ソードアート・オンライン デュアルユニークスキル 第三十三話 VS骨ムカデ |
七十五層コリニアのゲート広場には、すでに攻略チームと思しき、
一見してハイレベルと判るプレイヤーたちが集結していた。
アスナ「ほら。キリト君はリーダー格なんだから、ちゃんと挨拶しなきゃダメだよ。」
キリト「んなっ・・・」
アスナはキリトの背中を押す。
キリトは、嫌そうに少し前に出た。
すると、2人の男から声をかけられた。
クライン「よう。」
キリトに声をかけたのは、悪趣味なバンダナが特徴的な刀使いクラインと
普段は商人をしている斧使いエギルだった。
キリト「おっ・・・!なんだ、お前らも参加するのか。」
エギル「なんだってことはないだろう。こっちは商売を投げ出して来てんだ。この無私無欲の精神を理解できねえとは・・・」
?「じゃあ、お前は戦利品の分配から除外していいんだな?」
エギルの後ろから姿を現したのは、真紅のロングコートに身を包んだ両手剣使いにして
現在SAO最強と言われるプレイヤー、デュオだ。
後ろには、妖精の異名に違わぬ服装の少女、エルフィーの姿もある。
痛いところを指されたエギルは眉毛をへの字にする。
エギル「いや、そ、それはだな・・・」
情けなく口篭もるエギルに、キリト、アスナ、クライン、エルフィーが朗らかな笑い声を上げる。
デュオはしてやったりといった様子で、ニヤリとしている。
キリトたちの笑いは周りにも伝染し、いい意味で緊張を解していく。
?「いい感じだな。」
そう言って現れたのは、オレンジのジャケットを着た、槍使いガッシュだ。
だが、背中にはいつもの槍はない。
デュオ「ガッシュ、今日は最初から本気で行くのか?」
ガッシュ「ああ、今回のボス戦は万全の態勢で望みたいからな。」
そう言うと、ウインドウを操作してストレージから武器を呼び出す。
相変わらずレモンイエローの光を放つ球体が集まって具現化するという不思議な出現の仕方で
炎の槍サラマンダーバーニングが姿を現す。
ガッシュ「カルア、お前の((盾|・))借りるぜ。」
ガッシュはさらにもう1つの武器を呼び出す。
サラマンダーバーニングと同じく光の球体が集まると、
それはインゴットと同じような変化を初め徐々に巨大な盾へと姿を変えていく。
現れたのは左右に突き出た黄色い羽と中央についた赤い目が特徴的な水色の巨大な盾。
盾の各所と一番下には茨のような形状の太い棘が突き出ている
デュオ「サラマンダーバーニングとプロテクトクラウンか。大丈夫なのか?」
ガッシュ「何が?」
デュオ「バスターズが持ってた武器は全部共通の効果を持ってたろ。((武器の耐久値と装備者のHPを共有化させる|・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・))っていう恐ろしい効果を。」
ガッシュ「心配すんなって!俺はこの世界を終わらせるまでは死なねえから。」
ガッシュはどこかあどけなさが残る顔で、悪戯っぽく笑って見せた。
その時、転移門が光を放ち、そこから数人のプレイヤーが現れた。
先頭に立っているのは真紅の鎧に身を包み、同色の赤地に白の模様のサーコートを羽織った
十字の剣と盾を持った生きる伝説、ヒースクリフだ。
クライン「おっ!KoB本隊のご到着だ。」
ヒースクリフはプレイヤーを二つに割りながらまっすぐキリトたちの方へ歩いていくと
クラインとエギルが気圧されて、数歩後ずさる。
ヒースクリフは立ち止まると、全員がそろっていることを確認してから呟く。
ヒースクリフ「うむ。欠員はないようだな。」
ヒースクリフは、プレイヤー全員に話しかける
