真・恋姫†無双  転生一刀劉璋録 第12話
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第12話  悪意と矛盾

 

 

 

 

一刀が目を覚まし、記憶を取り戻してから数週間が経つ。

一刀達は来るであろう劉備軍と必ずやって来る管理者率いる白装束との戦いに向け、軍の準備を怠っていなかった。

 

『せいっ!』

『でえぃ!』

 

一刀は兵達の鍛錬を見ていた。

 

「……」

「一刀様」

 

綾が一刀に声をかける。

 

「一刀だ。俺が劉璋でない以上、もう様付けする必要はない」

「そうはいきませんよ」

「あなたが北郷一刀であったとしても私達にとっては劉璋様ですわ」

 

そこに紫苑もやって来る。

 

「紫苑」

「あなたは既にこの世界では劉璋様として生きていたのです。

それは変わらない事実ですわ」

「………それはそうだけどな…」

「ご主人様♪」

 

そこに一人の小さな少女がやって来た。

 

「あの子は……」

「こら、璃々」

 

紫苑の子供の璃々だった。

 

「久しぶりだね、璃々ちゃん」

「ご主人様、お久しぶりです」

「どうしてここに?」

「だってご主人様、最近璃々と遊んでくれないもん」

「璃々、劉璋様は昔と違って忙しいの。だから璃々と遊ぶ時間は…」

「いや、いいよ。そう言えば言われてみれば全然、璃々ちゃんと遊んでなかったな。

今日は遊んであげるよ」

「うわ〜い♪」

「いいのですか? 今は大事な時期のはず…」

「いいんだ。それに大事だからこそ、安らぎを与える必要がある。

俺はこれから起こる戦いに切羽詰ってた。余裕がなかったんだ。

それを璃々ちゃんが教えてくれた。だからそのお礼もかねて……な」

「……仕方ありませんわね」

「綾、今日の鍛錬、俺の代わりによく見ていてくれないか?」

「分かりました」

「それじゃあ璃々ちゃん、何して遊ぼうか?」

「璃々、街に出たい」

「そっか、それじゃあ行こうか。紫苑も来てくれないか?」

「分かりましたわ」

「わ〜い、お母さんも一緒♪」

 

そして三人は街へと出かけた。

その様子を見た綾は……。

 

「楽しそうですね、一刀」

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一刀は紫苑と璃々と共に街を歩いていた。

璃々は街ではしゃぎまわる。

 

「本当に楽しそうだな」

「ええ、あんなにはしゃいでいる璃々、久しぶりに見ましたわ」

 

紫苑も嬉しそうにその様子を見る。

 

「……それと一刀さんのその顔も……」

「え?」

 

紫苑にそんなことを言われて一刀は一瞬戸惑う。

 

「だって一刀さん、最近そんな楽しそうな顔してないのでは?」

「……最近は楽しむことが出来なかったからな…」

 

一刀はこの世界で生きていたことを思い出す。

劉璋として生まれ、次期王となるための教育を受け、そして黄巾の乱や反董卓連合に関わり、劉焉から王の位を譲り受け、それから王として色んなことをしてきた。

しかし一刀はよくよく考えてみれば、心の底から楽しんだことはなかったかもしれないと思った。

 

「そう考えると本当に余裕がなかったんだな、俺」

 

一刀は思わず頭をかく。

 

「そうなると璃々ちゃんには本当に感謝しないとな…。

いや、璃々ちゃんだけじゃないな。この国に暮らしている人すべてにだな……」

 

一刀は少し上の空のような顔をする。

 

「その人達を守って来たのは一刀、あんただよ」

 

そこに翠や美咲もやって来る。

 

「お前達……」

「そうだぜ、もっと胸はりなよ」

「胸と言っても俺は男だ。そんなに大きな胸はない」

「…………」

「○×△□#☆∀!?」

 

翠は一刀の言ったことがセクハラだと言うことに気が付いて動転する。

 

「何言うんだよ、このエロエロ魔神!」

「ははは、まさかそんな返しが来るとは思わなかったぜ…」

 

一刀はまた笑顔を見せる。

 

「………ま、とにかくだ……。

頑張っていこうぜ」

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それから数日後のことである。

 

「劉備軍を見つけた?」

「はい!」

 

斥候が劉備軍の姿を見たと報告してきた。

 

「それでどこにいたんだ?」

「江陵です」

「江陵?」

「間違いないのか?」

「はい」

「江陵って、呉の領土だよな」

「では孫策達が劉備達を匿っていたのか?」

「いや、その線は低いな」

 

一刀が焔耶の意見を否定した。

 

