IS-インフィニット・ストラトス ネクサス 恋に騒がす五重奏ーThe quintet disturbed in love ー
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「・・・・・・・・・・」

 シャルロットはドキドキしながら表札を見ていた。

(だ、大丈夫。今日は一夏家に帰るって言ってたし・・・・)

「あれ?シャルじゃないか。」

 シャルロットは驚き後ろを振り向く。そこには一夏の姿があった。

「え・・・い、いちっち・・・」

「大丈夫か?」

「う、うん。あ、あのね!」

「?」

「き、来ちゃった♪」

(うわ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!僕恥ずかしいことしちゃった〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!)

「そうか。まあ上がれよ。」

「う、うん。上がっていきます。」

「ははは、変なの。堅すぎだろ。」

 シャルロットは一夏に変なのといわれたことに少しばかりショックを受けたがそんなことは一夏の家に入ってすぐに忘れた。

「お邪魔しま〜す。」

(へ〜、ここが一夏の家か。一夏が手入れしてるんだっけ。)

 シャルロットは今のソファーに腰掛ける。一夏はシャルロットにお茶を出そうと台所へ行く。

(一夏って家事も料理も出来るなんて。いい旦那さんになるよ・・・・・・・・・だ、旦那さんかぁ)

 なんとなくふと思ったことにシャルロットは顔を紅くする。

「ほい、麦茶。」

「!」

「今朝作ったやつだから薄いかもしれないけど、そこは許してくれ。」

「う、うん。ありがとう。」

 シャルロットは一夏が隣に腰掛けてきたことに心臓の爆音が止まらない。

(う〜、こういうのはいいけどこんなに近づかれるとあの日のことを思い出すよ〜。)

 シャルロットは理性を保てそうに無かった。その時にチャイム音が鳴る。一夏は玄関に向かった。

「は〜い。どちらさまですか?」

「い、一夏さん。」

「おっ、セシリアじゃないか。どうした?」

「丁度近所を通りかかったので、少し様子を見に来ましたの。」

「そっか。じゃあ上がっていけよ。」

「はい!あ、あのケーキ買ってきましたの!」

「お!サンキューな。」

「はい!」

 

「お〜い、シャル〜。セシリアが来たぞ〜。」

「え!」

「え!」

 突然のことに二人は驚きを隠せなかった。二人は同じソファーに座った。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

(う〜、せっかく一夏と二人っきりだったのに〜。)

(シャルロットさん、まさか抜け駆けを!)

 二人はしばらく沈黙する。

「き、奇遇だね。」

「そ、そうですわね。」

 またしばらく二人は沈黙する。

「おいおいおい、今日はお通夜かなんかか?」

「「!(織斑先生と同じこと言った)」

「?どうした?」

「な、なんでもないよ。」

「そ、そうですわ。」

「そっか。まあ食おうぜ。丁度三つあることだし。」

 一夏は椅子を持ってきて二人の前に座った。

((隣に座ればいいのに・・・・・・・))

 二人は同じことを思った。だがそこが一夏のいいところであり、彼女達が彫れたところでもあるのだ。一夏はテーブルにアイスコーヒーと皿とフォークを三つずつ持ってくる。

「お前ら先に選べよ。」

「一夏が先に選びなよ。」

「いや、客人が優先だからな。」

 シャルロットは言われるがままにケーキを選ぶ。シャルロットは苺のケーキ、セシリアはチョコケーキ、一夏はチーズケーキを手に取った。三人はそれぞれ自分のケーキを口に運ぶ。

「これ上手いな。」

「ほんと。おいしいよこれ!」

「ほほほ、喜んでもらえて嬉しいですわ。」

「これ家でも作れんかな?」

「さすがに無理でしょう。『リップ・トリック』のシェフが国際大会で受賞経験のある菓子職人ですから。」

「そっか。それにしてもそっちのもおいしそうだな。食べさせあいっこしないか。」

「「!!!!」」

「あ、でも男口のついたのなんか嫌だろうし・・・」

「そ、そんなことないよ!」

「え、ええ!そうですわ!」

 このとき二人はアイコンタクトによって同盟を固く結んだのであった。

「そ、そっか。じゃあ俺からな。シャル、あ〜ん。」

「え!う、うん。あ〜ん。」

 一夏のケーキは口に運ばれる。それはおいしかった。味よりも精神的においしかった。今まで夢見ていたことが実現された瞬間であるからだ。

「どうだ?」

「うん。おいしいよ。」

「一夏さん!次は私に!」

「悪い悪い。セシリア、あ〜ん。」

「あ〜ん。」

 セシリアの口に入った瞬間全身に衝撃的感動がほとばしった。それは今までにないどんなにいいところにいっても味わえない程の経験。

「うまいか?」

「はい、おいしいです。」

 二人はアイコンタクトでこう言った。「作戦成功」と。その時インターホンが鳴った。三人して玄関に向かうとそこには箒、鈴、ラウラの姿があった。

「どうしてこうなるのかしら。」

 鈴は呟いた。

 