ヒースクリフ「良く来てくれた。状況はすでに知っていると思う。厳しい戦いになるだろうが、諸君らの力なら切り抜けられると信じている。」
ヒースクリフは盾から剣を引き抜くと、それを石の天井に遮られた天空へと掲げる。
ヒースクリフ「解放の日のために!!」
一同(キリト、アスナ、デュオ、エルフィー以外)『おう・・・!!』
演説が終わると、ヒースクリフはキリトたちに歩み寄る。
ヒースクリフ「キリト君、今日は頼りにしているよ。二刀流存分に振るってくれたまえ!」
キリト「ああ!!」
キリトが力強く返事をすると、ヒースクリフはデュオを見る。
ヒースクリフ「君もだデュオ君。スタイルチェンジ、期待しているよ。」
デュオ「あんたもなヒースクリフ。SAO最強と謳われた神聖剣、見せてくれよ。」
ヒースクリフ「もちろんだとも。」
ヒースクリフはデュオ同じように頬に笑みを浮かべると、
再び振り返りポーチから、回廊結晶を取り出す。
ヒースクリフ「コリドー!オープン!」
空間が捻じ曲がり、そこに青く揺らめく光の渦が出現した。
ヒースクリフ「さあ、行こうか。」
ヒースクリフは一度だけ振り向いてそう言うと、渦の中へと消えた。
アスナ「キリト君?」
アスナはキリトの名前を呼ぶと、その手を強く握る。
キリト「ああ、行こう!」
キリトとアスナは同時に歩み出すと、ヒースクリフ同様に渦の中に消えた。
それを後ろから見ていたデュオが呟く。
デュオ「人生も歩くのも二人三脚かよ。」
クライン「全くだ。」
恋人のいないクラインはキリトたちを羨ましそうに眺めた後、デュオに同意する。
エギル「くだらないこと言ってないで、さっさと行くぞ!」
デュオ「へいへい。わかってますよ。」
デュオは頭の後ろで腕を組むと、光の中へ歩いていった。
ガッシュ「よっしゃあ!!行くぜ!」
デュオの後を追うようにして、ガッシュも光に飛び込む。
エルフィー「クラインさん。私たちも行きましょ。」
クライン「おう!行くか!」
エルフィーはクラインの手を握ると、その手を引っ張って渦に飛び込んだ。
迷宮内に出現すると、アスナが呟いた。
アスナ「なんか・・・嫌な感じだね・・・」
キリト「ああ・・・」
ヒースクリフ「各自、装備の最終確認を!」
ヒースクリフに促され、その場にいた全員がウインドウを開く。
装備の確認を終えると、アスナがキリトを励ます。
アスナ「大丈夫だよ・・・キリト君は、私が守る」
キリト「いや、そうじゃなくて・・・」
アスナは笑ってから、続きを口にする。
アスナ「・・・だから、キリト君は私を守ってね?」
キリト「っ!!・・・ああ」
その時、ヒースクリフから召集が掛る。
プレイヤーたちが一斉にボス部屋の扉の前に並び、ヒースクリフの声と共に緊張が高まる。
そんな中、キリト、デュオ、ガッシュ、クライン、エギルが横一列に並び、お互いに声を掛け合う。
キリト「死ぬなよ。」
クライン「へっ、お前こそ!」
エギル「今日の戦利品でひと儲けするまでは死ぬつもりはないぜ。」
ガッシュ「大丈夫。俺はこの世界を終わらせるまで死なねえ!」
デュオ「帰ったらお楽しみがあるんだ、死ねるかよ!!」
それぞれが自分の言葉を言い終えると、自らの相棒である武器を引き抜く。
ヒースクリフ「戦闘、開始!!」
ヒースクリフが叫ぶと同時に、プレイヤーたちはボス部屋に流れ込んだ。
突入したキリト達の視界には、出現すべきボスモンスターの姿が無い。。
本来ボスモンスターは、部屋に入った時点で巨大なポリゴンと共に生成され、姿を現すのだが、今だボスの姿は確認できない、
ボス部屋へと入ったプレイヤー達は若干の違和感を覚えた。
すると、背後の巨大な石の扉がゴゴンッと言う音を立てて閉じる。
