ゼロの使い魔 気ままに生きる転生者 15+α
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進めや進めと、余が造った巨大な戦車の群れは兵士を乗せて草原をひた駆ける。

 

戦車と言っても、現代兵器のソレではなく、牛や馬に牽かせる類の、太古の戦車である。

 

竜やマンティコアと兵士を100人/頭、余裕を持って収容できる巨大な戦車だが

 

動力も全て余が供給しているので、それなりに早い。

 

そんな戦車が50台、隊列をなして戦場に向かっている。

 

ここまでやっても、余の魔力の消費量より回復量の方が多い。

 

さもあらん、一日20回は死ぬような思いをしているのだ、これ位出来ねば余は泣くぞ、割と本気で

 

同じ車両に乗っている兵士が大丈夫かと心配してくれたが、この事情を聞いた瞬間、乾いた笑いで茶を濁しだした

 

クソっ!なんて時代だ・・・!

 

そんな如何でも良い事を考えながら進んでいると、殺気を感じて探った戦場の約10リーグ前に到着

 

ここで戦車を全て停車し、兵士達は作戦通りに戦車を降りて、整列、持ち場について待機に移った。

 

先だって進言していた最初の一撃は余とニューが大技で飾り、後は兵士達とともに殲滅に移行する

 

全員が戦車から降りた事を確認し、武装ユニットを全身に装備したニューと共に、全隊の先頭から約1リーグ離れた場所に立つ。

 

これでほぼ全ての準備が整った。

 

此処からが余とニューの『大技』の準備になる。

 

前方からの殺気は、つい先ほどより圧倒的に増えている。

 

近いから、と云うだけではなく、恐らく元々この地域に生息していた亜人の部族とも合流したのだろう

 

その殺気の重圧は、先ほど感じたものより数倍重くなっていた

 

されど未だ姿は見えず、表面上は静まり返っている。

 

これで最低限の土台は整った。

 

余とニューが大きく息を吸い込み―――

 

 

「――――――♪」「≪『――――――♪』≫」

 

 

同時に歌い始めた。

 

戦場に来て歌うのか、とざわめきだす5000と駐在していた数戦の味方の兵士達

 

しかし、一節を謳い上げたところで、大きな変化が訪れる

 

余達が乗ってきた巨大な戦車とそれを牽くゴーレムが中に浮き、形を崩し、別の何かに変化しようとしているではないか

 

その現象に浮き足立つ兵士達を他所に、歌声は尚も続く。

 

「――――〜♪」「≪『――〜―〜♪』≫」

 

漸く戦車だったものの原型がなくなり、本格的に別の何かに変化し始めた。

 

と、同時に、余とニューの周囲に、浮き足立っている兵士達を一瞬にして黙らせるほどの膨大な「力」が渦巻き始める

 

詩は途切れる事無く響き渡り、楽器などは持って来ていない上、誰も演奏していないはずなのに、何処からか演奏が聞こえてきた

 

その演奏は余とニューの唱に答えるが如く、唄にあわせるように・・・

 

「――〜〜〜♪」「≪『〜〜―――♪』≫」

 

余とニューは謳う。謳い続ける。

 

響く声は高らかに、全てに滲み通るようにと謳い続ける

 

民を脅かす亜人の群れに恐怖をと、想いを紡ぎながら

 

後ろで戦車だったものが、別のものに変化を遂げていた。

 

それは一つの巨大な砲身。希望にして絶望の顕現

 

余とニューの周囲を渦巻く膨大な力の渦が、その砲身に集まり、収束されはじめた。

 

「――――……♪」「≪『――――……♪』≫

 

前準備の詩を謳い終える。そして第一フェーズを終了、次のフェーズに移行

 

しかし此処で敵の大群の影が見え始める。

 

兵士達にも焦りの表情が浮かび始めるが、気にも止めず作業を続ける。

 

「響け」「≪『奏でろ』≫」

 

砲身は出来た、次は砲弾の作成と装填、照準の設定を開始するための「演唱」を開始

 

「「『≪天の雷よ!!≫』」」

 

余とニューはさらに同調を進め、一時的にだが、まったくの同一にまで深める。

 

「『≪シンクロニティ・チェイン!≫』」」

 

装填されている「力」の塊の砲弾を制御、改変し、ある一定の存在にのみ作用する砲弾へと昇華させる。

 

砲身を上に向け、そして―――

 

「「『≪―――――――――――――――♪♪≫』」」

 

