IS x アギト 目覚める魂 17: 初代
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偶然を装っているが、明らかに尾行して来たと顔に書いてある三人。

 

「で?お前らも水着を新調しに来たとか?」

 

「そうだ。そもそも何故幼馴染みである私を誘わんのだ?!」

 

「そうよ!どう言う事か説明しなさい!」

 

「私もクラスメートであり、学友としても捨て置けませんわ!私を差し置いて・・・・」

 

「先約があったからな。それに乗じてシャルやラウラも一緒に来てくれって言われたから、いつの間にかここまで来たんだよ。それに、ワザワザ俺が誘わずともお前らが来れば良いだろうが。早い者勝ちって奴さ。」

 

痛い所を疲れた三人は黙り込んでしまう。

 

「まあいい。で?買い物は全部済んだのか?」

 

「まあね。」

 

「一夏さんは水着を買い求めませんの?」

 

「別に新調する必要は無いと思ってる。それに海難事故に遭って死にかけたのに海に行きたがると思うか?俺は窓際から海を見物しながらのんびり昼寝か読書でもしてるさ。」

 

しばらく待っていると注文した料理が来たので食べ始めた。その間、一夏は一人考えに耽っていた。この後をどうしようか。食事を済ませばあの三人が自分を何かしらの理由をつけて買い物か何かに付き合わせて振り回す事は超能力を使わずとも分かる。どうにか言い訳を考えて離れなければならない。秋斗とも示し合わせていたが、会える内に会わなければならない。初代アギト、津上翔一と初代ギルス、葦原涼に。住所を書き留めたメモは財布の中に入っている。後は抜け出す方法のみ。

 

「あ。」

 

食事を済ませ、自分以外がデザートを食べている途中で不意にそう言う。

 

「どうしたの?」

 

「しまったぁ?・・・・・俺ちょっと行く場所があるのすっかり忘れてたぁ?・・・・やべえ?・・・・」

 

これはあくまで演技だが、皆上手い具合に信じ込んでいる様だ。

 

「悪い、俺先に出るわ。」

 

伝票を見て紙幣をいくらかテーブルに置く。

 

「これ以上頼みたいなら、自腹だぞ?釣りは後で渡してくれ。」

 

「待ちなさいよ!私達にも」

 

「一夏の都合もあるから・・・・・それも考えて・・・・・」

 

「そう言う事だ。じゃあな。ラウラ、お前の服、また今度見せてくれな?」

 

ヘルメットを掴んで手袋を嵌め、ポケットからメモを取り出した。バイクハンドルに付属していた着脱可能なナビにそれを入力し、それを頼りに向かった場所は、少し離れた所に建っているレストラン。その名は、『Restaurant AGITΩ』。駐輪場らしき所にモトクロス用のバイクが一台停車している。中に入ると、優しい目元をした耳元辺りまで茶髪を伸ばした二十代後半の男がコック服の姿で現れた。別の二人用の席では、ワインレッドの革ジャケットを着た男が一夏に背を向けて食事をしていた。

 

「いらっしゃいませ。ようこそレストラン・アギトへ。」

 

「津上翔一さん、ですよね?」

 

「そうですけど・・・・」

 

「俺、門牙秋斗の友人の織斑一夏って言います。」

 

「え?じゃあ、君が・・・?」

 

「はい。俺もアギトの力を持っているんです。あかつき号に乗っていて。」

 

「アギト・・・・それにあかつき号だと?」

 

突如背を向けていたその男が振り向いた。目付きは今時の若者の様にどこか怖い。

 

「葦原さん、彼は」

 

「葦原?貴方が葦原涼さん?」

 

「そうだ。聞いた所によるとお前も俺と同じ、だそうだな。」

 

「はい。」

 

「俺には分かる。お前の中で、『力』が渦巻くのを・・・・・けど、変だ。アンノウンは俺達が倒した筈なんだが。」

 

「正確な数は分かっていないでしょう?だったら、生き残りがいたとしてもおかしくないんじゃ?」

 

「それは無いと思うなあ。最後にアンノウンを倒してから数年間全く何もなかったし。小沢さんもやきもきしてたなあ。あははは・・・・」

 

一夏の言葉を否定して朗らかに笑う翔一。マイペースさと明るさは相変わらずの様だ。

 

「それで、俺達に何の用だ?」

 

「門牙さんに言われたんです。見知っておいた方が良いと。こっちでも、やっぱり出没してるみたいですね、その様子じゃ。」

 

