IS〈インフィニット・ストラトス〉 〜G-soul〜
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「………………」

 

俺はシャルとラウラの部屋の状況を見て愕然とした。最後にアイツと話したベッドはまるで何もなかったかのように綺麗になっている。

 

「ほんの少し前まで、ここにいたのによ…!」

 

「今、お兄ちゃんたちにも連絡したよ。箒たちもすぐに連れてこっちに来るって」

 

マドカが携帯電話を上着のポケットにしまいながら知らせてくれた。

 

「そうか…」

 

俺はうわごとのように答えてから部屋の中に入る。

 

「ん…………?」

 

俺は机の上に置かれているものに目が引かれた。

 

「これ…ラファールじゃねえか」

 

それはシャルがいつも身に着けていたISだった。

 

「どうしてそんな大事なものを置いて行ったんだろ……」

 

マドカの疑問に俺も同意する。しかしすぐに理由が分かった。

 

「どこに行ったか分からないようにするためってことか…!」

 

ここに来る前に何度か電話もかけたけど出なかった。しかもこうなるとアイツの行方は完全に分からない。

 

「瑛斗…何か知らないのか……?」

 

「……………」

 

ラウラが俺に近づいてきて問いかけてきた。

 

「シャルロットに、会ったのだろう? そうなのだろう…?」

 

「…会ったよ」

 

「なら―――――!」

 

「けど喧嘩しちまったんだよ! あいつがいきなり俺の事を大嫌いだとか言って、それで俺も部屋を飛び出した!」

 

何に怒っているのか分からなかった。ただ俺もパニックになっていた。だから強い口調でラウラの言葉を遮るように言っちまった。

 

「そっから後のアイツのことなんて知らねぇよ!」

 

「…っ! 貴様は!」

 

 

ガンッ!

 

 

「がっ……!」

 

ラウラに殴られた。体の芯に響くような痛みで、俺はそのまま尻もちをつく。痛てぇ。今まで食らった中で一番強い力だった気がした。

 

「何をやっているのだ貴様は! 今のアイツがどんな状態か知っているだろう!?」

 

追い打ちをかけるように倒れた俺にマウントポジションを取り胸倉を掴んでもう一度殴る。

 

「シャルロットはお前に―――――!」

 

三発目を右手で受け止めた。

 

「じゃあ…じゃあどうすりゃよかったんだよ!? 俺だってシャルの気持ちが分からないわけじゃねぇよ! だったら…だったらなんて声かけたら正解だったんだよ!?」

 

「二人ともやめろ!!」

 

「「!」」

 

怒鳴られてハッとする。一夏たちがそこにいたんだ。

 

「二人とも落ちつけ」

 

「お二人が喧嘩をしてもシャルロットさんは戻って来ませんわ」

 

「アンタ達が喧嘩すると部屋がいくつあっても足りないのよ」

 

後ろから箒、セシリア、鈴。そして簪も来た。

 

「とりあえず…ラウラは、瑛斗から、降りよ?」

 

「……………」

 

ラウラは無言のまま俺から離れた。

 

「…悪い。ちょっと気が動転してた」

 

立ち上がってラウラに謝る。

 

「いや………私こそ、すまなかった」

 

「ああ…」

 

シャルがいなくなって一番辛いのはラウラだ。いつもの堂々とした姿とは真逆のしおらしい姿がいたたまれなかった。

 

「…あれ? 瑛斗、それなんだろう」

 

「ん?」

 

マドカが指差した方向を見ると、俺の足元に封筒が落ちていた。

 

「今の取っ組み合いで落ちてきたのか?」

 

拾い上げて裏を見ると、『瑛斗、そしてみんなへ』という綺麗な日本語が書かれていた。

 

「なんだこれ…」

 

俺宛ての手紙がなんでシャルの部屋に落ちてるんだよ。

 

「…! シャルロットからのメッセージかも知れない!」

 