ほんのニ節のみを謳い上げる事でトリガーを引き、目標に直撃するように砲弾の行方を操作し、((上空に向けて|・・・・・・))発射した

 

砲身から放たれた極光の輝きを放つ砲弾は天へと上り、雲を貫く。

 

成層圏に到達したあたりで、何かに反射されるように進行方向を変え、拡散しながら地上に居る目標めがけ、光の柱が豪雨の如く降り注いだ

 

そして着弾。

 

視界いっぱいに広がっていた、地平線にうごめく亜人の群れの塊に光の柱が突き刺さり

 

光の柱一つ一つが雷のような轟音を撒き散らしながら、亜人達を光で塗りつぶしていき

 

今度は亜人の群れの塊ではなく、光の柱で視界がいっぱいになり、そこからさらに一際強く輝き―――

 

 

 

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視界を遮っていた手を退けた余の目に映ったのは

 

視界いっぱいに蠢いていたはずの亜人の群れがほとんど消滅しており

 

左の陣と右の陣がかろうじて残っている程度、と云う常軌を逸したものだった。

 

さらに異常と言うべきは、それだけの現象が発生したと云うのに

 

クレーターの一つも出来ていないどころか、草木一本すら傷ついていないと云うところか

 

しかし、ああ、しかしだ

 

「あの威力にしては、やはり消費が多いな。余の精神力が四分の一も吹き飛んだというのに、この程度とは・・・」

 

本来、平和を願うはずの詩のベクトルを、破壊に向けたのがそもそもの間違いではあるな

 

とは言っても、初めから「破壊」に向いている詩を使えば、どれだけ威力を絞っても、最悪この大陸を沈めかねん。

 

対象の選択も出来んからな。そういった意味では、まあ、平和的ではあるか。

 

さて、ニューの状態は・・・

 

「≪自己解析 完了 『お腹が空きました』 《砲身》の大破を確認 次弾装填 不可≫」

 

ニューは問題無し、と。

 

やはり急造の、ただの錬金で作ったのではやはり無理があったか、これも威力減衰の一因と云うことか

 

砲身の先の約半分が、高エネルギーによって発生した熱により蒸発していたのだ。

 

ここで兵士達は我に帰り、渇を入れなおして作戦通りに進軍を開始した。

 

余は、兵士達の進軍を確認してから、未だボロボロになりながらも浮遊している砲身を見上げた。

 

大破した砲身は、砲身としてはもう使い物にならないので錬金を掛け、1000を超える大剣の束を作成し、浮遊させたまま待機させる

 

「さて、往くとしよう―――む?」

 

さて、余も進もう、と一歩踏み出した瞬間、異変に気付いた

 

亜人達が消滅した場所の奥、この場合、ゲルマニアの国境から、巨大な影が1つ出現したのだ。

 

何も無いところに巨大な影が1つ、目立たないわけが無い。

 

何事かと思い、遠見の魔法を使ってみれば・・・

 

「戦術機・・・だと・・・?」

 

余の頬筋が引き攣っていくのが自覚できた。

 

なにせその巨大な影は、余の知識、とりわけ「前世」の知識の内にある人型にそっくり

 

と言うか、そのまま再現されたようなゴーレム・・・?が1体、戦場のど真ん中に突っ立っていた。

 

なんと言うべきか、如何にも地球外敵勢生物相手に数で押されながら無双してそうな、そんな巨大人型ゴーレム・・・?だった。

 

いやむしろ、ゴーレムで再現されたものではなく、「実物」である可能性も無きにしも非ず。

 

尻から火噴いて飛んでいるとかもうね

 

ヴァリエール家の兵士さん達も、あえてそこはスルーして、普通に左翼右翼の残党狩りに精を出しているわけで

 

自動的に余があの戦術機(仮)の相手をしなければならなくなったわけで・・・

 

選択肢1、母上にいってもらう

 

・・・ノン、母上は自陣の指揮で忙しい

 

選択肢2、メイジ部隊の数百名に向わせる

 

・・・ノン、余の予測する相手の戦力的にお話にならない。機銃とか持ってるし

 

選択肢3、飛竜部隊に向わせる

 

・・・ノン、相手は飛べる上に、メイジ部隊と同じような理由でお話にならない

 

選択肢4、マンティコア部隊

 

・・・以下略

 

選択肢5、余とニューのみで対処する

 

・・・yes Yes YES!Oh my God!!!答え5!答え5!答え5ッ!!

