SAO〜黒を冠する戦士たち〜 第百九十一技 ゲームクリア
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第百九十一技 ゲームクリア

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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No Side

 

〜第50層『アルゲード』〜

 

―――リンゴーン、リンゴーン…!

 

「な、なんの音だ!?」

 

「いきなりNPCが消滅したぞ!?」

 

「ねぇ、アレ見て!」

 

「『Warning』って、このゲームが始まった時と同じ!?」

 

「なにが起こってんだ…?」

 

突如として鳴り響く鐘のようなアラームのような音、NPCの消滅という現象、

デスゲームが始まった時と同じ文字の出現に、このアルゲードだけではない全てのプレイヤー達が不安を覚えた。

 

そして、もう一つ『system announce』という文字が現れた。

 

「システム、アナウンス…」

 

この文字もまた、デスゲームが始まった日に茅場晶彦の後ろに現れていた文字だ。

 

それらの出現により、さらに一層の不安がプレイヤー達を襲った。

 

―――『ただいまより プレイヤーの皆様に 緊急のお知らせを行います』

 

「茅場じゃないの?」

 

この世界では聞き慣れていない合成音声による女性の機械的な声に、疑問を持った者達がいた。

 

しかし、続くアナウンスの言葉に全ての不安や疑問が吹き飛んだ。

 

―――『アインクラッド標準時 十二月 十一日 77層において ゲームは クリアされました』

 

「「「「「っ!!!???」」」」」

 

システム音声が告げた一言に、全ての者が静まり返った。

 

―――『ゲームが クリアされましたので 皆様の ログアウトが 行われます。

    皆様 しばらくの間 お待ちください。 繰り返します……』

 

プレイヤー達の間に、沈黙が流れる……そして、

 

「「「「「やったぁぁぁ!」」」」」

 

一斉に歓声が沸き起こった。

 

喜びに笑い、泣き、両方を浮かべる者、隣に居る者と抱き締め合い喜びを分かち合ったりする者、

唯々喜びに歓声を上げる者など様々だ。

 

全ての者達が喜びに打ちひしがれている。

 

「でも、一体誰が…?」

 

一人の男性の微かな疑問に答える者は居らず、それは周囲のざわめきに掻き消された。

 

No Side

 

 

 

シリカSide

 

〜第47層『フローリア』〜

 

「ほん…とう、に……?」

 

ゲームクリアの放送を聞いても、あたしは未だに信じられない気持ちだった。

 

だけど、家の外で歓声を上げて喜ぶ人達を見て、現実なんだと解った。

 

「きゅ〜……」

 

「そっか……ピナともお別れなんだよね…」

 

本来ならモンスターはもう動くことができないはずなのに、この((竜|こ))は今でもこうやって動き、

感情があるかのように寂しがってくれている。

 

「ピナ、今までありがとう…。あたしを守ってくれて…(ぎゅっ)」

 

「きゅ〜…」

 

「あたしは大丈夫だよ。元の世界に戻っても、必ずヴァル君と出会うから…」

 

あたしは大好きな人の無事を確信しつつ、大好きなピナを抱き締め続ける……すぐに訪れてしまう別れの時まで…。

 

―――ゴメン……アスナ…

 

「っ、キリトさん!?」

 

頭の中に、アスナさんに謝るキリトさんの声が聞こえた。まさか…!

 

「キリトさん……」

 

シリカSide Out

 

 

 

リズベットSide

 

〜第48層『リンダース』〜

 

「終わった、のね…」

 

ゲームクリアの放送を聞いたあたしは、柄にもなく感慨に耽り、感傷に浸った。

 

思えば、この世界に来てからどこか我武者羅に生きてきたような気がする。

 

そんな中でアスナと出会って、キリト達に出会って、大好きなハクヤと出会って、

ゲームの中とはいえ彼と結ばれることが出来た。

 

それを考えると、この世界に来たことも満更ではないと思えた。

 

77層のボス攻略戦にはハクヤも参加している……リアルで再会したら、どうやってクリア出来たのか聞いてみよう…。

 

―――ゴメン……アスナ…

 

「キリト!?」

 

悲しそうなキリトの声が頭に響いた。その声に、あたしは最悪の可能性を思い浮かべてしまう…。

 

「キリト、あんた……」

 

リズベットSide Out

 

 

 

No Side

 

彼の声を聞いたのは、彼の身近にいた彼女達だけではなかった。

 

〜第1層『始まりの街・黒鉄宮内MTD本部』〜

 

「「キリトさん…」」

 

彼に救われた二人の男女が声を聞いた。

 

〜第1層『教会』〜

 

「キリトさん…」

 

「「「「「兄ちゃん(お兄さん)!」」」」」

 

彼に助けられた先生と子供達も彼の声を聞き、安否を気遣う…。

 

〜第22層『コラル』〜

 

「キリトさん…」

 

生きることの意味を、彼とその愛する少女に教えられた釣り師にも届いた。

 

〜第50層『アルゲード』〜

 

「キリト君、キミは…」

 

馴染みの喫茶店店主兼情報屋の男性も彼の声を耳にした。

 

〜とある層の街〜

 

「キー坊、お前…」

 

テスト時代からの彼の協力者であった情報屋の彼女も聞いた…。

 

〜とある層の街の服屋〜

 

「キリト君…」

 

時には彼からの相談を受けることもあったお針子の女性も、彼の安否を思う…。

 

No Side Out

 

 

 

アスナSide

 

キリトくんが、砕け散った…。嘘、だよね? さっきまで、一緒に、居たのに…。

 

