜け駆けはずるいよー。」

 

「さてと、そろそろ時間も遅いから、俺達は帰るよ。ワザワザありがとう。セシリアも、明日からよろしくな。」

 

「はい!」

 

三人はそのまま廊下を歩いて学園を出ると、そこに待っているルーフが開いている大型スクーターの座席に座り込んだ。シートが正位置に倒れ込み、操縦桿を握ると、エンジンを起動させた。ルーフが降りて来て完全に三人をマジックミラーの様なウィンドウを覆い隠す。静かに発進し、五分程で到着した。

 

「どうだ?テスト段階だけど、かなり使えるだろう?地、空、海対応のマルチビークル、ライドシューターだ。」

 

「でも、一人乗りって時々不便じゃ?」

 

「まあ、これは俺達しか使えないから良いだろう?それに、このエンジンを車にでも取り込めばエコカーが作れる。環境問題も昨今じゃあまり軽視出来ないからな。」

 

「成る程。確かに、実用化は図れるな。エンジンの出力を多少抑えた物を使えば簡単だ。実験にも回した方が良いか?」

 

「俺がやっとくから、マドカは心配しないで。俺は疲れたからさっさと寝よう。」

 

施設はかなり広々としている。森次やスコールはまだ起きているが、五人でもスペースは余り有るのだ。ガレージらしき分厚い鉄製のシャッターで仕切ってある所も見えていた。

 

「ここの方が広いだろう?一応誰でも出入りは自由だが、部屋の中は無理だ。じゃあな。」

 

司狼は部屋に戻り、扉を閉めると、深く息をついた。

 

「オーディン、いるのは分かってる。出て来い。最近ミラーモンスターが現れないのは、お前の仕業か?」

 

『そうだ。これからする事には、お前が持っている残りのデッキの幾つかを使う事になる。オルタナティブ、シザース、そして龍騎のデッキを渡せ。』

 

「何をするつもりだ?」

 

『この学園の者に渡す。ライダーに相応しいかどうか、見極める。言ってしまえば、この世界のIS適性試験の様な物だ。』

 

「篠ノ之箒と、鳳鈴音か?」

 

『・・・・知っていたのか?』

 

「やはりな。あの二人は一夏との縁が織斑千冬に次いで長い。それ故独占したいと言う欲に駆られるだろう。あいつらも女だ。お互いを潰し合わせるのか?それに、シザースのデッキは誰に・・・・?」

 

『取るに足らない人間だ。知る必要は無い。ただし、シザースを倒すのはお前ではなく、仮面ライダーナイト、織斑一夏だ。ライダーの資格無しと見れば、どうしようが構わない。』

 

「分かった。だが、デッキが無いと言うのはどう説明する?管理は俺がしてるし、ここのセキュリティーは万全だぞ。お前には意味無いだろうが・・・」

 

『私が上手くやっておく。心配する必要は無い。』

 

オーディンの姿が鏡から消え、声が後ろから声が聞こえたので振り向くと、ぼさぼさの黒い頭髪を持った男性が立っていた。声はオーディンの物だったが。

 

「オーディン、なのか・・・?」

 

『この姿では、神崎士郎だ。』

 

「確認するが、ライダーバトルを((学園|ここ))で始める気じゃないよな?」

 

『ああ。それは無い。それが優衣の願いだ。』

 

「分かった。」

 

シザース、オルタナティブ、そして龍騎のデッキを渡すと、黄金の羽を撒き散らして神崎の姿は消えた。

 

「さて、次はどうするかな・・・・・?」

説明
司狼のISのお披露目です。そして残りのデッキの一部は・・・・?
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コメント
基本的に余ったデッキ+サバイブのカードは全て司狼が管理しています。気が向いた時にデッキを使い回します。リュウガも然りです。(i-pod男)
リュウガのデッキは一体誰の手に?(biohaza-d)
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仮面ライダー龍騎 IS 

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