そらのおとしもの  外伝    弁当が如く2
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智樹視点

 

 

こんにちは桜井智樹です。

以前に会長が半額弁当を買ってこいって言ったのを覚えてますか?

会長に言われて、俺はまた半額弁当を買いに夕方のスーパーに来てます。

 

「なんでまたこんなことに……」

 

そうは言っても会長の気紛れなのはいつものことです。

でも俺がため息をつきたくなるのはそこじゃありません。

何故なら……。

 

「さあて、今日も一仕事するか」

 

スーパーの店員の一人が弁当に半額シールを張り、それを皆が黙って見守ります。

そして店員が張り終え従業員室に入るのを確認すると……。

 

『うおおおおおお!!』

 

突然周りにいた皆が半額弁当に向かって走り出し、半額弁当を手に入れるために戦い始めたのです。

そう半額弁当を巡って、いつも戦いが起こってるのです。

俺も何度か手に入れたことがあるのですが、はっきり言って負けた回数の方が多い。

だって皆やたらと強いだもん。

けれど俺だって負けてはいられない。

何故なら腹をすかして待っている俺の家族の為に……勝たなければならないからだ。

 

「うおおおおおおおお!!」

 

俺もこの戦い参加するぜ!

 

 

智樹視点終了

 

 

 

 

そらのおとしもの  外伝    弁当が如く2

 

 

 

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ところ変わって空見町の隣町のとある場所。

 

「何? 食料が尽きた?」

「はい」

 

その建物の中はとても暗く、その部屋の中で偉そうにふんぞり返っている男が一人、報告をしてきた男を睨む。

 

「なんでだ?」

「それが手配していた業者が途中で捕まり…」

「捕まっただと? それで俺達のことは?」

「まだ吐いてないと思います。それに業者にはこの場所は教えておりませんので……ここが嗅ぎ付けられることは…」

「そうか。だが食料の調達は大事なことだ。それはどうするつもりだ? 今は大事な時期だ。資金はあまり出せん」

「それはご安心ください。実はこの町の隣町にある空見町というスーパーで半額弁当が大量に売られているそうです」

「半額弁当だと?」

「はい、700円の弁当が350円で売られるんですよ。それを手に入れれば……」

「……いいだろう、やってみろ。人数は少ない方がいいか」

「いえ、どうやらそこでは毎日のように半額弁当を巡って争いが起きてるみたいです。

ですので……」

「ふ、暴力沙汰でも警察は動くことはないと言うことか。

ならば大量に人員を送るとしよう。

我らの計画実行まで半額弁当を必ず手に入れろ!」

「はっ!」

 

男は報告の男に命令を下した。

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智樹視点

 

 

「ただいま〜」

 

何とか弁当を手に入れた俺は家に帰る。

 

「おかえりなさい、マスター」

「トモキ、弁当は?」

「ちゃんと人数分買ってきたぞ」

 

せかすニンフに弁当を見せる俺。

もう慣れたこととはいえ、少しは俺の体のことも心配してくれないかな。

 

「わぁ〜い、お弁当、お弁当」

 

カオスは悪気がないのは分かるけど、その笑顔が微妙に痛い。

まあそれはともかく腹減ったからイカロス達と一緒に弁当を食べることにした。

 

「それでトモキ、また行くの?」

「行かないと会長に殺されるもんな。あの人どこで見てるか分からないし……」

 

会長の五月田根美香子はこの空見町でも有名な任侠者(セレブ)。

おまけに単純な力も強いし、簡単に逆らうことは出来ない。

 

「まあなんか話によると明日は結構弁当売るみたいだし、半額弁当も手に入りやすいと思うぜ」

「じゃあ期待していいの?」

「そこまで期待されるとすごい困るけどな」

 

イカロス達の期待の視線がすごく痛い今日この頃です。

 

 

智樹視点終了

 

 

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次の日の夕方、智樹はスーパーにやって来た。

 

「さて、今日は……本当に多いな」

 

残っている弁当はとても多かった。

 

「それでと……」

 

いつも通り、店員がやって来て半額シールを張る。

 

「よし」

 

そして店員が中に下がる。

 

「いくぜ……!?」

 

すると智樹や商店街の人達の後ろから黒服の男達が数十人現れ、半額弁当を狙った智樹達を簡単に倒してしまった。

 

「な、なんだよ、これ……」

 

智樹の意識は薄れていく。

 

「確保完了しました」

「すぐに撤収だ」

 

黒服の男達は半額弁当をすべて持ち、出て行った。

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「う……」

「あ、気が付いた」

 

智樹が目を覚ますとそこにはイカロス達がいた。

 

「お兄ちゃん、大丈夫?」

「カオス、ここは?」

「休憩室だ。まったく今日は運ばれる人間が多すぎるぜ」

 

