魔法戦記リリカルなのはmemories 閑章 第八十話
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ちょっと戦闘シーンはしょりました。

 

それと、クラウスの一人称って僕なんですね。先ほど知りました。

 

それで今回の内容は、ある意味この閑章を書くにあたって一番書きたかった場所。

 

Vivid1巻にわずかに乗っていたセリフも交じってます!! ようやくここ書くことで来た。

 

ちなみにこの閑章はあと二話くらいで終わります。意外に長くなったなこの閑章。

 

これが終われば最終章に入り、なのはたちの話にもどりますので。

 

それではどうぞ!!

 

 

 

あ、そういえばリリなの二次の新作を構成中です。投稿するかはこのmemoriesが終わってからかもしれませんが。

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 三日後、聖王家の中は殆どの人が居なくなっていた。

 オリヴィエが言う、無駄死にさせるわけにはいかないという事に多くの人が渋々ながらも賛同してくれていたのである。

 だが、さすがに全員というわけにはいかず、数人ほど聖王家の兵士として未だに残っているらしく、オリヴィエはその事に溜息を吐いていた。

 

「……まぁ、今回の件については全員が私のいう事を聞いてくれるとは思っていなかったがな」

「そうですね。やはりオリヴィエ聖王女を最後までお守りするという役目を外したくないと思っている人が多いのだと思います」

「お前もそうだろが。ネネ、どうしてお前まで残ったんだ?」

 

 そう、オリヴィエの私室にて話していたのはネネであり、彼女も先ほど自分で言ったオリヴィエを最後までお守りすると思っていた一人だった。

 オリヴィエが一番ついて来そうだと思っていた人物の一人でもある。ネネは聖王家の中では最上階級を与えていたシエルフィの次の階級に位置を置かせており、シエルフィが元帥ならばネネは大将の立ち位置だった。

 そしてシエルフィと違って私に忠誠が強く、最後までお守りすると根強く思っていたために、オリヴィエは多分彼女も残り続けるだろうと思っていた。

 だからこそ、オリヴィエはそれを逆に利用する。ネネを説得させれば多分ほとんどがこの聖王家から逃げてくれると思って。

 

「言わなくても、分かっていると思いますが?」

「だろうな。だがお前が意見を変えなくても、私は意志を変えないぞ」

「それも分かっています。確かに私はオリヴィエ聖王女が意志を変えないでしょうけど、だからといってオリヴィエ聖王女が聖王のゆりかごにて見届けるぐらい構わないでしょ?」

「…………」

 

 意外だと思った。あのネネがなにも抵抗せずに最初から身を引くとは思いもしなかった。

 今回に限ってはオリヴィエが絶対に意志を変えないと分かっているからかもしれないが、それでもこうも簡単に諦めるような彼女ではない。逆に驚かされるくらいだった。

 

「……もしかして、残りの兵士をここから逃がすためにも残ったのか?」

「それもそうですが、そっちについては正直に言えばおまけみたいなものです。ですからオリヴィエ聖王女は何も気にせずに準備をなさってください」

「……すまないな」

 

 多分、ネネはオリヴィエに無駄な時間を与えないためにも、そのような事を自分から進んでやる事にしたのだろう。本当ならばオリヴィエ一人だけで行かせたくないと思っているのだが、せめてオリヴィエの役に立つためにもそのような行動をしようとしていた。

 そしてオリヴィエを乗せた聖王のゆりかごが出発するのを見届けるつもりでいており、そこまでは聖王家の人間として仕事を平常通りしていようと思っていたのだ。

 

「さて、そろそろ行かなくてはな」

「それでは一度私は今この聖王家に居る部下を全員連れてきます。場所は聖王のゆりかごの近くで良いのでしょうか?」

「まぁ、私はその辺りに居るだろう。それでは私は準備に取り掛かる」

「はい、分かりました」

 

 オリヴィエはネネの横を通り過ぎ、そのまま自分の私室を後にする。

 さらにオリヴィエはそのまま聖王家を後にして、聖王のゆりかごがある場所へと向かう。

 聖王家に聖王のゆりかごがないのは迂闊に近くに置いてあると何かされる可能性があるためで、聖王家から少し離れた所に隠してあるのだ。

 その聖王のゆりかごに向かっている途中、目の前から岩の上に座っている人影が見えてくることに気づく。

 この通りは人通りが悪いため、人がすれ違うという事はオリヴィエにとって警戒がある。しかも聖王のゆりかごがある方向から来るとなると余計に怪しさが増していた。

 だが、少し歩いて岩の上に座っている人物の姿を見ると、突然警戒心を解くこととなり、逆にどうしてこんなところに居座ってるのか疑問に思った。

 その人物はオリヴィエの姿をみると、顔をオリヴィエの方へと向けた。

 

「やっと来たようだな。オリヴィエ」

「……何やってるんだクラウス? こんな荒れ果てた地のど真ん中に座ってるなんて」

 

 正直に言えば疑問としか思えなかった。先ほども言った通り、この道にて人を見るのは聖王家からしてみれば逆に怪しまれるぐらいであり、クラウスだと分かっていても警戒は解けないでいた。

 そんな警戒心を解かないでいたオリヴィエとは対して、クラウスは戯言を交えずに真面目に話してくる。

 

「先日、オリヴィエの部下から事情を聞いた」

「そうか。そちらにもしっかりと届いたようだな」

「だが、オリヴィエが行おうとしている事は成功するとは限らない。私より強いあなたが、どうして無茶な事を!?」

「……時間がないんだ。ゆっくり休んでいる間にも彼らは人を次々に殺めている可能性が高い。だからこそ私はゆりかごに乗り、この戦争を終わらせる」

「しかし!!」

「分かってくれ。私だってこの決断をしたのには苦渋であったんだ。もし残党が残ったら私の代わりに一掃してくれ」

 