「何故ですか? お館様」

「相手は今まで見つからなかった劉備軍。

どうやっても見つからなかった、劉備軍が今になって見つかった理由はなんだと思う?」

「…………ああ! あたし達が曹操軍と孫策軍に勝った!」

「そう、それだ。恐らく、管理者達が匿っていたんだ。

だから今まで発見できなかった。そして今、見つかったということは……」

「決戦しようということね」

「そう思う。だが劉備軍が簡単に動くとは思えない。

操ってくる可能性はあるけど、何かを言ってくるかもしれない」

「何かを言ってくるって……」

「俺達を陥れる……言葉だ」

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一刀の言った通りであった。

 

「え!? 劉璋さんがそんなことを……」

「はい。この耳で確かに聞きました。劉璋は自分の私利私欲のために、民から重い税を払わせ、自分は暴虐の尽くす限り、豪遊をしていると……」

「私もこの目で……。民達が苦しみ、訴えるも、その訴えた者を問答無用で罰しているところを……」

「許せないのだ! 劉璋は!」

「桃香様!」

「うん! 劉璋さんを倒さないと、この大陸で皆が笑って暮らすなんてできないよね。

皆、お願い!」

「御意」

 

そして劉備は進軍を決意した。

だがそれは管理者、張世平と蘇双の罠だった。

劉備軍が江陵を出てすぐであった。

 

「ご苦労」

 

張世平がある者に労いの言葉を贈る。

その者とはなんと劉備に劉璋の悪逆を報告した斥候達だった。

すると斥候から何かが現れる。

それは白装束の兵士だった。

そう、斥候達は乗り移られていたのだ。

 

「さてと、これで劉備達は悪逆非道の北郷一刀を倒しに行ってくれるだろう。

だが念を押しておいた方がいいかもしれない。

蘇双と少し相談でもしておくか」

 

張世平は姿を消した。

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それから数日後、劉備軍は最初の蜀侵攻と同じ場所から攻めてきていた。

前と違い、今度の防衛のための兵士達は12万、それに対して劉備軍は20万以上であった。

 

「まさかこんなに来るなんてね……」

 

劉備軍の侵攻を聞いた美咲と綾が先に城で籠城をしていたが、劉備軍の大軍を見て、驚きを隠せないでいた。

 

「しかし美咲、これは想定ないだろ?」

「ええ。来ることはわかっていたから、周りには広く穴を掘ってあるから、人間が馬が飛び越えるのはまず無理ね」

「だが、相手は一刀が気を抜くなと言っている相手が関わってる可能性がある」

「そうね。前みたいに衝車みたいなのを出してくる可能性も……」

 

美咲と綾が城壁の上から遠くにいる劉備軍の様子を見ると、劉備軍は何かしらの準備をしていた。

 

「あれは何だ?」

 

綾が目を細めて、美咲に尋ねる。

 

「穴を埋めてる……わけじゃなさそうね。穴を埋めるにしても簡単に埋めるなんてまず……」

 

穴を埋めるにしても、美咲が指示して、掘った穴の深さと広さはそれぞれ20メートル以上。

掘った時はともかく、上がる時は自分達でさえ、難しかったのだ。

それを簡単に埋めるのはまず無理なのだが……。

 

「あれは!?」

「何あれ?」

 

美咲と綾は自分達の目を疑った。

二人の目の映っていたのは、巨大なはしご車だった。

 

「あんなものを用意してたなんて……」

「あれじゃあ、穴を越えられるわよ!」

「……仕方ないわ。すぐに伏兵部隊に伝令を!」

 

美咲は急いで伏兵部隊に連絡を送るため、伝令兵に連絡し、美咲の指示を受けた伝令兵はすぐに伏兵部隊の方へと向かった。

 

「これで時間を稼げればいいのだけれど……」

「成都に連絡は?」

「もうしてるわよ。それに一刀も相手の来る時期もわかってるはず……」

 

美咲の言うとおりであり、一刀達は既に成都を出ていた。

そして伏兵部隊は、遠くからはしご車を火矢で撃つ。

 

「くっ! 怯むな! 迎え撃て!」

 

とは言っても20メートル先の人を弓矢で狙い撃つのはなかなかに難しい。

対して伏兵部隊は人に当てることを目的としておらず、あくまで目的ははしご車の破壊。

はしご車に当たらずとも、その周りにいる兵士達に当たれば儲けものであり、劉備軍と伏兵部隊では伏兵部隊の方が分があった。

その日は、はしご車の方は破壊こそできなかったが、はしご車のはしはかからなかった。

だが次の日に恐ろしいことが起こった。

劉備軍は遠くから攻撃が出来る投石車を用意し、石がはしご車を襲撃していた伏兵部隊を襲い、伏兵部隊はその対応に追われてしまった。

その隙にはしご車がかかってしまう。

 