 

普通なら有り得ないものが出てきて亜人殲滅どころではなくなった。

 

故に、余の周囲に展開していた1000を超える剣を一旦、王の財宝の中にブチ込んで

 

ニューを従え、巨大な影――以降戦術機(仮)――に向ってまっすぐ直進。

 

先陣の右翼左翼から逃れてきた亜人を、背中に装備していた剣で切り捨てつつ、ひたすら真っ直ぐ走り続け

 

しっかりと戦術機(仮)肉眼で確認できる位置まで一応の警戒はしつつ、走る速度を徐々に落としながら近づいて行く。

 

余がの足元に到達しても動かず、停止したままの戦術機(仮)にディティクトマジックを掛けてみる。

 

余の「知識」が正しければ、この戦術機(仮)の製造元の世界に、魔法の類は無かったはずである。

 

故に、錬金などで作られた物かそうでないかを見分ければ、この戦術機(仮)は何処から来たのかが、ある程度予想出切るという寸法である

 

結果、この巨大なロボットに錬金などの魔法は一切使われていない事と、コックピットらしき場所に、生体反応が一つ存在している事が解った。

 

とりあえず、動かない搭乗者を救出し、このデカブツを隠さなければ、大事になる可能性が高いため、外側からコックピットを開く装置を起動し、ある可能性が高まる。

 

この機体は戦術機(仮)ではなく、異世界から飛ばされてきた、もしくは引き込まれた本物の戦術機である確立。

 

何故そう思い至ったか、それはいうまでも無く、コックピットで気絶していたのが、余の知識の中の人物に酷似していたからだ。

 

ただ、ここまで考えて間違ってました、では恥ずかしいにも程がある。

 

故に、首にかけられていたドッグタグに刻まれている名前を確認することにした。

 

所属とかは読み飛ばし、最も重要な、名前の部分には――

 

《白銀 武》

 

余の知識がほぼ確定している事を証明する名前が刻まれていた。

 

・・・それにしても、一向に亜人が減らんな・・・いい加減煩わしい。

 

近づいてきた者は悉く剣を射て絶命させているのだが・・・?

 

おかしい、普通ならもう終わっていても可笑しくない頃合なのだが、数が減るどころか、増えている・・・?

 

「まさか―――!!ニュー!警戒を頼む!」

 

まずい―――

 

「≪ 諒解 警戒レベル 中から最大へ移行 一定距離の敵を殲滅します≫」

 

目の前で気絶している此奴が、余の「知識」の中にある、「因果導体」という存在であるならば―――

 

「重い因果」、主に「死の因果」がこの世界に流入しかねん。その結果、最低でも億単位で人が死ぬ事になりかねんぞ・・・!

 

・・・因果の流入を防ぐ手段はある。完全に御し切れていないため、かなり消耗するが、致し方あるまい・・・

 

「「水銀の蛇>因果掌握」」

 

一時的にだが、曰く「あらゆる事象の中心点」曰く「座」というモノに接続し、この世界に流れ込む「重い因果」を全て弾いて分散し

 

兆を超える異世界に拡散させ、因果そのものを軽くし、無力化した。

 

小さすぎる因果は、より大きな対極の因果に塗りつぶされやすい。

 

かつて「億単位」だったが、現在では「1」にすら満たない「死の因果」は、「生の因果」に殆ど塗りつぶされるというものだ。

 

とまあ、そんな厨ニ臭い考察にもならない如何でも良い事は捨て置こう。

 

他にも変な因果がこの世界の壁にへばりついているが、何と言うか、ピンク色の雰囲気を醸し出しているような気がする。

 

そこで余は直感した。このへばりついている妙な因果はもしや「恋愛原子核」の因果ではないのか? と

 

・・・まあ、今はそれも捨て置こう、「あれ」は後で如何でもできる。

 

とりあえず被爆したくないのでへばりついている「恋愛原子核」の因果をその場に固定しておく。

 

入ってきたらマズい事になりかねん。主に目の前で気絶している少年・・・青年?の身の危険的に考えて。

 

「・・・はぁぁぁぁっ・・・このまま考えていても仕方が無い、家に連れ帰るとしよう」

 

そう、結論が出たところで、気絶していて意識の無い・・・ああ面倒だ、「シロガネ」をコックピットから出し

 

王の財宝の中に戦術機、見た目的に恐らくは「不知火」を格納し、ニューを呼び戻してから一度仮拠点へ戻ることにした。

 

