無意識
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「君とイリアさんは、ルカくんをいじめるのが、好きだよね」

 

 

 

俺とイリアがルカをいじって楽しんだ後、コンウェイが俺にこう言った。

(「げっ、小言かよ・・・」)

「いじめてるとか、気のせいじゃねぇの?ただ、からかってるだけだぜ」

「からかってるだけにしたら、きついよね」

「そうかぁ?普通だろ」

「・・・・・・」

コンウェイは何も言わずに、ただ俺を見ている。

(「何だよ・・・?」)

不審がってコンウェイを見ていると、

「ねえ、もしかして―」

「?」

「いいや、何でもないよ」

「??」

コンウェイはすたすたと、みんながいるところへ歩き始めた。

「あっ、おい・・・!」

 

 

 

「・・・自分たちは、ルカくんが好きなんだと、主張しているように見えたんだよ」

 

 

 

ほんの微かなつぶやきが、風にのって俺の耳に届いた。

「・・・?」

コンウェイは、みんなのところに着いて、いつもと同じようにみんなと話している。

「何だぁ、あいつ・・・?」

 

 

 

 

その時は、あいつの「言葉」は、ただそれだけだった。

特に何か意味を持っているものではなかった。

 

 

 

 

 

ただ、それだけだった――けど

 

 

 

 

 

 

 

天空城で

 

 

 

 

(「デュランダルがアスラを裏切った・・・?」)

 

 

 

目の前に突きつけられた真実。

どういうことか、頭では理解していた。

 

けど、心では分かっていなかった。

 

どこか遠くの出来事のように感じていた。

いや、感じていたかった。

 

 

けど

 

 

 

 

(「俺が、ルカを裏切った―――!?」)

 

 

 

 

手足の先が寒くなっていく。

体中の感覚が失くなったようだった。

目だけが、ルカを見つめて離せなかった。

 

ルカは俺たちを全く見ようとしない。

 

俺は、ルカに自分を見て欲しかったのか、分からない。

見て欲しくなかったのか、分からない。

 

そんなことなんか関係なしに、ルカは俺を全く見ようとしない。

 

 

 

 

そして――

 

 

 

 

「天上界を滅ぼして、無恵を生み、現世でみんなを不幸にしたのが、僕だったなんて・・・」

 

 

違う・・・・・・

 

 

 

「僕は・・・どうすれば?・・・ぼ・・・く・・・・・・は・・・・・・・・・・・・ああっ!!」

 

 

 

 

 

違う――!!

 

 

 

アスラは天上界を滅ぼしたかもしれない

 

 

けど

 

 

お前は―――

 

 

ルカ・ミルダは、そんなことをしていない―――!!!

 

 

「ゴラァ!ルカ!」

 

お前は、「アスラ」として、生きているのかよ―!

 

「てめぇ・・・戻って来やがれ!」

 

「アスラ」として、「そこ」に行くな――!

 

「ルカ・ミルダ」として、「ここ」に―――「俺たちのそば」に、いろ――!!

 

「僕は・・・僕はどうすれば・・・」

 

気づけよ――!

 

「天上界を崩壊させ、世界のみんなを不幸にしたのは、僕自身だった・・・」

 

お前は、「アスラ」じゃなく――――――「ルカ・ミルダ」だろ!!

 

「僕が・・・僕が・・・」

 

違う―――!

 

お前が、してきたことは

 

俺たちが、してきたことは

 

 

「そんな僕なんか、消えてしまえばいい!それが、一番いいんだっ!!」

 

 

 

――――――――――!!!

 

 

 

 

 

 

 

目の前で、何かが崩れた――天空城ではなく

それ以外の、何かが

 

 

 

 

・・・・・・大切な何かが

 

 

 

 

デュランダルは、アスラを裏切った。

 

信頼し合ってきたのに

 

唯一無二の親友だったのに

 

 

けど

 

 

俺は

 

スパーダ・ベルフォルマは

 

お前を裏切っていない

 

ルカ・ミルダを、裏切ったりなんかしていない

 

これからも、裏切りはしない

 

 

お前にとって

 

俺は――

「スパーダ・ベルフォルマ」は、「デュランダル」よりも、「弱い」存在だったのかよ

 

 

俺とお前が、築き上げてきたものって

 

 

「アスラ」と「デュランダル」のよりも、「弱い」ものだったのかよ―

 

