魔導師シャ・ノワール 無印偏 第十七話 白と黒
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「チッ!どうなっている!?」

 

魔力も怪我も治り、あの屋敷から朝早くに抜け出し。

フェイト達のセーフハウスへ戻ったがどうもあの日から物が動いた形跡などがない。

恐らくはジュエルシードの収集がほぼ終わった為。時の庭園に引き上げているのだろう。

 

だが、その時の庭園自体も前にフェイトから教えてもらった次元空間座標には在らず。

どこかへと移動していた。念話も広範囲で行えば管理局へと足が付いてしまう。

 

つまりは連絡手段が無い状態だ。

 

今は、アリスに探索魔法などを使ってもらい。街中を捜索してもらっているが・・・。

 

【ノワール!大変です!】

【どうした!?】

 

慌てた声でアリスから念話が響いた。

 

【町の海辺近くにある公園付近に張られた結界内で二人の魔導師が戦っています!

 一人は栗色髪で白い服の女の子。もう一人は金髪で黒い服のちょっとシャイで

 頑張り屋な感じで、とっても優しくて強い女の子です!】

 

随分と後者が具体的な説明だな・・・兎も角。

 

【間違いない。なのはとフェイトだな・・・なぜ戦っている?】

 

なのはは、たしかに戦って話を聞いてもらうなど言っていたが。

今は、管理局なども居て。極力戦闘は避けるようにフェイトには言ってある。

 

まさか・・・ジュエルシードを賭けてか?

 

 

【理由は現地に行かれないと分からないかと】

 

【わかっている。危険は高いが・・・】

 

【行かれるんですよね?ノワール】

 

【ああ、放っては置けない。守ると誓ったからな

 アリスは俺のバックアップ。偽装して結界内に侵入、何時でも転移魔法を使えるようにしつつ、情報収集だ】

 

【ノワールも意外と無茶を仰るマスターですね・・・・。ですが、やって見せましょう!】

 

【ああ、頼りにしている。アリス】

 

俺はセーフハウスからそのまま二人が戦っている結界内へ転移を開始した。

使い魔のアリスも遅れてだろうが、気づかれないように隠れて結界内に入ってくるだろう....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

高町 なのは side

 

 

ユーノくんがリンディ艦長やクロノ君に掛け合ってくれていたらしく。

わたしは、アースラへと戻るその足で作戦が始まりました。

 

前にノワールくんとフェイトちゃんと戦った海辺近くの公園で。

途中で合流していたアルフさんにフェイトちゃんの念話周波数を教えてもらい。

アースラを通し広域念話でフェイトちゃんを呼び出します。もうジュエルシードは殆ど回収済み。

まだ、集めるのならお互いにあるジュエルシードを賭けるしかない。

 

来てくれるかは五分五分だったけど。スッとまだ早朝で薄暗く明かりの灯ったままの電灯に降り立つ人が来ました。

黒く光る戦斧型の杖を持ったフェイトちゃんが。

 

「フェイト!もうやめよう?あんな女の言うことなんてもう聞いちゃだめだよ!」

 

「だけど・・私はあの人の娘だから。きっとジュエルシードが集まれば優しかった母さんと

 ノワール・・それにアルフの4人で楽しく暮らせる」

 

「フェイト・・・・」

 

 

アルフさんの問いかけも通じず。やっぱり・・・。

 

 

「・・・フェイトちゃん」

「・・・・」

 

わたし言葉に無言で見つめてくる。やっぱりお話をするには戦わないといけないみたい。

だけど、怖い・・・。いざ戦うと決めるとすごく怖い・・・・。

ノワールくんにやられたみたいな事には、恐らくならないだろうけど。魔法で戦うのはすごく危険だ。

だけど、わたしはレイジングハートにお願いしてバリアジャケットを展開します。

 

「ただ捨てればいいって訳じゃないよね・・・逃げればいいって訳じゃもっとない・・・・」

 

「・・・・」

 

