魔導師シャ・ノワール無印偏 第十九話 再起と再会
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スクリーンに映る光景に目を取られる。

 

すごく効率的かと問われればそうとは言えないけれど。

 

個対個の戦闘技術では高い錬度を持っているとサーチャーから送られてくる映像で確認できた。

 

威力の高い魔法弾で面制圧しつつ隙を作り。高速移動で魔法刃を纏わせた剣による近接攻撃。

 

どれも隙が少なく。次々と敵を切り裂いていっている黒い影。まるで猫科の獣だわ。

 

敵では恐ろしいけど。今は障害を排除してくれているし。

出来るだけ敵に回らないように立ち回らないといけないわね。

 

「艦長。クロノ執務官及び高町なのはさんユーノ・スクライアさんの転移準備が完了しました」

 

「わかりました。3人ともすぐに転移させて。私も現場で次元震の発生を抑えに向かいます。転移準備を」

 

エングレイブでなければ彼もスカウトしたいくらいね。まあ、そう上手くは行かないと思いますが。

なぜかこの事件に関わっている子達とは長い付き合いになりそうな気がします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アースラ艦内 医務室

 

 

 

「フェイト・・・あたしは、あの子達が・・・ノワール達が心配だからちょっと手伝ってくるね。

 すぐ帰ってくるよ。全部終わったらフェイトはフェイトが好きなように生きればいいんだ

 ノワールも言ってくれたじゃないさ。フェイトはフェイトだって・・・

 だから、フェイトの好きなことを好きなようにこれからはしたらいいんだよ?

 ノワールと一緒に入たいってんなら二人であいつを捕まえればいいさ・・・

 じゃ、ちょっと片付けてくるから。また、元の元気なフェイトに戻ってよ」

 

「・・・・」

 

アルフは力なく虚ろな目でベッドに寝ているフェイトにそう伝えると

ゆっくりとアルフは医務室から退室していった。

 

部屋の壁に付いているモニターには時の庭園で行われている戦闘が映し出されていた。

ノワールが傀儡兵を蹴散らす姿。執務官が道を走る姿。

なのはという少女と金髪の少年?が傀儡兵と戦いながら道をゆっくりと進む姿。

 

その姿をフェイトは虚ろな目で見つめていた。

 

(そろそろいいでしょうか?)

 

私は後ろ両足で通気孔の蓋を蹴破り。医務室へ侵入する。

 

体を猫から人の姿になり。フェイトが寝ているベッドの横へゆっくりと向かう。

 

「いつまでそうしているつもりですか?フェイト」

 

「・・・ぇ?」

 

フェイトの瞳に映るように肌が触れ合うほど近くで私が顔を覗かせると小さく声を漏らした。

 

「今プレシアの元にいかないとフェイトは絶対後悔しますよ。もう時間がありませんよ?」

 

「リ・・・ニス?」

 

「リニス・・・懐かしい名前ですね。今の私はアリスですよフェイト

 新たなマスターから付けられた大切なっと!フェイト?」

 

目に光が戻り。涙を溢れさせながらフェイトが私の胸に抱きついてきた。

 

「リニス!リニス!リニスゥ!」

 

「ええ・・・私はここに居ますよフェイト。あなたとアルフには寂しい思いをさせてしまいましたね」

 

名前の事をしつこく訂正する気にもなれずに。泣きながら抱きついているフェイトの頭を優しく撫でる。

ああ・・・懐かしいフェイトの感触と匂いに私も思わず涙が出そうです。

 

「い、今までどうしてたの!?用事で遠くに行くって言ってもしかしてって思ってたけど」

 

「その話はまた何れいたしましょう。それより今はプレシアのことです」

 

「母さん?」

 

不安げにフェイトが顔を見上げて来た。その瞳には不安と後悔が映っている。

 

「まだフェイトはプレシアのことをそう呼ぶのなら会いに行かなくていいんですか?」

 

「でも、母さんは私の事・・・」

 

出そうになった言葉を飲み込むフェイトを見て私は小さく溜息を付く。

 

「はぁ・・・ノワールが言ったようにフェイトはフェイトだと私も思います。

 なら、その気持ちを。お母さんが大好きだって気持ちをプレシアに、フェイトのお母さんに伝えなくていいんですか?」

 

「ッ!!」

 

「どちらにせよ。この事件はもうすぐ終息します。さっきも言いましたが

 今行かなければ絶対にフェイトは後悔しますよ?」

 

『ゲットセット!』

 

私の言葉に合わせてベットの傍の机に置かれていたバルディッシュが輝いた。

貴方もフェイトのことをしっかりと支えているようですね。

 

「うん・・・私は、わたしの気持ちを母さんに伝えに行く。リニス、バルディッシュありがとう」

 

「ええ、どういたしまして」

 

「これできっとわたしは私を始められる。前に進むことができる・・・そうだよね?ノワール」

 