「キリト…うそだろ、おい……」

 

「ぐっ…」

 

クラインさんとエギルさんが、

 

「キリト、そんな……」

 

「いや、いや……」

 

「ゆめに、きまってらぁ…こんな……」

 

「おまえが、キリト…」

 

「キリ、ト…」

 

ケイタ君、サッちゃん、テツ君、ロック君、ヤマト君が、

 

「こんな、ことって…」

 

「う、うぅ……」

 

カノンさんとティアさんが、

 

「うそっすよね、キリト、さん…?」

 

「ありえるはず、ない…よ……」

 

「おれは、おれはぁ…!」

 

「……くっ…」

 

「キリト、ばかやろぉ…」

 

ルナリオ君、ヴァル君、シャインさん、ハジメ君、ハクヤ君が悲痛な声を上げていく。

 

みんなの声が頭に入ってきて、ようやく理解した。そうだ、キリトくん…は……、

 

「ぁ…ぁぁ…っ、うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!!!」

 

死んじゃったんだ……わたしを、庇って…わたしの、せいで…わたし達の為に…。

 

涙が止めどなく溢れてくる。抑えようもなく、どうしようもなく、延々と流れ続ける。

 

もっとキリトくんと一緒に居たかった、もっと触れ合っていたかった、もっとずっと一緒に生きていたかった。

 

なのに、なのに……。

 

―――『これより プレイヤーの皆様の ログアウトを 開始します』

 

ログアウトを開始するというアナウンスが流れた。

 

このままログアウトして生きていくくらいなら……!

 

わたしは『クロッシングライト』を握り締め、首に剣を突き刺そうとした…。

 

「アスナちゃん!?」

 

シャインさんが驚愕の声を上げた、けれど…、

 

―――ガキィンッ!

 

「えっ…?」

 

「「「「「なっ!?」」」」」

 

突き刺せなかった。

 

なぜなら、茅場によって弾き飛ばされたはずのキリトくんの剣である、

『セイクリッドゲイン』と『ダークネスペイン』がそれを防いだから。

 

まるで、キリトくんが「死ぬな」と言うかのように。

 

わたしは、彼が消滅したところに落ちていた『アシュラ』と『ハテン』を拾い、

二振りの剣と二本のカタナを、自分の愛剣と共に抱き締めた。

 

そして、ログアウトが始まった。

 

ウェルガーさん、シュミットさん、フリックさん、それに他のみんなも次々と消えていく。

 

「アスナ、必ず((リアル|むこう))で…!」

 

サッちゃんはそう言うと、黒猫団のみんなと共に消えていった。

 

「俺は、あいつが生きているって、絶対に…!」

 

「また、一緒に…!」

 

クラインさんとエギルさんも、そう言って消えていった。

 

わたしの体もポリゴン化が始まっていく。

 

「アスナさん、彼はきっと…!」

 

「キリトは、負けていないから…!」

 

ティアさんとハクヤ君がそう言うと黒衣衆のみんなも消えた。そしてわたしも…、

 

「キリト、くん……」

 

自分の意識が薄れていくのを感じた。

 

アスナSide Out

 

 

 

To be continued……

 

 

 

 

 

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後書きです。

 

ゲームがクリアされ、全員がログアウトしました。

 

HPは減らないのにアスナが後を追う為に剣を振るったのは、

まぁキリトの剣に守られるというシーンを書きたかったからです。

 

そして次回は、ある意味恒例のキリトと茅場の会話シーンです。

 

シリアスといえばそうかもしれませんが、どちらかといえば二人の対話という感じですね。

 

それでは、次回をお楽しみに・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

説明
第百九十一話です。
ゲームがクリアされて・・・。

どぞ・・・。
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コメント
アサシン様へ 始まりはいずれ終わり、終わりは始まりへと変わる(本郷 刃)
始まりの神話は終わりを告げ、新たなる神話が生まれ出(いずる)(アサシン)
kaito様へ うるっときましたか・・・キリトの命運は、次回の対話の結果で・・・。(本郷 刃)
やばいうっうぅ〜涙が止まらない〜キリト〜〜〜〜〜〜死ぬな〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜(kaito)
神薙様へ そういえばフラグライトについての話しが出てきたのって原作9巻のところでしたね。(本郷 刃)
サイトさん、このSAOの世界にはフラグライトという魂とも呼べる概念がありまして(ry(神薙)
魅沙祈様へ はい、慕われています。茅場さんとの会話とALO編をお楽しみに!(本郷 刃)
キリトはやっぱり皆に慕われていたんですね…。次回の茅場さんとの会話とALO編が楽しみです!!(魅沙祈)
遼東半島様へ 少なくとも半数以上からは慕われているでしょうね。ALO編をお楽しみに!(本郷 刃)
本当にこの世界のキリトは多くの人から愛され、慕われているんですね。ALO編が楽しみです!(遼東半島)
セルア様へ そこは次回でご確認をw(本郷 刃)
不知火 観珪様へ キリトくんがかましてくれますよ!(本郷 刃)
んでもって、キリトは変態ヤロー須郷にとらわれる、と?(セルア)
茅場さんもいますよね? あぁ、茅場さん…… 冗談はさておき、アスナがリアルに戻っても大丈夫なように、キリトくん……一発かましてくれ!(神余 雛)
不思議なこともあるものですよね〜、ねぇ? 次回の二人の対話は、正直書いていた自分も混乱してしまうものです・・・。(本郷 刃)
あれ?キリトさんまたシステムを超えちゃったんですか?・・・次回の二人の対話期待して待ってますw(サイト)
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