Papilio Implevit
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「もーいーかい?」

「まーだだよ」

 

花が咲き乱れる庭で蝶がひらひらと舞う中、ソプラノの声が広がっていく。

子供たちがきゃあきゃあと声をあげながらかくれんぼしている姿を、ルフレは東屋で見守っていた。

子供でいる時間はとても短い。あっという間に大きくなって、自分たち大人を軽々と追い越していくのだ。

だからこそ貴重で、宝物のようにキラキラとしたものに見えるのだろう。

それぞれが仲間達によく似ており、色とりどりの髪色をした子供達を追いかける息子の姿を微笑ましく見ていると、視界の外れにふと木陰で小さな影が揺れた。

フードを被った小さな影は、本をギュッと両腕に握りしめて遊んでいる子供達をじっと見つめている。

迷子だろうか?仲間たちの子供でこんな子はいなかったはずだ。しかし、どこかで見覚えがある姿にルフレは手招きをした。

 

「こっちへおいで」

 

一緒に遊びましょう?そう笑いかけてみると、子供はびくりと肩を震わせ木の後ろに隠れてしまった。城のバルコニーによくとまる臆病な小鳥のように。

 

「大丈夫、みんな友達が増えるって喜んでくれますよ」

 

そう言って歩み寄ろうとすれば、首を振りながらその子は後ずさりをした。

 

「できません」

「どうして?」

「わたし、ここにいちゃいけない子なんです」

 

フードの下から覗く瞳の色が誰かに似ていて、ルフレは誰だろうと首を傾げた。

誰でもいい、でもこの子を一人ぼっちにはできない。

うつむくその子の手を握ろうとさらに手を伸ばしたとき、横から小さな手が伸びてきた。

 

「みつけました!」

 

それは鬼ごっこをしているはずのマークだった。

彼は瞳を輝かせ、その子の手をしっかりと繋いでいる。

 

「やっとみつけましたよ、ぼく、あなたにあいたかったんです」

 

驚いたはずみか、その子のフードが下ろされよく見えなかった顔が顕になった。

その子はよくマークに似ているが、うねっている短い髪はルフレと同じ色をしていた。

彼女の唇が小さく動く。どうして、とかたどったように見えた。

 

「きょうからずっとずっと、いっしょです」

「でも、わたし」

「ね、かあさんいいでしょ?」

 

戸惑っているのか子犬のような目で見つめてくる少女と、笑顔だが決して離さない、と言わんばかりの瞳でこちらを見るマーク。

ルフレはそんな二人を交互に見つめると、満面の笑みで頷く。

 

「勿論!」

 

そう言って両手を広げ、二人の小さな背中を抱きしめた。

 

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それは五の月の四の日の夜のこと。星が降ってきそうな日のことだった。

ルフレの出産が近いという。

入ってはいけない、という侍医とフレデリクの意見を無視して駆け込んだ部屋で、妻は脂汗を流し譫言を呟きながら眠っていた。

新たな命をこの世へと生み出すのには危険をともなう。

特に今回はルキナの時よりも腹が大きく、その体には負担が大きすぎるのではないかと侍医の話にクロムは落ち着いていられなかったのだ。

彼女の汗が滲む額をそっと拭う。半身、とは言ったがこの痛みは共有することが出来ず、和らげることもクロムには出来ない。祈りしか捧げられないのだ。

未来から第二子であるマークが来た、ということは無事に出産できたということなのかもしれないが、それでも不安は消えることがなかった。

彼女をもう二度と失いたくなかった。

縋るようにルフレの手を握ると、ことのほか強く握り返してくる。

見れば、彼女がうっすらと瞼を開いていることに気づかされた。

 

「起こしたか」

「クロ、ムさん」

 

吐く息は苦しそうだが、微笑みを返してくるルフレの姿に胸が傷んだ。

彼女は一人でその痛みを背負っているのに、人を気遣う気丈さは健在だったのだ。

 