プレイヤーたちはしばらく臨戦態勢のまま動かなかったが、やがて誰かが痺れを切らしたように声を上げる。
攻略組P1「おい・・・」
アスナ「上よ!!」
アスナの声で上を見上げると、そこには巨大なボスの姿があった。
ボスの名前が表示される。
【((Tha Skullreaper|スカルリーパー))】それがボスの名前である。
キリト「ムカデだ!!」
確かにムカデである。
大きく前方に突き出したあごの骨には鋭い牙が並び、頭骨の両脇からは鎌上に尖った巨大な骨の腕が突き出している。
無数の足を蠢かせながら、ドームの天井を這っていた骨ムカデは
パーティーの真上に落下してきた。
ヒースクリフ「落ちてくるぞ!!」
エギル「まさか・・・」
クライン「嘘だろ・・・!?」
キリト「こっちだ!!」
アスナ「早く!!」
キリト、アスナ、デュオ、ガッシュの四人はプレイヤーを非難させる。
そのうちの何人かが、恐怖のためか硬直して動かなくなっている。
このままでは踏み潰されることは無くても、ボスの攻撃を受けるのは避けられない。
デュオ「トリックエース!!」
デュオは瞬時に剣を背中に戻すと、スタイルをトリックエースに切り替えて疾走。
硬直しているプレイヤーを回収し、消えるような速さで戻ってくる。
デュオ「大丈夫か?」
攻略組P2「す、すまない・・・」
デュオ「礼は良いから、早く・・・」
攻略組P3「うわああああ・・・・!!」
デュオが言いかけた時、悲鳴が上がった。
慌ててそちらを見ると、1人のプレイヤーが宙を舞っていた。
全快だったHPが凄まじいスピードで減少していき、消滅した。
アスナ「ぁ・・・!!」
エギル「い、一撃で・・・死亡だと・・・!?」
アスナ「こんなの・・・無茶苦茶だわ・・・」
プレイヤー数人『う、うわあああぁぁ!!』
何が起きたのか、攻略組という名のトップ集団に属する彼らはそれを理解するまでのスピードが非常に早い、それ故に、混乱も早かった。
前方の壁戦士集団の統率が乱れ、ボスから逃げ出そうと一斉に戦線が下がる。
だが、ボスは逃げようとするプレイヤーを逃がすまいと鎌を振り上げて襲い掛かる。
ヒースクリフ「ここは私が!!はあああ!!」
耳を劈くような金属音とともに、ヒースクリフの盾がボスの大鎌を受け止める。
英雄の名に恥じないその後ろ姿は、化け物の鎌を受け止め、微動だにしない。
ヒースクリフ「もう一本来るぞ!!」
ヒースクリフの抑えている反対側の鎌が振り上げられる。
クライン「キリト危ねえ!!」
エギル「そっちに行ったぞ!!」
キリト「くそっ!!」
キリトは剣を十字に交錯させ、巨大な鎌を受け止める。
しかし、あまりに威力の高い鎌をキリト1人では支えきれない。
キリト「ダメだ・・・止められない・・・!!」
キリトが諦めかけたその時、キリトの剣をもう1本の華奢な剣が支える。
キリト「アスナ・・・!?」
アスナ「2人同時に受ければ・・・いける・・・私たちなら出来るよ。」
キリト「よし!頼む!!」
デュオ「キリト、アスナ!!」
エルフィー「デュオ君!!」
デュオ「わかってる!!」
デュオ&エルフィー『せええの・・・っ!!』
グリームアイズ戦の時と同じように剣を振り抜く。
凄まじい金属音が響き渡り、鎌が打ち上がる。
デュオ「ガッシュ!!」
ガッシュ「任せろ!!」
デュオの叫び声でガッシュが走ってくる。
サラマンダーバーニングは背中に背負われており、手にはこの世界には存在しないはずの
チェーンハンマー(鉄球)が握られている。
ガッシュ「おりやぁぁぁぁ・・・!!」
ガッシュは直径80cmはある巨大な塊をボス目掛けて振り被り、投げつける。
それは足の付け根に当たり、ボスが倒れる。
ガッシュ「今だ!!行けええええ・・・!!
