深淵の中で・・・。
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宵闇よ・・・宵闇はどこだ・・・。

 

 見えない・・・。何も見えない・・・。

 

 私は・・・何者になってしまったのだ・・・。

 

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 黒いエネルギー体である、物質の研究に加わっていた私はそれが人の形をしていた

ことから、まずは「人間性」という名前をつけていた。

 

 ウーラシールが万全の国となるためにどうしても必要となりそうだからだ。

この人間性はある場所から無限に湧き出すことを発見したからだ。

 

 一固体からの魔力がそれなりに多く見られたから、上手く利用すれば

民たちの生活水準の向上が見込めた。

 

「随分とがんばってるみたいですね、マヌス」

「宵闇か・・・」

 

 研究所の人間からしたら、彼女はオアシスの役割を担う存在だった。

穏やかでまるで自然の中で優しく包む日光のような雰囲気を出しているのだ。

 

「無理はしないでくださいね」

「あぁ・・・ありがとう」

 

「そうだわ、今度。貴方に渡したいものがあるんです・・・。もらってくれますか?」

「もちろん・・・!それは楽しみだな」

 

「ふふふ」

 

 そんな穏やかな空気に包まれていた日々。私はこの幸せな時間が続けばいいと

思っていた。だからこそ、危険の可能性があるこの研究を続けられたのだ。

 

 これらは集まれば大変な高エネルギーの物質に生まれ変わる。

成功すれば、ほぼ材料の心配はなくなり。半永久的にエネルギー供給が可能だからだ。

だが、逆に言えば、扱いを間違えればこの都市は滅ぶかもしれないということだ。

 

 そのことは、宵闇には言えずにいた。

 

 しばらくして、可愛らしい笑みを浮かべながら宵闇が顔を出しに来てくれていた。

研究所の奴らに茶化されながらも、私は宵闇のところへ歩き出す。

 

 いつも、休憩している場所で二人で自然の風に当たりながらいつもの世間話でも

するのかと思っていた。だけど、それは違っていた。

 

「この前の覚えてる?」

「あぁ、私に何かくれるのか?」

 

「えぇ、はい」

「ほぉ、これは良いものだな」

 

 渡されたペンダントは宵闇が好みそうなデザインで、ウーラシール産の蔦が紐の

代わりになっていた。はて、それだけではない。

 

「このペンダント、不思議な魔力が篭っているな」

「わかるの?」

 

「あぁ・・・」

 

 研究ばかりしていると、目が肥えて仕方ない。わずかなものだが、不思議な感じがする。

 

「ありがとう、とても嬉しいよ」

 

 事件が起きたのは、その休憩が終わって研究が再開された時だった。

黒いエネルギーがペンダントと共鳴した瞬間。

 

 奴らは暴走して、私達を呑み込んだのだ。

 

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 私が覚醒した時には視力がなくなっていた。研究の事故のせいだろうか。

宵闇はどこだ。まだ近くにいるのか、ウーラシールはどうなっているのだ。

 

 誰かに聞きたくとも、伝えたくとも、声が出ているのかわからない。

声が聞こえない・・・。何も聞こえない・・・。

 

 しかし、肌から伝わる気配や匂い等。モノを捉えないあやふやな部分だけは

獣のように感じ取ることができた。

 

 近くに宵闇がいる。しかし、他にも一人・・・鎧を纏ったような男が・・・。

誰だそいつは・・・。何者なんだ・・・。

 

「マ・・・マヌス・・・」

 

 怯えている・・・。私の名を呼ぶ声が震えて怖がっている。

宵闇よ・・・その騎士に脅かされているのか。だったら私がお前を助けてやる。

 

「・・・!」

 

 男が何かを言っているようだが、私には聞こえない。何でだ、何で・・・

宵闇の声だけが聞こえるのだ。その時、事故の瞬間を思い出す。

 

 事故の際に砕けたペンダントが私の体内に潜り込んでいたのを感じ取れた。

だが、それは半分・・・。もう半分はどこにいったんだ。

 

 あ、宵闇が離れていく。どうしてだ、どうして私から離れる。

私が守ろうとしていたのに、どうして・・・。

 

