真・恋姫†無想 呉√外史 一輪の蓮は天より来りし刀と翔ぶ  第12席 袁術排除後のゴタゴタ のこと。
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真・恋姫†無想 呉√外史 一輪の蓮は天より来りし刀と翔ぶ

 第12席 袁術排除後のゴタゴタ のこと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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−雪蓮side−

 

   誰かの話声が聞こえる

 

   『ひとまず目的は達成出来たな』

 

   聞き覚えのある声だけど、体が重い

   でも会話は続いている

 

   『えぇ。私にとっては2度目の独立だったけど』

 

   懐かしい声も聞こえる

   重たい瞼が少しずつ軽くなってきた

 

雪蓮 「こ・・・こは?」

 

   体を起こしても視界が微かにぼやける

   寝ぼけて横になると隣には母様と一刀が愛らしい物を見る目で私を見ていた

翔蓮 「やっと起きたわね・・・・(ボキボキ)」

   ・・・・前言撤回。愛らしい物を見る目つきだったのは一刀だけのようね

   母様の笑顔は顔だけで目は全然笑って無かった

雪蓮 「あは、あはは〜」

   もう冷や汗しか出てこない

   これならまだ冥琳に怒られてる方が断然マシね

翔蓮 「一刀?少し外してくれるかしら?・・・バカ娘とちょ〜っとオハナシがあるの」

   逃げたくても体が思うように動いてくれない

   一刀を見ると苦笑いを浮かべて合掌していた

一刀 「・・・あぁ。ならお暇するとしよう」

 

   一刀が天幕を出たあと、母様の説教は二刻ほど続いた

 

 

 

雪蓮 「・・・・絶対に冥琳から説教受けててる方がマシだったわね」

   あれはもう二度と思い出したくないわね

   本当に鬼以外のなんでもなかった

 

???  「ならこれからはもっとキツく灸を据えた方がいいか?」

 

   噂をすればなんとやらね・・・・・

   ってこれ以上キツいのは御免被りたいんだけど

雪蓮 「冗談キツいわよ?冥琳」

   冗談だと嬉しいんだけど

冥琳 「冗談かどうかはお前しだいだ。で?」

   確かに悪いのは私かも知れないけど・・・

   ホントこれ以上の((説教|オハナシ))は勘弁してほしいわ

雪蓮 「『で?』って何よ」

   まぁ大方具合でも見に来てくれたんでしょうけど

   体の反応の鈍さ以外は問題ないわね

冥琳 「お前の体の問題だ。一刀が薬を盛ったと言っていたからな」

   どおりで鈍いわけね

   納得が行ったわ

雪蓮 「反応が鈍ってる以外は何の問題もないわね。やっぱり記憶が無いのってさっきまで眠らされてたから?」

   袁術を斬りに行ったところから今までの記憶がさっぱりない

   一刀がいきなり出てきたとことまでは覚えてるのよ

   その後、変な布切れが私の前を横切る瞬間から全く覚えてない

冥琳 「その布切れがお前の前を横切った瞬間からついさっきまで夢の中だ」

   なるほどね。大方理解できたわ

   ただこの体の動きの鈍さだけは何とかならないかしら

雪蓮 「ならもういいわ。私が眠らされてる間に袁術ちゃんは斬ったの?」

   せっかく今までのお返しができると思ったのに

冥琳 「別に隠す必要もないか・・・」

   冥琳が溜息を漏らしつつ全容を説明してくれた

 

 

   そのあとだんだん説明から説教に変わったのは言うまでもないだろう

 

 

  

 

 

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−一刀side−

 

 

 

 

   雪蓮の様子を見に天幕に行くと翔蓮さんが居た

   暫くして雪蓮が目を覚ましたけど、冷や汗をダラダラと流していた

 

   『一刀?少し外してくれるかしら?・・・バカ娘とちょ〜っとオハナシがあるの』

 

   ((説教|オハナシ))か・・・・・

   雪蓮が助けを求めるような視線を送ってきたけど、正直なところ俺も説教したいところだ

   悪いが翔蓮さんに徹底的に((説教|オハナシ))してもらおう

一刀 「・・・・・(合掌)」

   さて後で傷口に塩を塗りに行くとしよう

   一先ず翔蓮さんにまかせてから

一刀 「・・・あぁ。ならお暇するとしよう」

   そのまま俺は天幕を出て冥琳のところに戻った

 