ガッシュは鉄球を引き戻すと、それをもう一度投げると同時に叫ぶ。
ガッシュの声で、硬直が解けたクラインは武器を構える。
クライン「みんなやるぞ!!」
攻略組P一同『おう!!』
クラインが喝を入れるように叫ぶと、全員がそれに続く。
攻略組メンバーはクラインを先頭にスカルリーパーに攻撃を始める。
デュオ「よし。俺もやるかな?」
デュオはウインドウ画面を開くと、ストレージに入っているブラッドボーンを全て(396本)呼び出す。
それらは出現すると、床に小さい剣の山を作る。
デュオ「スローコントローラー!!」
スタイルが入れ替わると、床に転がっている無数の剣を
目にも留まらぬ速さで投げる。
剣は蛇のような物理の法則を無視した軌道でボスに向かっていく。
スカルリーパーもそれを迎撃しようとするが、デュオが操る剣は鎌を回避してボスに刺さっていく。
その内の一本が頭に刺さると、ボスのHPが目に見えて減少する。
デュオ「そこか!!」
デュオは残っていた剣(45本)を全て、ボスの頭に投げつけた。
しかし、スカルリーパーは鎌を持ち上げると、それを盾にして弱点を守った。
だが、すでに数十本の剣がボスの頭に突き刺さっている。
デュオ「みんな!!離れろ!!巻き込まれたら死ぬぞ!!」
死という言葉で、プレイヤーたちは本能的に広がる。
プレイヤーが離れると、体勢を立て直したスカルリーパーがデュオに襲い掛かる。
クライン「危ねえ!!デュオ!!」
キリト「デュオ!!
アスナ「デュオ君!!」
キリトたちは、デュオを下がらせようとする。
だがデュオは、全く動じることなくスタイルを入れ替える。
デュオ「エクスプローラー!!」
オレンジのライトエフェクトが発生すると同時に、手が横に突き出される。
デュオ「終わりだ!!ムカデ野郎!!」
パチンという音を立てて指を鳴らすと、刺さっていた剣は凄まじい音とともに爆発した。
ボスのHPがあと1ドットのところで停止した。
骨ムカデは最後の力を振り絞るかのように鎌を振り上げる。
デュオはそんなボスに向き合うと、指で作った銃口をボスに向けて放つ。
デュオ「ビンゴ・・・」
もちろん、それ自体は攻撃になるはずもない。
だが、次の瞬間ボスのHPが消滅した。
ボスは悲鳴(?)を上げながらその巨体を爆散させた。
デュオ「スローコントローラー!!」
デュオがスタイルを入れ替えて腕を引くと、((デュオの大剣|ブレードダスク))が飛んできて
デュオの手に納まった。
あとがき
終わり方が微妙・・・
ボス戦、短くて申し訳ありません・・・
説明 | ||
ボス戦、ちょっと荒っぽいかもしれません・・・ ごめんなさい・・・ |
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2308 | 2230 | 7 |
コメント | ||
スターダストさんへ 以前デュオが「異常な能力を持ったスタイルもある。」と言っていたのが、これです。(ちなみに七十四層で使わなかったのはキリトが巻き込まれるからです。)(やぎすけ) 魅沙祈さんへ どうなるのかは、次の話でわかります。(やぎすけ) 本郷 刃さんへ デュオは人の命を奪うものであれば、プレイヤーでもモンスターでも容赦しませんから。(やぎすけ) ・・・・・・・・・・ぼ・・・ボスあっけねえ〜; ↓確かに最終決戦ですね。(スターダスト) お楽しみって…wwwあれ?でも、たしか次ヒースクリフと…(魅沙祈) 396本って多!? さすがのフルボッコですね・・・。(本郷 刃) |
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