ラウラの言葉を聞いてすぐに俺は封筒の封を切っていた。封筒の中には、『退学届』。そして綺麗に畳まれた、アイツが書いたであろう日本語の手紙。俺は読み上げ始めた。内容はこうだ。

 

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『この手紙を読んでるってことは、僕がいなくなったことに気づいてるよね。

 

それできっと、傍でラウラが泣きそうになってると思う。

 

突然だけど僕はフランスへ帰ります。理由は言いません。それを知ったら君は絶対に怒るし、これ以上君に迷惑をかけたくないんだ。

 

僕は戻ってくるつもりはないよ。みんなと初めて会った時の『シャルル』も、みんなと一緒にいた『シャルロット』も、みんなを騙して裏切った最低の人間だから。

 

瑛斗と一夏に僕が女だって知られた時、正直もうおしまいだと思ったよ。だけど二人は僕を責めなかったね。

 

みんなの前に女の姿で出るときすごく緊張したけど、何事もなかったかのように受け入れてくれたのにはとても感謝してる。

 

そんな優しかったみんなを裏切る僕を許してほしいとは言いません。

 

僕の事は忘れてください。さようなら。

 

 

     

P.S. 瑛斗、喧嘩別れになっちゃったけど、最後に君の顔が見れてよかったよ』

 

 

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「……………」

 

読み終えた俺は、胸の奥に熱い感情が溢れるのを感じた。これは、キレてる。

 

「ふざけやがって…! ふざけやがってあの馬鹿!!」

 

そのまま一夏たちを退けるように駆けだす。

 

「ちょっと瑛斗! どこいくのよ!?」

 

背中から鈴の叫びが聞こえる。

 

「アイツを追いかけるんだよ! まだそんな遠くに行ってねぇはずだ!!」

 

それからも何か言われた気がするけど、どんな言葉だったか覚えてねぇ。とにかく俺の頭はシャルを追いかけることでいっぱいだった。

 

(間に合えよ…!)

 

俺は手の中の待機状態のラファールを強く握りしめた。

 

「待て」

 

寮の出口まで来たところで俺を待ち構えてる人がいた。           

 

「なんですか織斑先生! 俺はすぐに――――――!」

 

「それを待てと言っている」

 

俺の前に立ちはだかったのは織斑先生だった。

 

「先生、失礼を重々承知で言いますけど、今は先生に構ってる暇ないんですよ!」

 

先生の横を通ろうとしたら腕を掴まれた。凄い握力だ。腕がギリギリと痛い。

 

「分かっている。だがな桐野、お前を行かせるわけにはいかん」

 

「どうして!」

 

「つい数分前に次期デュノア社社長から連絡があった。デュノアをフランスへ帰国させるとな。無論退学扱いでだ。こうなるとデュノアはフランスに属することになる。後を追うことは許されない。国際問題を起こしたいのか?」

 

「それがどうしたってんです! 俺はシャルに―――――」

 

「瑛斗くん、落ち着いて」

 

後ろから声がした。振り向くと畳んだ扇子を片手に楯無さんが立っていた。

 

「なんです! 楯無さんまで俺を止めるんですか!?」

 

俺が問うと、楯無さんは俺に歩み寄りながら答えた。

 

「どうしても…行きたいの?」

 

「当たり前じゃないですか…!」

 

「じゃあ……」

 

楯無さんはゆっくりと右手を上げた。

 

「まずやることがあるわ」

 

「どういうこ――――――――」

 

そこで俺は言葉を切る。というか、楯無さんの右手が俺のうなじをなぞって強制的に切られた。

 

「セフィロトを使いこなせるようになることよ」

 

「……………」

 

一拍間を置いてから返答する。

 

「や、藪から棒過ぎませんかそれ。そんなことやってる暇はないんですよ? シャルが大変なことになってるんですよ?」

 

「知ってるわ。だけど今は何もできないのも事実よ。なら、できることをやるしかないわ」

 

俺はいまいち要領を得なかった。織斑先生はいつの間にか俺の腕を放していた。だから俺は両手を上げて肩を竦めてみせる。

 