「ああ。だが、氷川と一条、それにあの医者がいる。流石に五人もいれば問題は無い。しかし、世界も難儀な物になった。ISなんて・・・・・・あいつらが相手ならあんな物生身で戦っているのと何ら変わりない。」

 

カップの中身を飲み干し、頭を掻く。すると、ドアのベルが鳴り、サングラスをかけた木野薫が入って来た。

 

「木野さん。いらっしゃい。手術、お疲れ様でした。」

 

「ありがとう。津上さん、アギトランチAをお願いします。・・・・おや、織斑君。これはまた久し振りですね。まさかこんな所で会うなんて。」

 

「木野さん!お久し振りです。真島さんは元気ですか?」

 

「相変わらず勉強中ですよ。」

 

初代のアギト、ギルス、アナザーアギト、そして新世代の((ギルス|一夏))。『光』が齎した変身能力を保有する四人が一つの場所に集まっている。かなりの壮観である。

 

「にしても、不思議な物ですね。まさか、またアンノウンが現れるとは・・・・」

 

「余計な事は考えずに倒して行くしか無いだろう。」

 

食事を済ませた涼は会計を済ませてそう言い捨てると出て行った。

 

「気にする事はありませんよ?彼は、元々あのような性格です。ですが、彼は優しいですよ。特に、同じ境遇に陥った方には。」

 

「葦原さんは何と言うかなあ・・・・大学生時代に苦労したんだよ。色々と。」

 

「成る程・・・・・あれ?紙切れ・・・?」

 

そこには涼の連絡先が書かれている。

 

「恐らく、君の為でしょう。君が変身した姿は、彼と同じ物です。どこか、君に過去の自分の面影を重ねている節があります。彼は大学生にしてアギトの力が覚醒したそうです。ですが、その負担、その姿への恐怖もあり、周りから拒絶されてしまった。」

 

「成る程。そうですか・・・・あ、そうだ。津上さんと木野さんの連絡先も教えてくれませんか?今後もまた会う可能性があると思うので。」

 

「構いませんよ。」

 

暫くの間彼らの戦いがどんな物だったかを話していたが、突如三人は立ち上がる。その理由は一つしか無い。三人はそれぞれのバイクに飛び乗ってアクセルを捻り、エンジンの三重奏を奏でながら車道に飛び出した。

 

「「「「変身!!」」」」

 

赤い目と黄金のボディーを持つアギトは『オルタフォース』によって姿を変えた赤と金のバイク、マシントルネイダーに乗っていた。それを車体を伸ばし、タイヤを九十度回転させた飛行形態、スライダーモードに変形すると、一足先に向かうと言い残し、空の彼方に消えて行った。木野が変身したアナザーアギトはギルスよりも更にアンノウンに近い外見をしていた。見た目はバッタが屈強な人間の姿を取った物で、腰には力の源でもあるベルト『アンクポイント』、そして胸には金で縁取られた黒い制御器官『ワイズマンモノリス』もハッキリと視認出来る。背中にはオレンジ色の羽らしきマフラーの様な物が二本伸びて、専用マシン『ダークホッパー』のスピードによって起こされる風圧ではためいていた。ギルスは赤い目に緑色のボディー、マシンのギルスレイダーも同じ外見をしている。涼は僅かな時間でアンノウンの気配を察知したのか、三人の戦士達に追い付くのに差程時間は掛からなかった。一夏の物と車種は違えど同じ『ギルスレイダー』の最高速度で現場に急行する。

 

(間に合え・・・・間に合え・・・・!!!)

 

一夏はそう祈りながらもバイクのアクセルを更に捻り、ギルスレイダーのスピードを上げた。

 

説明
御待たせしました。深夜投稿です。遂に、原作の方々が登場します!
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コメント
今思ったのだけどこの時千冬を連れてきて真実を話して、千冬を味方にすれば良かったのではないか?^^(yosiaki)
指摘ありがとうございます。寝ぼけながらも書き終わりましたので。(i-pod男)
葦原涼は会計を済ませて出て行った。と有るので、その後の突如4人が立ち上がったと云う文章はおかしいのではないかと思います。(鬼龍皇)
と言うか、葦原涼は店から出て行ったはずじゃないか?(西湘カモメ)
誤字?報告です   エンジンの四十層を奏でながら車道に飛 び出した。 の四十層だはなく四重奏でわないですか?(SILBA)
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