真・恋姫無双 刀蜀・三国統一伝 第五節:平原の休日
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まえがき コメントありがとうございます。今回は平原で精を出す一刀たちにスポットを当てます。胡花と明里を仲間に加え一層女性陣の尻に敷かれないかと心配になる一刀ですがそこはどうにか乗り越えてくれるでしょうwそれではごゆっくりしていってください。

 

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平原に戻り、胡花と明里が仲間に戻ってきて早くも一週間が経った。戻ってからというもの、忙しいの一言では言い表せないほどの仕事量だった。連合の一件で平原にいなかった分の仕事が残っていたわけで・・・。昨日なんか朱里と雛里が半泣きで俺に泣きついてきたくらいだ。竹簡の量が多すぎて捌ききれないとのこと。明里も一緒にいるじゃないかと思ったが、彼女はここで仕事をできるのが楽しくてさほど疲れを感じないらしい。流石に自分たちが疲れたからといって明里だけに仕事をさせるわけにもいかないので助っ人を探していたというわけだ。そこで、俺は愛紗と清羅を呼び六人で残りの竹簡を三刻を掛けて捌ききった。それと一緒に俺の仕事も昨日終わらせてしまったので今日は休みだ。俺は半寝状態の頭を起こすために一度顔を洗い普段着に着替えると聖桜を携え部屋を後にした。

 

「ん〜、休みを取ったものの、何をしようかな・・・。」

 

とりあえず、朝飯を作ろう。うん。ということで厨房へ足を向けた。

 

・・・

 

厨房へ向かっている途中、庭の方で鍛錬に励む愛紗を発見した。いつも思うが、どうせやるなら誘ってくれればいいのに・・・。ちょっと寂しさを感じつつ愛紗の背後へ回る。

 

「ふぅ、こんなところか。」

「わっ!」

「きゃ!・・・ご主人様、声を掛けるのでしたら普通に正面からお願いします。心臓に悪いですから。」

「ごめんごめん。驚いた愛紗も可愛いからそれ見たさにちょっと魔が差したんだ。」

「魔が差すことが多すぎるのも考えものです。」

「あはは。」

「まったく・・・。」

 

顔を赤らめ、ぷいっと顔をそむける仕草も可愛いなぁと思いながら愛紗の背後から抱きついたままの俺。

 

「・・・ご主人様、そろそろお離れください。」

「愛紗の髪、いい香りがするからもう少しだけこうさせておいて。」

「ご主人様はずるいです。そう言われては私が断れないと分かられていておっしゃっているのですから。」

「思っていることを言ってるだけだからずるいとは言わないよー。」

「・・・それがずるいというのです//」

 

いやー、役得役得♪愛紗の顔が林檎みたいに真っ赤になったところで解放してあげると彼女が俺の方に振り向いた。

 

「それで、飛びつかれたからには何か要件があったのでしょう?」

「? いつもどうり愛紗が鍛錬してるなーって思って・・・」

「それで?」

「どうせやるなら俺も誘って欲しかったなーって思って・・・」

「それで?」

「構って欲しいなーって思って抱きつきちゃいました♪」

「・・・はぁ。」

「?」

 

愛紗が頭を抱えてため息をついてる。何かしたかな?

 

「特に用事があったわけではないのですね?」

「そうだよ?」

「鈴々ではないのですから・・・。」

「俺も最近忙しくて構って欲しかったの!・・・駄目?」

「うっ・・・。」

 

(上目遣いはずるい!)

 

「わ、分かりました!今日だけですからね!」

「やたーっ!」

「はぁぁ〜〜〜〜〜。」

 

その光景を見ていた清羅が微笑ましいですね〜。と感慨に耽っていたのはまた別のおはなし。

 

・・・

 

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愛紗と少しほのぼのした時間を過ごした後、厨房に向かっていたことを思い出し本来行くべきところへと足を向けた。行かなきゃいけないってことじゃないんだけどね。愛紗は警邏に向かうと言ったが桃香と鈴々が起きていなかったので城内へと戻っていった。

 