「全員、城まで撤退!」

 

伏兵部隊はすぐに城まで下がった。

 

「橋はかかってしまったわね。けど、あれくらいの大きさなら、まだ前の衝車やあの投石車は通れそうにないけど、時間の問題かもしれないわね」

「どうしてだ?」

「投石車を運ぶにしてもあんなに細いの上は通れない。

それにあれを横に並べたとしても、重みに耐えられないわ」

「……そうか。けど、油断はしない方がいい。相手は何をするか分からない一味の力を借りている」

「またあなたに言われるとは思わなかったわ」

「失礼だぞ、美咲」

「ごめんなさい」

 

そして美咲と綾の指示で城に兵達は劉備軍に怯まず、防衛を続けた。

それからさらに数日が経ち、ようやく一刀達、蜀軍本隊がやって来た。

 

「劉備はいるか!」

 

一刀が一人出ていき、劉備の名を呼ぶ。

 

「話がある! 話をしよう!」

 

一刀は上手から降りる。

 

「あんな者のいうことを聞く必要など……」

「…………」

 

劉備も一人で出ていってしまう。

 

「桃香様!?」

「確かにあの人は酷い人かもしれない。けど、話合わないと何もわからないと思うの。

だから、愛紗ちゃん……行かせて……」

「桃香様……」

「愛紗、こうなってしまっては桃香様は止められないぞ」

 

趙雲が関羽にそう言った。

 

「……仕方ありません。しかし、桃香様の身の危険を感じたら、すぐに駆けつけます。

それでいいですね?」

「うん。ありがとう、愛紗ちゃん」

 

そして劉備と一刀はそれぞれ、一人で前に出た。

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「劉備」

「劉璋さん……」

 

劉備と一刀が対峙する。

 

「なんでこの国を襲う!?」

 

「劉璋さんが悪いことをしているからです!」

 

「悪いこと? どんなことだ! 言ってみろ!」

 

「劉璋さんは自分の私利私欲のために、民から重い税を払わせて、自分は暴虐の尽くす限り、豪遊をしているって……」

 

「お前はそれを鵜呑みにしたのか!? 本当に愚かだな」

 

「え?」

 

「ここでお前達と戦ってる蜀の兵士達を見たか?

あいつらが私利私欲の為に戦っているように見えたか?」

 

「…………」

 

「見えないだろう。当たり前だ。

あいつらは私利私欲のために戦っているわけじゃない。

ましてや、私利私欲しか考えてない王に仕えるような兵士じゃない。

仮に俺が私利私欲の限り尽くしているのなら、兵士は皆、俺を王とはみなさず、俺を殺していただろう。

それがわからないお前じゃないだろ!」

 

「…………」

 

「何も言えないか?

それもそうだ。俺は正論を言っているんだからな。

どこの誰の情報かは俺は知らない。

お前にとっては有力で信じられる人間から得た情報かもしれない。

だけど、それが違う時だってある。

その情報をお前に与えた人物に会いたい。

連れてきてくれないか?」

 

「それは…………」

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劉備はほとんどないも言えなかったその時であった。

突如と止まっていたはずの劉備軍の兵士達が攻撃を始めたのだ。

 

「!?」

「これって……愛紗ちゃん!?」

 

劉備が関羽達、将の方を見る。

するとそこには関羽達、劉備軍の将が劉備軍の兵士達に襲われていた。

 

「どうなってるの……? 皆!?」

 

劉備が急いで引き返そうとする。

 

「戻るな!」

 

一刀が劉備の肩を掴んで止める。

 

「離してください!」

「あいつらは操られている!」

「操られてるって……」

「俺の命を狙ってる奴らだ。

あいつらめ、まどろこっしいと思って一気に……。

今、あそこに戻るのは危険だ!」

「でも、愛紗ちゃん達が……」

「関羽達が簡単に倒れるのか?

