Fateなんとなく書いてみた11
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今日、あたしは珍しく土蔵ではなく部屋で目が覚めた。

理由は単純、昨日は遅くまでアーチャー達と聖戦(ジハード)を繰り広げていたから土蔵に行かなかったからだ。

しかしあたしは少しだけ違和感を覚える。違和感の正体はすぐにわかった。

 

「兄貴の声で起きられなかったから・・・かな?って、何言ってるんだあたし!?これじゃまるであたしがその・・・兄貴に起こしてもらえないと寂しいブラコン女みたいじゃないか・・・」

 

あたしは頭を抱えながら布団の上で恥ずかしさのあまりゴロゴロと転がる。

少し涙目であたしは布団から立ち上がる。

 

「そんなことはどうでもいいんだよ。それよりアーチャーのあの兄貴への態度はなんなんだ!まるで・・・そう!あれじゃまるで恋する乙女だ!・・・まさかな」

 

あたしは猛烈な不安に駆られた。

何せアーチャーと兄貴はまだ会って二日位だ。

そんなハイスピードで恋に落ちるなんてあるわけ・・・。

 

「で、でも恋愛に時間は関係ないって椎名が言ってたし・・・ううう、うああああああああああ!!」

 

慣れないことで悩んでいたあたしの頭は、早朝からオーバーヒートした。

 

 

 

 

 

 

 

いつもの様に目を覚ます。

目を開くとそこに広がっているのは相も変わらぬ白い天井だった。

俺――両儀式――は眠っていたベッドから身体を起こし己の住んでいる部屋を見渡した。

特に目を引くものはない。あるとすれば衣装掛けに掛けられた赤いジャケットに、フローリングの床に直に置かれた電話位なものだ。

俺は冷蔵庫に向かい、それを開くと水の入ったペットボトルを取り出し、口を付けた。

とある夢を見て身体が火照っていたからいつにもまして喉を通る清涼感が心地好い。

 

「・・・ふぅ」

 

無意識に溜息を吐いた。

夢というのは割と付き合いの長い友人――黒桐美樹――とこれまた付き合いの長い友人――衛宮退――の夢だ。

自分らしくもなく幼稚で可愛らしい夢だった。

三人で街に繰り出して、飯食って、いつもは行かないような遊園地みたいな施設ではしゃぐ。

そんな俺らしくない夢だ。

しかし夢に見たということは少なからずそう言った願望が内にあるのだろう。

ならば実行に移せばいいと思う。だがそれは叶わない話だ。

美樹は呼ばなくてもふらりと現れるだろうが、退はそうはいかない。

何より住んでいる街が違う。アイツは普通に仕事をしているからそうそう会えないのだ。

 

「・・・会いたいな、退に」

 

出会いはただ俺がアイツを襲った。それだけだ。

しかしアイツは予想外に良い動きで俺を迎撃した。聞いた話じゃ戦いに関しては素人だったらしいが元々才能があったのだろう。アイツはその殺し合いの中で凄い速度で力を付けていった。

流石に素人に負けることはなかったが、それでも退は凄かった。

だから俺は家に連れて帰り、一応手当をした。

その時偶然家に来た美樹に男を連れ込んだと勘違いされたときは内心少し焦った。

それからだ。俺と美樹と退の付き合いは。

 

「こんにちわー、式?起きてるかな?」

 

物思いに耽っていると聴きなれた声が玄関から聞こえた。

噂をすれば影、十中八九美樹だろう。

 

「ああ、美樹か。鍵は空いてるぜ」

 

ガチャリと扉の開く音がする。直ぐに美樹は姿を現した。

普通の容姿に黒尽くめの眼鏡女。だが眼鏡で解りづらいだけでその実、美樹は美女だと思う。

しかし現れた当人は何やら膨れっ面をして怒っていた。

 

「まったく・・・式、鍵をかけないと駄目だってあれほど言ったじゃないか。式は女の子だし美人なんだから気を付けないと」

 

「俺が男に襲われるなんてあると思うか?」

 

「それは・・・想像つかないけど、万が一ってあるじゃない」

 

美樹の言いたいことはわかる。しかし、俺が鍵を掛けないのには理由がある。

退はここの合鍵を持っていないのだ。だから万が一アイツが訪ねてきたときに俺がいなかったら入って待っていられるようにという俺なりの配慮だ。

しかし美樹にそれを伝えると・・・。

 

「あはは、式って本当に退さんの事好きなんだねえ」

 

俺は納得がいった。

そう、好きなんだ。好きだから近くに居ないと寂しい。

だけどアイツは近くどころか街さえ違う。

自覚してはいたが改めて思うと少し恥ずかしいものがある。

 

「そういう美樹も・・・だろ?」

 

「ふふふ、まあね。式の恩人だし、小川マンションでは助けてもらっちゃったしね」

 

あの時本当にかっこよかったよ、と微笑む美樹。

しかし少しすると少し、ほんの少しだけいたずらっぽい表情で笑って言った。

 

「ねえ、式。会いに行ってみない?退さんに」

 

「行く」

 

気づいたときには俺は即答していた。

仕方ないと思う。会いたい。会って色々話したい。

出来たらちょっと戦いたいなと思わないでもない。

 

「じゃあ二日後、駅で待ち合わせよう。遅れちゃ駄目だよ?式」

 

「ああ」

 

 

 

 

 

「ふふふ、式凄くワクワクしてたな。付き合いが浅い人にはわからないレベルでだけど」

 

ボク――黒桐美樹――は式の家の帰り道、退さんに会いに行こうというボクの誘いに乗ったときの式の様子を思い出し、思わず笑みが溢れた。

それにしても式は相変わらず私生活での危機感がなさ過ぎると思う。

式は中性的で綺麗な顔立ちで肩口で切り揃えられた髪もさらさらで綺麗だ。

更にはいつも和服にジャケットという変わった恰好なのにそれすら違和感を感じさせない美人だ。

なのにあの危機感のなさ、一時は眩暈がしたものだ。

 

「まあ、それもきっと愛ゆえなんだろうけど」

 

式が退さんのことを慕っているのは一目瞭然だ。

かく言うボクも彼のことを慕っている。異性としてと言っても過言ではないくらいに。

 

「なんだか、遠足の前日の小学生の気分だよ。ボクも何だかワクワクしてきちゃったよ」

 

ボクは遠出する事を伝えに、上司――蒼崎橙子――の元へと向かった。

 

 

 

 

 

 

その頃噂の退はといえば。

 

「だから胸なんて飾りだって・・・言ってるだろうがああああああ!」

 

「ふん、まだわからんのか。貴様では私には勝てん」

 

「アーチャー、そのような態度では足を掬われますよ」

 

「どうせ、どうせあたしは胸が小さいわよ!悪かったわねえ!!」

 

「まだ続いてんのか、その話題」

 

朝皆が集まったと思ったらまた聖戦を始める4人に呆れ果てていた。

 

 

 

 

 

 

 

説明
FateTSハーレムものです
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コメント
更新いつ頃ですか?(黒羽)
久しぶりに来たら続きが上がってた。 もうそろそろ新話ゾーンですな! 続きが楽しみです!!(JohnDoe)
久しぶりに(JohnDoe)
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