フェイトはモニターを見つめ。ノワールが戦っている映像を見て頬を染める。

私としてはなんだか少し・・少しだけですが面白くありません。

 

「・・・さっさと転移しますよ?」

「え?ま、待って!まだバリアジャケットも展開してないよ!?」

「そんなもの向こうですればいいです。行きますよフェイト」

「わ、わわっ!」

 

フェイトがバルディッシュを持ったのを確認して

予め設定していた座標に向かって転移魔法を発動させる。

 

時間的にそろそろマスターがプレシアの元へ辿り着く頃でしょうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、ノワールはというと....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ〜・・・あいつの部屋ってどこだったっけ?」

 

敵を切り裂きつつ。悩んでいた。

決してノワールが方向音痴という訳ではなく。

ただ、単に時の庭園が広く。後方支援を受けている局員やなのは達と比べると

道をほぼ感のみで進んでいた。一応は何度か来た場所なので。

簡単に辿り着ける筈だったが、敵と戦いつつ真っ直ぐに玉座を目指すのは難しかった。

何度も言うが決して!ノワールが方向音痴な訳ではないと説明しておく。

 

さらに言えばジュエルシードの暴走による次元震による揺れで

時の庭園は崩壊しつつあり。時の庭園周りの空間には虚数空間が発生し始めていた。

 

虚数空間とは、魔法の魔力結合がデリートされてしまう空間で

つまりは魔法が一切発動しなくなる空間の事だ。

 

落ちてしまえば次元空間に落ちてしまう。まあ、助からないだろう。

 

だが、足場の無い戦いはなれているのでものともせずに傀儡兵を倒していた。

 

「まあ、適当に進めば着くだろ」

 

そうして、無数の傀儡兵を蹴散らしながらゆっくりと時の庭園をノワールは進む。

 

一方、遅れて到着したなのは達はかなり数の減った傀儡兵を相手するだけで済んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

高町なのはside

 

 

 

 

 

 

 

わたしとユーノくんはクロノ君と分かれて

時の庭園で暴走している魔力炉の封印に向かっています。

リンディさんの話によると足りないジュエルシードのパワーを

魔力炉の暴走で補おうとしているようだからです。

 

クロノ君はフェイトのお母さんプレシア・テスタロッサの逮捕と

そこにあるジュエルシードの封印に向かいました。

 

幸いと言っていいのかノワールくんが暴れて傀儡兵が大分減っていて

 

それほど戦闘も無しに時の庭園内を進んでいます。

 

でも、戦い自体は避けられないわけで。

 

 

【ディバイン...】

 

「バスター!」

 

レイジングハートから放たれたディバインバスターが傀儡兵を吹き飛ばします

 

 

「チェーンバインド!」

 

《ガシャン!ギギギギッ!》

 

ユーノくんの手から伸びた黄緑色の鎖が傀儡兵に巻きついて動きを封じます

 

そこをわたしの魔法で撃ち倒して行っています。

 

「なのは!」

 

「うんっ!」

 

 

ユーノくんと一緒なら安心して戦える。

ノワールくんやフェイトちゃんと会う前からずっとユーノくんと

ジュエルシードの暴走体と一緒に戦ってきたから安心して戦えていた。

 

「とりゃああああああああ!!」

 

《バシャン!ズズーン!》

 

高速で蹴り飛ばされ体に大穴が空いた傀儡兵が壁にぶつかり動かなくなります

 

「フフ〜ン♪軽い軽い!」

 

フェイトちゃんの使い魔であるアルフさんも一緒に戦ってくれています。

最初は旅館で会って少し怖い人かと思ったけど。

すごくフェイトちゃん思いのお姉さんでした。

 

 

「なのは!」

 

「ッ!?」

 

 

ユーノくんの声を聞いて振り向くと一体の傀儡兵がわたしに向かって斧を

今にも振り下ろそうとしているところでした。

 

ノワールくんがいくら倒して暴れていてもまだまだ数は多くて

忍び寄られたみたいです。鋼鉄の大きな斧が振り下ろされ。思わず目を瞑るってしまうと

 

「サンダーレイジ!」

 

「えっ?」

 

吹き抜けとなっていた天井から黄金の稲妻が降り注ぎ。

寸前のところで振り下ろされそうになっていた斧は止まっていて、傀儡兵は爆発しました。

 

「フェイト!?」

 

「フェイトちゃん!」

 

アルフさんとわたしが驚いて叫ぶとすぐ隣で浮かぶフェイトちゃんは

どういった感じで接していいのか分からないという風にこちらを見つめてきます。

そんな時に...