そうじゃないだろ。少しは自分の仲間を信じろ」

「劉璋さん……」

「蜀軍! 全員劉備軍の兵士達に攻撃! ただし、襲われている将は倒すな!」

『はっ!』

 

蜀軍は劉備軍に攻撃をし返した。

 

「なんで……なんでこんなことに……」

 

劉備はその場で膝をついてしまう。

 

「なんでこうなったか分かるか?」

「…………」

 

劉備は黙っている。

 

「教えてやる。お前が矛盾しているからだ」

「矛盾?」

「そうだ。お前は人を助けたいという思いを持ちながらも人を傷つけている」

「?」

「人を助けたいんだぞ。なら助けてやればいい。

けど、助ける方法としては戦う以外に方法はいくらでもある。

お腹を空かしている人にご飯をあげる。怪我をした人の手当をしてあげる。

家を無くした人に家を探してあげる。まだあるぞ。

わかるか? 考えれば、思いつくことだ。

それなのにお前はそれを考えず、ただ戦うことが人を助けることだって決めつけた」

「でもそれは劉璋さんも……」

「ああ、矛盾してたな。だが俺はそれを知っていた。だから俺はいつも泣いていた。人が死んだんだぞ。

例えそれが自分を襲ってた人でも人だ。人が死ねば本来悲しいんだ。

お前は泣いてやることさえしなかった。戦って守りたい命があっただろう。

それはまだ理解できる。けれど、それに心を痛めなかった時点でお前は矛盾していたんだ。

わかるか? 今、自分が矛盾していたせいで、この事態を起こしたことに……」

「私のせい……」

「だが、今はそんなことを悔いてる暇はない。

俺は行く。お前は好きにしろ……」

 

一刀はそう言って、劉備の元を去る。

 

「私……どうしたら……」

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『うおおおおお!!』

 

劉備軍の兵士達が関羽達、劉備軍の将を攻撃する。

 

「やめろ!」

 

関羽達は何とか殺さないよう、加減しているが、兵士達は本来なら気絶してもおかしくないのに、兵士達は気絶せず、襲い続ける。

 

「なんで倒れないんだ!」

「まるで人じゃないみたいなのだ」

「どうするのだ愛紗? このままでは我らの方がやられるぞ」

「そうは言っても殺すわけには……」

「はあああああ!!!」

 

そこに一刀が現れ、蜀兵達を斬り倒す。

 

「大丈夫か?」

「貴様は……」

「劉璋なのだ!」

「何しに来た!?」

「助けに来たんだ。今のあいつらに話なんて通じない。

ましてや手加減で気を失わせるなんて無理なんだ」

「何故それが言える」

「あいつらを操っているのは人間じゃない」

「人間じゃないだと」

「物の怪か何かだというのか? 馬鹿馬鹿しい」

「そこを信じる信じないはお前達の勝手だ。だけど、今の状況が尋常でないのはわかるだろ?」

「確かに……」

「俺はお前達を助ける。けれど、俺でも助けられるのに限界がある。

残念だけど、あそこまで操られてる兵士を助けるには今はこれしかない。

それを許してくれ」

「…………」

「一刀様!」

 

そこに綾、美咲、千歳がくる。

 

「お前達は……」

「皆、そいつらには手を出さないでくれ」

「わかってるわ」

「とにかく今は……」

『北郷一刀ーーーーーーーー!!』

 

兵士が一刀の名を叫び、襲ってくる。

 

「せいやっ!」

 

綾が襲ってくる兵士を斬った。

 

「とにかく、これを操っている者が近くにいるはず。

そいつを探すべきです」

「だな……」

「白い兵士ならともかく、劉備軍なら数に限りがあるから、見つけられるはず……」

「探すぞ」

『ええ』

 

一刀を中心に操られた劉備軍の兵士達と戦う。

 

「はあああ!!」

 

一刀達は劉備軍の兵士達を倒していく。

 

「きりがないわよ、一刀」

 

一刀、綾、美咲、千歳は既に一万もの兵士を倒していた。

 

「くそ……」

 

四人はもうボロボロの状態だった。特にひどいのは一刀である。

一刀は三人を庇ったりなどして、一番怪我をしていた。

とは言っても庇いきれず、三人も怪我をしたり、服も破れていたりなどしていた。

 

「まだ周りには一万以上はいるわよ」

「だがここで止まるわけにはいかない」

「ああ。まだ俺達はここで死ぬことは出来ないな」

「けれどこのままじゃ……」

「千歳、弱音を吐くな。弱音を吐いたら、それだけでも気力が落ちる」

「ごめんなさい、一刀」

 

そんな時であった。

 

「おおおりゃああああ!!」

 

翠の声が聞こえてきた。

その声と共に一刀達の周りにいる敵兵達が倒されていく。

 

「これでもくらええええ!!」

 

焔耶に桔梗、それに紫苑に蒲公英も加勢し、見事に一刀達の周りにいた兵士達を倒し、一刀達の元にたどり着いた。

 