 

 

   

一刀 「どうしてこうなった・・・・・・」

   冥琳のところに戻った俺は待ち構えていた蓮華と思春に捕まり質問攻めを受けている

   何時からかはわからないけど冥琳が俺を名で呼ぶようになったことを気にしているらしい

蓮華 「遺言くらいなら聞いてあげるから今のうちに行っておきなさい?」

   ちょ!首筋に冷たく光るものが当たってる!当たってますよ思春さん?!

   反対側には蓮華の持つものが俺の顔を映しながら・・・

一刀 「だから!俺は何もしてないし、ここを離れる前までは姓で呼んでたって!」

   俺は全力を以て無実を訴える

   ちなみに縛られてる縄はこっそり縄抜けで解いてある

   バレないように手で押さえてるだけの見せ掛けの状態

   隙を見て抜け出したいんだけど全然隙が・・・

思春 「なら表で死合おうではないか。――――――」

   字が違うような?

   蓮華は隙だらけでも後ろにいらっしゃる思春さんがね・・・・

   一瞬の隙を見つけ抜け出そうとした直後だ

 

   『―――もちろん模造刀ではなく真剣でな』

 

   ドスの効いた声で言われて体が無意識に固まった

   ただ云いたい事もわかった

一刀 「・・・・要は勝てば無罪放免だな?」

   勝てば問題はない。((勝てば|・・・))な

   そう易々と勝てるなら苦労はしないだろう

思春 「丁度貴様の獲物が届いたところだ。私の台詞ではないが受け取れ」

   なら構わな・・・・・ちょっとまて、一月は掛かるはずじゃ

   いや、程普さんは『一月欲しい』とは言っても『一月掛かる』とは言ってなかったな・・・・

   それでもだ。それにしても半月って早過ぎないか?

一刀 「思ったよりも早いな・・・素振りの時間くらいは貰えるか?」

   クソ爺に握らされた刃と違って物凄く手に馴染む

   ((元居た世界|あっち))で握ったものといえばじゃじゃ馬で『振る』というより『振らされている』感じだった

思春 「あの方の鍛えた刀だ。そう時間はやらんぞ」

   なるほどな。

   思春も鍛えてもらってるわけか

   それにしてもこの刀は使いやすそうだ

一刀 「あぁ。勝てば無罪放免忘れるなよ?」

   そうして俺たちは天幕を出た

   こっそりと解いていた縄はバレなかった

 

 

 

   天幕から少し離れある程度広がった場所で俺と思春は対峙している

   今回は制限時間も規定もクソもない

   勝つか負けるかの2通りしかない

   もう死合は始まっているがお互い全く動けない

   全くと言っていい程隙がない

一刀 「(・・・・このままじゃマズな)」

   間違いなく俺のほうが先に痺れを切らすだろう

   だが焦っても勝ち目は無い

   弓のように相手を振り回せるならまだ勝機はあった

   近接戦のみで戦うのは彼是数年ぶりだ

一刀 「(こうなればもう一か八かだ)」

   今からやる賭けは、クソ爺に仕込まれたクソ爺の爺さんの代から伝わる奥義『桜吹雪』

   完全な脱力状態から相手の((瞬き|まばたき))の瞬間に相手の背後に回りこむ

   ただそれだけ。元々は森の中で使うものだ

   移動する瞬間に発生する風で木の葉や花びらが吹雪のように舞うことからそう呼ばれるようになったらしい

   ただし相当な無理を体にかける分、後から来る反動も大きい

   酷ければ全身の筋肉が断裂し再起不能の植物人間の出来上がりだ

   断裂しなくともある程度時間が経てば、筋肉痛で経っているのがやっとの状態になる

   故にこの技はこう謳われている

   『桜舞い、踊る刃、木魂する断末、地面に描くは血の屏風』と。

   クソ爺曰く、この技を見て生き抜いたものは誰一人としていないらしい

   一度でいい。瞬きをしてくれれば俺は勝てる

   だが、この集中が途切れたとき俺は負ける

   俺が求めるたった一度のチャンス――――――

 