「誰か来る予定なら連絡してくればよかったのに。」

「仕方ないだろ。急に予定がなくなったのだからな。」

「そうよ。それともなに、エロイ物でも隠すとか。」

「そういうのは持ってないぞ。」

「すんなり返すな!」

「私は驚かせようと思ったのだ。どうだ、嬉しいだろう。」

 ラウラは胸を張って堂々と言う。

((((この自信が羨ましい・・・・・))))

 四人は同じことを思った。

「ところで午後からどうする?何もすることも無いし外に出るかと言いたいとこだけど皆中がいいんだよな。」

 皆はコクンと頷く。

(わざわざ一夏が帰省した日を狙ってきたのだ。)

(外なんかに出たら台無しじゃない、バカ。)

(何か、今まで知ることの出来無かった一つ得たいものですわ。)

(一夏のほかの趣味も知りたいし。)

(織斑教官の暮らしている家としても興味がある。)

 そんなことをおのおのは思った。その時二階から何か物音がした。

「!なに今の音?」

「あ!やべ。あれ落ちちまったかも。」

「あれって?」

 シャルロットが尋ねる。

「写真だよ。」

「ああ。一夏って写真の趣味があったから・・・」

「そうそう。せっかくだから整理してアルバムにしていたんだ。」

「へ〜。あたし達のも見せなさいよ。」

 皆は頷く。一夏は二回の自分の部屋から多くの写真と四冊のアルバムを取ってくる。

「結構多くなったんだね。」

「そうだな。IS学園に入っていろいろあったからな。」

「ほんとに多くありすぎよ。」

「アンナにあったのにまだ四ヶ月くらいしか経ってないんだもんね。」

「そうだな。まず一夏がISを使えるようになって・・・」

「私と対戦して勝ち・・」

「ウルトラマンとビーストが現れたよな。」

「そしてあたしが転入してきて謎のISが奇襲してきたけど一夏が倒して・・・」

「僕とラウラが入ってきて・・・」

「私が一夏に嫁宣言したな。」

「そして臨海学校で私が専用機を持つようになって福音事件が起き・・」

「俺の白式が二次移行して福音事件は幕を閉じたな。」

「そうね。その後アスカ、ウルトラマンダイナが旅先で地球に立ち寄ったわよね。」

「あの人、今どこの宇宙にいるんでしょう?」

「さあ。宇宙は広いって言うし。」

「そうだね。それですぐ間もないときに我無さんと藤宮さんが来たね。」

「二人とも天才だよ。」

「でも自分にうぬぼれていなかったわよね。」

「そうだな。天才は自分にうぬぼれないのが普通だしな。」

「でも地球の力で変身できるなんて驚いたよ。」

「その後でミライさんが来たよね。」

「あんな歳で高校生くらいの年齢なんだね。」

「若いウルトラマンの一人ってことだな。」

「そしてコスモスが地球に来た。」

「怪獣全てが凶暴じゃないのを教わったね。」

「でもハネジローが可愛かったよね〜。」

「そうそう。飼いたいと思ったよ。」

「でもアスカさんと知り合いなのが驚いた。」

 皆は一夏の言葉に頷く。

「でもこうしてみると色々困難や苦難を乗り越えたって気がするよ。」

「織斑先生が聞いたらなんて言うだろ?」

「多分『まだまだこれからたくさん経験するんだ。弱音を吐くなよ。』って言うと思うな。」

「ありえるわね。」

 その時扉の開く音がした。

「帰ったぞ、一夏。なんだ客がいるのか。」

「お帰り、千冬姉。」

「「「「「お、お邪魔してます。」」」」」

 千冬が帰宅してきた。

「麦茶飲む?」

「そう・・・・・・いや、これから仕事があるのでな。」

「そっか。秋用のスーツ部屋に出してあるから。」

「すまないな。」

「なんか夫婦みたいですわ。」

 セシリアの言葉に四人は頷いた。

「ああ、お前達。あまり揉め事を起こすなよ。泊まりもダメだからな。」

 そう言って千冬は二階に上がっていった。

「一夏、いくら姉弟でも仲良すぎじゃない。」

「そうか?兄弟だったら普通だろ。」

「そう思ってんのはあんただけよ。」

 一同頷いた。

 

