ソードアート・オンライン ロスト・オブ・ライトニング 第十一話 地底世界と2体の邪神
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その場所は、氷と雪に全てが閉ざされていた。

上を見上げると、遥か高い高い位置に、キラキラと光る物がある。

星ではなく、氷。天井のつららが、内側から青白く光り輝き、地底に広がるその世界を明るいと感じられる程度には照らしてくれている。

最早、地底世界といえる程の規模を持つ巨大な洞窟。

徘徊するのは妖精たちの四倍以上の背丈を誇る、超巨大モンスター【邪神】。

直径約30キロ、天井までの高さは500メートルを超える、超巨大地下空間。

アルヴヘイムの地下に広がる最高難易度エリア。

その名を・・・【ヨツンヘイム】。

 

デュオ視点

俺たちは、アルンに行く途中でモンスターのトラップに掛かり、地底世界ヨツンヘイムへと落とされてしまった。

 

リーファ「ぶえーっくしょい!!」

 

デュオ「大丈夫か?」

 

リーファ「うぅ・・・寒い・・・」

 

女性としてどうなんだと言うようなくしゃみをしたリーファは、俺が貸してやったマントの中でブルブルと身震いする。

俺は、洞窟の入口を覗き込み、先程のリーファのくしゃみに気付いた邪神が寄ってきていないかどうか、外を確認する。

だが、幸いにも、入ってきたのは冷たい空気と、地下なのになぜが降り注ぐ外の雪だけだった。

今俺たちは、ヨツンヘイムの中にあった、縦横四メートル程度の小さな祠で、焚火を囲んで暖を取っていた。

何やら古代の怪物のようなものが書かれたレリーフが有り、焚火の不安定な光によってゆらゆらと揺れている。

 

デュオ「お〜い、寝るな〜起きろ〜」

 

俺は呼び出したハッカ味の煙草を咥えながら、適当にキリトの体を揺する。

ふとリーファに目をやると、彼女もまたむにゃむにゃと今にも寝そうにしている。

キリトの尖った耳をくいくいと引っ張ってみるが、全く起きる様子もない。

ちなみにユイはと言うと、キリトの膝の上でくうくうと小さな寝息を立てている。

 

デュオ「まったく・・・こういうところは子供なんだよな〜・・・」

 

俺が呟くと、脱力したキリトの体がスッと傾き、そのままコテンッと、リーファの膝の上に頭を着地させた。

「んむぅ」と言いながら動いたキリトの頭がどこに触ったのか、リーファが急に「ひゃっ!」と声を上げて背筋を引きのばした。

咥えた煙草を口から離して、俺は呟く。

 

デュオ「仲のよろしいことで。」

 

リーファ「変なこと言ってないで、デュオ君も起こすの手伝ってよ・・・」

 

顔を赤くして言うリーファに、俺は口から離した煙草を突っ込んで咥えさせると、キリトの頭に拳骨を叩き込んだ。

黄色いエフェクトと共に、俺の拳がキリトの頭に直撃する。

 

キリト「へぶっ・・・!?」

 

妙な声と共に、キリトがリーファの膝から飛び起きたのを確認すると、真っ赤になって硬直しているリーファの口から煙草を引き抜いて再び咥える。

煙草を取った瞬間、「あっ・・・」というもの惜しそうな声を上げてリーファの硬直が解けた。

 

キリト「・・・お、おはよう・・・ふわぁぁぁ・・・俺、寝ちゃってた?」

 

リーファ「あたしの膝枕でね。まあ、時間も時間だし勘弁してあげるわ。」

 

キリト「そりゃ失礼。なんならリーファも俺の膝枕で・・・」

 

リーファ「要りません。」

 

デュオ「やれやれだな・・・」

 

ぷいっと顔を反らしたリーファと、苦笑したキリトを見ながら、俺は小さく首を横に振る。

そうしてもう一度煙を吹くと、俺は天井を眺めた。

現在時刻、午前二時。

このタンジョンに落ちてしまい、抜け殻になったアバターがモンスターに襲われる可能性を考慮してログアウト出来ずにいる。

ここに篭もってから既に一時間経っていた。

最悪の事態に備えて、俺の横にはブレイズダスクが、キリトの横には漆黒のエリュシデータと白銀の【ライトリターナー】が壁に立てかけるようにして置かれている。

ちなみにこの白銀の剣は一体何なのかと言うと、SAO七十五層のボス戦で入手したもので、ALOでアイテムを復元した際に一緒に再生した剣だ。

装備者とその仲間以外の魔法や武具のエクストラ効果を打ち消すという、強力なエクストラ効果を持っている。

直訳すると【甦る光】という意味を持つこの剣は、閃光と呼ばれた少女の現実に甦らせようとしている今の俺たちの状況を表しているように思えてならない。

 