「切欠はきっとジュエルシード・・だから賭けよう?お互いが持ってる全部のジュエルシードを!」

『プルアウトッ!』

 

「・・・うん」

『プルアウト!』

 

わたしのレイジングハート。フェイトちゃんのバルディッシュから。

其々が持つジュエルシードが浮かび上がります。

 

「それからだよ・・・全部・・それから・・・・わたし達のすべてはまだ始まっても居ない。

 だから・・本当の自分を始める為に・・・・」

 

「・・・・」

 

「始めよう、最初で最後の本気の勝負!」

 

「うん。私も譲れないから・・・あなたを倒します」

 

そう、ノワールくんと同じようにフェイトちゃんとお話して、友達になって。

そして、ユーノくんと約束したジュエルシードも回収する。

それが、わたしの願いだよ!。

 

 

 

 

 

 

 

高町 なのは side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さてと・・・。ああ、やっぱり思った通りのことになってたか」

「「あ・・・」」

 

結界内へ転移し。海上で繰り広げられるなのはとフェイトの攻防を見ながら呟くと。

すぐ傍に居たアルフとユーノ・スクライアの動物コンビがポカーンとこちらを眺めていた。

 

「よっ、アルフ。それにユーノ・スクライア」

「ノ、ノワールなのかい?」

「生きていたんですか!?」

 

「当たり前だっととと!」

 

言葉の途中で人間形態のアルフに抱き付かれてしまった。

 

「ノワール!ノワール!ほんとにぶじでよかったよ〜!」

「ええい!重い!じゃれるな!」

「うわ〜んッ!」

ついにはアルフが泣き始めた為、屈んだ状態のアルフを抱きしめながら二人の戦いを見つめる。

 

 

 

フェイトは金色輝くほぼ直線に高速で飛ぶ魔法弾『フォトンランサー』を撃ち。

なのはは桃色に光る『ディバインシューター』誘導型魔法弾を発射する。

フォトンランサーと比べてディバインシューターのほうが速度が遅いが変わりに誘導させることができる。

 

フェイトの放ったフォトンランサーをなのはは、空中で移動しながら体を捻り交わす。

対してなのはの放ったディバインシューターをフェイトは高速移動して回避しようとするが

誘導弾である為追尾されていた。

 

 

 

なのはは、砲撃型。つまり拠点型の魔導師だ。

たとえ攻撃を交わせなくても防御力が高く。容易い射撃魔法ならシールドなしで弾いてしまうだろう。

 

隙のでかい大規模攻撃をカバーする為に小規模な攻撃方法が大切になってくる。

拠点型というのは、いかに敵を近づけずに大技を放って敵を倒すかが生命線だ。

 

その点で言えばなのはの戦闘技術はとても最近魔法を覚えた子供とは思えないほどの動きだ。

脳のリソースを喰う誘導弾を使いながら自分が有利な位置取りに移動し。

次の手を確実に打っていっている。

 

 

対してフェイトはというとなのはのディバインシューター(誘導弾)を交しきれずに時折、シールドで防ぎ。または

バルディッシュの魔法刃アークセイバーを使い。執拗に追ってくるディバインシューターを切り裂いていた。

ただしそのまま追い込まれるような真似はせずに空中にフォトンスフィア(小型砲台)をなのはの死角に

配置しながら高速移動魔法を使ってアークセイバーによるヒット&ウェイを繰り出していた。

なのはと違い装甲よりスピードを取ったフェイトの典型的な戦い方の一つだ。

 

 

どちらも己の長所を生かした戦い方をしている。

 

「ぐっ!?」

「・・・」

 

だが、なのはが幾ら才能に溢れていてもしっかりとした訓練を受けてきた。

フェイト相手には幾らか後手に回るようだ。今もバリアジャケットの胸にあるリボンが切り裂かれた。

そして、お互いに距離を取り、荒れた呼吸を双方整えていた。

 

