バカとテストと召喚獣 五つの鎧を持つもの 第九話
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 とある日の文月学園の昼休みの屋上。鋼牙は一人双剣を鞘から抜き素振りをしていた。

「ふっ、はあっ!」

「鋼牙、ソロソロ食事ヲトッタラドウダ?」

「もう少ししてからにする。」

 鋼牙は双剣を両手で持ち左足を前に出し構える。

「ふっ!」

 右足を踏み出し双剣を下から上に振り上げる。

「アマイ。モウ少シ踏ミ込メ。」

「わかった。次からはそうする。」

 鋼牙は攻めの型、守りの型を行い、身体全体を使い剣を振った。

 その時扉が開き、入ろうとしたものが剣を振ったときに出来た突風で弾き飛ばされた。

 

 数分前

「誰か鋼牙を見た者はおらんか?」

 いつもの面子で食事しようとしたときに秀吉がふと気付いた。

「そういえば見ていませんね。」

「また何処かにいるんじゃないのか。」

「・・・・・・・・・その可能性はある。」

「あいついつもどこで何してんのよ。」

「まあいないんなら仕方ないな。俺らは屋上で飯を食う予定だ。」

「じゃあ私も一緒に行きます。」

「うちも。」

 五人は屋上に向かおうとした途中であった。Aクラスの霧島、優子、愛子と出くわした。

「あれ!もしかして君たちも屋上で食事しようと思ったの?」

「ああ。お前らもか?」

「・・・うん。たまには外での食事もいいと思って。」

「それに屋上は誰のものでもないでしょ。」

「それもそうだな。」

 雄二が扉を開けた瞬間であった。突如突風が雄二に向かって掛かってきた。

「うおっ!」

 雄二は飛ばされ霧島に受け止められる形になった。

「・・・雄二、大丈夫?」

「あ・・ああ。すまんな、翔子。」

「すまない、だいじょうぶ・・・・・・・」

「鋼牙、なんでお前がいるんだ。」

「素振りのためにここにいるんだが。」

「素振りって、おぬし・・・・・・」

「なんか剣を持ってるけど・・・・」

「というかなんで持ってるの?」

「気にしないでくれ。それよりお前たちはここに何をしに来たんだ?」

「まあ普通に昼食を取りに来たんだよ。」

「丁度良カッタナ。コイツモマダ食事ヲトロウトシテイタトコロダ。」

「そういえばそうだたな。しかしお前らまだ帰っていなかったんか。」

「どういうことだ?」

「今日は午前中で終わるぞ。」

『え!』

「今日はシステムの調整で先生が大勢借り出されるからな。さっき学園長が電話で話してきたんだが・・・・なんで皆して俺を見る。」

「どうしてあんたが学園長の電話番号知ってんのよ。」

「魔戒騎士の関係上学園著運に頼まれることが多々あるんだ。特にバグ潰しとかがな。」

「バグ潰し?」

「マアソノ話シハ食事ヲトリナガラデモ出キルカラアトデモイイダロ。」

「そうだな。」

 鋼牙は剣を立て、鞘に収めた。

 