「ね、クロムさん」

「どうした、何か欲しいものでもあるのか?」

「いいえ、違うんです。私、夢をみたの」

「夢?」

 

首を傾げて見せれば、彼女は汗をふきだしながらもゆっくりと語り始めた。

 

「未来は、かわりました。エメリナ様も、生きて、ギムレーも、消えて」

「ああ。お前と、みんなのおかげだ」

「ふふ、だから、生まれてくる子も、違うかも」

「ルフレ…?」

 

つないだ手に頬を擦り寄せると、彼女は苦しそうだか確かに笑ってみせた。

 

「きっと、家族が、ふえますよ…うっ」

「ルフレ!」

「だいじょ、ぶ…あなたは、ルキナと、待ってて」

 

腹を抑え、呻くルフレの姿にクロムは慌ててベルを鳴らす。

途端侍医達や産婆が駆け込んできて、にわかに騒がしくなる部屋からあれよあれよとクロムは追い出された。

どうやら本格的に出産が近いらしい。

呆然と閉められた扉を見つめていると、横腹に鈍い衝撃が走った。

 

「うお!リズか」

「お兄ちゃん、また無理言って病室に入ったでしょ〜!」

「す、すまん」

「謝るのは私じゃないよ!」

 

姉に見た目は似てきて、中身も少女を抜け出ししっかりとし始めたリズの後ろから、二つの頭がひょっこりと顔を出した。

一人はリズの息子のウード。もう一人は、この時代のルキナだ。

 

「ルフレさんが心配なのはわかるけどね、ルキナの方がもっと心細いんだよ?それなのに、ルキナはウードの遊び相手してくれるし…もうお兄ちゃんったら、この子の方がよっぽどしっかりしてるってば!」

「う、すまないルキナ…」

 

女性は子を産むと強くなるというが、リズは目に見えて逞しくなっている気がする。しかも正論で反論の余地がないのだ。彼女の夫が「最近尻に敷かれている」と嘆いていたのも頷ける。

 

――リズでさえ母親の顔になっているのに、俺はまだまだ父親になれていないな

 

自分が情けなくなりながらもルキナを抱き上げると、「じゃあ大きいルキナとマークには連絡しとくからね!」とリズはウードの手を引いて去っていった。ウードは怒る母親に不思議そうな顔をしながらも、「じゃーねークロムおじさん、ルキナ!」と手を振ってきた。

 

「ウードの面倒を見てたんだって?偉いな、ルキナ」

「おかあさまがね、いいこにしててっていったから!ルキナ、おとうとはやくあいたいです!」

 

最近ますます背が伸び重くなっていくルキナの花咲くような笑顔に、クロムの不安は溶けていく。

見た目こそ自分に似たルキナだが、気遣いができる性格はルフレから受け継がれたようだ。

 

――そういえば、ルフレは家族が増えるって言っていたが、どういう意味なのだろうか?

マークが増えるのだから当たり前といえば当たり前のことだが。

 

疑問を抱いていると、扉の向こうからルフレの苦しむ声と指示を飛ばす侍医の怒声が聞こえた。

それまで笑顔だったルキナの顔が曇り、クロムの服の裾をぎゅっと握りしめてきた。

 

「おとうさま、おかあさま、だいじょーぶ?」

 

聖痕が刻まれた大きな瞳が、心配そうにこちらを見つめてくる。

その瞳が先ほどのルフレと被る。一度出産を経験しているとはいえ彼女も不安だろうに、クロムを気遣って送り出したのだ。

ルキナを頼むと言い残して。

 

――不安は誰も彼もが抱いている。それなのに、俺がしっかりしなくてどうする?