このままの戦い方で崩して行けばフェイトの勝ちで終わるだろう。

むしろ、高速で付きまとわれて大技が出せなければなのはに勝ち目はない。

 

しかし、そうはならないようだ。

 

フェイトは距離を急に開けて、呪文を唱え始める。

しかもさっきの戦闘中に設置していた設置型バインドを発動させてなのはを捕らえた。

フェイトの足元には金色の大規模魔方陣が広がり。フェイトの辺りには無数の魔導スフィアが浮ぶ。

 

「まずい!フェイトは本気だ!」

「ッ!?なのは、いまサポートを!」

 

『だめーッ!アルフさんもユーノくんも手を出さないで!

 全力全快の一騎打ちだから!わたしとフェイトちゃんの勝負だから!』

 

「でも!」「だけど!」

「黙って見てろ二人共ッ!」

 

俺は真剣勝負に口出す二人を怒鳴りつけた。

 

「黙ってって!やっぱり貴方 はなのはの事なんてどうでもいいんですか!?あんなのくらったらッ!」

 

「フゥ・・・お前はなにか勘違いしているぞ。ユーノ・スクライア」

 

「なに!?」

 

「まずいのは、なのはじゃなくてフェイトだ」

 

「「えっ!?」」

 

アルフも俺の発言に驚いたようで二人して声を上げる。

 

「なのはのバリアジャケットはあんなスフィアから放たれる魔法弾程度では貫けん。

 かりにも砲撃型魔導師だ。程度はあるがシールド無しでも自身が持つ2,3番目に威力のある魔法を

 堪えれないと一流の砲撃魔導師とは言えない。俺がなのはと戦った感想だと

 防御力は既に一流だ。素質もフェイト以上に十分な訳だからな」

 

「え!?このままだとフェイトは・・・」

 

 

「まず勝てないな。あんな大技、魔力消費が激しすぎる。

 あのままフェイトが搦め手。さっきのような小規模な戦闘を繰り返して

 行けばフェイトは勝てたんだろうけどな」

 

 

恐らくは今のフェイトには気持ちに余裕がないのだろう。

焦って行動していたのは前からだが。戦闘など危なっかしく動くようで

実は慎重で計算高く動いて戦うフェイトがここまで焦るのは

ジュエルシードを集めないといけないというプレッシャーに押されてのことだろう。

 

 

今さら大規模魔法をやめるようにフェイトに助言したとしても

術を途中で解いたとして、魔力は殆ど帰っては来ない。

こうなった以上はフェイトの大技でなのはが落ちることに賭けるしかない。

 

 

『アルタス・クルタス・エイギアス・・・フォトンランサーファランクスシフト!打ち砕け!ファイア!』

 

フェイトの合図で空中に浮んでいる無数のスフィアから多くのフォトンランサーが放たれ。

そして、バインドで拘束されていたなのはに稲妻の豪雨が真横から降り注ぎ。

魔法弾による爆発煙でなのはの姿が見えなくなる

 

数秒で空中に浮んでいたスフィアはフォトンランサーを吐き出すのをやめ。

小さくなったスフィアをフェイトは左手に集める。

フェイトはさっきまで荒かった呼吸をさらに荒くして、肩で息をしていた。

 

そんな苦労も実らず横風に拭かれて煙から現れたなのはは

白いバリアジャケットに黒い煤をつける程度のダメージしか入っていなかった。

 

「った〜・・・撃ち終わるとバインドってのも取れちゃうんだね・・・・今度はこっちの」

『ディバイン】

「番だよッ!!」

『バスター!』

 

なのはの持つレイジングハートから吹き出した砲撃、ディバインバスターがフェイトに放たれる。

フェイトは放たれた砲撃に左手に持っていたスフィアを投擲するが

威力をまったく削ることもできずになのはの砲撃にスフィアは飲み込まれた。

回避ができないと判断してシールドをフェイトは展開するが

 