 向かってくる騎士に向かって私は自分のモノとは思えない力とウーラシールの魔力を

解放させると、この世のものとは思えない、ベトッとした嫌な感触の液体が飛び出した。

 

「・・・!」

 

 騎士は苦しむような声をあげているようだった。そうだ、こいつは私の下僕にしよう。

そうすれば、彼女に集る虫はいなくなる。無事に逃げてくれ、宵闇。

 

 そして・・・次に会う時はずっと・・・私の傍で微笑んでいてくれ・・・。

 

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「はぁ・・・はぁ・・・」

「おや・・・お主は・・・?ウーラシールの人間のようだが」

 

「シース様!? ど、どうか。ウーラシールを助けてください!」

「ほう・・・。わかった・・・話を聞こう。だから私の書庫に来てくれるか」

 

「はい・・・」

(この魔力・・・。小娘の持っているペンダントには興味がある。

しかし小娘の方はどうもなぁ。ゴーレムの核に閉じ込めておくとするか)

 

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 真っ暗だ・・・。どのくらいの時が経ったのだろう。まるで真っ暗な迷宮に

延々と探っていくような感覚がして気が狂いそうだ。

 

 漠然とした不安と、徐々に蝕まれていく思考。まるで野生動物にでも

なってしまったような、複雑な考えはできなくなっていた。

 

 今、ここはどこなのだろう。みんな無事だといいな・・・。

 

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 うああ・・・。宵闇・・・早く来てくれ・・・私を暖めてくれ。

どこにいるんだ・・・どこに・・・。

 

 この感触・・・近くに・・・近くに宵闇がいる!

早く、早く私の元に来てくれ・・・!もう、何でもいい!君の傍にいられれば

何でも!

 

 そうして私は腕を伸ばして掴んだモノは宵闇のモノとは思えないほど

小さく、か細かった。だが、怖がっているソレからは宵闇の匂いがした。

 

 状況の確認ができない私には、どうなっているのかわからない。

むしろ、もう考えることに疲れていたのか。ただ、近くに宵闇がいたことで

心が満たされた。

 

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 また侵入者か。・・・!? なんだ、私がなくしたペンダントの片割れの

気配がする。

 

 どういうことだ、盗人の仕業か!? それとも、事故の時に飛ばされたのを

拾ったのか・・・。どちらにしろ、返してもらおうじゃないか・・・。

 

 私の大切なペンダントを・・・。

 

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「ウガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」

 

 ペンダントを奪い取るために動くが、全てが力の加減ができなく。

まるで暴れるように動いていた私の体がついに動かなくなってしまう。

 

 しかし、痛みは全く感じない。もはや、私は人ではなくなっていたのだろうか・・・。

体がフワッと浮くような感覚、私は死ぬのだろうか。重くて、暗くて、じめじめして、

鬱屈としていた場所からようやく解放されるのか。

 

「宵闇・・・」

 

 私が彼女のことを想った時、私の腕の中で安らかに寝息を立てて寝ていた彼女の

顔が視界に映った。目が見えたことよりも、彼女の表情が見れたことに私は満足した。

 

「よかった・・・」

 

 彼女を引きずり込んだ時の怖がっていた時の様子ではなく、私と一緒に笑って

楽しい日々を送ってくれた今までの表情みたいで。冷え込んでいた私の心が温かくなった。

もう、出ることもない涙が出そうになった。

 

 その時、私の意識はなくなり。彼女を支えていた体も崩れていく、まるで全ては

夢の中の出来事のように、虚(うろ)で不確かな中で、だが確かな温もりを感じた。

 

 さようなら、宵闇・・・。私はもう旅立つことにするよ、どこか知らない場所に。

私は意識と共に目を閉じ、フッと風に吹かれたように消えていった。

 

お終い

説明
ゲームの説明書きで人であったっぽい記述に。妄想を膨らまして勝手に書きなぐった内容ですwマヌスと宵闇はいい関係なんじゃなかったのかなぁっていう妄想です。創作は妄想が大事なんです( ・´ー・`)
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タグ
ダークソウル 深淵の主マヌス ウーラシールの宵闇 深淵歩きアルトリウス 

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