デュオ〈茅場は、こうなることがわかってたのかな・・・?〉

 

俺がそんなことを考えていたその時、ズズンッ!と地面を揺るがすような音と振動が、祠の中を駆け抜け、直後、雷鳴を思わせる低い咆哮が、ごく近くから降り注いできた。

 

リーファ「やばっ・・・見つかったのかも・・・あたしが敵をプルするから、2人はその隙に離脱して・・・!」

 

デュオ「ちょっと待て・・・!よく耳を澄ましてみろ。」

 

リーファ「えっ・・・!?」

 

俺の言葉の意味を理解できていない様子のリーファに、キリトが言う。

 

キリト「リーファ、ほら、聞こえないか?・・・一匹じゃない・・・」

 

言われてから、リーファはようやく耳を澄ました。確かに、重々しい低音の咆哮の向こうで、ひゅるるる、という木枯らしのような高い音が聞こえた。しかしそれに対し、リーファはより一層声に焦りを募らせる。

 

リーファ「それなら尚更よ!どっちか一方にタゲられたらアウトってことよ!?

 

ユイ「いえ、違います!リーファさん!」

 

さらに答えたのは、ユイだった。そのまま続けて言う。

 

ユイ「接近中の邪神級モンスター二体は、互いを攻撃しています!」

 

リーファ「えっ・・・!?」

 

そう言われて、リーファはようやく気が付いた。近くで鳴り響くドスンドスンと言う地響きが、一直線に此方に向かっていると言うより、転げまわるようにランダムな場所から響いて来ているのだ。

 

リーファ「モンスター同士で戦闘・・・?どういうこと・・・?」

 

キリト「とにかく、一度様子を見に行ってみよう。ここじゃどうせシェルター代わりにもならないし。」

 

デュオ「まあ、どうするかは見てから考えても遅くは無いだろう。」

 

リーファ「う、うん」

 

そう言って、俺たちは祠から出た。

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祠から出て少し進んだところで、音の元凶である二体はすぐに見つかった。

 

デュオ「ほんとにデカいな・・・」

 

雪原の上で、二体の巨大な図体がドカン、ドズンと大音量の重低音を出しながら戦闘を行っている。

一体は、辛うじて人間型と呼べるような形をしている。

縦に並んだ三つの顔に四本のやたら太い腕、それぞれに、やはり滅茶苦茶に大きい剣を携え、それを軽々と振り回している。

もう片方は・・・最早なんと言うべきか分からない。

長い口吻と巨大な耳のような物がついた顔は象のようだが、それが付いている胴体は饅頭のような円形に鉤爪付きの触手が二十本以上も地面に向かって伸びている。強いて言うなら、象の顔が付いた水母と言うべきだろう。

二体の体表は、どちらも邪神級モンスター特有の青っぽい灰色に染まっており、大きさとしては三面巨人の方が象水母より一回り大きい。

通常モンスター同士が戦う場合、その要因はプレイヤーが起こせるもので三つある。

1つはケットシーが((飼い慣らし|テイミング))によって手に入れたペットモンスターがMOBと戦っている場合。

もう1つはプーカが、ある種類の演奏効果によってモンスターを扇動している場合。

最後の一つは幻属性の魔法によってモンスターが錯乱状態にさせられている場合だ。

しかし目の前のモンスターたちは、そのどれにも当て嵌まっていなかった。

邪神級モンスターはペットモンスターにする事は出来ないし、プーカの扇動演奏も効果が無い。

幻属性の魔法は多少効果が望めるが、そもそも目の前の邪神級モンスターについているカラーカーソルに、錯乱の異常状態にかかっている事を示すライトエフェクトも見えない。

つまりこの二体は、自分の意思で、目の前のもう一体に戦いを仕掛けている事になる。

そんな二体の戦いは、はっきり言えば優劣がはっきりしていた。

戦況は三面巨人優勢、象水母が劣勢だ。

連続して叩きつけられる巨人の剣劇の嵐に対し、象水母は自らの触手で対抗しようとしているが、凄まじいスピードで振りまわされる剣戟が邪魔で相手の体まで届かない。

寧ろ押し負け、体に剣が叩きつけられるたびに、どす黒い体液が飛び散るエフェクトが出ている。

ついに巨人の剣がクラゲの触手の一本をまともに捉え、斬り飛ばした。

斬られた一本の触手が俺たちの方へと吹っ飛んで来る

 