『ぐっ!』

こちらから見ても苦しそうに顔を歪めてなのはの放った砲撃をシールド一つで堪えるフェイト。

シールドは消えていないが元の防御力が無いフェイトのバリアジャケットが

シールドを貫通して徐々に裂けてダメージを与えている。

 

どうにかそのまま砲撃を耐え切るフェイトだったが

砲撃を放った後、なのはは次の一手に入っていた...いや、もう王手と言っていいくらいだろう。

 

「な、なんだい!あれは!?」

「すごい・・・空気中の魔力が収束してる!」

 

なのはの砲撃のダメージで碌に動けないフェイトを尻目に空高く舞い上がったなのはは

大規模な魔方陣を空中に広げ。空気中の魔力を収束させている。

 

「収束砲撃か・・・まずいな」

 

あんなのはさっきの砲撃とは威力の桁が違う。

例えるなら自転車に轢かれるのと20トントラックに轢かれるくらいにわけが違う。

同じ事をフェイトも理解してその場を離れようとするが....

 

「バインドッ!?」

 

さっきのお返しとばかりになのはのバインドがフェイトを捕らえる。

ディバインバスターで傷ついたフェイトがそれから砲撃までに逃れることは不可能だろう。

 

「これがわたしの全力全快」

 

「はぁ・・・ある意味俺以上に危ない奴だな、なのはのやつ・・・クローシュ」

 

『ブリッツアクション!』

 

『スターライトブレーカー!』

加速魔法を多重に使用して空に舞い上がり。

巨大な柱と言っていいようななのはの放った砲撃射線のフェイトのすぐ目の前に入り込む。

 

「えっ?」

「エリクス!」『エクスプロージョン!』

 

右手に抜いたクローシュから薬莢が吐き出され。砲撃目掛けて掲げた左手に

ベルカ特有の三角形の大きなシールドが何十にも圧縮された形で展開する。

《ビシシシシシシシシッ!!!》

左手に重い反動が掛かり。シールドが嫌な音を立てて消耗していく音が鳴り響いた。

シールドで幾つもにも弾けて分かれた砲撃に使われた魔力が辺りの海に大きな水柱を上げていく。

 

「くそっ重いッ!!!」

「ノワール!逃げて!!」

「馬鹿ッこれくらいで落ちるかよ!!それになッ!!!」

 

シールドを張ったまま右手に持ったクローシュを腰に戻して

空いた右手を使ってフェイトを肩を抱き、抱きしめる

 

「ノ、ノワール!?」

「フェイトが危なくなったら助けるって約束しただろ?」

 

「・・・はいっ!」

 

フェイトも自分から俺に抱きついて来て、俺の胸に顔を埋めたところで砲撃が止み。

こちらのシールド展開も解除した。

 

『わたしの勝ちって・・・ふぇええええええ!?』

空高くからなのはがこちらの姿を見て驚きの声を上げて。慌てて近づいて来る。

「フェイト、今回はお前の負けだな」

「はい・・・」

あんな砲撃を耐えれるはずも無いことはフェイトも理解しているようで素直に頷いた。

 

「ノワールくーん!」

「ぬわっ!?」

「きゃ!」

 

空中で完全静止せずになのはが突っ込んできてそのままフェイトと俺に衝突するように抱きついて来た。

 

「ノワールくん無事だったんだッ!」

「馬鹿、当たり前だ」

「よかったー!《ガンッ》い、痛いよッ!なにするの!?」

 

能天気に言葉を並べるなのはの頭に軽く拳骨を入れる。

 

「なにするのじゃねぇよ!あんな砲撃を虫の息だったフェイトに放つなんて。

 おまえ、フェイトを殺す気か?」

 

「え?でも非殺傷『うるさい!あんな収束砲撃、非殺傷でもまともにくらったら死ぬぞ!!』ふぇー!?」

 

どうやらなのはは非殺傷の仕組みを詳しく知らなかったようで。すごく驚いていた。

所詮は非殺傷といっても威力が高ければ血も出れば骨も折れることに変わりない。

というか、なのはを俺がボコボコにした時も非殺傷設定だったんだが・・・。

 

「ご、ごめんね。フェイトちゃん・・・」

「ううん、ノワールが助けてくれたから大丈夫・・・。私の負けみたいだね」

「そう・・・だね」

 

【プルアウト!】

 

フェイトのバルディッシュからジュエルシード10個が吐き出された。

 

その時....