店員が愚痴をこぼす。

智樹が周りを見てみると一緒に戦いに行ってた商店街の人達が倒れてた。

 

「これって…」

「智坊……」

「公民館のおばちゃん!」

「やられちまったぜ……」

「商店街のあんちゃん!」

「まさかあんなに強い奴らがいるなんて……」

「どうなってんだよ、これ」

「俺も影から見てたが、あの黒服の連中はかなりの手練れだ。

一つや二つの修羅場をくぐった奴らの腕じゃねえ」

「それってどういうことなの?」

「恐らく〜、この辺りの人間じゃないわね〜」

 

そこに美香子がやって来る。

 

「会長さん」

「この辺りの人間じゃないってどういうことっすか?」

「言葉通りの意味よ〜。あの黒服の人達を調査してもらったけど、この空見町の住人じゃないのよ〜」

「住人じゃないってことは…よそから来たってこと?」

「それって遠征って言うんだよね?」

「そうよ〜、カオスちゃん」

「けどたかが半額弁当の為に遠征してくるか? 普通」

「自分達の町で半額弁当を売ってないとか、お金がないというのもあるわね〜」

「ですが、それは一人や二人の話ではないですか?

それを大人数となるとおかしいと思います」

 

イカロスが意見を言う。

 

「それがとんでもないことが分かったのよね〜」

「とんでもないこと?」

「相手はテロリストなのよ〜」

「テロリスト!?」

 

テロリストと言うことを聞いて智樹は驚く。

 

「ねえ、お兄ちゃん、テロリストって何?」

「食べ物ですか? マスター」

「違うわよ、アルファー、カオスも…。

テロリストって言うのはね、簡単に言うとある国に反乱とかを起こす悪い奴のことよ」

「分かりました」

「けど会長、なんでそんなテロリストが半額弁当を買いにわざわざこんなところに……」

「それは会長も分からないわ〜」

「その理由は俺が説明してやろう」

 

次にやって来たのは秋山だった。

 

「秋山さん」

「そのテロリストたちはなどこかの手違いで食糧確保が困難になっちまったんだ」

「はあ?」

「そんで資金はあるけど逃亡資金とか計画のための資金とかで無駄に使いたくないと思ったそのテロリスト集団のボスが部下に提案を出させた挙句、ここで大量の半額弁当が出されるとしてきたんだよ」

「なんて迷惑な……」

「どうやってそんな情報を得たの? またお得意の闇の力?」

「ご名答」

「はぁ……」

「何にしても、この町でテロリストなんていい度胸ね〜」

 

美香子は携帯をいじる。

 

「もしかして……」

「テロリストは徹底的に排除するわよ〜」

「待ちな」

 

秋山が美香子から携帯を取り上げ、電源ボタンを押して切る。

 

「何する気かしら? 秋山、先生」

「先生ね〜。テロリストを追い出すってのは俺も反対しねえよ。

けど、追い出すのにそこまで数は必要ねえだろ」

 

秋山は智樹を見る。

 

「お、俺?」

「明日も連中は来るはずだから、明日までに返り討ちに出来るように特訓するぞ」

「一日で!?」

「大丈夫だ。俺の空間にいれば時間なんて関係ないからな。早速行くぞ」

 

秋山は智樹を連れて休憩室を出た後、秋山がいつもいる空間に連れて行かれた。

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次の日の夕方。

弁当に半額シールが貼られる30分ほど前のスーパー。

 

「お兄ちゃん、遅いね」

「もうすぐ来るんじゃないかしら〜」

 

するとスーパーに入って来る二人。

智樹と秋山だった。

 

「マスター」

「待たせたな」

「結構強くしてやったぞ。……今回限定だけどな」

「さあ、誰が相手でもどんときな!」

「会長も混ざっていいかしら〜?」

「どうぞ、どうぞ。俺も混ざるつもりだからな」

 

それから数分後、黒服の男達(テロリスト)がぞろぞろとやって来た。

 

「来たわね」

 

テロリスト達が弁当コーナーの近くで待機をし始めると、その近くにいた人達は退散していった。

それからまた十数分が経ち、店員が半額シールを弁当に貼りはじめ、そして去って行った。

 

「今だ!」

「確保しろ!」

 

テロリスト達が半額弁当に向かって突撃していく。

 

「待ちな!」

 

テロリスト達の前に智樹、美香子、秋山が立ちはだかる。

 

「なんだ手前ら!」

「邪魔すんじゃねえ!」

「やっちまえ!」

 

テロリストの何名かが三人を襲おうとした。

だが……。

 

「てりゃあ!」

「はあっ!」

「ふん!」

 

智樹は拳、美香子は掌打、秋山は足で向かってきたテロリストを蹴散らした。

 