「シロガネ」を連れて戻るのは構わんのだが、余が負ぶって行くにしては大きすぎ

 

ニューが負ぶって行くのは、余の護衛を命じているため・・・安全面で問題あり

 

・・・戦車作るか、5人乗れるヤツ

 

「一旦仮拠点に戻るぞ、殲滅範囲を狭めよ」

 

「≪諒解 殲滅範囲 索敵範囲 警戒範囲を下方修正 仮拠点への帰還を開始します≫」

 

殲滅範囲が広すぎると、右往左往しなければならなくなる。

 

それは時間と労力の無駄であり、他の兵士の功績を奪ってしまいかねん。

 

むしろ、最初の一撃を放った時点で、余は引っ込むつもりだったのだがな・・・

 

終わった事を考えていても仕方が無いか―――

 

適当に((ランドドラゴン|地上走行特化の竜))の形をしたゴーレムと、四人乗りの戦車(近代兵器ではない)を造り

 

「シロガネ」を後部座席に寝かせ、余は操作のため御者席に、ニューは武装ユニットを展開しつつ、余の後ろ、二列目の座席に搭乗し

 

某征服王よろしく、飛び出してきた亜人を悉く轢殺しながら真っ直ぐ仮拠点に帰還した。

 

それはもうコレでもかと云うほど、何処から湧いて出た!と、大声で怒鳴りつけたいほど出てきた。

 

それこそ1000や2000などと云うしょぼくれた数ではなく、気付けば余の戦車の周囲を埋め尽くすほど、恐らく万単位で

 

チラッとだけ、母上が向った方角を見れば、母上が原因であろう、オーク鬼等がギッチリ詰まって真っ黒に見える巨大な竜巻が10個ほど・・・

 

逆の方角を見れば、恐らくは合作であろう、土メイジによる余が造った巨大戦車の模倣が亜人の群れに突っ込んで、亜人の波を蹂躙し

 

轢殺できなかったモノは、巨大な戦車に乗っていた風と炎のメイジによる巨大火炎竜巻に燃やされ斬られ吹き飛ばされて逝く

 

最悪の可能性である「死」は散らした故に、もうすぐ沈静化すると思ったのだが・・・

 

なるほど、盲点だった。因果流入による敵勢戦力の急増、彼の惑星外敵勢生物の因果の一欠片

 

それが、((対人敵勢生物の物量チート|解りやすく言えば))と云う因果に変じ、流入した事によるものなのだろう。

 

「≪グランドマスター 敵勢力の密集地帯を突破しました≫」

 

・・・現在地から仮拠点まで、約4リーグ。敵本隊とヴァリエール軍本隊との接触はあと3.5リーグ程

 

ヴァリエール本隊の戦力3500、対して敵戦力は推定3万、現在進行形で、さらに繁殖の法則を無視して増殖中・・・少々マズいな。

 

「ニューよ、敵勢力を殲滅、不可能ならば足止めをせよ。「SLB」を1%のみ解禁する。存分に奮うが良い」

 

「≪諒解 スターライト・ブラスター 術式 待機 出力1%開放≫」

 

ニューが戦車の座席から飛び立ち、20メイルほど上空で停止し、『魔法陣』を展開

 

目前に蠢く亜人の波を殲滅すべく、詠唱を始めた。

 

――≪『無間を始める 射を行う 光を表す』≫――

 

――≪『歪正す無尽の星光、具現せよ』≫――

 

穏やかな顔で逝った「紅騎士」エルクの、歪みを抹消し、正すための魔法

 

異界より流れ着いた「重い因果」を「歪み」と断じ、抹消するための術

 

本来なら星をも破壊してしまいかねないその術を、ほんの1%のみ発揮する

 

詠唱を終え、純粋で膨大な魔力と因果相殺の概念の、ほんの一部が、ニューの魔法陣に収束されていき

 

そして―――

 

「≪『スターライト・ブラスター』≫」

 

一筋の閃光となって、異界の因果に侵された亜人の群れの並に突き刺さり

 

何一つ逃さんと言わんばかりに、その閃光が周囲に広がっていく。そこに空気の壁に衝撃波がぶつかる際に発生する爆音が響くが

 

最初の一手の時のように、派手な音は無く、ただ歪みを抹消するための「現象」として

 

光は半径約1リーグほどにまで広がり続け、一際光が増したと思った次の瞬間、その光の中に亜人の群れが((引きずり込まれていった|・・・・・・・・・・・))。

 