「何を作ろうかな〜♪」

「ご主人様、おはようございます。」

「お、清羅。おはよう。随分と早いんだね。」

「いつもと同じくらいですよ。ご主人様は愛紗ちゃんとくっついていなくても良かったのですか?」

「もしかして、見てた?」

「はい、ばっちりと。」

「視線は感じなかったのにな・・・。」

「遠目から見ていたので気づかれないのも仕方ないと思いますよ。」

 

う〜、見られていたと分かると少し恥ずかしくなってきた・・・// 今更恥ずかしがっても遅いんだが。

 

「ふふっ、寂しかったのならいつでも甘えられていいのですよ?」

「聞こえてたの!?」

「いえ、あの様子を拝見してそのように感じていると思っただけです。」

「うーん、たまに人肌が恋しくなるというか、一人部屋って結構寂しいもんだよ?」

「言って下さればいつでも私が添い寝させていただきますよ♪」

「た、たまにでいいから!♪」

「はい♪」

 

(きゃ〜!ご主人様かわいい〜〜〜!!これは、お部屋にお持ち帰りしたくなっちゃうよ!)

 

「清羅、とりあえず朝飯作らないか?俺結構お腹すいたし、警邏中に兵士さんたちも腹減ってるだろうから。」

「分かりました。ところで、何を作られるのですか?」

「そうだね・・・炒飯と餃子とかでいいかな?」

「そうですね。では私は餃子を作ります。」

「お願いね。」

 

俺たちは早速朝食作りに取り掛かった。やっぱりこういう風に食事を作るのは楽しいな。戻ってきてからは清羅や明里に食事を作ってもらってたし、どうしようもないときはうちの隊の子達に作ってもらってたりで俺はここ一週間鍋すら触ってない。はぁ〜、この包丁で野菜を切る感触が堪んない♪

 

「ご主人様、久しぶりの料理に楽しいのはわかりますが包丁を持ったままでその笑みは怪しまれるので控えたほうがいいかと。」

「・・・そんなに怪しかった?」

「はい。初対面でしたら印象はまず良くないでしょう。」

「・・・気をつけます。」

 

・・・

 

「作り終わったー!」

「お疲れ様です。」

 

朝食を作り終わり、とりあえず庭に運び終えた。料理を並び終えても今揃ってるのは俺と清羅だけなんだけどね。

 

「じゃあ、俺はいつものに行ってきます。」

「毎日大変ですね。」

「いいのいいの。俺も結構楽しみだったりするから。」

 

俺は城内へ戻りとある寝坊助を起こしに向かった。

 

「清羅ちゃん、おはよ〜。」

「おはようなのだ。

「おはようございます。桃香様、鈴々ちゃん。」

「ところで、ご主人様が先ほどどこかへ向かっていたようだが。」

「あの子を起こしに行かれたのよ。」

「?・・・あぁ、いつものか。」

「えぇ。」

 

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平原の将たちは、『あの子』『いつもの』で通じるものがある。それはこの一週間で定着したものだ。

 

「おーおー、いつものことながら可愛い寝顔だことで。」

「すー・・・、すー・・・」

「胡花―、朝だぞー。」

 

俺はカーテンを開け、部屋に日差しが入るようにした。当然胡花に日差しが当たり少し眩しそうに体をたじろかせる。

 

「んん〜、ご主人様ですか?」

「あぁ、俺だ。おはよう。」

「おはようございます。」

「朝食が出来たから早く支度を済ませろよ。」

「はーい。」

 

胡花の着替えが終わるまで部屋の外で待たせてもらう。これもいつもの日課。それにしてもここ一週間、ものの見事に俺が起こしに行くまで寝ている。これがいつまで続くのだろうか・・・。娘の成長を楽しみにする父親って感じなのかな?

 

「お待たせしました。」

「今日は早かったね。」

「私もお腹空きましたのでちょっと急いじゃいました♪」

「俺もお腹すいたから急ごうか。」

「はい!」

 

俺たちは一緒に庭へと足を進めた。お腹を出しながら寝る癖を注意しようと思ったけど、胡花がごきげんそうだったからまたの機会に持ち越ししよう。

 

・・・

 

「朱里ちゃん!雛里ちゃん!起きて〜!」

「明里ちゃん、もう少し寝かせて〜。」

「あとちょっとだけ・・・すぅ・・・」

 

も〜。今ご主人様と胡花ちゃんがお庭の方に向かわれるのが見えたから二人を起こそうとしてるんだけど、休みの日はもう少し寝たいって聞いてくれない。早くご主人様たちとご飯食べたいのにー!