 

俺とお前の―

 

 

「スパーダ・ベルフォルマ」と「ルカ・ミルダ」の「信頼関係」って――

 

 

 

 

 

 

 

 

目が覚めたとき、宿屋の一室のベッドで寝かされていた。

 

「くっ―――!」

 

嗚咽が漏れ出た。

 

 

無意識では、分かっていたんだと思う

 

「デュランダル」が「アスラ」を裏切ったこと

 

だからこその、「アスラの転生者を守ろう」とする衝動

 

「償おう」とする衝動

 

けど

 

違うんだよ

 

ルカ

 

最初は、「そんな」衝動で動いていたんだと思う

 

けど

 

「そんな」衝動で動くのは、嫌だ

 

だって

 

俺の目の前で、笑っているのは―――

 

 

 

 

「ルカ」なんだ――――「アスラ」じゃないんだ

 

 

 

 

お前の影に「アスラ」が見えたとしても

 

「アスラ」の存在が、お前より、でかくなったことはない

 

 

――だから

 

ルカ

 

俺が

 

「スパーダ・ベルフォルマ」が、

 

お前を、守ってきたのは――――守りたいと思っていたのは

 

 

「アスラの転生者」だからじゃない

 

 

「ルカ・ミルダ」だから、なんだよ

 

「アスラの転生者」が好きだからじゃなくて、「ルカ・ミルダ」が好きだからなんだよ

 

 

「スパーダ・ベルフォルマ」は、「ルカ・ミルダ」を、裏切ったりしねぇんだよ―――

 

 

 

 

壊されないでほしかったもの

 

壊させやはしないと、思っていたもの

 

 

だからこその、今までの、「ルカ」に対しての態度

 

―――「デュランダル」が、「アスラ」に、決して取らなかったであろう態度

 

「アスラ」なんか、関係ない

「デュランダル」なんか、関係ない

 

俺が好きなのは

 

「スパーダ・ベルフォルマ」が好きなのは

 

「ルカ・ミルダ」なんだ

 

 

 

 

 

 

 

「まあ、王都育ちのボンボンが見たら、驚いて飛び上がるようなボロ屋だけど、くつろいでちょうだいな」

 

俺、リカルド、アンジュ、エルマーナ、コーダ、コンウェイ、キュキュが、イリアの家で待っていると、イリアが連れて行きた―――ルカ、を

 

「ルカ兄ちゃん!」

 

戻ってきた

 

「ルカくん・・・」

 

俺たちの、ところに

 

「ルカ、お前・・・」

 

スパーダ・ベルフォルマ、イリア・アニーミ、リカルド・ソルダート、アンジュ・セレーナ、エルマーナ・ラルモ、コーダ、コンウェイ・タウ、キュキュ・セレツネワ、のところに

 

「あの、みんな・・・ただいま・・・」

 

 

気弱な態度――「アスラ」にはない、「ルカ・ミルダ」だけにしかない態度

いつもなら心配になる、その態度が

 

「ルカ・ミルダ」の、態度が

 

 

今は、ひどく安心した―――

 

 

「ここ」にいるのは、「アスラ」ではなく―――――「ルカ」だ

 

 

 

 

 

「あ〜ら、別に戻って来なくたって、ホントのところは、全然困らなかったけどね」

いつもと同じように、イリアが照れて、再会を素直に喜べないでいる。

「へへっ。イリアのやつ、照れてやがるぜ」

「・・・素直に再会を喜べいいものを」

リカルドが、しょうがない、と言ったように笑う。

 

「じゃあ、スパーダとリカルドは、喜んでくれてるの?」

 

ルカの目が、しっかりと俺を見ている。

 

 

「デュランダル」ではなく―――「スパーダ・ベルフォルマ」を

 

 

「ケッ、最後の最後で俺たちを信じられなかったくせに、よく言うぜ。」

 

 

「デュランダルの転生者」として、じゃない

「アスラの転生者」として、じゃない

 

 

「・・・この貸しは返してもらうまで、てめぇのそば離れたりしねぇから、覚悟しやがれよ!」

 

俺は――

 

 

 

俺は――――

 

 

 

「スパーダ・ベルフォルマ」として、お前―――「ルカ・ミルダ」のそばに、いたいんだ

 

説明
TOI-Rの小説2作目です。
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