「あのですね…できれば俺の分かるように言ってもらえませんか?」

 

「では、私から説明しよう」

 

織斑先生が説明してくれるみたいだ。

 

 

「桐野、お前は停学処分だ」

 

 

最初は言ってる意味がよくわからなかった。

 

「あの…え?」

 

「聞こえなかったのか。お前は二週間の停学だ」

 

「……………」

 

 

もう…わっけわかんねえ………。

 

 

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楯「インフィニット・ストラトス〜G−soul〜ラジオ! 略して、ラジオISG!」

 

千「……………」

 

楯「って、先生! 一緒に言ってくれなきゃダメじゃないですか!」

 

千「と言われてもだな、私はこういうのに出るようなガラじゃないんだが」

 

楯「え〜…初登場でいきなりそのセリフ言いますか」

 

千「大体この企画は桐野と一夏がいるものだろうが。なぜお前と私しかいない」

 

楯「それは…まぁ」

 

(サッ)

 

楯「あら、カンペだわ。『今回の質問に答えるのはあなた方だけなので、こういう感じになりました』?」

 

千「やれやれ…いい加減な理由だな」

 

楯「まあまあ、とりあえずやるだけやりましょうよ。ね?」

 

千「仕方ない。で、どんな質問だ? 答えられるものなら答えよう」

 

楯(この人と二人だけって緊張する…)

 

楯「…この前のバチが当たったのかしら」

 

千「何か言ったか?」

 

楯「い、いえ! じゃあ質問いきましょうね! 先生へ質問! もし一夏くんの恋人が篠之野博士でも認めますか」

 

千「……………」

 

楯(う、うわぁぁ! ドギツイ質問来ちゃったぁぁぁ!? っていうか読み上げた私も私だけど!)

 

千「………フッ」

 

楯「せ、先生?」

 

千「あの馬鹿がそれくらい可愛いヤツなら、もう少しマシなんだがな…」

 

楯「え?」

 

千「いや、なんでもない。そうだな、一夏の方から詰め寄ったとなるなら全力で止めるが、束の方からとなれば」

 

楯「なれば?」

 

千「………ダメだな、アイツが妹以外の誰かを愛する姿なんて想像できん」

 

楯「随分含みのある言い方ですね」

 

千「ふん、この小説の伏線を作ってやったんだ。ありがたく思え」

 

楯「いきなりそんなメタ発言を…」

 

千「さ、次の質問にでも行くか。今度はお前宛てだ。自分の恋人には最低限なにを望むか、か。ほう、なかなか面白そうな質問じゃないか」

 

楯「きゅ、急に先生にスイッチが入った…!」

 

千「聞かせてもらおうじゃないか。お前、男の基準はなんだ?」

 

楯「え…いや、私はそんな…愛があれば………いいんじゃないかなぁって、思いますよ?」

 

千「なんだつまらん。案外普通だな。もう少し何かないのか」

 

楯「か、勘弁してくださいよぉ。私生徒会長ですよ? あんまり変なこと言えませんって」

 

千「うちの弟をからかって遊んでいるお前が言うことか?」

 

楯「う…」

 

千「まあ言い。さてと、もういいか?」

 

楯「まさかのもう終わり発言…!?」

 

千「忙しいんでな。失礼させてもらう」

 

楯「え、あ、ちょ! …行っちゃった」

 

 

楯「………………」

 

 

楯「…そ、それじゃあみなさん、さようならー! ……はぁ。やっぱりバチが当たったんだわ」

説明
さよならの手紙
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コメント
一夏に質問です。 去年に2人の金髪美女 「ナターシャ・ファイルス」 「スコール・ミューゼル」に会ってると思いますが、2人の中で誰が一夏の理想の女性に近いと思いましたか?(カイザム)
ラウラに質問です。 ラウラにとってクラリッサはどういう存在ですか?(グラムサイト2)
瑛斗に質問です。 まだまだ先の話ですが、IS学園を卒業したら、エレクリットカンパニーとIS学園のどっちに就職しますか?(グラムサイト2)
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