デュオ「避けろ!!」

 

見事に、俺がいた地点に着弾した触手を見たキリトが、ぎょっと目を向いた。

 

キリト「なあ・・・ここにいるとまずいんじゃないか・・・?」

 

デュオ「不味いなんてものじゃない!逃げるぞ、2人とも!」

 

俺がそう言うとキリトは逃走の用意をするが、リーファは動かない。

じっと、水母型邪神を見つめている。

 

リーファ「助けよ。キリト君、デュオ君。」

 

デュオ「はい・・・!?」

 

キリト「ど、どっちを・・・?」

 

リーファ「勿論、苛められている方よ。」

 

デュオ「いや、苛められてるって・・・助けてどうするんだ?助けても何もしてもらえないだろうし、寧ろ夕飯にされてゲームオーバーだと思うが・・・」

 

リーファ「でも・・・!可哀そうだよ!」

 

デュオ「わからなくも無いけど・・・仮に助けるとしても、どうやって?」

 

リーファ「え〜と・・・」

 

俺の問いにリーファは言葉を詰まらせる。

どうやら、どうやって助けるかまでは考えていなかったらしい。

 

リーファ「なんとかして!」

 

デュオ「まさか、あの2体に突っ込んでいって水母を援護するとでも言うのか?そんなの、どうぞ殺してくださいって言ってるようなものだぞ。」

 

キリト「あ、あの〜・・・助ける方法あるかも……」

 

デュオ「はぁ!?」

 

リーファ「ホント!?」

 

キリトの発言に、リーファは目をキラキラと輝かせると、顔をずんずんと近付けて聞く。

 

リーファ「どんなの!?」

 

キリト「あ〜、説明するよりやった方が早い。とりあえず、ここから北に二百メートルの所に凍った湖があるらしいから・・・そこまで全力で走るぞ。」

 

リーファ「え・・・え?」

 

デュオ「水母に湖・・・なるほど!水を得た魚ならぬ、水を得た水母って訳か!それなら・・・」

 

キリトの意図を理解した俺は、腰に挿しておいた(スイルベーンで買った)短い片手剣を人型邪神に投げつける。

見事、三面巨人の肩に剣が突き刺さり、ターゲットが水母邪神から俺に替わる。

瞬間、エンジン音のように立て続けに聞こえる巨人の雄叫びがこちらに迫ってきた。

 

キリト「行くぞ!」

 

デュオ「しっかりお?まりくださ〜い!」

 

俺はリーファの手を握ると、キリトと同時に地面を蹴った。

 

リーファ「待っ・・・や・・・いやああああぁぁぁぁ・・・!!」

 

走り始めると、すぐにリーファが悲鳴を上げる。

それも仕方が無いことではある。

今のスピードは、ルグルー回廊から調印式に向かった時よりもさらに速い。

言うなれば、人間(妖精)ジェットコースターだ。

走っていて、三面巨人が後ろから追いかけて来るのが、見なくても分かった。

しかもその距離はどんどん縮まっているらしく、重々しい足音はどんどん近くなっている。

悲鳴を上げながら必死になって走っていると、不意に、前方のキリトがズザザッ!と雪煙りを巻き上げ、急停止した。

俺も足を止めてブレーキを掛けると、振り返って突っ込んできたリーファを抱きとめる。

そして視線をリーファの後ろに向けると、目が飛び出そうなほど近くに、三面巨人の姿があった。

改めて見るその姿に、リーファは声にならない悲鳴を上げる。

その時、ビシビシビシッと、軋むような、あるいはひびが入るような音が俺たちの耳に届いた。

直後、凄まじい音と水しぶきを上げながら、邪神の体がガクンと下がった。

三面巨人の足元にあった氷が、その巨体が持つ重さに耐えきれず割れたのだ。

丁度湖の真ん中にあったその巨体が、キリト達のほんの十数メートル先で一気に水に沈みだす。

しかしこれで終わる邪神ではなかった。

ザブンザブンと巨人の体が浮上し、その巨大な手をオールのようにして泳ぎ始める。

 

