やっと
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「俺」が嫌いな「世界」

家族

学校の奴ら

街でケンカをふっかけてくる野郎ども

 

「世界」は「俺」が嫌いなんだろう。

 

「俺」は「世界」を嫌い、

「世界」は「俺」を嫌う。

 

なのに、どうして「俺」は「世界」にいるのだろう。

 

「必要ではない」存在

むしろ、「存在しない方がいい」存在

 

けど、疎まれながらも、「俺」はこの「世界」に存在している。

 

そんな嫌いな「世界」の中で―

厳しくも大事にしてくれたハルトマン

ふざけ合える悪友

 

そんな存在に、「俺」はこの「世界」にいることに、少しの許しをもらっているように感じていた。

 

けど―

許されはしても、「必要」であるわけではなく―

 

そんな「世界」で、「俺」は生きていたけど、本当の意味では「生きて」いなかった。

 

ただ呼吸をしていただけで、存在していただけで―この「世界」で「生きよう」としていなかった。

 

 

けど、異能者適用法で捕まって、入れられた牢屋の中で―

「あ・・・あの・・・」

 

あいつに出会った。

 

「あ、あの・・・僕、ルカです」

最初は、気の弱い奴だなと思った(それは今でも変わらないけど)。

けど、どうしてか、「嫌」な奴だとは思わなかった。

「俺」と同じように異能者適用法によって捕まったからか―

怯えながらも「俺」に話しかけてきたからか―

理由は分からなかったけど、「嫌い」だとは思わなかった。

 

 

どうしてか―

 

 

適性検査だと連れて行かれ、目の前の転生者を倒せと言われて―

「貴様を殺し、我がラティオの同胞たちの命を贖わせてやる!!」

その転生者の言葉を聞いた時―

「死ね!アスラ!!」

 

「―――!?」

 

ああ、そうか

 

 

やっと―

「どいてろ!ルカ!」

 

やっと―見つけたんだ

「心に剣を持ち、誰かの楯となれ!」

 

大切なものを

 

「ケガしないように、下がってな!」

 

この身にかえてでも守りたいものを

 

「やれやれだ。お前、ホントにアスラか?なっさけねぇなぁ。」

「じゃあ、君はやっぱり・・・」

「俺の前世は聖剣デュランダル。」

「君は僕の愛剣だった。幾度も共に死線を潜り抜け、その都度、君に感謝していたっけ。」

 

自分の居場所を

 

「今考えると、お前ってさ、剣に話しかける変な奴って話だけどな」

「き・・・君だって、剣のくせにしゃべってたじゃないかぁ。そっちだって十分変だよ!」

「へっ!言うじゃねぇか。デュランダルなしじゃ、何もできねぇヘタレだったクセに」

「ぐ・・・く・・・言い返せないや・・・」

 

自分を「必要」としてくれる存在を

 

「久しぶりだな。会いたかったぜ。」

「あ・・・ああ。うん、僕も・・・」

 

やっと―

 

 

やっと―

「俺」はこの「世界」で「生き」はじめた。

 

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TOI-Rの小説の1作目です。
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