 

「ほら、早く起きて!」

「はわわ!」

「あわわ!」

 

二人の布団をひっペがして半ば無理やり起こす。昔からお仕事やお勉強のことは真面目なのに寝起きだけが欠点なんだよね。あと・・・

 

「二人とも、まだ八百一本集めてるの?」

「うん、集めてるよ。」

「明里ちゃんも読んでいいんだよ?いや、是非とも読んで!面白いから!」

「いや、遠慮して・・・」

「最近の一番人気はご主人様×蒼さんなんだよ!蒼さん×華佗さんも結構・・・」

「分かった!分かったからもういい!」

 

うぅ、どこで私と朱里ちゃんたちの育ち方が変わったんだろう・・・。・・・朱里ちゃんのお姉さんの影響?・・・まさかね。あ、あはは・・・。はぁ。

 

・・・

 

朱里たちと警邏に行っていた愛紗、流琉たちも戻ってきたところで報告会も兼ねて朝食開始。

 

「兄様、朝の警邏終わりました。異常なしです。」

「うむ。流琉が張り切っていたのでな。儂の手間が省けたぞ。」

「あっちの姿ならもっと省けると思うんだけど?」

「あれはとっておきなのじゃ。それ見よがしに使うものではない!」

 

それより見た目をもう少しどうにかして欲しいと思うのは俺だけじゃないはず。これ、贅沢じゃないよね?

 

「主よ、こちらも警邏終了だ。同じく異常なし。」

「ご主人様ん、おはようのキ・ス・は?♪」

「気持ち悪い寄るな。何が嬉しくて貂蝉とキスしなきゃいけないんだよ・・・。」

「では貂蝉の代わりに私がして差し上げましょう。」

「星なら大歓迎・・・はっ!?」

 

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周りから大量の視線が・・・星はにやにやと笑みを浮かべるだけ。

 

「ご主人様・・・」

「はい・・・」

「星ちゃんばっかりずるい!」

「・・・はい?」

 

ず、ずるい?どゆこと?

 

「私、洛陽でキスしてもらって以来してないもん!」

「ちょっ!ここでそれを言うの!?」

 

いきなり爆弾投下したねこの子!俺、これからどう言い訳すればいいか考える暇ないよ!?その場の雰囲気でやったとは言えないし・・・。

 

「それを言うなら私だってあれ以来してもらってないよ〜!!」

「せ、清羅まで!?ていうか、素が出てる!」

 

俺、猛獣の蔓延る檻に放り込まれたうさぎの様な気分だ。皆の目が獲物を狙う猛禽類になってる。俺の勝手な思い込みだけどね。

 

「・・・。」

 

どうしよう・・・俺、逃げ場無いんですけど〜〜〜〜〜!!

 

「兄貴もそろそろ本命を決める時なんじゃないか?」

 

にやにやしながらそんなことを言ってくる蒼。まったく、人事のように言って・・・。

 

「それは必要ないよ。みんなのこと、大好きだから。」

 

これが俺の気持ちだ。日本ならこういう状況だと一人を決めなきゃいけないんだけど、今は俺や桃香の志の下に皆が力を貸してくれてる。皆いい子だし、裏切るなんて論外。

 

「兄貴、そういう事をさらっと言えるあたり大物だわ。」

「? みんなのこと大好きだもん。嘘を言っても仕方ないでしょ。」

 

何を今更。・・・? 何か桃香たちが円陣を組んで何やら内緒話をしている。朱里と雛里が身長的にきつそう。大丈夫か?

 

「ご主人様のあの何がって疑問で首を捻る仕草可愛いよね〜♪」

「はい。不覚にもドキッとしてしまいました//」

「あれは駄目ね。反則ね。子犬を見ているみたいだし。」

「主のたまに見せるあれもささやかな楽しみの一つだな。」

 

なにやら盛り上がってる・・・。今の会話で何かそういうとこ、あったか?