「大丈夫ですか? お館様」

「大丈夫と言えば大丈夫だけど、どう思う?」

「どうって……」

「ご主人様、すぐに手当てを……」

「いい」

「いいって……」

「このままじゃ死んじまうぞ!」

「俺に考えがある」

「考え…………まさか!」

 

美咲は一刀の考えてることがなんとなくわかった。

 

「考えてるとおりだと思う」

「危険よ!」

「一刀さん、何をする気なの?」

「俺がこのまま怪我をした状態を維持してたら、恐らくは俺を殺したいと思ってる奴らが来るはずだ。

ここまで来てる以上、あいつらは俺を直接自分達の手で俺を殺す気でいるはずだ。そいつをおびき出す」

「……でも現れなかったら?」

「その時はお前達の判断で俺を手当てすればいい。

だが俺は相手が俺の策に乗ることを信じてるぜ」

「……ご武運を……」

 

そう言って、綾は真っ先に去って行く。

 

「綾……」

「信じていいのですね? ご主人様」

「ああ」

 

そして一刀の怪我を手当しないまま、戦いをつづけた。

一刀は怪我をした状態でありながらも奮闘し続けた。

その姿を見ている将や兵士達は自分達もと思い、士気を上げ続け、数に勝っていた操られた劉備軍の兵士の大半を倒していった。

 

「ふがいない奴らめ」

 

張世平と蘇双が少し遠くから見ていた。

 

「仕方ないな」

 

張世平が白装束の兵士達を出す。

 

「お前達は雑魚の相手をしてやれ。いくぞ、蘇双」

「ああ」

 

張世平と蘇双はその場から姿を消した。

 

「はあああ!!」

 

一刀の周りにはいつの間にか白装束の兵士がいたが、何とか倒していた。

 

「…………」

 

一刀がふと後ろを振り向くとそこには張世平と蘇双がいた。

 

「お前達は……」

「張世平」

「蘇双」

 

一刀は二人からただならぬ雰囲気を感じていた。

 

「この感じ……、管理者だな」

「その通り」

「貴様を殺しに来た」

「…………お前」

 

一刀は張世平を指差す。

 

「何だ?」

「あの時、俺を刺殺した奴だな」

「よく気付いたな」

「その声に聞き覚えがあるからな。また俺を刺し殺すか?」

「いや、元々ナイフとかの殺しよりも……素手での殺しの方が好きなんでね……」

 

張世平と蘇双が素手で構える。

 

「今の貴様なら簡単に倒せるだろう」

「俺だけならな」

「何?」

 

その時であった。

突如と周りから大声が聞こえてくる。

 

「なんだ?」

「…………なんだと?」

 

張世平が何かを感じ見た。

 

「どうした?」

「曹操軍と孫策軍がこの一帯を包囲している」

「何!?」

「来てくれたか」

「貴様……伝令とか出してないはずだ」

「出してない。だが、俺はあいつらを信じていた。

俺の危機に来てくれることをな……」

「そこまで信頼を得たいたか」

「そこに関してはお前達に感謝してるぜ。

お前達のおかげでこの世界の人達と知り合えたんだからな。

けど……俺の命を再び狙うなら、俺はお前達と容赦なく戦う!」

「ほざけ!」

 

一刀と張世平、蘇双との最後の戦いが始まるのだった。

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おまけ

 

 

作者「これが例の第12話だ」

一刀「劉備軍との戦いをカットしているな」

作者「まあ、無理に戦わせる必要がなかったからな。あくまで『管理者が劉備軍を利用して進行』だからな。その利用はあくまで利用で戦わせること。まあ本音を言うとこの部分が長い空白期間もあってモチベーションが変わってたから書きにくかっただな」

一刀「やっぱそれかよ」

作者「だけど、何度も言っているが、大まかな部分は省略はしているけど、最初に書いたプロット通りでやりたいことはきちんと書いている」

一刀「これでか?」

作者「そうだ。無理に桃香や愛紗達と戦わせる理由がないからな。

とにかく、次回が最終回だ。来週にするか、今週中にするか。はたまた今日の夜にでも投稿するか」

一刀「懐かしいな。その日にもう一話投稿って」

作者「とりあえず、最低でも来週中には最終回は投稿するけど、いつにするかは俺の気分次第。

それでは!」

説明
この作品は作者が最近見かけている「転生もの」の影響を受けて書いたものです。
またこの話の後半部分は前半部分を書いてから2,3か月と言う長い期間をあけて書いているために、少しキャラの性格は口調が違うと思われる部分があるかもしれないことをご了承ください。
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桃香が痛い子に・・・(アーマイル)
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