デュオ「やっぱりこれだけでは終わってくれないか。」

 

リーファ「のんきなこと言ってる場合じゃないよ!!」

 

甲高い声を上げながら、腕をぶんぶん振りまわして喚くリーファを、キリトが片手で制する。

 

キリト「待て待て、この後だこの後。」

 

リーファ「えっ・・・?」

 

デュオ「見てろよ。」

 

俺の声を掻き消すかのように、二つ目の巨大な水しぶきが上がる。

見ると、先程三面巨人にずたずたにやられていた象水母が、巨人に続いて着水していた。

そうして巨人の方に近づくと、ひゅるるる!と言う高い音の雄叫び(?)を上げながら細い脚を次々に巨人の体に巻き付けて行く。

 

リーファ「あ、そ、そっか……」

 

ここでようやく、リーファもキリトの意図を読み取ったようだ。

あの象水母邪神は元々、水中戦を得意とするフォルムなのだ。

一方の三面巨人の方は地上戦向きのフォルムなので形勢逆転というわけだ。

三面巨人は剣を振りまわして対抗しようとするものの、水の中なので上手く動けない。

そのまま水母の胴体に青白い光が纏われたかと思うとバヂバヂバヂバヂッ!!と言う電撃じみた音と共に、その光が標的である巨人へと叩きこまれ、同時に、巨人のHPが一気に減り始める。

そして、三面巨人のHPは消滅し、大量のポリゴンと共に爆散した。

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デュオ「・・・で・・・これからどうするんだ?」

 

俺はリーファに問う。

目の前には、先程一応リーファの感覚では助けた象水母がのーんと立っている。

正直相手の象殿のHPは敵対を示すイエローなので、彼を攻撃していた巨人が居なくなってもこの象水母が俺達を攻撃しないこと自体不自然と言えばそうなのだが寧ろ俺には、一応援護してくれた奴を今日の晩飯にするか否かを考えているようにも思える。

しばらくそのままにしていると、象水母は突然、俺達の方へとその長い触手を伸ばしてきた。

キリトが「げっ」と言いながら飛びのこうとする。

 

ユイ「大丈夫ですパパ。この子、怒ってません。」

 

ユイがそう言って、キリトを止める。

【子】と言うには少々図体が大きすぎる気がするが、こいつは俺たちを逃す気はないらしく、そのまま触手に体を絡め取られた。

 

リーファ「ひええええぇぇぇっ!?」

 

情けないリーファの悲鳴が響き、そのまま触手にからめとられた俺たち3人は口の中ではなく、象水母の頭に落とされる。

 

リーファ「おわっぷ!?」

 

ぽいっと頭の上に投げ捨てられ、リーファは頭から着地して変な声を上げた。

ふさふさとした短毛の生えた象水母の中央に三人が着地すると、象水母はそれがさも当然の状態であるかのように移動を始めた。

こうして高い位置にいると、この広いヨツンヘイムも良く見渡せる。

凄惨ながらも美しいその景色に、俺たちはしばらくの間見惚れていた。

 

デュオ「これはまた・・・どんなタクシーだ?」

 

キリト「邪神級のタクシー?っていうか、クエストなのかな?」

 

リーファ「クエストなら、ここら辺にスタートログが出るはずなんだよね。でも出てないってことは、イベント的な物だと思う・・・でもそうすると、ちょっと厄介かも・・・」

 

俯き、顎に手を当てて考え始めたリーファに向かって、俺は首をかしげる。

 

デュオ「それはまたなんでだ?」

 

リーファ「クエストなら、クリアすれば報酬もらって終わりで良いのよ。でもイベントって言うのはプレイヤー参加型のドラマみたいなものだから、絶対ハッピーエンドってわけじゃないのよね・・・あたしなんて前に、ホラー系イベントで行動選択ミスって、魔女に窯で煮られて死んだ事あるもん。」

 

キリト「す、凄いゲームだな・・・」

 

デュオ「この状況からすると、邪神の国に連れて行かれて選択間違えると夕食になるとかかな?」

 

リーファ「ちょっ・・・嫌な想像させないでよ!」

 

キリト「ま、もうこうなったら乗りかかった船・・・というかクラゲだな。どうせここから落ちたら大ダメージだろうし、最後まで付き合おうぜ。」

 