 

これだからリズに叱責されるのだ、と反省しながらクロムはルキナを抱き直した。

赤子の頃は戦争で相手をしてやれず、物心つく頃まで母親が傍にいることを許されなかったのだ。我が儘を滅多に言わない気丈な娘だが、誰よりも不安を抱いているに違いない。

 

「大丈夫だ。明日になったらマークに会えるぞ」

「ほんと?」

「ああ、だから母さんを心配させないためにももう寝よう。本を読んでやるから」

「やったぁ!おとうさま、だいすき!」

 

ぎゅっと抱きついてくる娘をあやしながら、クロムは隣に用意された部屋へと向かう。

ルキナが寝る頃には正念場を迎えているのだろう。命を産みだすため一人戦う妻の為にも、クロムは今できることをしなければならないのだ。

 

そして、数時間後彼はルフレが言った言葉の意味を理解する。

 

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「うーん、やっぱり思い出せませんね…」

 

ランプに照らされた文字をなぞりながら、マークは一人で頭を抱えていた。

結局戦いの後も記憶が戻ることはなく、少しでもきっかけを見つけるため世界を巡っているのだが欠片も思い出すことが出来ない。

 

「母さんも思い出してないらしいし、まあいいんですけどね…」

「何がいいんですか?」

「あ、ルキナさん。起きてたんですね」

 

長い髪を垂らしてこちらを覗き込んでくる姉に、マークは笑みを浮かべてランプを消そうとした。

マーク一人では心配だと、戦いが終わったあと彼女もついてきてくれたのだ。

 

「ええ、どうも眠れなくて。あ、消さなくても大丈夫ですよ」

「そうですかー、母さんのこともありますしね」

「マークはどうしたんですか?そんな難しそうな顔して戦術書を読んでいて」

 

見られていたことがちょっと恥ずかしくて、マークは「いや…ちょっと記憶を取り戻そうと」と頭を掻いた。

 

「アズールさんがこの字は女の子の字だ!って言うから思い出そうとしていたんですけど、さっぱり思い出せなくて…ルキナさん、僕の周りにこんな字をした人いませんでしたか?」

「流石に文字だけだとわからないですね…ごめんなさい、お役に立てなくて」

「いえいえいいんですよ〜、思い出せない僕が悪いんですしアハハ」

 

首を傾げる姉に手を振ってみせるが、彼女は顎に手を当て「でも、こんな字の人は身の回りにいなかったような…」と呟いた。

 

「未来の貴方が、見ず知らずの人の字を戦術書に簡単に書き込ませるとは思えないんです」

「え、そうなんですか?というか、未来の僕はシリアスな感じだったんですか?」

「…時代が時代でしたからね。ある意味、思い出さないほうがいいのかもしれません」

 

顔を翳らせる姉にマークも言葉を失ってしまった。

言伝でしか聞いたことがないが、普子供たちは皆屍兵が跋扈する世界を生き抜いて来たらしい。食べ物も満足にない世界と聞いても、マークにはピンとこない辺り幸せなのだろう。

特に姉ルキナは新たなる聖王として年若くから重圧を背負って生きていくことを強いられてきた。

時折見せてきた激情や悲愴な覚悟は、その経験があってからこそだと気づかされたのは随分後の話だった。

 

――記憶を失う前の僕は、どんな人だったんだろう。

 

自分のことながら他人事のように考えて、マークは戦術書を撫でる。

ルキナに直球で聞いたこともあるのだが、いつも言葉を濁されることからあまりいい人物像が想像できない。

 

「記憶を失っても、貴方は私の弟に変わりませんから無理に思い出そうとしなくてもいいんですよ」

「…えへへ、有難うございますルキナさん」

 

母や父がしてくれるように頭を撫でられ、マークは少しだけ赤面しつつもそれを受け入れた。

そう、記憶を失ってもこの血と絆に変わりはない。

だけど、それでも知りたいと心の奥底で呻いている自分がいる。

知らなくちゃいけないんだ、と叫んでいる。

 

(そうはいっても、思い出せないんだから仕方ないじゃないですか)

 

少しだけむくれて戦術書の文字を睨んでいると、突如扉が開き「伝令です!」と天馬騎士が入ってきた。

 

「どうしましたか?」

「リズ様から、もうすぐルフレ様が出産されるとのことです!」

「予定通りですね。行きましょうルキナさん!」

 

