呉編〜第七章 雪蓮生存ルート
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魏の侵攻から早一月が経過した。

 

傷も癒えた一刀は精力的に政務をこなし、今では呉になくてはならない人物となっていた。同じく雪蓮も時にはサボリながらも、これまで以上に必死に政務に励んでいた。

 

そんな中、先の魏軍の侵攻によって浮き彫りに出た問題があった。それは揚州内で魏に加担していた勢力があった事であった。

 

元々は袁術に与していた勢力であり、雪蓮の力が強くなるにつれて恭順を示していたのだが、そのことを好しとしない有力豪族達もいたのである。そこに目をつけた曹操が孫呉を打ち滅ぼそうと持ち掛けたのである。

 

しかし結果は孫呉の大勝。その結果、各地に割拠する諸侯の対応にも変化の兆しが見え始めていた。

 

一つは曹魏である。

曹操が指示したのではないにしろ、孫策を暗殺しようとしたという愚挙に曹操は深い後悔の念を示し、呉の内乱に乗じて戦を仕掛けることはしないと確約した。またの自らが招いた失態に対しての詫状や、犯人たちの首の塩漬を送ってきたりと、誠実に謝罪をしている姿勢を見せてきていた。

 

そういう曹操の態度にも蓮華などは未だ納得がいっていないようであったが、雪蓮や一刀は謝罪の全てを受け入れ返礼の使者を返していた。

 

 

もう一つが蜀である。

呉内では魏軍が攻め込んで来た時に蜀が友好関係を白紙に戻すという噂が立っていたのだ。この噂を耳にした雪蓮は「あの子、やっぱり強かね……」と呟いていた。そして戦が呉の勝利で終わると、こちらから蜀に対して友好関係は白紙に戻すと宣言したのだ。このことに劉備は驚いていたが思い当たる節があるのかしぶしぶ了承した。

 

今の呉がすることはただ一つ――――曹魏に加担した逆族を制圧することであった。

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「なぁ雪蓮」

 

「ん、なに一刀?」

 

何故か今回は後方にいた二人であった。

 

「何で雪蓮じゃなくて蓮華が今回の征伐の指揮をとるんだ?」

 

そう、雪蓮は今回の征伐では蓮華の指示に従うようにと皆に命じたのである。そのことに一番驚いていたのは当の蓮華本人であった。当初は「私のような若輩者が…」と難色を示していた蓮華であったが「そう、なら一刀の事は諦めるのね〜」という雪蓮の一言を聞き、渋々ながら総大将を引き受けたのだった。

 

その後「べ、別に一刀の為に引き受けたんじゃないんだからね!か、勘違いしないでよね!姉様の命令だから仕方なく引き受けたのよ!」と蓮華が言ったとか、言わなかったとか…

 

 

「ん〜ん、一刀といちゃいちゃしたかったから」

 

「はいはい、で本当の理由は?」

 

「なによ〜つれないわね〜。(でもいちゃつきたいのは本当よ一刀…)まぁそれは置いといて、先のような事がいつ起こるか分からないでしょ?だからそろそろ蓮華にも王というモノを体感してもらいたくてね。あの子は融通が利かないからね〜、急に王として出陣しても多分緊張すると思うの。王が情に流されてはダメよ。今回はそのための訓練かしら。まぁあの子にはもうそんなこと必要ないかもしれないけどね」

 

「?どうして?」

 

「人は皆、本音と建前の狭間で生きているのよ。蓮華のように真面目なのも良いけど、少しぐらい自分に甘えないと私みたいに息が詰まってしまうからね〜。」

 

「……雪蓮みたいに息が詰まる?あの自分勝手で強引でわがm………」

 

「何か言ったかしら♪ か・ず・と?」

 

「いえ、ナニモイッテオリマセン」

 

「そうよね〜。私の聞き間違いよね〜。まぁ何が言いたいかといえば公と私を上手く使い分けろという事よ」

 

「どういうこと?」

 

「そこはあなたの出番よ一刀。蓮華だけでなく冥琳や祭、穏、思春、明命、亞莎、小蓮、それに私…皆最近は活き活きとしていると思わない?」

 

「う〜ん言われてみればそんな気がするような。で、その事に俺がどう関係しているんだ?」

 

「……は〜〜〜〜あ、もう自分で考えなさい…」

 

「????」

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その頃本陣には叛乱軍が籠城しているという情報が伝えられていた。

 

「曹操にそそのかされたくらいで謀叛を翻すなどと恥知らずな行動をとった下衆共を、この呉より駆逐するぞ。……皆、容赦するなよ!」

 

てきぱきと冥琳達に指示を送り、兵たちに勇ましく号令を飛ばしている蓮華を俺達二人は……………お茶を飲みながら観察していた。

 

「なぁ雪蓮、俺達邪魔というか場違いなんじゃない?」

 

「い〜のよ、一刀はまだ病み上がりだし、私も今回は何もしないって公言してるしね〜。それに私たちの国がこんな下衆共に負けるはずがないじゃない。ほらもう祭の部隊が城門を突破したし。お、亞莎の部隊もなかなかやるわね。…冥琳あたりはどうせ皮肉を言ってるでしょうけど」

 

「おー、本当に優秀だね皆。俺も頑張らなくっちゃな」

 

「そうよ、一刀あなたは私の隣に居るのだからそれなりの人物にはなってもらわなくちゃいけないんだから」

 

「ははは、善処します。雪蓮…君は俺が絶対守るから」

 

「カッコつけちゃってまったく…でもこの前のようなことはもう二度としてはダメよ…あんな思いはもうたくさんなの……」

 