余が駆け抜けた真中、敵本陣を中心に、後続、前線、右翼、左翼、天地問わず、異界因果に侵された亜人が、悉く光に飲まれていく

 

真っ黒だった母上の巨大竜巻も、光の衝撃で吹き散らされ、巻き込まれていた亜人達が光に吸い込まれていく

 

轢殺されたり焼かれたり斬られたり吹き飛ばされていた亜人たちも、同じく光に吸い込まれていき、やがて「消失」した

 

流入した「因果」が完全に消滅すると同時に、その光も消え去った。底が影で見えないほど深く大きなクレーターを残して

 

そうして残ったのは2千程度のオーク鬼やトロル鬼、オーガやゴブリン達のごった煮部隊が大穴には落ちず、仮拠点側の陸地に屯している。

 

おそらく、この屯しているのが、因果に侵される前の状態の亜人達であろう。

 

何故この術を最初から使わなかったのか、と云うのは、こういった自然の被害が大きいためである。

 

まあ、最初に使ったあの魔法が、結果的には「厄介事」の呼び水になってしまったことは、まあ、何ともいえない余の残念っぽさが・・・

 

ヴァリエール軍と亜人の群れとの距離、残り約2リーグ。

 

余とヴァリエール軍本隊との距離、約1リーグ。

 

此処から適当にゴーレムを生成しまくり、敵の足止めと間引きを命じ、そのままヴァリエール軍の本隊を通り抜け、漸く仮拠点に到着した。

 

あんな大きな音が鳴ったのにも関わらず、未だ意識が戻らない「シロガネ」をレビテーションで浮かせて戦車から下ろし

 

大きなテントで出来た仮拠点の中に錬金で急造されたベッドに放り込む。

 

ニューに「シロガネ」のその後を任せ、再び武器を取って戦場に舞い戻ることにした。

 

仮拠点のテントを出たところで、ヴァリエール軍本隊と、亜人の群れの本隊が衝突した。

 

 

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カリーヌは丁度、先の万の亜人と闘って相当消耗した兵士を率いて仮拠点に戻ってきていた。

 

そこで、仮拠点のテントから出てきたネロと鉢合わせとなる。

 

「ネロ、無事だったようで何よりです。しかし、問わなければならない事が山ほどあります。解っていますね」

 

―――やはり、ただの「何時もの事」として、片付けられることにはならなかったか。

 

「解っている。が、前線の臣下達が命を賭して闘っている今、そんな話をしている時間など、一秒たりとも在りはせん」

 

余や母上が、そんな何時でもできる無駄話をしている間に、何千人もの臣下の命が危険に晒されているのだ

 

「・・・解りました、話は家に帰ってからにしましょう」

 

母上はそう言ったきり、仮拠点のテントの中に入っていってしまった。

 

もはや今現在において、話すことは何も無い。会話の意識から、戦闘の意識に切り替え、支援の手を考える。

 

―――此処から前線へは、距離がかなりあるため、余が直接往くには時間がかかりすぎる

 

ならば、今の余の最善の一手は、錬金で高台を造り、その頂上から亜人連中に向けて狙撃の雨を降らせること・・・!

 

「―錬金―」

 

高台を形成、フライで頂上に飛びあがり、射線を確保しもはや隠す必要も無くなった「王の財宝」を展開

 

1000を超える錬金で造られた剣の群れが、空間を波立たせ、一斉に刃を表す。

 

自身の視力を強化し、約2リーグ先の亜人の群れ・・・主にオーク鬼やトロル鬼、オーガ等の大型種に狙いを定め

 

出てきた剣の群れを、標的めがけて一斉に射出した。

 

特にコレといって特殊な能力を持たない剣だが、音速を超えるか超えないかで真っ直ぐ飛ぶ大剣の群れは

 

同士討ちをする事無く、さらに、一振りの漏れなく、確実に大型種の身体へと喰らい付き

 

それだけでは留まらず貫通し、周囲の小型の種の亜人へと襲い掛かった。

 

それでも大型種はまだ幾匹は生存しており、その巨体で猛威を振るっている。

 

第一射のような、大量の剣を一斉に放つことは出来ない。何故なら間に合わせの((矢|剣))を使い果たしたためだ。

 

故に、あとは弓を構え普通に何処かその辺から錬金し((矢|剣ないし短槍))を補充しながら

 