リーファ「それしかなさそうね。」

 

リーファがそう言った後、俺たちは少しの間、何を言わずに座っていた。

しかし不意に、リーファの眼が真剣な物になる。

 

キリト「どうした?」

 

デュオ「なんだ?何か嫌なことでも思い出したか?」

 

キリトと俺が立て続けに尋ねると、リーファはまっすぐに右手をのばして言った。

 

リーファ「あのね、さっき地上に出るルートを考えてた時、外周部の階段から上に上がろうって言ってたでしょ?でも・・・見て」

 

リーファが指を察す先には、ひときわ巨大な円錐状のつららに絡みつく網のようなものがある。

 

デュオ「なんだあれ・・・?木の根か・・・?」

 

リーファ「うん。あたしも実際に見るのは初めてなんだけど、あれは世界樹の根っこなのよ。」

 

キリト「世界樹・・・って事は、こいつは外周部じゃなくて、エリアの中心に向かっているってこと?」

 

ヨツンヘイムは央都アルンの地下を中心位置にして地下円形に広がる世界なので、つまりはそう言う事になる。

当然、リーファは素早く首を縦に振った。

 

リーファ「世界樹の根っこはすごく大きいからかなり下まで伸びてるけど、それでも絶対届かない高さにある。これでますます、出口は遠ざかったかも・・・」

 

キリト「そうか・・・」

 

キリトは小さく嘆息した。

 

キリト「まあ、ここまで来ちゃったんだし今更仕方ないよな。このゾウムシだかダイオウグソクムシだかに任せよう。」

 

リーファ「ちょっと、何よそのダイオウなんちゃらって。例えるなら象かクラゲじゃないの?」

 

デュオ「キリトが言ってるのって、巨大なダンゴ虫みたいな奴のことか?」

 

キリト「そう、最大で五十センチ超えるって奴だ。」

 

リーファ「ああ!やめて!その先聞きたくない!」

 

不満そうに、と言うか面白そうに口をとがらせるキリトに、リーファは手をぶんぶん振りながら慌てて話を逸らす。

 

リーファ「わかった!じゃあ、名前付けよ!かわいい奴!」

 

キリト「名前、か・・・」

 

デュオ「俺、ネーミングセンス無いからパス。」

 

リーファ「え〜・・・デュオ君も考えてよ。」

 

リーファは俺に言うと、「う〜ん」と唸りながら考え始める。

そのまましばらく考えていると、キリトが言った。

 

キリト「じゃあ、トンキー」

 

聞いて、リーファが「あぁ・・・」と呟いた。

 

リーファ「あんまり、縁起の良い名前じゃないような・・・」

 

リーファがそう突っ込んだのに対し、キリトはバツが悪そうに苦笑する。

 

キリト「そうかもな。なんとなく頭に浮かんだんだけど」

 

デュオ「いや、名前としては良いんじゃないかな?」

 

リーファ「それもそうね。じゃあそれにしましょ!」

 

そうしてリーファは象水母に向かって叫んだ。

 

リーファ「お〜い!今から君はトンキ〜だからね〜!」

 

当然ながら、何も反応が返してはくれない。

そもそも名前を付けると言っても気分だけで、システム的には何の意味もないのだ。

 

ユイ「トンキーさん、はじめまして!宜しくお願いしますね!」

 

キリトの肩でユイがパタパタとてを振りながらそう言った時には、偶然であろうがその大きな耳をトンキーはパタパタと振って返したのだった。

かくして、邪神の上に乗ったプレイヤー3人とピクシー1人。

さぞ異常な光景であろう組み合わせの俺たちは、のっしのっしと、世界樹の根元目指して進むのだった。

説明
突入、地底のヨツンヘイム
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コメント
魅沙祈さんへ 残念なのですが、ヨツンヘイムは次回で一旦終わりです。(やぎすけ)
本郷 刃さんへ このイベントがないとエクスキャリバーが入手できませんよね。(やぎすけ)
ヨツンヘイムだ〜(  ̄▽ ̄)トンキーがけっこう好きです♪(魅沙祈)
ヨツンヘイムのイベントは必須ですよね・・・そういえば北欧神話の『ヨトゥンヘイム』って、霜の世界なんですよね〜。まぁ、それなら二ヴルヘイムは氷の世界ですけどw(本郷 刃)
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