   それは突然訪れる

 

   ―――――追い風が思春のスカーフを持ち上げた。

 

 

 

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−思春side−

 

 

   『・・・・北郷のことですがなぜ名で呼んでいるのですか?』

   状況を把握するために冥琳様の居る天幕で覚えた違和感の正体

   以前は姓で呼んでいた筈   

冥琳 「そんなことか・・・・・それについては追々話そう。それより今は一刀が戻るまでにすべきことをするだけだ」

   冥琳様は一瞬の間を作ったが後で話すと言って無理やり話の論点をずらした   

蓮華 「そう。ね・・・・・・」

思春 「はっ」

   蓮華さまも今はすべき事を優先するために詰め寄ったりはしなかった

 

 

 

思春 「あぁ。勝てば無罪放免忘れるなよ?」

   ((勝てば|・・・))な。以前は途中で切り上げたが今回は最後まで徹底的にやってやろう

 

蓮華 「なら、始めなさい!」

   お互い隙を探すために微動だにしない

   無駄な動きが自分の負けを意味するのは基本中の基本だった

思春 「(以前に増して隙がない・・・・何時仕掛けるか)」

   奴も私の隙を探しているようだが、そう簡単には作ってやるものか

   完全な持久戦だ。どちらかの集中が途切れたときに勝負は決まるだろう

思春 「(我慢比べか・・・・いいだろう)」

   だがこちらにも限界はある

   いつかは仕掛けなければならん

   どうしたものか・・・・

 

   お互いの集中の均衡が崩れたのは一瞬だった

 

   風が私の襟巻きを持ち上げた

思春 「しまっ!!・・・・・」

   ほんの一瞬。その一瞬を求め続けた結果がこれだ

   自分の勘を頼りに刃を振るっては見たが空をただ斬っただけ

   遮られた視界が戻った時には奴の姿は視界に無かった

   残っているのは何かが通り過ぎたような地面の道だけ

 

一刀 「・・・・・・・これで無罪放免だな?」

 

   背後から聞こえる声と首筋に伝わる冷たい感触

   完全なる負けを認めざるを得ない

思春 「・・・約束は約束だ。・・・・・またいつか手合わせ願いたいものだな」

   このとき何か胸の奥に暖かいものが広がっていくのがわかった

   これが何なのかわからないが悪くはない

   寧ろ心地よさを感じる

一刀 「俺でよれければいつでも構わないよ」

   死合中の冷たく沈んだ瞳は何だったのかと思わせるように((いつも通り|・・・・・))の笑顔を見せる北郷。

   今日の死合で身にしみたのは『こいつを本気で怒らせてはならない』ことだ

   まず間違いなく命は無い

   さっきは首筋に刃が当てられただけだが、あれが本当の敵なら確実に私は骸と化していただろう

思春 「・・・・すまなかったな」

   何に対しての謝罪なのか。

   その意味は私にもわからん

   この言葉が奴の耳に届いたかもわからん

一刀 「・・・・悪いけど少し休ませてくれ。身体に無茶をさせた分の反動が来た」

   この言葉で天幕に戻ったが、奴は自分の寝台に倒れるようにしてその瞳を閉じた

   そのまま私と蓮華さまは天幕を出た

   身体に無茶をさせたと言っていた。おそらく筋肉への反動が激しく来たのだろう

   暫くすると中から荒い息と呻き声が聞こえてきた

 

 

   この後暫く奴の天幕の前から離れられなかったのは蓮華さま以外には知られたくない

 

 

 

 

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−蓮華side−

 

 

   何故冥琳が一刀を『一刀』と呼ぶようになったのか

   それを知りたくてとっ捕まえたのだけれども

   思春が無罪を貫くなら己が武で示せと言って、一刀を表へ連れ出した   

 

   軽い素振りを終えて仕合が始まると、お互いがお互いの隙を探すために微動だにせず

   このままどちらかの集中が途切れるまで対峙は続くと思っていた

 