単発で延々と狙撃を繰り返し、確実に敵の戦力を削いでいく事にした。

 

弓で((矢|剣若しくは短槍))を番え、集中しながら亜人の急所を狙う。

 

当たったと云うヴィジョンが脳裏に映った瞬間、矢を射る。

 

すると如何だろう、約2リーグ先のオーク鬼の心臓に、余が射た剣が突き刺さり、標的のオーク鬼は絶命した。

 

今度は渾身の力で巨大な棍棒を振り下ろさんとするトロル鬼の棍棒を狙い、射抜く。

 

音速で飛翔する大剣は、余の狙い違わず巨大な棍棒を射抜き、その衝撃で、トロル鬼が体勢を崩し

 

体勢を崩した隙をついて、魔法騎士がエア・カッターで首が刈り取った。

 

そんな事を延々と繰り返すうちに、亜人達の数が減っていき、やがて小型種が数匹残る程度となった。

 

しかし亜人達は戦い続ける。何かに取り付かれたかのように凶器を振るい続ける

 

まるで何かに操られているような気配さえするそれは、最後の一匹になっても続いた。

 

おかしい。普通は逃げるはず。最初の一手の時点で、亜人達は逃げていなくてはおかしいのだ。

 

次のニューの殲滅で、逃げていなくてはおかしいのだ。

 

可能性とすれば、操られていたか、別の何かから逃げていた故の生存競争なのか・・・

 

「まあ良い、今回は見逃してやろう」

 

今遣るべきは、また巨大な馬車を造って、無事に家へ帰還することだ

 

ああ、「シロガネ」を診ているニューに、帰ることを伝えねばならんな・・・

 

 

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今回使った主な技術

 

・巨大戦車

最大搭乗可能限度

人間のみなら1500人乗せることができるが

馬や竜、グリフォン等を載せる場合は、500人+馬とか500くらい となる。

大きさ、重量は押して知るべし、対地戦において、この戦車の蹂躙走行による地獄絵図がggg・・・

 

・演唱魔法

ATシリーズの技術を、此方側の世界で再現できるようにアレンジしたもの。

原典のものとりかなり負担が小さく、かつ、少数で、原典と同等の威力の魔法が放てる。

「効果」は「想い」によって左右され、そこに嘘が無ければ無いほど、その効果が深化されてゆく

原典の、本来なら何百人何千人もの人の想いを重ねて紡いで、漸く効果を発揮する魔法もあるが

ニューとネロに限っては、また別の理由で、単体もしくは一人と一体で成し遂げることができる。

今回使ったのはAT2の「レプレ○ア」を基とした「砲身」と「皆大好きファ○タ○マ○リ○」を「砲弾」を使った

戦略規模の砲撃である。ただ、効果は別として、威力が高すぎたために空間を若干歪ませてしまい・・・?

 

・王の財宝による射撃と狙撃

約2リーグほどはなれた敵を正確に射抜くことが出来るが

それは術者の狙撃技量次第。

放たれた「矢」は音速で飛ぶ。

 

・弓に番えた剣・短槍による狙撃

上記に同じく、狙撃は射手の技量次第。

最大射程は5リーグ。

放たれた「矢」は音速で飛ぶ。

 

・((遥かなる蹂躙制覇|ヴィア・エクスプグナティオ))・・・もどき

超重量のランドドラゴンが戦車を引いて爆走し、前にいる者を全て轢殺する。

ランドドラゴンの突進と、戦車の車輪による二段構えの蹂躙走法

ニューが搭乗している場合、剣の雨や魔法の雨が降り注ぐ

原典は言わずもがな、彼の偉大な征服王の宝具。

 

 

・((スターライト・ブラスター|SLB))

スターライトブレイカーではない。

原典はそれっぽいが、その「SLB」ではない。

「歪みを正す」と「消滅」に特化した砲撃。

本来なら星すら消滅させるが、今回は自重したため、巨大なクレーターで済んでいる

 

 

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筆者のつぶやき

 

プロットェ・・・

 

自分で書いたプロットなのに、自分の指がプロットの通りに動いてくれないとはこれ如何に。

 

やばい、やばいぞ、かなり離れてきた・・・本来なら戦術機とか出ないはずだったのに・・・

 

 

説明
どうしてこうなった・・・どうしてこうなったあああああ!!!
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微クロス・・・? 独自解釈多々有り 他のゲームなどのキャラ外見や設定も有り チート ゼロの使い魔 ご都合主義 TS要素 

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