 

「ご主人様、皆さん何をしてるんですか?」

 

胡花が服の裾を引っ張って何気ない疑問をぶつけてくる。

 

「ん〜、なんだろうね〜。」

「ぐふふ、さすがはご主人様♪もてもてねん。」

「ご主人様はモテモテじゃな。流石は儂がダーリンの次に認めた男子!あれくらいやってもらわねばな!ガハハハ!」

「ところで・・・朝食、冷めるぞ?」

 

華佗の冷静なツッコミに皆、朝食時だったことを思い出し朝食をとり始めた。一刀は皆が賑やかに朝食をとる。その何気ない光景に平和が一番だな〜。と思いながら炒飯をひと掬いし口の中に放り込んだ。

 

・・・

 

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朝食をとり終わり、俺と胡花と瑠偉で警邏中。うちの隊は週休二日制で今日はお休み。

 

「あの、私も同行しても良かったのでしょうか・・・。隊長と姜維様の二人で回られるので私はお邪魔かと。」

「そんなことないですよ。私もこちらに来て日が浅いですし、色々と教えてもらえると助かります。」

「そういう事だから、あまり気にしないこと。いいね?」

「は、はい!」

 

女の子はこうでなくっちゃね。変に気を使ってる顔してたら俺が気を使っちゃうから。

 

「お、北郷様じゃないですか。いらっしゃい。」

「おばちゃん、点心三つお願い。」

「まいどあり〜。今日は瑠偉さんと・・・まだ見たことない人だね。新しく来た人かい?」

「姜維っていうんだ。うちで将をしてもらってる。」

「へぇ、こりゃまた可愛い将軍様だことで。姜維様、北郷様は良くしてくれるかい?」

「はい。ご主人様はとっても優しくて、強くて料理も上手なんですよ。私が一番尊敬している人です!」

「そうかいそうかい。北郷様も、こんな健気な子手放すんじゃないよ?」

「勿論ですよ。」

「瑠偉ちゃんもね。こんな良い男、他には見つからないわよ〜?」

「も、もう!//隊長はそういうのじゃなくて・・・その〜・・・//」

「?」

「ははは。北郷様も大変だね〜。はい、点心三つ。」

「ありがとう。はい、お代。」

「毎度有り〜。」

 

点心を受け取り警邏再開。点心は胡花と瑠偉に一つずつ渡す。

 

「温かいうちに食べなよ。」

「ありがとうございます。いただきます。」

「隊長、警邏中なのですから後からでも・・・」

「もう、愛紗と同じこと言ってー。せっかく貰ったものなんだから美味しいうちに頂かないと。」

「で、ですが・・・」

「はい、あーん。」

「・・・!!//」

 

無言で瑠偉が口を開けるのを待つ俺。これで口を開けなかった子はいない。

 

「自分で食べれますから//」

「せっかくちぎったからこっちも食べて。」

「で、ですが・・・」

「・・・駄目?」

「うっ・・・」

「瑠偉さん、早く降参した方がいいですよ。こういう時のご主人様は絶対に引きませんから。」

「わ、分かりました。では失礼して・・・あ、あーん。」

「はい、あーん。」

 

瑠偉の口にひょいっと点心を入れてやる。顔を真っ赤にして食べる姿はなんとも微笑ましい。

 

「どう、美味しい?」

「恥ずかしさで味が分かりません//」

「じゃあもう一回する?♪」

「も、もう勘弁してください!!//」

「あはは!!」

「も、もう// 隊長は意地悪です//」

 

瑠偉が一刀と胡花と警邏していると聞きつけて尾行している北郷隊の恵(けい)と美香(みか)。瑠偉と三人でよく行動している二人だ。

 

「瑠偉さん可愛い〜!!お持ち帰りしたい〜!!♪」

「瑠偉さんいいな〜。私も隊長にあーんしてもらいたいです。」

 

しかし尾行しているのは彼女たちではないようで、趙雲隊の兵士は尾行している彼女たちを尾行している。

 

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「やっぱり北郷隊の女の子たちは可愛いな。それに、将軍たちと違って荒々しくなさそうだし。」