   でもそれは間違いだった

   一瞬の風が思春の襟巻きを持ち上げ、思春の視界を奪った

 

   次の瞬間、私は目の乾きに耐えれず瞬きしてしまった所為でしっかりと見えなかったけど

   瞬きする前まで居た場所に一刀は居なかった

 

   『・・・・・・・これで無罪放免だな?』

 

   勝ちを宣言する一刀の言葉と思春の首に触れる刃。

   直後に強い風が吹き抜ける

   何をしたのか全くわからなかった

   でも思春も納得しているようだった

 

   彼の構えに全く曇りも陰りもなく、波一つない水面を思い浮かばせるような純粋なものが見えたから

思春 「・・・約束は約束だ。・・・・・またいつか手合わせ願いたいものだな」

   今度はどちらが勝つか見ものね

   私だって負けたくは無いのだけれど

 

   そう言って一刀の方へ視線を送ると少し辛そうな顔をしていた

一刀 「・・・・悪いけど少し休ませてくれ。身体に無茶をさせた分の反動が来た」

   そのまま天幕に連れて行くと、一刀はそのまま寝台に倒れこんだ

 

 

蓮華 「・・・・思春?そろそろ行きましょう?」

   しばらくは天幕の前に立ち尽していたけれど、私たちにもまだまだしなければならないことが山ほどある

   諭すように思春の背中を押す

思春 「・・・・はっ」

   少し遅れて返事がきた

   何か思いつめているのかしら

蓮華 「そろそろ冥琳の((説教|オハナシ))も終わってるはずだから」

   姉様に振り回されるのはいつものことなのは分かってるのだけれど。とため息を零す

 

 

   その後は冥琳の指示に従って((姉様がするはずだった|・・・・・・・・・・))撤収の準備をすることになる

 

   

 

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あとがき

 

 

霧龍「皆さんお久しぶりです。第12席いかがだったでしょうか?」

霧龍「今回は書いてる自分でもちょっとややこしい構成になってしました・・・」

 

霧龍「4月に社会人になり、仕事帰りやら土日に書けばいいやと甘く考えていたのが間違いでしたね・・・・」

霧龍「まさか1話分書くのに半年近く掛かるとは思っても居ませんでした」

霧龍「あ、TINAMIに今回はノーゲストで『あとがき』をお送りする予定です」

霧龍「一応信念としては『書き始めたからには完結させる』があるので以前宣言したように必ず完結させます。・・・・((PC|作者))が死なない限りね」

霧龍「読んでくださる方々の中には『続きはまだか〜』と思われるかも知れませんが確実に書き進めていますので気長にお待ちいただければうれしい限りです」

霧龍「では短いですが次回予告をしてお別れです」

 

 

霧龍「次回、『真・恋姫†無想 呉√外史 一輪の蓮は天より来りし刀と翔ぶ』第13席 お楽しみに〜」

霧龍「また次回のあとがきでお会いできることを祈って」

説明
何とか書き上げました

真・恋姫†無想 呉√外史 一輪の蓮は天より来りし刀と翔ぶ
 第12席 袁術排除後のゴタゴタ のこと。

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コメント
>ミクボンさん 応援のお言葉感謝いたします これからもどうぞよろしくお願いいたします(霧龍)
応援しています♪(ミクボン)
>ぱちしえさん 応援のお言葉感謝いたします 本当に亀ではありますが完結目指してがんばります!!(霧龍)
>魔界発現世行デスヒトヤさん さて・・・・何をヤってるんでしょうねw(霧龍)
>mokiti1976-2010さん 応援のお言葉感謝いたします こんなつまらない作品でよろしければ最後までお付き合いいただければ嬉しい限りです(霧龍)
無理をせずマイペースでこれからも完結を目指しがんばってください\(>0<)/ (ぱちしえ)
 暫くすると中から荒い息と呻き声が聞こえてきたーーおいおい一刀中でナニをやってたんだい(棒(ギミック・パペット ヒトヤ・ドッグ)
確かに仕事をしながらssを書くのは大変ですけどね。これからも頑張ってください。(mokiti1976-2010)
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外史  孫堅 真・恋姫†無双 北郷一刀 

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