二人が夜遅くまで起きていたのも、臨月だという母ルフレが気になって仕方なかったからである。

本を閉じてルキナに向き直ると、少しだけ渋っている顔をした。現代の自分と家族にあまり干渉したくないのか、遠慮しているだろう。こうして旅に出ているのもきっと迷惑をかけたくない想いからなのだろう。

 

「行きましょうよルキナさん。貴方の笑顔を見せたら、母さんもきっと安心します」

「マーク…」

「それとも仮面つけて行きますか?温泉の売店に売っていたから僕も買っちゃったんです、これでダブルマルスごっこができますよ!」

「そ、それはちょっとやめましょう」

 

照れながら「わかりましたから」と言う姉にアハハと笑ってみせると、マークは伝令の騎士に礼を告げランプを手にとった。

 

 

 

 

「いや〜、それにしても僕じゃなかったらどうしましょう」

「?どういうことですか、マーク?」

「ルキナさんがいた未来から、この時代はちょこちょこ変わっているんでしょう?もしかしたら未来が変わって、僕じゃない赤ちゃんが生まれてくるかもしれませんよ?」

 

城の廊下を歩きながらマークは何気なしに言ってみせると、「それは」とルキナが言葉を濁らせた。

 

「あ、深い意味はないんですよ!もしそうだったら、面白いな〜って」

「笑い事じゃないと思いますけど」

「もしかしたら聖痕がある子かもしれませんし、可愛い女の子かもしれないじゃないですか。もし違ったとしても今の僕は消えないと思いますし、そっちの方が楽しいと思うんですけどね」

 

そうだ、賭けてみますか?と笑顔で振り返れば、ルキナは少し神妙な顔をしてこちらをじっと見つめてきた。

 

「無理にでも笑わせようとしなくていいんですよ、マーク」

「ルキナさん?」

「…貴方には話していなかったのですが、未来の貴方は聖痕がないことを気にしていたんです。今の貴方みたいに笑って誤魔化していたのですが。私は自分に精一杯で、そんな貴方に気づいても何も言ってあげられなかった」

 

立ち止まり、遠くを眺めるようにマークを見据えるルキナにドキリとした。

何故だかこの情景に、妙な既視感があったのだ。

悲しげにこちらを見つめる姉と、それをさらりとかわし向き合おうとしない自分。その時の胸を指す痛みも、どこか身に覚えがあった。

 

「だから冗談でも、そんなことを言わないで」

 

――記憶を失う前の僕も、こうしてルキナさんを悲しませていた?

 

世界が急速に離れて、飴細工のように曲げられていく感覚。

目眩のようなそれがマークの身を襲ったが、「あ、いたいたー!」と慌ただしい声に現実へと引き戻された。

 

「マーク、ルキナ!」

「リズさん…」

「ちょうど良かった、生まれたよ!」

 

金髪を揺らし、息を切らしながらも満面の笑みでそう告げる叔母に、二人は思わず顔を見合わせた。

 

「ホントですか?」

「むー、いくら悪戯好きの私でもこんなめでたい状況じゃ嘘なんてつかないよ!ほらほらこっちこっち!」

 

リズは相変わらず元気よく飛び跳ねながら城の廊下を駆けていく。

先ほどまで話していた内容が内容なので姉弟の間には微妙な空気が流れていたが、「早くー!」と急かされる声にハッとさせられ叔母に続いた。

 

「ふっふーん、きっとびっくりすると思うよ〜」

「リ、リズさん、ビックリするって…」

「まさか、ほんとに僕じゃないとか?」

「それは秘密!ほら、ここだよこの部屋!」

 

元気のいい彼女に追いつき、母が出産を終えただろう部屋の扉前を神妙な面持ちで見つめている。

二人の気持ちなど知らずに、リズは「ジャジャーン!」と無邪気に扉を開けた。

 

「ルフレさん、お兄ちゃん、連れてきたよー!」

 