 時間は午後5時。一夏達は近所のスーパーに夕食の買い物に来ていた。

「皆、わかっているだろうが・・・・」

「わかっているぞ一夏。」

「何としても阻止するわよ。」

「僕らの命の危険性もあるしね。」

「あの味は言語表現が不可能だしな。」

 セシリア以外の皆はこそこそと固まって話していた。その間にセシリアは少し席をはずしている。理由は女性にとって失礼なのでいえません。

「どう言い訳する気だ。」

「それが簡単に通じる相手ならば苦労しない。」

「そうだね。でもどこで間違っちゃうんだろうね?」

「多分最初からだと思う。」

「今度一緒に料理練習させるわ。」

「頼む、お前ら。」

 その時セシリアが戻ってきた。

「皆さんお待たせしました。」

「そんなに待ってないぞ。」

「あら。一夏さんは優しいんですね。」

「そうか?」

「はい。」

「はいはいはいはい、それじゃあ行きましょーね。」

 鈴が二人の空気を裂くように割り込んで皆は夕食の買い物に向かった。

「にしても久しぶりね〜。」

「そうだな。昔は親とよく言ったものだが今では一人のことが多いな。」

「僕も懐かしいよ。お母さんが生きていた頃はよくこうやって買い物に来ていたし。」

「私はこういう経験がありませんわ。」

「アンタは箱入り娘だもんね。」

「まあ。確かにそうかもしれませんが私は料理が上手でしてよ。小さい頃にチェルシーが「おいしい」と言ってくれましたわ。」

 その言葉を聞いたとき皆は心の中で合掌をした。

「でもアンタレシピとか見ているの?」

「レシピなんて必要ありませんわ。私の勘と実力で料理を作りますのよ。」

「ごめん。なんか今変なノイズが聞こえた気がするんだけど!」

「耳に何か詰まっていませんの?」

「あんたが言うな!」

 そんな時であった。

「あれ!一夏達じゃないか。」

 声のするほうを向くとそこには榊、真宵、姫の姿があった。

「皆さん、お久しぶりです。」

「久しぶりなんじゃよ。」

「久しぶりね。姫、真宵。」

「で、何で皆して買い物しに来てんだ?」

「皆で料理作ろうって話しになってな。」

「なんだ、そっちもか。」

「そっちもってことは・・・・」

「おう。俺と姫と真宵で伊御たちに料理作ってやろうって話になってな。」

「伊御たちってことはつみきも?てか二人は?」

「決まってんだろ。」

「ふぇふぇふぇ、それはお約束の〜〜〜〜〜」

「「「「「「や、約束の!」」」」」」

「コークスクリューブロー」

 ズココーン

 その話を聞いていた皆さんずっこけた。

「何で!」

「冗談なんじゃよ!」

「あの二人なら出来そうだから!」

「・・・・・・・・・・・・はっ!」

「お前がその技喰らえ!」

「それより聞いていい。」

「何じゃね鈴さん。」

「あの二人今どこよ。」

「お二人は今伊御さんの部屋にいるんじゃよ。」

「「「「「な、なんだってー!!!!!!!!!!!」」」」」

「結構おいしい展開になりそうでいいんじゃよ。」

「いいや。むしろ・・・・」

「「「「「「「?」」」」」」」

「ハグハグしそうだんな。」

「それだと骨まで食うことになるかもな。」

「「「「「「「ほ、骨!!!!!!!!!!」」」」」」」

 そんなこともあって時間は過ぎていった。

 

 夜の地下のバー。今日は人が少なくいるのは千冬と山田先生とマスターだけ。

「織斑先生も大変ですね。」

「山田先生だって部屋割りの考えが大変だったでしょう。」

「それもそうですけどやっぱり大変だったのは・・・・・」

「やはりあれか。」

「・・・・・・・・・はい。」

「おやおや、山田さんがそんな思いつめた顔をするということはビーストのことですかな?」

 少し年老いたマスターが二人の悩みの種を言い当てる。

「マスターはよくわかりますね。」

「いえいえ、私も思いますよ。あんな子供たちが命の危険に会うことが多いのですから。」

「確かにマスターの言うとおりあの子たちは毎回ビーストと戦うたびに命の危険を迫られています。」

「だがそれがバネになって強くさせている。悪いのにいい方向へ導いている。」

「なにやら複雑な感覚ですな。」

「ええ。」

「ですが大丈夫でしょう。」

「どうしてそんなことがいえるんですか?」

「山田さん、それは彼女たちには勇気があるからです。彼女達は恐怖を受け入れて戦っている。ISがどれだけ強くてもビーストには敵わないことは最初に戦ったときでわかっている。それでも彼女達は戦っている。彼女達に勇気がなければできないことなのですよ。」