 その言葉は、まるで自分が死ぬだろうという事もであった。死に行くことであるのに聖王のゆりかごに一人で乗り込むという事は、オリヴィエは死を覚悟してでもこの戦争を終わらせようとしている事が、クラウスにも理解できた。

 だけどそれが許せなかった。たとえ成功したとしてもオリヴィエが生きて帰ってこない可能性が高く、オリヴィエのような人物をクラウスは世界的にも、そして個人的にも失うべきではないと思っていた。

 

「どうして……どうしても意志を変えないつもりですか?」

「……あぁ、そのつもりだ」

「だったら、俺がゆりかごに乗る。オリヴィエはこのまま生き残って国民を指導していくべきだ」

「…………」

 

 多分クラウスがここで待っていたことはこれを言うためであっただろう。多分オリヴィエが意志を変えないことが分かっていたので、元々そのつもりでここで待っていたのだ。

 オリヴィエも、クラウスが聖王のゆりかごに自分が乗るという事を言ってくるだろうと、クラウスを見かけてから思い。予想通り過ぎた答えに溜息を吐きたくなるくらいになっていた。

 

「クラウスの言い分も理解できる。だが、ゆりかごに乗るのは私の方が良い」

「確かにそうかもしれない。ですがっ!!」

「だが、クラウスもそう簡単にどいてくれるとは思わない。だから私に勝てばクラウスに従おう。そうでなければ私がゆりかごには乗る」

「……分かった」

 

 クラウスは座っていた岩から立ち上がり、その後オリヴィエとクラウスは少し間を取る。

 練習として何度も戦ったことがある二人であるが、その時のような雰囲気とは全く違う。クラウスは本気でオリヴィエを倒そうとする感じであったが、オリヴィエは反対に練習の時よりも本気を出しているような感じではなかった。

 その事にクラウスは何かオリヴィエに対して違和感を覚えたが、とりあえず今回に限っては負けるわけにはいかないと一気に詰め寄る。だがオリヴィエは特に表情を変えず、何も対策もせずにクラウスの様子を唯見ていた。

 そしてクラウスがオリヴィエに攻撃を仕掛けようとしたとき、一瞬にしてクラウスの目線が雲に覆われた空に変わっていた。

 

「がっ!?」

 

 何が起こったのか分からない。一瞬にしてクラウスは地面に倒れ、これもまた一瞬にして腹に激痛が走った。

 だが誰がやったかはすぐに分かった。ここに居るのはオリヴィエしか居ないわけで、一瞬にしてこんなことが出来るのはオリヴィエしか考えられなかった。

 

「言っておくが、今回に限っては私も絶対に譲れない。手加減とか無用でいかせてもらうぞ」

「そういうことならば、こちらだって手加減をするつもりは無い!!」

 

 クラウスはすぐに立ち上がり、オリヴィエも迎え撃とうと構えるのだった。

 結果を言ってしまえばオリヴィエが一方的に攻撃するだけで、クラウスは攻撃を防ぐか攻撃を受けるかの二択だった。

 別にクラウスが弱いわけではない、唯オリヴィエが強すぎるだけでクラウスがオリヴィエに勝ったことは一度もなかった。

 クラウスは幾度の攻撃をオリヴィエから受け、服装や体に傷がかなり付いて、出血している部分もあった。

 そこでオリヴィエは攻撃をいったん止め、左腕を押さえ、膝を地面に付いているクラウスを見ながら話しかけた。

 

「――クラウス、今まで本当にありがとう。だけど私は行きます」

 

 オリヴィエの口調が今までと違って、彼女が聖王に就く前によく使われていた口調へと戻っていた。

 その口調は刺々しくなく、本来オリヴィエが使っていたやわらかい口調だった。

 

「待ってくださいオリヴィエ1! 勝負はまだ……!!」

「もう結果は見えてるでしょう。だからクラウス、あなたはどうか良き王として国民とともに生きてください。そして――」

 

 オリヴィエからクラウスに対しての戦意は感じられなくなっていた。一方的な戦いをし、これ以上やる意味はないとオリヴィエが思ったからだった。

 

「この大地がもう戦で枯れぬよう、青空と綺麗な花をいつでも見れるような、そんな国を――」

「待ってください、まだです!! ゆりかごには僕が!!」

 

 クラウスは立ち上がろうとするが、オリヴィエから受けたダメージがかなり大きいせいで立ち上がれないでいた。

 そして、オリヴィエはクラウスから背中を向け、クラウスの言葉を気にせずにそのまま聖王のゆりかごがある方向へ歩いて行った。

 

「オリヴィエ!! 僕は――!!」

 

 そのままオリヴィエはクラウスから姿が見えなくなるまで進んで行ってしまうのだった――

 これが、クラウスが最後にオリヴィエに会った時の事であり、次にクラウスがオリヴィエの情報を知るのはオリヴィエが亡くなった後の事だった。

説明
J・S事件から八年後、高町なのははある青年に会った。

その青年はなのはに関わりがある人物だった。

だがなのはにはその記憶が消されていた。

消されていた記憶とは、なのはと青年の思い出であった。

二人が会ったことにより物語は始まり、そしてその二人によって管理局の歴史を大きく変える事件が起こる事になる。

それは、管理局の実態を知ったなのはと、親の復讐のために動いていた青年の二人が望んだことであった。



魔法戦記リリカルなのはmemories ?幼馴染と聖王の末裔?。始まります。
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