手を振る彼女の視線の先。

そこには、ぐったりとはしているが頬に赤みがさしているルフレと、彼女を労わるように横抱きしているクロムの姿があった。

そして、白い身くるみに包まれてルフレの胸に吸い付いている赤子の姿にルキナとマークは釘付けになる。

 

「二人?」

「えっへへー、正解は双子ちゃんだったのです!どう、ビックリしたでしょ?」

「お前が生んだんじゃないだろ、リズ」

 

うっすらと生えた柔らかい髪色は、一人は藍色。

もう一人は母と同じ色のものだった。

 

「こんな形で未来が変わるなんて…」

「ああ、俺も驚いた」

 

驚きすぎて掠れた声しか出せないルキナに、クロムは笑いながらルフレの額へ唇を寄せる。

彼の眼差しはとても穏やかで安らぎに満ちていた。

 

「それも一人は男の子、もう一人は女の子だ」

「名前、どうしようっかー、ねえねえ、ルフレさんは何か考えてある?」

 

ルフレは疲れて声が出ないのか、ふるふると軽く首を振って否定する。

そして、驚愕で入口に立ったままのマークを目にすると、そっと微笑み手招きする。

マークだけにしかわからないように、声無く唇だけを動かしながら。

 

この子、知ってる?

 

そう小さく口が動いたようで、マークは母譲りの瞳を大きく見開いた。

ちょうどその時、赤子の一人がお腹一杯になったのか胸から口を離し、首がまだ座っていない赤子を母は慎重に動かし、こちらへ向けて来た。

 

まだ目も開かれていない、赤くて皺だらけで同じ人間とは思えない全てが小さな生き物。

それでもマークにはわかった。

それが血の力なのか、絆の力なのかわからない。

ただ突如与えられた奇跡に、歓喜に湧いている部屋でマークはただ一人震えていた。

 

「マーク、姉さん」

 

口から溢れた言葉に反応するかのように、赤子は泣き始めた。

慌てる父と姉、落ち着いている母と叔母。

その狭間を漂うように、マークは目眩がする世界の中一歩、また一歩と彼女へ近づいていった。

 

泣き出した赤子の手を、もう一人の赤子の小さい掌が握っている。

マークは恐る恐る泣いている赤子へ指を伸ばした。

赤子は差し出されたマークの指を、もう片方の紅葉のような掌でぎゅっと握ってきた。

瞬間、様々なものが流れ込んできた。

バラバラに隠されていたパズルのピースが、急速に嵌められるかのような記憶の本流。

多すぎる情報量に揉まれるマークだが、小さな掌がこの世界へとつなぎ止めてくれた。

 

忘れたくなかった。

忘れちゃいけなかった。

ずっと記憶の底で探していた、大切な半身。

羽を取り戻した蝶が再び空へと舞い上がるかのような感覚に、マークは現実へと返された。

 

「やっと、みつけましたよ」

 

赤子をあやそうと様々な玩具を持ったクロムとリズ、ルキナはマークの言動を不思議そうに見つめている。

ルフレだけは、そんな息子の姿を目を細めて静かに見守っていた。

 

「僕は、貴方に会いたかったんですね…」

 

忘れていてごめんなさい、そう呟くと、いままでけたたましく泣き叫んでいた赤子は嘘のように泣き止んだ。

代わりのように、マークの頬に涙が伝う。

 

 

抱えきれないものを一人で背負って、知らない間に一人にしてしまった。

でも、それも今日で終わり。

今度こそ二人で生きられるんだ。

この優しい世界で、何も知らない「僕」じゃない「僕達」は。

 

 

「ずっとずっと一緒ですよ。マーク姉さん」

 

 

日付はいつのまにか五の月五の日に変わって、新しい朝を迎えようとしている。

朝露に覆われる城の中庭で薄れゆく月明かりを受けてひっそりと蝶が羽を輝かせ、ひらひらと薄明の空へと飛び立っていった。

説明
以前投稿したPapilioシリーズの外伝というか真の最終回です。マーク誕生話で少々のクロルフと姉弟会話がほとんど。
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タグ
FE覚醒 マーク クロルフ 

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