「にしても鋼牙、お前なんで魔戒騎士であることを隠していたんだ?」

「別に自慢するほどでもないことだ。だから言わなかったんだ。」

「そうか。」

「・・雄二。」

「何だ翔子。」

「・・あーん。」

「別にしなくてもいいだろ。」

「・・・雄二。」

「何度言われても同じだ。」

「・・・生きていたい?」

「しょ、翔子!」

「・えい!」 

 霧島は雄二の口にエビフライを運んだ。

「むぐぐ・・・」

「霧島は優しいな。」

「おふぁえにはひょうみえるか。」

「せめて口の中のものを収めてからにしろ。」

「そういえば鋼牙は弁当は持て来ておるのか?」

「ああ。」

 鋼牙は弁当をあけると健康的な食材で作られた色とりどりのおかずが弁当に入っていた。

「結構美味しそうね。」

「そうか?」

「これってお母さんが作ったのか?」

「いいや。一人暮らしだから自分で作っている。」

「「うそね(ですね)。」」

「は?」

「鋼牙がそんな料理上すな分けないじゃない。」

「そうです。そんなことありえません。」

「オイオイ、酷イコト言ウナ。コイツガ料理出キルノハ俺ガ保障スルゼ。」

「へえ〜、そうなんだ。」

「・・・・鋼牙。」

「何だ土屋?」

「・・・・お前は先日自身が魔戒騎士であることによって観察処分になったことを言った。」

「そうだ。」

「・・・・そんなになるまで魔戒騎士というのは大変なのか?」

「ソウダナ。出席日数ガオオハバニ削ラレルホドダ。訓練モ楽ジャナイ。」

「どういうことだ?」

「魔戒騎士は肉体がフィードバックに耐えれる程鍛えなければならない。」

「どんな訓練をしたのじゃ?」

「初歩的なのは両手にお椀を持ち大体片道十数キロの道のりを走って川の水を汲み壺いっぱいになるまで汲むのが初歩的だな。」

「そ、そんなに!」

「まあ慣れているから心配は要らないがな。」

「お主が人離れしているように見えてきたわ。」

「そうか?」

「そうじゃな。」

「じゃあ実力を見せてもらいたいもんだぜ。」

「構わんぞ。」

『え!?』

 鋼牙の発した言葉に一同驚いた。

 鋼牙は立ち上がり屋上をトントンと蹴る。その途端、屋上の床から二本の木の鞘に入った双剣型の木刀が出てくる。鋼牙は両手で二本を持ち雄二に投げ渡す。

「コイツハ面白イ。俺モ見タイカラナ。誰カ俺ヲハメテクレ。」

 ザルバがそう言った途端に姫路が手を上げた。

「じゃ・・・じゃあ私が・・・」

「それじゃああ頼む。」

 鋼牙はザルバを外して姫路に渡す。姫路はザルバを左手の中指にはめる。

「構えろ。」

「へっ。お前を即効で片付けてやる。」

 雄二は鞘から木刀を抜き、鞘を投げ捨てる。しかし鋼牙は木刀を鞘に納めたままであった。

「アノ神童ハ馬鹿ダナ。」

「どういうことですか?」

「戦イデ相手ガ鞘ヲ捨テルナンテ自殺行為ダ。鞘ハ時ニ武器ナル。」

「そうなのか?」

「アア。今ニワカル。」

 雄二は右手に木刀を持ち上から振り下ろす。鋼牙は左手に持っている鞘に収まった木刀で防ぎ足払いをする。

「ぬあっ!」

 鋼牙は雄二の腹に木刀を押し付けた。雄二はもがくが全く立てない。

「雄二、脇ががら空きだ。」

「くっ!もう一回だ。」

「受けてやる。」

 鋼牙は鞘から木刀を抜く。

「来い。」

「うおお!」

 鋼牙と雄二の模擬戦を姫路達は見て少し気付いた。

「・・・・・何故鋼牙はあの剣を手の甲に置くんだ?」

「ホウ、気付イタカ。アレハ冴島家ニ伝ワル構エダ。」

『冴島家?』

「アア。」

「鋼牙の家はなんかすごいところなの?」

「マアナ。」

「もしかして冴島君の家ってお金持ち?」

「マアナ。アマリ欲張ラナイ金持チノ家ダナ。」

「じゃあどうして一人暮らしをしているのじゃ?」

「アイツガ望ンダノガ一ツト母親モ賛成シタノガ理由ダ。」

「お母さんって誰?」

「りん。冴島りんだ。」

「えっ!」

「どうしたの、代表?」

「・・・冴島りんてって確か有名なファッションデザイナー。」

「そういえば演劇部の衣装作成担当のものが憧れていると前に言っておったの。」

「でもなんで一人暮らしをしているんだろ?」

「ソイツハココガ鋼牙ニトッテ憧レノ人ガイタトコロダカラダ。」

 ザルバに姫路が放しかけようとしたときにチャイムが鳴った。

「ここまでだ。」

「ゼエ・・・・・・・・ぜえ・・・・・・・お前ほんとに強いな。」

「お前は無駄な動きが多い。もう少し脇を締めろ。」

「でも蹴りやパンチはナイだろ。」

「戦いでは相手が常にフェアで戦ってくれるわけではない。それを忘れるな。」

 鋼牙は雄二から木刀を受け取りもとの場所に戻した。

「姫路、ザルバを。」

「あ、はい。」

 姫路はザルバを指から外して鋼牙に手渡し、鋼牙はザルバを左手の中指にはめた。

 こうして昼休憩は終わった。

 

説明
ナニゲナイヒルヤスミモコウガニトッテハシュギョウヲスルジカンダ。ソンナニチジョウノコウケイヲミテミヨウゼ。
『昼休み』
ガクセイダトメシヲクッテイルヨナ、コノジカンハ
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