「そうだな。だが、俺はあの子たちの隊長の北郷様は凄いと思うぞ。あの女の子たちばかり寄ってくるのは何故なのか。何か秘策でも持たれているのだろうか・・・。」

「いや、それはなさそうだぞ?あの方と何度か話したことあるが対応の仕方とかは変わらなかった方な。」

「・・・男にもあんな風にあーん。とかしてくるのか?」

「いや、それはないから。というかそのくらい察しろよ・・・。」

 

一刀たちを尾行する光景は実は珍しい光景ではない。それは兵だったり将だったり日によって違うだけである。しかも尾行すしている者たちは気付かれていないと思っているのだが、そこは確かに一刀には気付かれていない。しかし市のおばちゃんや子供たちにはバレバレなわけで。もはや日常のひとコマとして見られているとは思うまい。そして男兵士たちはその度に溜息が増えていくのであった。

 

「ご主人様、瑠偉さんばっかりずるいです。私にも食べさせてください。」

「分かった。はい、あーん。」

「あーん。(もぐもぐ)♪♪」

 

おー、嬉しそうに食べるね。なんか俺も嬉しくなってきた。

 

「・・・隊長、食べないと冷めますよ?」

「そうだった。」

「そ、それで・・・私が食べさせてあげます!//」

「・・・ん?」

「ですから!その・・・口を開けてください!」

「あーん。」

「・・・// (ぽい)」

 

一口大にちぎられた点心を食べる。うん、美味しい。そして、自分で言っておいて頬を赤らめるのはどうかと・・・。

 

「次は私の番ですよね?」

「え?」

 

それから二人に点心を食べさせてもらった。警邏中なんだから早く移動しようよ・・・。点心屋のおばちゃんがこっちをにやにやしながら見てるじゃないか。

 

・・・

 

警邏を終え昼食。さっき、点心食べたばかりであまりお腹空いてないのは置いておくとしよう。胡花は星に鍛錬に誘われ城に戻り瑠偉は途中で合流した恵、美香と共にまだ一緒にいる。

 

「隊長!あそこの喫茶店行きましょう!」

「俺も好きだけど、女の子って皆喫茶店好きだよね。」

「甘味は女の子にとって必要栄養源なんですよ!」

「うんうん。」

「二人とも、週二回も行かなくていいじゃない・・・。」

 

週二回・・・俺も甘味好きだけど流石にそこまでは行かないぞ。

 

「とか言って、行くって言ったら一緒に来るじゃないですか〜。私、瑠偉さんが甘味大好物なの知ってるんですからね。」

「そ、それは・・・」

「洛陽で食べた杏仁豆腐。あれ以来ですよね?」

「うっ・・・」

 

言葉に詰まったとこを見るに当たりだな。瑠偉が甘味好きって意外だな。

 

「いいじゃない。だって、美味しかったんだもの・・・。」

「けどいいですよね〜。瑠偉さん、どれだけ食べても太らないし。私たちと同じ量の甘味を食べてその体型はずるいです!」

「瑠偉さんは食べたものがその豊満な胸にいってるんですね。だからそんなにバインバインに・・・。」

「わ、私だって好きで大きくしてるわけじゃないんだから・・・勝手なこと言わないでちょうだい//」

 

こういう話について行けなくなるのは男の悲しい性なんだろうな。というか、確かに瑠偉の胸は大きい。桃香と同じとまではいかないが、そうだな・・・霞と同じくらいはあるんじゃないか?

 

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「まぁ体格は個人差があるし気にしなくてもいいんじゃないか?」

「気にします!」

「女の子には重大な問題です!見てくださいよ瑠偉さんの胸、腰、お尻!理想ですよ!」

「そ、そっか。」

 

確かに鞘香もウエストが増えたー!とか言ってダイエットしてたからなー・・・。三日坊主だったけど。

 

・・・

 

俺たちが喫茶店に入りテラス席に座ると思わぬ客と遭遇した。

 

「ご主人様たちも来てたんだ〜。」

「お兄ちゃん、鈴々は杏仁豆腐とぜんざいを食べたいのだ。」

「鈴々!あまりねだるな。ご主人様も少ない小遣いでやりくりしているのだ。」

「いいよ。あんまりお金を使う機会ないから。」

 