 

《ドゴオオオン!》

 

壁をぶち破って新たな傀儡兵が現れます。

 

それは今までよりも大型で。今まで居たのか数メートル程度だった物が

一気に10メートル以上の大きさで。背中には大きな大砲のような物がついています。

 

「大型だ。バリアが強い」

 

「うんっ!それにあの背中の」

 

ガシャン!という音と共に大砲がこちらに向き、青い光が集まって行っています。

 

 

 

今まで倒してきた傀儡兵達よりずっと強い。

 

でもフェイトちゃんと一緒なら

 

「でも、二人でなら」

 

フェイトちゃんも同じことを考えていたのか、そう呟いてこちらを見つめてきます。

 

「うん!うんうん!」

 

それに声を出しながら頷いて一斉に傀儡兵から離れてデイバイスを構えます。

 

「サンダー...」

「ディバイン...」

 

『プラズマセイバー!』

 

《チュドーン!》

 

「「え?」」

あまりの光景に二人して声を漏らす。

 

魔法を今にも放とうというところでフェイトちゃんが降りてきた吹き抜けから

赤に近いオレンジ色の砲撃魔法が放たれ。狙っていた傀儡兵は跡形もなく爆散しました。

 

そして、黒いステッキを持ったうつぶし色の髪をした女性がゆっくりと舞い降りてきます。

 

「えっと・・・余計なお世話でした?」

 

「「・・・」」

 

気まずそうにステッキを持っていない左手の人差し指で自らの頬を掻きながらわたし達に訪ねてくる。

 

「ううん。そんなことないよリニス」

 

この女の人はリニスという名前みたいですが。フェイトちゃんは口から出た言葉とは逆と思っているようで

引き吊った笑を浮かべていた。そして、それに気がついたリニスさんは

穴の空いた壁に目を向けて視線をそらします。

 

「は、早く私もマスターのところにい、行かないければいけないので

 ま、また後で合いましょうフェイト!」

 

「う、うん。気をつけてねリニス」

 

フェイトちゃんとの会話が終わると一度咳払いしてからわたしの方にリニスさんが向き直り。

 

「フェイトのことよろしくお願いしますね」

 

「え、あ、はい!」

 

そう答えるとリニスさんは目にも止まらぬ速さで巨大な傀儡兵が現れた穴に飛び込んで行きました。

 

なんだったんだろう....あの人

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、えっと・・・」

 

「うん?」

 

リニスさんが飛び込んだ穴を唖然として見つめているといつの間にかフェイトちゃんが隣に居ました。

 

なんだか、わたしの呼び方を戸惑ってる?あ、そういえば!

 

「なのはだよ!高町なのは!なのはって呼んでくれないかな?友達はみんな、そう呼ぶから」

 

「ふぇ、フェイト・テスタロッサです・・・な、なのは?」

 

「うんっ!フェイトちゃん!」

 

「う、うん!なのは!」

 

やっと・・・やっとフェイトちゃんが名前で呼んでくれました。

こんな事している場合じゃないけど。また一歩前進です。

 

 

 

それからユーノくんやアルフさんと共にフェイトちゃんの案内で

暴走している魔導炉の案内をしてもらい。近いところでフェイトちゃんとアルフさんと別れました。

 

分かれた時のフェイトちゃんはアースラでぐったりと動かなくなったフェイトちゃんと違って

目に力が宿っていて。とても力強いなにかを感じました。

 

 

きっと自分のお母さんに思いを伝えに行くと。決心したんだと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

高町なのは side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フェイトside

 

 

「フェイト!急ぎすぎだよ!」

 

なのはと分かれて使い魔のアルフと一緒に時の庭園を駆ける。

 

「でも!母さんとノワールがぶつかったりしたら!」

 

わたしの気持ちを母さんに伝えないといけない。

でも、それも大切だけど。リニスと会ってなのはと一緒に戦って

ゆっくりと思考がクリアになるに従って時間が無い事が理解できた。

 

時の庭園は断続的な揺れが続いていて。崩落が酷い。

 

虚数空間も高域次元内に発生しているようだし。

 

そして、なによりも母さんとノワールが戦うのだけは止めたい。

 

あの優しい彼は本気で怒って母さんと戦うだろう。

 

ノワールは多分だけど戦闘に関してはわたしより強い。

 

母さんもSランクの魔導師だったからとても強いはず。

 

二人が戦ったらどんな事になるか想像も付かない。

 

 

 

「だからって!下手したら虚数空間に落っこちるよ!」

 

「でも、急がないと!」

 

「あっ!待ってよ!フェイトー!」

 

 

 

アルフの声も聞き流してわたしは道を急ぎます。

 

 

わたしは大好きな二人に戦って欲しくなかった。

 

 

 

 

 

 

説明
神様などに一切会わずに特典もなくリリカルなのはの世界へ転生した主人公。原作知識を持っていた筈が生まれ育った厳しい環境の為にそのことを忘れてしまい。知らず知らずの内に原作に介入してしまう、そんな魔導師の物語です。 ※物語初頭などはシリアス成分が多めですが物語が進むにつれて皆無に近くなります。 ※またハーレム要素及び男の娘などの要素も含みます。さらにチートなどはありません。 初めて読む方はプロローグからお願いします。
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