 

「離れろ!」

 

「きゃっ!」「ふぇっ!?」

 

抱きついて居た二人を弾き飛ばし。手をそらに掲げシールドを展開する。

すると紫色の稲妻がジュエルシードと俺目掛けて降り注いできた。

前に受けたものに比べて威力は低く。エリクスを使用できなかったので。

防御力が不安だったが無事にその攻撃を耐え切った。

それと同じくしてジュエルシードが光に包まれて消えてしまう。

 

「やはり・・・お前か!プレシア・テスタロッサ!」

 

一度この魔法を受けてしまった時は管理局の攻撃かと思ったが。

なのはも含めて攻撃されたことで誰の攻撃か絞り込めた。

今回出張っている管理局の偉いさん。リンディだったか?

少ししか話したことはないが。少なくとも管理局に協力している。

高町 なのはに向かって間違えても攻撃なんてしてこないだろう。

それに今の攻撃も前と同じ広域次元跳躍攻撃。超高難易度魔法だ。

となればもうフェイトの母親であるプレシア・テスタロッサの魔法以外にありえない。

 

「ありがとうノワール・・・」「ありがとうノワールくん♪」

 

「ああ・・・」

 

二人の戦いの後、フェイトがなのはに勝っていたらフェイトを連れて管理局から逃げるつもりだったが。

こうなった以上、もう俺達は見捨てられたと見ていいだろう。

 

「おい管理局、すぐ近くで見てるんだろ?」

〈はい、今回のことは私共も認めての行動でしたから〉

 

黄緑の髪をしたリンディ艦長?だったかが空中に浮んだスクリーンから答えてくれる。

 

「へぇ?なのはが負けたら介入してたんじゃないか?」

 

〈それはノーコメントということで♪〉

 

「まあ、それくらい俺がそっちの立場でもやってるさ。それより今、管理局も忙しいだろう?」

 

〈なんのことかしら?〉

 

「今頃、プレシア・テスタロッサの時の庭園がある座標が分かって。いろいろ準備している最中だろ?

 準備さえして置けば物質転送の追跡なんてお手の物じゃないのか?」

 

「ッ!?」

 

慌てるフェイトがどこかへ行かないようにしっかりと手を掴む。

 

「慌てるなフェイト。こうなった以上、俺達はもう逃げることもできない」

「そんな・・・」

 

〈そうね・・・。もう座標の特定も済んで今から部隊を送るところよ〉

「そうか・・・。とりあえず、伝えておこう」

〈なにかしら?〉

 

「フェイト・テスタロッサは母親とそれに雇われた俺に強制されて

 今までジュエルシードの収集をさせられていた」

 

「ノワールッ!?」「ノワールくん!?」

 

強制的に犯罪を行った子供に管理局も鬼ではない。

これでフェイトとその使い魔のアルフには軽い刑罰で済むだろう。

罪は俺とプレシアが被れば二人は明るい日の下で暮らしていける。

 

 

「今までフェイトは自分の意思で収集していた訳ではない。わかったか?」

 

〈・・・ええ、そのようにしておきます〉

 

 

リンディ艦長は俺の考えを察してくれたようで。ゆっくりと目を瞑り頷いてくれた。

 

 

「感謝する」

 

「ど、どういうこと!?ノワール!」

「フェイト・・どういうこともなにも、今までそうだったじゃないか」

「ノワーんんー!!」

 

 

余計なことを言いそうなフェイトを胸の中に抱きしめて、なにも余計なことを言わないようにした。

 

フェイトが胸の中で暴れるが体力と魔力を大量に使って疲れているフェイトを拘束するくらいわけなかった。

 

 

「なのは、この後のフェイトを頼む」

 

「ノワールくんはどうするの?」

 

「俺は・・・やることができたから。もしかしたらもう・・・な?」

 

「ダメだよ?」

 

「あ?」

 

「もう勝手にフェイトちゃんやアルフさん・・・それにわたし相手に勝手に居なくなったりしたらダメだよ?」

 

本当にこいつは....