まぁ、ぜんざいがここにあるのかというのは気にしないで。毎月愛紗から小遣いを貰っている。

 

「隊長って関羽さんからお小遣い貰ってるんですね〜。」

「ご主人様に見合ったお金を差し上げたら大体は鈴々の食費に消えるからな。このくらいに抑えているのだ。」

「にゃはは。」

「笑い事ではないぞ・・・。」

 

言われてみれば確かに鈴々の食費だな。後は誰かへの贈り物か星の酒代。・・・あれ?何か私物買ったことあったっけ?

 

「ご主人様は女に弱いのだ。」

「とか言って〜、愛紗ちゃんもご主人様とのお出かけ用にお金貯めてるくせに

〜♪」

「桃香様!?//」

「好きな人と過ごすためにお金を貯めるのは当然のことです。何も恥じることはありません。」

「〜〜〜〜〜//」

 

そんなこんなで七人で甘味を思う存分味わった。支払いは俺持ち。また懐が寂しくなるけど仕方ない。・・・また愛紗に前借りしないといけない・・・。

 

・・・

 

「ふあぁ〜〜。疲れた・・・。」

 

俺は晩飯後、部屋に戻り寝台に横になった。今日は一日中市を回った。途中から桃香たちも加わり大所帯になり、服だのなんだのウインドウショッピングへと洒落こんだ。女の子はこの手のことになると元気になると改めて実感させられたよ・・・。明日はのんびりしたい。

 

「明日は朝から誰か誘って模擬戦をしようかな。」

 

そろそろ眠くなってきたな・・・。明日も皆元気で一日平和に過ごせますように。おやすみー。

 

・・・

 

一刀が寝台で寝静まった頃、洛陽では兵士たちが奔走していた。

 

「張遼様!もう持ちません!」

「くっ、流石にこんだけ兵数に差があると恋がおってもきついな〜・・・。しゃあない。一刻も早く一刀んとこに早馬出しぃ!」

「はっ!」

「あんま頼れんってこん前言ったばっかやのに・・・。今回ばかりは堪忍な。うちでもこれはどうしようもできん・・・。」

 

洛陽は突然の曹操軍の軍勢からの奇襲に混乱していた。戦力差は洛陽三万に対して曹操軍十万。飛将軍呂布がいてもこの圧倒的な差には対処しきれないでいた。

 

「皆さん、無事でいてください・・・。」

 

月はひたすらに自軍の者たちの無事を祈ることしかできなかった。

 

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あとがき 読んでいただきありがとうございます。今回はほのぼのとしながらも若干混沌としたおはなしだったように見受けられます。まぁ、いつものことといえばそうなんですがね。次回は洛陽を攻める華琳。危機迫る洛陽。一刀たちはどう出るのか、乞うご期待!それでは次回 第五節:洛陽危機、苦渋の選択 でお会いしましょう。

 

説明
何でもござれの一刀が蜀√から桃香たちと共に大陸の平和に向けて頑張っていく笑いあり涙あり、恋もバトルもあるよSSです。

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コメント
洛陽が・・・一刀早く月を助けるんだ!(将軍)
お小遣い制やったんか一刀さん(´・ω・`)   拠点詰め合わせから本編進行へ、サクサク話が進むのはいいよね。(yosi)
普通に日常の話で終わると思ったら急転直下の非常事態!?さあ、一刀よ!すぐにでも駆けつけろ!!メインヒロイン(?)がピンチだ!!(mokiti1976-2010)
早く洛陽に貂蝉と卑弥呼の派遣を!この二人がいればなんとかなる!(牛乳魔人)
結構おかしな日常だったはずなのに、なぜかほのぼのとしてましたねwww 董卓軍の命運や如何に・・・!(本郷 刃)
君主が毎日のように町を警邏して、その君主を女性兵が尾行して、その女性兵を男性兵が尾行する。そんなのが日常ってwwwwww。(アルヤ)
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清羅 明里 胡花 瑠偉 愛紗 桃香 一刀 真・恋姫無双  刀蜀伝 

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