「「北風はバイキングを生んだ」みたいですね、マスター。」

「はっはっは、そんなレベルじゃないでしょう千冬さん。」

「ふふふ、確かにそうですね。」

「まあ、ウルトラマンもいますし大丈夫でしょう。」

「・・・・・・・・・今なんと?」

「へ?」

「今なんといいましたか?」

「ウルトラマンが・・・」

「・・・・・・・・」

「どうかしましたか、マスター。」

 千冬が問いかける。

「もうあれから12年ですか・・・」

「「12年?」

「覚えていませんか?新宿大震災のことを。」

「!覚えています。確かあの事件って・・」

「ええ。全国的に話題となったニュースです。新宿に突如出てきた怪獣を銀の巨人が倒した話です。その時に付けられた名が「ウルトラマン」だったんです。」

「でも同じとは限りませんよ。いくら銀色の巨人だからって。」

「私もそう思いましたけどほら。」

 そう言ってマスターはウルトラマンザ・ネクストの写真を見せる。山田先生は持っていたネクサスの写真と見比べる。

「確かに似ている、いや同じですね。」

「でしょう。」

「山田先生。」

「はい?」

「その写真はどこで手に入れたんですか。」

「これは織斑君に頼んでもらったんです。」

「あいつ・・・・・どこで写真を取ってんだ。」

 千冬はあきれていた。そのときバーの電話が鳴る。

「はい。・・・・・え!本当ですか。・・・・・・・・それだと困りますね〜。・・・・・はい・・・・・・・・はい・・・・はい・・・わかりました。ありがとうございます。」

 マスターは受話器を置いた。

「どうかしましたか?」

「千冬さん、山田さん。困ったことになりました。」

「どういうことですか?」

「あさって本土上陸するはずだった台風が急速に速度を速めたために外の出れない状態なんです。」

「ええ!」

「・・・・・・」

 千冬は頭を抱えた。そのとき千冬の携帯電話が鳴る。それは一夏からだった。

「どうした一夏と言いたいところだが大方台風のことだろう。」

『ああ。それで皆が今帰れない状態だから・・・』

「わかった。今回だけ許可する。布団の準備をしとけよ。」

『わかった。気をつけてね。』

「こっちも帰れそうにないからな。今日は泊り込みだ。そっちも気をつけろよ。」

『ああ。それじゃあ。』

 電話を切った。

 

 一夏の家。皆は寮に帰れないため一夏の家に泊まることになった。

「にしても変な台風だな。急に早くなったと思ったらいきなり遅くなるなんて。」

「そ、そうだな。」

(よし。想定外だが寮とは違う一夏と一つ屋根の下での想い出ができる。)

(この機は点がくれたチャンス。)

(味わわないわけにはいかないね。)

 そのとき鈴の携帯電話が鳴る。

「はい、もしもし。・・・・・・・・・・・・・・え、なに・・・・・・・・・・・・え!

・・・・・・・・ちょ、ちょ、待って!・・・・・・・・・・・・お、お父さん・・・

・・・・・・うん、わかってる・・・・・・・・・うん、うん・・・・いよ、もう・・

・ ・・・・・・おかえり、お父さん。」

・  そう言って鈴は電話を切った。鈴の目からは涙がポロポロ出ていた。

「大丈夫か、鈴。」

 一夏が心配する。

「大丈夫。これは嬉し泣きよ。」

「なにがあったんだ。」

「お父さんとお母さんが再婚するって。」

「!本当か、それ!」

「うん。お父さんは私を兵器みたいな存在にしたくないからお母さんと反発して離婚になったんだけど、日本でのビーストの騒動でお父さんが守るために戦っていることがわかったからお母さんと話し合って・・」

 一夏は何も言わずに鈴の頭を自分の胸に当てる。鈴は静かに泣いた。その光景を見ていた皆はもらい泣きをした。鈴の小さな泣き声は雨音と風音でかき消された。

 

説明
夏の終わりを告げる時期。シャルロットは一夏の家に向かうが・・・
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インフィニット・ストラトス IS 終わり シャルロット love quintet ネクサス disturbed 

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