「雪蓮……」

 

「一刀……」

 

 

良い雰囲気になってる二人は忘れているかもしれないがここは戦場である。

 

「「「「「「「「ん゛っ、ん゛ん゛んんんんんーーー(怒)」」」」」」」」

 

「「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」」

 

咳が聞こえた方向を見て二人は凍りついた。呆れ顔、笑い顔、怒り顔、泣き顔、真っ赤な顔、軽蔑顔、羨ましいという顔と様々な顔があったのだ。

 

「ご、ご苦労様、みんな!!早かったわね……見事な指揮だったわよ蓮華」

 

「ありがとうございます姉様。しかしまだ姉様の半分も兵の力を引き出せていません。……まぁ姉様は戦などご覧にならず一刀と楽しくやっていたようですけど。」

 

そうジト目で告げた蓮華。

 

「し、失礼ね、見ていたわよ。まず祭が城門を突破して亞莎が続いて突入したのよ!」

 

「ほぉ儂の活躍はご覧になられていたか結構結構」

 

そう笑いながら言った祭の後方より現れた人物の問いに雪蓮は固まってしまうのであった。

 

「…で、その後は?」

 

「えっ?」

 

冥琳の質問に雪蓮は口籠ってしまった。それもそのはず、そこまでしか見ていなかったのである。

 

「その後我らはどのようにして城を落としたのだったかしら。見ていたのなら分かるはずよね雪蓮」

 

そう微笑んだ冥琳は雪蓮を問い詰めた。

 

「スミマセン、ソコマデシカミテイマセンデシタ」

 

「まったく、まぁ私は知っていたけど。何たってあなた達は戦場で堂々と抱き合っているんですからね」

 

「なっ、知ってたって…嵌めたわね!冥琳!」

 

「策殿、乳繰り合うのは構いませぬがもう少し兵の目を気にして頂けないかのう」

 

「(姉様ばっかりずるい…)」

 

その後雪蓮は冥琳と祭、蓮華にずっと小言を言われ続けたそうな。 一方で一刀はというと……

 

思春、明命、亞莎からは避けられ、穏、小蓮からは逆に迫られていたそうな。

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――――――――後日談

 

「なぁ雪蓮、真面目に働くことって大事だよな…」

 

「そうね一刀…」

 

本来なら今日は二人で街へ警邏という名のデートであったはずだが、今は部屋に籠り山のように積まれた書簡に目を通していた。というのも大軍師様より

 

「北郷と雪蓮は先の戦いで出番が無かったため今日の休みはいらんそうだ。皆、政務は二人に任せて今日は休むが良い」

 

「「ちょっ!!」」

 

「何か問題でもお二方 (ニコッ)」

 

「「イエ、無問題デス」」

 

「宜しい。それではお願いしますね」

 

と言うと冥琳は部屋から出て行った。

 

「おのれ冥琳、私が王だということを忘れているんじゃないかしら?」

 

「まぁまぁ悪いのは俺達なんだし」

 

「せっかく今日は一刀とお出かけの日だったのに…」

 

「お出かけじゃなく警邏だ雪蓮。それにまた今度行けば良いだろ?」

 

「今度っていつよ?」

 

「俺は雪蓮と一緒ならいつだって良いよ」

 

「なら今から行きましょう!」

 

「だから今日は無理だって!!冥琳に殺される!!!」

 

「イーーーーーーーーヤーーーーーーーダーーーーーーーーーー!!!!」

 

 

呉は今日も平和です。

説明
調子にのって七章も書いてしまった……

皆様の支援、コメントありがとうございます!
嬉しさのあまり泣きそうです

雪蓮最高
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コメント
ほのぼのしました。(readman )
Nesure様 6章以前は本編ですw といいますのも当初これは単作で終わるはずでしたが、まさかの続いたという。(超級覇王)
ふらふらとここへ流れ着きました・・・・6章以前はどこかに無いでしょうか!;;(Nesure)
猫神様 おぉ、任されよww(超級覇王)
作者!ガンガレ!激しく続きを希望するw (猫神)
THE10様 雪蓮好きな方が多くて嬉しいww 続編は…頑張った俺w(超級覇王)
MiTi様 全恋姫無双ユーザー魂の叫び「一刀俺と代われ」(超級覇王)
雪蓮カワエェェー!!続きお待ちしております。(THE10)
続編キタ━━ヽ(゚∀゚ )ノ━━!!!!全く…戦場に着てまで乳繰り合いやがって…羨ましいぞコンチクショウ!!続編希望するぜ!!(MiTi)
マスター様 続編カイターー!!自分が一番びっくりしてますww一刀はいちゃつきますよ主に皆とwwでも雪蓮最高!!(超級覇王)
続編キターー!!呉メインでの作品があまりないのですごく嬉しいです!作者様、最高です。このままドンドン雪蓮と一刀をいちゃいちゃさせながらエンディングまでいっちゃてください!続きまってまーす。雪蓮最高!!(マスター)
十栗鼠狩り様 自分が書き始めたのもほとんど魏しかなかったからですw呉メインの作品は少ない気がします。ナゼダー(超級覇王)
ファビアン様 雪蓮は全てが好きですww続き…頑張ります!(超級覇王)
よっしゃあ〜!世の中、魏エンド一色の中で、こういう作品をこそ、待ち焦がれていましたぞ。ぜひとも、このままエンディングまで駆け抜けてください!(十栗鼠狩り)
ワガママな雪蓮最高! 続きを待ってるぜ!(ファビアン)
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ct004khm 真・恋姫†無双  

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