『なっ!?』

「何するんだ? 手前ら!」

「こんな町中で、テロリストなんて許されないわね〜」

「な、なんのことだ?」

「しらばくれてるわね。あなた達がテロリストなのはもうわかってるのよ〜」

「この人は任侠者だからな」

「極道かよ」

「そんな極道がなんでこんなことを!」

「簡単な話よ〜。この町の縄張りは五月田根家のものなのよ〜」

「悪いことは言わねえ。この人が本気出す前に逃げた方がいいぜ」

「ほざけ!」

「ここで半額弁当を逃したら、俺達の食糧がねえ!」

「俺達に後退はない!」

「やる気みたいね〜」

「いくぞ!」

 

 

 

VSテロリスト集団

 

 

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「うりゃああ!」

 

テロリストの一人が智樹に向かって拳を振るう。

智樹はその拳を避ける。

 

「この野郎!」

 

別の一人が拳を智樹の体に当てる。

 

「ぐっ……!」

 

いつもの智樹なら一発でダウンしていた。

だが秋山の特訓のおかげで今だけはタフなので、鍛えられた拳が相手であっても簡単に倒れない。

 

「でりゃあ!!」

 

智樹は自分に拳を当てようとした者と当てた者を自分の拳で返り討ちにした。

 

「ぐええ」

「ぐあっ」

「なんて奴だ」

「ぎゃあああああ!!」

 

別のところから悲鳴が聞こえる。

それは握力400sある美香子にアイアンクローをくらわされ、苦しむテロリスト一人の悲鳴だった。

ちなみにもう片方の手にもテロリストが一人、腕を掴まれ、もだえ苦しんでいた。

 

「返すわよ〜」

 

美香子が思いっきり、別のテロリスト達の方に投げ飛ばす。

 

「ぐああああ!」

「そりゃあああ!」

 

そしてまた別の方では秋山が飛び蹴りで一人を倒す。

倒した相手が倒れる直前にその相手を踏み台にし、別の一人の腕を足で絡みとり、折る。

 

「ぐぎゃああああ!」

「ちょおお!」

 

床についた秋山はブレイクダンスの要領で周りのテロリスト達を一掃した。

 

「でりゃああ!」

「お〜ほっほっほっ!」

 

智樹や美香子もテロリスト達を倒していく。

 

「ま、まずい、このままでは全滅だ!」

「皆殺しよ〜」

「会長、それはさすがにまずいっしょ」

「退け! 退け!」

 

テロリストの一人がそう言うとまだ無事なテロリストが倒れて動けない仲間を抱えて逃げようとする。

 

「逃がすと思ってるのかしら〜」

 

テロリスト達がスーパーを出ると既に警察が包囲していた。

 

「……逃げられねえ」

「こうなったら、このスーパーもろとも自爆……」

「させるかーーーーー!!」

 

智樹が突っ込んできて、テロリストの手に持っていた手榴弾を拳で弾き飛ばした。

 

「ピンは?」

「安心しろ。抜かれてない」

 

秋山が弾き飛んだ手榴弾を拾う。

 

「確保ーー!!」

 

そしてテロリスト達は逮捕された。

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「これでまた安心して半額弁当を取れるわ」

「ありがとな、智坊」

「いやいや」

 

智樹は照れる。

 

「トモキ、調子に乗ってるわね」

「けど、あいつのあのパワーはもう終わってるぞ」

「じゃあ、今のマスターは……」

「いつも通りってことだ」

「それじゃあ、改めて始めようかしらね〜。半額弁当戦争」

『おおおおお!』

「いきなりかよ!」

 

そして智樹はいつものように半額弁当の争いでボコボコにされるのであった。

 

 

 

 

 

おわり

 

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おまけ

 

 

作者「弁当が如く、まさかの第2弾だ」

智樹「まさか続きが出るなんて」

作者「実は作品自体は前から書いてたぞ。まあ書き終えたってか続きを書き始めたのはつい最近だ。何か月ぶりだろうか」

智樹「そんなに空いてるんかよ」

作者「うん。だからテロリストのボス的なキャラも出なかったのだ。

それに今日が『龍が如く5』の発売日だからその記念にしたかったのもある」

智樹「そっちメインかよ」

作者「前にも言ったが、『ベン・トー』を見ると『龍が如く』を連想するんだよな。あの殴り合い的なシーンはさ……。

まあとりあえず今回はこんなものだ。

それでは!」

説明
今回の話は去年に投稿した。『そらのおとしもの  外伝    弁当が如く』の続き的な作品で「ベン・トー」の影響で作ったものです。(ついでに「龍が如く5」の発売記念)
また今回は少しオリジナルキャラがメインの話となっており、作者の分身のオリジナルキャラ(秋山総司郎)も出てきます。


前回

『そらのおとしもの  外伝    弁当が如く』

http://www.tinami.com/view/353565
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そらのおとしもの 桜井智樹 五月田根美香子 秋山総司郎 ベン・トー 龍が如く 

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