 

「・・・じぁあな」

「あっ!」「っ!」

 

抱きしめていたフェイトを突き飛ばすかのようになのはに押し付け。

ブリッツアクションを使用して二人から離れて結界内から海鳴市のセーフハウスへ直接転移した。

 

 

 

もう意味はセーフハウスがばれても意味はないだろうし。

 

 

今は、こちらを追う戦力は管理局にはないだろう。

この離れた第97管理外世界に戦力はそう多く出さない。精々、次元航行船一隻というところだろうな。

管理局は蔓延的な人材不足に悩まされている。

あのチビの執務官やなのはのような現地協力員が居るのが証拠だ。

 

 

今、管理局が乗り込んで捕まえようとしているのは大魔道士プレシア・テスタロッサだ。

名の知れたエングレイブ傭兵団の構成員と同時に捕まえようとは思わないだろう。

 

二頭追う者は1頭も得ずとは良く言ったものだ。

 

 

【アリス今何処だ?】

【大丈夫です。まだ結界内ですよ】

 

アリスに向かって念意を飛ばすと俺の次の動きを予測していてくれていたらしい。

 

【すまないがアリス【上手くフェイト達と一緒に管理局の船に乗り込めって言うんでしょ?】ああ・・・】

 

【狙いは、時の庭園の座標データで間違いないですか?】

 

【そこまでお見通しか】

 

【ええ、あの人はエングレイブの契約違反を行いました。契約違反者には厳しい報復がなされますからね】

 

エングレイブ傭兵団を雇う場合に契約書に明記された契約内容でよく注意しなければならないのが

契約中及び契約終了後7日の契約主から傭兵団員への直接的間接的に関わらず

あらゆる攻撃は厳禁ということだ。攻撃がなされた時点で契約は破棄され、先払いで貰っている報酬は返さないし。

雇っていた雇用主は報復を受ける。金が先払いというのを基本としているのでこれまでに

それほど多くは無いが、数回契約が破られたことがあり。

相手方の組織は1日で傭兵団の報復に遭い、壊滅したこともあった。

 

【場所も場所だし。今すぐ捕まっちまいそうだし。俺が単独で行くよ】

 

【私もノワールの使い魔、つまりは一心同体です

 データの送信が終わりましたらそちらへ合流しますね】

 

【ありがとう・・・アリス】

 

 

すぐにこの場から多重転移で逃げなければ管理局に捕まるだろう。

だが、報復もせずに逃げるのは傭兵団としての誇りが許さない。

 

それにフェイトの母親からもフェイトが無理やりやらされていたと証言を取らないとな。

 

俺はゆっくりと部屋のソファーに腰かけてアリスから念話が来るのを待った。

 

使い魔と主は一蓮托生。アリスの奴が幾ら優秀でも厳戒態勢の船の中では捕まるだろう。だが

 

「この落し前は付けさせてもらうぞ。プレシア・テスタロッサ!」

 

 

 

説明
神様などに一切会わずに特典もなくリリカルなのはの世界へ転生した主人公。原作知識を持っていた筈が生まれ育った厳しい環境の為にそのことを忘れてしまい。知らず知らずの内に原作に介入してしまう、そんな魔導師の物語です。 ※物語初頭などはシリアス成分が多めですが物語が進むにつれて皆無に近くなります。 ※またハーレム要素及び男の娘などの要素も含みます。さらにチートなどはありません。 初めて読む方はプロローグからお願いします。
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無印も佳境ですネ!!(義之)
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